筆者と夫氏の自宅は、徒歩圏内にあった。
3回目は、仕事帰りに軽く一杯。
4回目は、近くの美味しいカレー屋さんでランチ→散歩。
時間をおかずにお会いしていたが、ご飯を食べるだけ。
筆者は不安を覚えた。
このままでは、ただの飯友になってしまうかもしれない…
この時点で、筆者は夫氏に対して熱烈な恋心を抱いていたわけではない。
ただ、居心地がいい、また会いたいと思える存在。
しかし、筆者が求めているのは、近所の飯友ではなく、人生の伴侶である。
このままではいけない。
4回目の散歩中、盆踊りの案内に目が留まった。
来週末、近隣の公園で催されるらしい。
筆者「盆踊りなんてあるんですね。楽しそうですね。」
夫氏「来週かー。行ってみる?」
浴衣を持っているという夫氏。
2人そろって浴衣を着て、盆踊り大会に行くことになった。
よし。これではっきりする。
浴衣デートで何もなければ、このまま飯友止まりだろう。
そんな心積もりで臨んだ盆踊り大会。
いざとなると、久々の浴衣が気恥ずかしい。
夫氏は意外にも(?)浴衣がよく似合っていた。
さほど規模は大きくないが、やぐらが組まれ、出店も出ていた。
「懐かしいね」と言いつつラムネを片手に、子供たちの盆踊りを眺める。
本来の筆者であれば、ここで喜び勇んで盆踊りに加わるところだが、今回ばかりは自粛。
筆者「楽しそうですね。覚えて来年は一緒に踊りましょう!」
夫氏「せっかくだから踊ってくればいいのにー。」
お祭り気分を楽しんだ後は、カジュアルなカフェダイニングで夕食をとった。
ここでも、核心に迫る話は出ず、いつも通りの他愛ない会話が続いた。
夫氏「じゃあ、そろそろ行きますか。」
会計を済ませ、店を後にした。
どうやって帰るのが近道か、など話しながら歩き出す。
あぁ、やはりダメだったか…
浴衣デートなんて意味なかった…
諦めとともに天を仰ぐ。
筆者「あ!」
まん丸の月に筆者は声を上げた。
奇しくもこの日は満月であった。
夫氏「月が綺麗ですね。」
ん?
いま、なんと??
そうして、お互いにアプリの退会を約束した。
夫氏・筆者「よろしくお願いします。」