トウダイリケジョの婚活記
  • 06Feb
    • 結婚と仕事

      筆者は、いわゆるバリキャリではありません。恥ずかしながら、バリキャリという言葉自体も、ブログを始めるまで知りませんでした。ただ、学んできたことを糧に、好きなことをして、幾ばくかの収入を得る程度。楽しく、やりがいのある仕事ですが、大きいお金を動かすわけでも、社会を変えるわけでもありません。バリバリどころか、パリパリ、あるいはハリハリくらいの働き方。しかし、そんな筆者でも、結婚してから、仕事のあり方や働くこと自体を考えるようになりました。前回の記事についていただいたコメント。「あられさんより稼いでいるのであれば、(夫をが料理をしないことも)受け入れるべきでは。」これを受けて、少し思うところがあったので書き留めておきます。*****筆者は現在、家事の大部分を担っている。筆者の方がマルチタスクが得意な上、料理は半分趣味のようなもの。特段の問題はない。ところが、仕事が忙しいとき、体調が悪いとき、ふと疑問を抱く。筆者が食事の支度をする傍ら、仕事をする夫氏に苛立ちすら覚える。なぜ、わたしの負担が大きいのか。なぜ、夫氏は朝食ができる5分前に起き、夕食ができる5分前まで仕事をしているのか。夫氏が協力してくれたら、わたしももっと仕事ができるのに。おそらく、先に挙げたコメントは、この疑問に対する答えの一つ。収入の高い夫氏の仕事が、優先されるべき。収入の低い筆者は、仕事を差し置いても夫氏のために家事をすべき。筆者自身も、この答えに行き着いたことがある。しかし、この答えに納得できない自分もいる。仕事の重要度は収入の序列によって決まるのだろうか。夫婦は収入によらず対等ではないのだろうか。別の答えにたどり着いたこともある。そもそも筆者が仕事をしていること自体が誤りであるという答え。結婚披露宴でのこと。筆者側の来賓は祝辞の中で以下のようなお話をくださった。「弊社は、女性だからといって優遇はしません。これからも、どんどん責任ある仕事を任せますし、海外出張も海外赴任もあります。その分、新郎にはご不便をおかけすることになりますがー」もちろん、夫氏は筆者の仕事を理解しているし、好意的に受け止めてくれている。しかし、夫氏の親族はどうだろう。仕事を持っていることは承知しているが、海外赴任の可能性は伝えていない。仕事で家を空ける嫁。息子に不便を強いる嫁。なんてひどい嫁をもらったのだろう、と悔しい思いをされたかもしれない。想像とは異なる祝辞を聞きながら、変な汗が流れたことを覚えている。この時から、自分が仕事をすることが、果たして正しいことなのか、わからなくなった。幸い、一年前を最後に海外出張は全面的に禁止。予定されていた海外赴任も無期延期になった。しかし、本来の役割であるはずの家事に不満を抱いてる。夫氏に不便を強いろうとしている。両立できないのであれば、やはり筆者が仕事をしていること自体が、誤りなのかもしれない。ぐるぐると考えていると、いよいよわからなくなった。自分は一体何のために働いているのだろうか。ある日、そんな悩みを職場の先輩にこぼした。筆者「自分の収入なんて大したことないし、いっそ家庭に入って家事を完璧にした方がいいのかなって思うんですよね。夫を全力でサポートした方が、出世してトータルのインカムも増えるかもしれないし。」先輩「うーん。まぁ、そうかもね。それで思い出したんだけど…うちの旦那、すごいキツい部署に当たったとき、本当に大変そうだったんだよね。終いには地方に飛ばされそうになって、断れば降格という状況だったの。その時わたし『そんな会社辞めちゃえ!』って言っちゃった。私に収入があったからそう言えたのであって、専業主婦なら『家族のために耐えて』って言わざるをえなかったんじゃないかな。サポートって家のことをするだけがサポートじゃないかもしれないよ。」なるほど。先輩の言葉は示唆に富んでいた。働くことの意義。仕事のあり方。家事とのバランス。まだ自分の中で最良の答えは得られていない。育児も介護もない、ハリハリくらいしか働いていない筆者が悩むこと自体、おこがましいことも承知している。しかし、きっとこれからも悩みながら生きていくのだろう。*****結局何が言いたいの?という冗長な文章になってしまいました。迷走中ゆえご容赦を。夫氏と話さないのか、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれないので、夫氏の見解もご紹介します。「あられには、何より仕事を頑張ってほしいと思ってる。家事はできる時だけやればいいんだよ。仕事をしながら家事をやってるだけですごい。食事だって、ご飯とお味噌汁があるだけで満点なんだよ。なぜ常に満点よりも上を目指そうとするのか。あられは十分やってるよ。」こんな感じです。夫氏は必要最低限しか求めていない。筆者が勝手にやり過ぎている。ということのようです。夫氏は、筆者の完璧主義の傾向と自己肯定感の低さにしばしば苦言を呈します。もっと手を抜いていい、できないことよりできたことで自分を肯定せよ、とのこと。そもそも完璧ではありませんが、お言葉に甘え、手を抜くことを覚え始めました。夫氏も少しずつ手を貸してくれるように変化している気がします。夫婦2年生、まだまだ試行錯誤が続きます。

