婚活回想録 –夫との出会い 後編–
交際から半年ほどを経過し、筆者の親友夫妻と食事をしたときのこと。親友は学科の同級生である。そのご主人は、学科の一つ上の先輩。筆者は、学生時代からこの夫妻と仲良くしてきた。夫氏と先輩は同級にあたる。学科は違えど、入学時はみな同じ科類。共通する話題も多く、すぐに打ち解けた。先輩「教養のクラスは何組だったの?」夫氏「Z組だよ。」筆者「えっ⁉️わたしもZ組だよ。」東大は1,2年の教養学部において、選択した第二外国語ごとにクラス分けされる。理科I類の場合、30組ほどある。(本来クラス名は数字ですが具体的なクラスを伏せるためアルファベットにしました)必修科目はクラス単位で受講し、5月に開催される学園祭の出し物もクラス単位で行う。さらに、“上クラ・下クラ”という制度がある。新入生が大学生活に馴染めるよう、新入生同士の親睦が深まるよう、一学年上の同クラスの先輩方が世話をする、という仕組み。入学前には、上クラが引率する、非公式の親睦合宿が催される。(きめ細やかなのか、お節介なのか…な仕組み)筆者「下クラに女の子いなかったって言ってなかったっけ??」夫氏「いなかったと思うなー。下クラはZじゃなくてY組だったような…」筆者「そんなことあるかな?上クラで覚えてるのは…〇〇さんとか、△△さんとか…」夫氏「あ、そうそう。そいつらと同じクラス。」筆者「じゃ、あなたはわたしの上クラよ。下クラに女の子いなかったんだ。ふーん。」つまり…出会いから遡ること14年、筆者18歳、夫氏19歳のときに、我々はすでに出会っていた。しかし、互いに全く覚えていなかった。それどころか、筆者は女性として認識されていなかったのだ。当時、夫氏には素敵な年上彼女がいたそうだ。それゆえ、素朴な新入生には興味なし。筆者は性別不明に分類された模様。一方の筆者は、チャラい上クラに目をつけられ、その対応に追われていた。ほかの先輩方とはあまり接点がなかった。二人が一緒に写っている集合写真も発掘された。言葉を交わしたかどうかは定かではない。しかし、何度か顔を合わせていたことは事実のようだ。運命のいたずらと呼ぶべきか。女性として認識できなかった筆者を娶ることになった夫氏。どんまい。14年で進化を遂げた筆者に拍手を贈りたい。