  • 23Jan
    • 男のプライド?

      プロポーズのくだり、肩透かしのようなかたちになってしまい、申し訳ありませんでした。ブログを容認してくれた夫氏ではありますが、まさか一世一代のプロポーザルを全世界に発信されるとは思っていないはず…夫氏の心情に配慮し、あのような表現になったことをお許しください。私のブログからは、意思薄弱でへなちょこな夫氏を想像されているかもしれませんが、それは結婚云々に限ってのこと。基本的に立場は筆者よりも夫氏が上ですし、確固たる意思の持ち主です。*****因縁の旅行で訪れたのは英語圏。飲食店でのやり取りや、交通機関の切符購入、観光案内所でのやり取りなど、旅行に必要な最低限のコミュニケーションだけだが、英語が必須であった。序盤こそ積極性を見せていた夫氏。しかし、段々とコミュニケーションを筆者に譲るようになった。長距離バスに乗っていたときのこと。途中休憩のために停車した。筆者「出発は◯分て言ってたよね?」夫氏「そうなの?聞いてなかった。」夫氏は、英語を聞くことさえやめていた。これについて問うとこんな答えが帰ってきた。夫氏「役割分担だよ。各々得意なことをやった方が効率いいでしょ。」筆者は、英語が得意なわけではない。外国資本の企業に勤めてはいるが、基本的に国内の業務が多い。たまに海外プロジェクトに当たり、メールもチャットも会議も全て英語になると、走り出したくなる。あくまで旅行には不自由しないという程度。果たして分業が必要なことなのか。コミュニケーションの効率とは何たるか。夫氏と海外に行ったのは2回だけだが、2回目も基本的に夫氏は英語を話さない姿勢であった。もう一つ、夫氏が断固としてやらないことがある。料理である。学生時代は自炊していたと聞くが、一緒に住み始めてから現在まで、夫氏が料理をする姿を目にしたことはない。ちょうど一年前、筆者がインフルエンザに罹り寝込んだことがあった。「りんご…」と言う筆者に、りんごを剥いてくれたのがおそらく夫氏の料理最高記録。筆者は、このとき夫氏が手つきが慣れていたことを見逃さなかった。筆者「すごい上手!わたしよりりんご剥くの上手だよ!お料理もすればいいのに!」これ以降、筆者は折を見て夫氏に料理を勧めた。筆者「趣味として、何か一つの料理を極めるってどう?毎週土曜日はカレーの日、とか決めてカレーを極めるの!」夫氏「うーん、いいや。」筆者「凝り性だし、ハマったらハマるんじゃない??こだわりのスパイスを御徒町とかに買いに行ってガラス瓶並べたり。楽しそうじゃん!」夫氏「料理は得意な人がやればいいよ。」得意な人がやればいい。いつかも聞いたセリフである。夫氏「マクロ経済を学ぶといいよ。」筆者「どういうこと?」夫氏「農家さんが漁業もやったら非効率でしょ。一つの産業に特化すべきだということがわかると思うよ。」筆者「言わんとしてることはわかった。」夫氏「よかった。」筆者「でもそれって、設備投資が必要だからだよね?料理の場合、キッチンも調理器具も調味料も揃ってるよ。素潜りしろとは言ってない。船に乗って漁に出てみたら?と言ってるだけだよ。産業じゃないから大漁である必要もない。釣り体験でいいんだよ。」たしかに、家事も仕事も得意な人間がやった方が効率が良い。しかし、その人の作業や負担を体験し、理解することもまた、チームには必要ではないだろうか。英語も料理も、得意な人がやればいい。夫氏はそう言うが、おそらくそうではない。不得意だからやりたくない。筆者に比べて劣ることはしたくないのが真意だろう。男のプライドというやつだろうか。先日のマツコの知らない世界は、“おうちカレーの世界”であった。そこで示された興味深い調査結果。「夫がカレーを作る家庭は夫婦円満」筆者「ほら!旦那さんがカレー作ると夫婦円満なんだって!作った方がいいよ!」夫氏「そうなんだ。でも、遠慮します。」果たして、夫氏の確固たる意思が揺らぐ日は、キッチンに立つ日は来るのだろうか。

  • 20Jan
    • 婚活回想録   –因縁の旅行 その4–

      筆者たちは、岩の上に寝転び、しばし星空を堪能することにした。事前にダウンロードしていた星座アプリと星空を照らし合わせてみる。みなみじゅうじ座は確認できたが、星が多すぎる。何が何だか分からず断念。序盤は声をあげていた流れ星も、多すぎる。歓声が追いつかず断念。結果、2人ともただ黙って星空を眺めることに。この日は新月に近く、月はすでに沈んでいた。空と陸の境目もわからないほどの暗闇。寝転がっていると、星空に吸い込まれるような、身体が浮かんでいるような、不思議な気分に襲われた。自分という存在の小ささを知る。そして、今、夫氏と並んでこの星空を見上げていることの尊さを知る。宇宙に2人しかいないような錯覚すら覚える。ぼーっとしたまま、どれくらいの時間が経っただろう。夫氏がくしゃみをした。筆者「寒くなってきたね。」夫氏「そろそろ戻ろうか。」筆者「うん。満喫した!ありがとう!!」2人で立ち上がり、伸びをする。夫氏「サプライズはないって言ったよね。」筆者「うん。」夫氏「本当に何も用意してないんだけど…いい?」筆者「うん。」ー 中略 ープロポーズを受けた。非現実的な体験に非現実的な体験が重なり、夢か現実か定かでなかったが、かろうじて現状のようだった。翌朝は気持ちの良い晴天。世界が違って見えた。これまでの葛藤や逡巡が、雨とともに流れたのかもしれない。夫氏のシナリオでは、旅行から2ヶ月後にプロポーズの予定だったという。つまり、この前日にご婦人方に出会わなければ、けしかけられなければ、なかったはずの展開。筆者としてもまた、旅行中にプロポーズがなければ同棲はスケジュール的に難しい、結婚は遠いだろうと考えていた。筆者がこうして夫氏と結婚できたのは、ご婦人方の功績と言っても過言ではない。一言お礼を伝えられなかったのが、悔やまれる。一期一会。その心の大切さを改めて知ることとなった、因縁の旅行であった。

  • 16Jan
    • 婚活回想録   –因縁の旅行 その3–の画像

      婚活回想録   –因縁の旅行 その3–

      ご婦人「あなた方、ご結婚されてるの?」筆者「あ、いえ、まだなんです。」「まだ」と咄嗟に答えた筆者。これではまるで結婚の予定があるような言い方ではないか。まずいことを口走ったかと、夫の顔色をうかがう。聞いていたのかいないのか、表情に変化はない。ご婦人「あら、まだなの?」筆者「えぇ、残念ながら…」ご婦人「もうすぐよ!うふふ。」早くこの話題が終わって欲しいと思ったところで、筆者らの旅程に話題が移った。どこから入国し、どのように巡ってきたのか。翌日はどこに行くのか。ご婦人「明日はどこに行くの?」筆者「明日は◯◯に行きます!」翌日は、美しい星空が見られるという、山奥の街に移動する予定であった。ご婦人「あら、◯◯?素敵なところよー。」ご婦人「そうよ!プロポーズにぴったりの場所があるわよ!」ご婦人「そうそう!プロポーズするならあそこよ!おばさんたち教えてあげるから!」ご婦人方はにわかに盛り上がる。ご婦人は他人の色恋沙汰がお好き、というのも万国共通のようである。夫氏「ははは。考えておきます。」ただ苦笑する夫氏。ご婦人「頑張ってね!!」ウインク。序盤こそ気まずい話題にヒヤヒヤしていたが、途中から夫氏が追い込まれる図が面白くなってきた。ご婦人、ナイスプレッシャー。夫氏よ、あなたはそういうお立場なのだ。「サプライズはないからね」などと言っている場合ではないのだ。翌日、筆者たちはバスで目的地へと移動した。お天気はパッとしない曇天。到着後、周辺を散策して過ごした。ご婦人のおすすめプロポーズスポットにも足を運んだが、サプライズはなし。なーんだ。せっかくおすすめしてくれたのに。期待していたわけではないが、若干心の準備をしていた自分が恥ずかしい。レストランで夕食をとり、ホテルに戻ると、雨が降り出した。次第に雨脚が強まる。あぁ。星も見られないのか。こんなに遠くまでやってきたのに。筆者「星、見られないかな。」夫氏「山の天気は変わりやすいから。少しのんびりしてよう。」シャワーを済ませ、買っておいたアイスを食べながらのんびり過ごした。しばらくすると、バルコニーの方から人の声がする。雨が止んだようだ。筆者「まだ雲はあるけど、雨止んだみたい!」夫氏「ちょっと外出てみようか。」夏とはいえ夜は冷える。ダウンを羽織り、湖畔へと向かった。道のりに街灯はなく、ホテルを離れると周囲は真っ暗。持参した小さな懐中電灯と携帯のライトを頼りに進む。湖畔の大きな岩に二人で腰を掛けた。雲の流れが速い。空を覆う白い膜がはがれていく。そうして少しずつ現れたのは、今までに見たことのない空だった。ぎっしりと星の散りばめられた漆黒の空。我々は言葉を失った。

  • 11Jan
    • 婚活回想録   –因縁の旅行 その2–

      そもそも筆者は他人との旅行が得意でない。たとえ仲の良い友人でも、旅行ではどうしてもイラっとしてしまう瞬間がある。些細なことで仲良しに負の印象を持つくらいなら、一人の方がずっと平和。そんなわけで、これまで筆者は一人で旅行することが多かった。ヨーロッパもハワイも一人。夫氏も同様に一人旅が主。東欧や中央アジアなど若干マニアックな場所に一人で訪れていたそうだ。そんな協調性のない二人の旅。どうなることか。これまで国内1,2泊の旅とは話が違う。途中で喧嘩別れする可能性もあると覚悟していた。行き先は南半球の自然豊かな国。バス、航空機で複数箇所を周遊する旅程である。行く先々での行動はほぼノープランで臨んだ。ともすると、争いを生みそうな旅程だが、筆者はストレスなく旅を楽しめた。夫氏が筆者の体調に合わせてくれたところも多分にあると思う。滞在型の旅行ではないため、ホテルは基本カジュアル。キチネットが付いている場合もあった。キチネットに気分の上がった筆者は、スーパーで買ったフルーツやチーズ、パンで、新婚さながらの朝食を楽しんだりした。これを親しい友人に話したところ、こんな反応が返ってきた。友人「えー⁉️結婚もしてないのに朝ごはん作らされるの?信じられない!」筆者「だめ?フルーツ切るくらいだよ?海外のスーパー楽しいじゃん。」友人「わたしならキレて帰るかも。ありえないでしょ。」筆者はなんとも思っていなかった、むしろ楽しんでいたことは“侮辱”に当たるらしい。確かにビーチリゾート、例えばハワイで、ワイキキから遠く離れたキチネット付きの格安コンドミニアムに泊められ、朝食をABCストア調達なら帰りたくなっただろう。しかし、ホテルでの滞在は寝る時だけの観光主体の旅なら、これもありかなと思ってしまう筆者。一人旅では知人のB&Bに泊まったこともある。その点では、筆者と夫氏の価値観は合っていたのかもしれない。なにせ、夫氏が筆者の友人を連れていたら、朝食の時点で怒って帰国してしまうのだから。大きな衝突もなく、迎えた旅行中盤。小さな街に立ち寄った。軽い昼食をとるべくカフェへ。お庭の席に座り、サンドイッチをオーダーする。隣のテーブルには、恰幅の良いご婦人3人組。昼間から泡ワインをお楽しみである。優雅な御三方をぼんやり眺めていると、「これオーダーしたものと違うわよ!」「フレンチフライをサラダに変えてちょーだい!」お店の方を相手に何やら穏やかでないご様子。ご婦人方の勢いに気圧された筆者は、目を逸らす。ガイドブックをめくりながら、夫氏とその後の計画など話していた。ご婦人「あなた方、どこからいらしたの?」ご婦人の一人に声をかけられた。筆者「日本から来ました…」何か言いがかりをつけられるのかと、恐る恐る答える。ご婦人「あらー偶然!今うちの息子、日本にスキーしに行ってるのよ!」よかった。言いがかりではない。筆者「そうなんですか!こっちの雪山の方が断然良さそうですけど…日本のどの辺ですか?」ご婦人「どこだったかしら?ほら、こっちは今シーズンオフだから。」ただの気のいいご婦人のようである。いくつか言葉を交わしたところで、問われた。ご婦人「あなた方、ご結婚されてるの?」唐突に核心をつく質問。ご婦人が最強なのは万国共通のようである。

  • 03Jan
    • 婚活回想録   –因縁の旅行 その1–の画像

      婚活回想録   –因縁の旅行 その1–

      2019年の年初、例の旅行を迎えた。出発当日の筆者のコンディションは最悪。仕事納めの日に、焼き鳥屋さんでいただいたレアのささみが原因か、消化器の不調に見舞われた。年の瀬の救急病院にかかり、苦しい年越しを過ごしていたのだ。医師に事情を説明し、フライトをやり過ごすために止瀉薬を処方されたが、当日まで行くかどうかを本気で悩んでいた。あれだけ揉めたのに。せっかく決意したのに。ドタキャンすれば別れを告げられても仕方がない。辛うじて繋ぎ止められたとしても、結婚はまた遠いものになるだろう。這ってでも行こう!!年末ほとんど寝込むことしか出来なかった実家を出発し、ターミナル駅で夫氏と待ち合わせた。気力だけで自分の体とスーツケースを運んだ記憶がある。筆者「なんとか来れたよ。道中迷惑かけるかもしれない。ごめんね…」夫氏「大丈夫?のんびり行こうね。」夫氏は筆者を気遣う言葉をかけてくれたが、様子はルンルンであった。もしドタキャンしていたら、夫氏は落胆しただろう。ルンルン夫氏を裏切らなくてよかった。筆者もルンルンしたいところだが、何せ数日ろくなものを食べておらず、消耗が激しい。止瀉薬を飲んでいるとはいえ、長時間のフライトへの不安もあり、テンションは最低水準だった。申し訳ない。旅行前に浅はかな行動をとったばかりに。夫氏「先に言っておくけど、旅行中にサプライズはないからね!」筆者「ん?」夫氏「だから、サプライズはないから期待しないでね!」搭乗する前だったか機内だったかは定かでないが、序盤で夫氏はこう告げた。「旅行中のプロポーズはない」という事前説明らしい。期待すればいいのか、期待しなければいいのか。壮大な前振りなのか、ただの親切なのか。ふざけてるのか、まじめなのか。期待を裏切られたときの絶望に備え、まじめな夫氏の親切な事前説明と解釈した。期待しない。でも、どこかで期待してしまう自分もいる。なぜ、そんな事前説明をしたのだ、夫氏。こうして、心身ともに重い状態で、旅は幕を開けたのであった。*****🎍新年明けましておめでとうございます🎍どこにも行けないし、暇すぎてどうしよう…などと考えていたはずが、気付いたら三ヶ日も終わろうしています。筆者は大半の時間を刺繍に充てていました。ただ黙々とチクチク。あとは箱根駅伝を見たり、ゆっくりお茶を飲んだり、うたた寝したり。そんなお正月もいいかもしれない。そう思えるのんびりとしたお天気のいいお正月でした。皆さまはどんなお正月を過ごされたでしょうか。あられ家のお正月の一幕です。昨年のお正月休みは旅行に充てたため、お正月の支度は今年が初めて。11月に実家に帰った際、古文書のごときレシピをスキャンし、おせち料理に挑戦しました。何しろ大変だったのがお煮しめ。下茹でしてお出汁で煮ての繰り返しに気が遠くなりそうになりました。加えて不便だったのが、あしらいの葉が簡単に手に入らないこと。次回は実家で収穫して来ようと思いました。筆者の実家では、朝はお雑煮と口取り、夜は焼き物を中心に、お煮しめと酢の物を適宜いただいていたので、我が家もそんな具合です。蒲鉾、伊達巻、昆布巻き、黒豆は購入品です。

  • 31Dec
    • 婚活回想録   –流れを加速したもの–

      お付き合いを始めてたった数ヶ月で、なぜ親に紹介したのか。結婚の意思など求めたのか。重すぎる。疑問を持たれた方もいらっしゃっただろう。そこには、海外旅行以外にもう一つ、理由があった。当時筆者が住んでいた住居は、3月に更新を迎える。退去は2ヶ月前申告。年が明けると更新手続きの書類が届く予定だった。いつぞやそのことを夫氏に話したところ、夫氏は更新せずに解約することを望んだ。夫氏「ちょうどいい機会だから一緒に住もうよ。」それは、つまり、世に言う“同棲”だろうか。筆者が同棲?あり得ない。結婚していない、するかどうかもわからない男女が一緒に暮らす。何のメリットも見出せない。今はまだ魔法がかかっているようなもの。生活を共にし、現実を知れば知るほど、冷めていくに違いない。結婚からは遠のく。そもそも、第三者にはなんと伝えるのか?転居の事実だけ伝える?すると、数ヶ月後、別れと同時にまた転居。時間と労力、コストを費やした挙句、何の成果も得られずに恥だけを晒す自身を想像した。痛い。痛すぎる。30代行き遅れの同棲など、リスクにしかなり得ない。筆者「そう言ってくれるのは嬉しいよ。でも、とりあえず同棲、というのは難しいかな。もう若くないし。ある程度先の見えている段階で一緒に住むならいいけれど…」住居を共にするのであれば、婚約は不可欠。これが筆者の考えである。それゆえ、同棲を望む夫氏に対し、結婚の意思表明を求めたのであった。たしかに勇み足だったかもしれない。しかし、互いの意思を明確にし、早い段階で結論を出すことができた。時間の限られた30代。どちらに転んでも、早い方がいいに決まっている。夫氏によれば、婚約時期は想定よりも2,3ヶ月早かったという。こうして筆者は、流れを加速し、結婚への道のりを猛ダッシュしたのであった。*****ブログは年内に完結させるつもりだったのですが…相変わらず時間のやりくりの下手な筆者。目標達成なりませんでした。あと2,3回で終わるはずなので、気長にお付き合いください。当たり前のことが当たり前でなくなった一年。通勤も、活気あふれるオフィスも、顔の見える会議も、仲間や友人と語らう時間も、旅をすることも、外で食事をすることも、大切な人たちの健康も、当たり前のことではなく、とても貴重なことなのだと気付かされました。筆者の悩みは、老夫婦のような生活で、体力とコミュ力が著しく低下したこと。日々の通勤で体力を、多くの方と触れ合うことでコミュ力を維持していたのだと痛感します。来年は、もう少し穏やかな、もう少し人に近い一年になることを願いつつ、年末のご挨拶といたします。皆様、良いお年をお迎えくださいさてと、おせち作ります!

  • 22Dec
    • 婚活回想録   –岐路に立つ 後編–

      打てども打てども響かぬ鐘。鳴らない鐘を打つことに疲れた筆者は、自ら別れを切り出した。その日は金曜日の夜であった。突然のこと(ではないはずだが)に、会って話したいと言う夫氏。夜は感傷的になりやすい。冷静に話すには不適切だと判断し、夫氏の申し出を断った。どんなふうに電話を切ったのか覚えていないが、その日は答えを出さなかった。きっと夫氏、明日の午前中にでも訪ねてくるだろう。翌日。夫氏は昼を過ぎても現れなかった。LINEすら来ない。まさか、こんな最中にぐーすか寝てるのか?あるいは、すでに新たなお相手探しに着手したのか?痺れを切らせた筆者は、日も傾きかけた頃、自ら夫氏を訪ねた。決着をつけよう。旅行のキャンセルについても。臨戦態勢を整えて向かった。そんな筆者を出迎えたのは、見たことのない夫氏であった。だらしない部屋着姿に覇気のない顔。心なしか、やつれたように見える。前日の昼食以降、何も食べていなかったらしい。筆者は淡々と自分の考えを述べた。筆者「かくかくしかじかで、今後分かり合える日は来ないと思うので、別れたい。年始の旅行もキャンセルしたい。キャンセル料は支払うから。」夫氏「やだ。別れたくない。」夫氏は言葉少なに異議を唱えた。まるで聞き分けのない駄々っ子である。普段は感情の起伏がなく、飄々としている夫氏。初めて見せた人間らしい一面だった。ここで、筆者にある思いが芽生えた。夫氏は、筆者を必要としている。筆者は、夫氏に必要とされている。そもそも筆者は、自分が必要な人間だと思っていない。厭世的な思想なのだろうか。仕事しかり。人間関係しかり。自分が欠けても成立する。代替可能。むしろ、そうでなければ持続可能な社会ではない。そんな考えのもと、あまり執着することなく生きてきた。その一方で、求めていた。筆者を唯一無二の存在として、必要としてくれる人を。そしていま、やっと見つけた。こんなちっぽけな筆者を必要としてくれる夫氏。なんと尊い存在か。これまでの筆者は、夫氏の言動が自身の意に沿わないことに嘆き、夫氏が幸せを与えてくれないことに絶望していた。しかし、幸せは与えられるものではない。この尊い存在に幸せを与えること。それこそが筆者の幸せではなかろうか。夫氏を幸せにしたい。こんな思考を現地で巡らせたのか、翌日友人と行ったクリスマスミサで感化されたのか、定かではない。しかし、筆者はこの一件を機に180度方向転換し、結婚を決意するに至った。ふと我に帰ると、相変わらず駄々っ子の夫氏。臨戦態勢で臨んだ筆者は、簡単に退くこともできない。この日は、再度身の振り方を検討するよう告げ、夫氏の家を後にした。翌日。クリスマスミサを終え、夫氏にLINEした。筆者「もういいよ。」別れを切り出すときも、事態を収束させるときも、同じ言葉。「もういいよ。」なんと便利な言葉であろう。*****平たく言えば、情けない男に絆された、というところでしょうか。婚活を経て価値観の合った素晴らしいお相手と結婚しました!何の不満もなく毎日幸せ!といったブログを目にすると、おや?間違えたかな?と思ってしまうこともないわけではありません。このブログをリアルタイムで書いていたら、「そんな人やめた方がいい!」と助言をいただけたのかもしれませんね。などと思いつつ、結婚を決意した日から2年が経ちました。

  • 28Nov
    • 婚活回想録   –岐路に立つ 前編–

      筆者は焦っていた。と前回の記事を締めくくりつつ、後が続かず申し訳ありません…。******実家訪問から一夜明けた翌日。夫氏と会うことにした。夫氏はその後に用が控えているとのことで、駅から自宅までの道を送ってもらいがてら、立ち話。交際と旅行について自ら説明してほしいと事前に伝えていたにも関わらず、何も話してくれなかったことは、とても残念だった。一連の振る舞いから、筆者の人生にコミットする気はないのだと解釈した。それならば、今後関係を継続していくことは難しいと思っている。こんな内容だったと思う。夫氏は黙って聞いていた。何を言われているのかわからない、という風にも見えた。伝わらない歯痒さに筆者は苛立ち、終盤泣いていたと思う。これではまるで面倒くさい女だ。はて、人前で涙を流したのは何年ぶりだろう。筆者の訴えに対し、夫氏から返ってきたのは、意外な言葉だった。これからも一緒にいたいと思っているし、将来についてもきちんと考えている。結婚は本人同士の問題であって、両家の親の問題ではないと思っていた。なぜ今回のことで、それほど思い詰めているのかわからない。君は親に依存しすぎている。筆者は人生のほとんどを実家で過ごし、家族との関係も密である。兄の結婚を通して、両親の言葉を通して、結婚は家の問題であると強く感じていた。一方の夫氏は、大学進学とともに独立し、意思決定は自ら行なってきた。結婚も同じ。自らの意思決定のみによるものであり、家云々はさほど関係ないという認識だった。筆者の“依存心”に問題がある?百歩譲ってそうだとしても、当日のタスクについては事前にお伝えしていた。それを遂行しなかったことに苦言を呈しているのだ。この日は相互の意識を確認するに留めて別れた。なんだろう、この徒労感。世間では、これを価値観の相違と呼ぶのだろうか。もちろん、ここで終えることもできた。しかし、もう少し話したいという気持ちが勝った。今までは交際相手として楽しい時間を過ごしてきただけ。真面目な話をしたことはなかったのだから。もう少し話せば、分かり合えるかもしれない。その後、筆者は話の方向性を変えてみた。もちろん、二人の関係は二人で築いていくべきだと思う。しかし、結婚は社会的なものだ。対外的な交渉や法的な手続きを含む。家族や周囲の人間と、社会構造の中に生きていかなければならない。本人たちだけの問題ではないのだ。これまで別々に生きてきたのだから、考え方が違うのは当然。それを互いに認め合い、二人にとって最善の解を導くことが必要だと思う。そのために議論をし、場合によっては妥協できるか、その意思を確認したい。電話やLINEで話し合いを重ねた。しかし、釈然としない。夫氏からは意思も主体性も感じない。筆者に向き合ってくれている気がしない。増大する徒労感。もう諦めよう。我々はきっとこの先も分かり合えないのだ。独り相撲はもうたくさんだ。筆者「もういいよ。」夫氏「いいの?不安なままじゃ嫌でしょ?」筆者「だから、もういい。向き合うことができないなら、このまま一緒にはいられない。別れよう。」

  • 14Nov
    • 婚活回想録   –筆者の実家訪問 その4–

      結婚を前提とした真面目な付き合いであることを伝え、海外旅行の許しを乞う。これを目的に臨んだ筆者の実家訪問。しかし、夫氏からこのような話はなく、最後の最後に両親から詰問されるという始末。両親から話を振られなければ、何も話さずに帰ったのだろう。「一緒に暮らしたい」「結婚したい」そんな言葉には何の意味もない。夫氏には、結婚の意思も覚悟もなかった。飽きたら適当なところで手を引くつもりなのだろう。夫氏の真意を知った気がした。きっとこのまま続けても、結婚には繋がらない。身の振り方を考えなくては。そんなことを思いつつ実家へと戻った。筆者母「最後まで何も言わないから問い詰めちゃった。ごめんなさいね!」筆者「あのくらい言ってくれて逆によかったんじゃない?全く響いてなかったけど。正直なところ、どう思った?」筆者母「うーん、もうちょっとしっかりしてるかと思ってた。線も細いし笑。まぁ、あられとはバランス取れてるのかしらね。」筆者「それ!そう言われるのが嫌なの!二人の間では彼の方が立ち位置上なのに、ぱっと見の印象でわたしの方が仕切ってると思われる。強そうな女にはこういう優男がぴったりね、みたいに思われるのすっごく嫌。」こんなところも嫌。あんなところも変だと思ってた。筆者は、これまで口にしてこなかった不平不満を並べた。一つ気になることがあると、全てが気になり始める。小さな違和感が大きな不調和に感じられる。筆者の悪い癖だ。そして、筆者はグレーが苦手。すぐに白黒つけたくなる。筆者「やっぱり縁がなかったのよ。これ以上時間かけても無駄。旅行なんて行ってる場合じゃないわ。」筆者母「まぁ、旅行キャンセルするなら早い方がいいけど…うまくいってたんじゃないの?急にどうしたの?」筆者「口ばっかりで結婚する気なんてさらさらないんだよ。見てわかったでしょ?休会中の結婚相談所を再開しよう!早くしないと!」夫氏からは、両親、兄のフィードバックを求める連絡などが来ていた。自分の胸に手を当てて考えてみればいい。さすがの夫氏も、筆者の塩対応に気づいた様子。夫氏「何か悪いことしたかな?」夫氏は筆者の心境の変化など知る由もない。まずは、話さなくては。実家訪問を通して、筆者の感じたこと。これからのこと。旅行まで2週間。数日で結論を出さなくてはならない。筆者は焦っていた。

  • 08Nov
    • 婚活回想録   –筆者の実家訪問 その3–

      実家への挨拶は、想定しうる最悪の展開を迎えていた。両親の心証は最悪。夫氏の心証も最悪。しかし、筆者にとって何より残念だったのは、夫氏の回答だった。筆者父「君、責任はとれるのかい?」夫氏「責任…ですか。」筆者「お父さんたら、“責任”だなんてねぇ。あはは。。。」夫氏「…はい、そのつもりです。ちゃんと考えてます。」受け身の回答。言わされた感。それ以上の決意表明はなかった。筆者父「突然プレッシャーをかけるようで申し訳なかった。ただ、我々も心配なんですよ。貴方の気持ちを聞いておきたかった。」筆者母「ひとまず、その言葉が聞けて安心しました。旅行は二人で決めて構いません。」夫氏にとって、あれがあの時の精一杯だったのだろう。難を逃れるために絞り出した言葉。筆者母「そろそろ行きましょうか。」気まずい空気から逃れるべく、席を立った。夫氏からは余裕が消え、ただただ萎縮するダメ彼氏になっていた。その後、近くに住む兄のマンションまで車で送り届けてもらい、両親と別れた。兄一家にも夫氏を紹介する予定だったが、姪が発熱したため、ラウンジで兄だけに面会することにした。ラウンジで兄を待つ間、夫氏は隣で深く溜め息をついた。どうやら先の一幕が相当こたえたようだ。兄と甥登場。簡単に自己紹介を済ませる。筆者「この人、お父さんに『責任取れるのか』と迫られて、落ち込んでるから、よろしく!」筆者兄「そんなこと言ったのか笑。それは大変だったね。」筆者は夫氏と兄を残し、甥とキッズルームへ。兄はコミュ強理系男子。うまくやってくれるに違いない。ガラス越しのため話は聞こえないが、ラウンジの二人は和やかに会話しているように見える。やんちゃな甥がキッズルームに飽きたところで、解散した。筆者兄「まぁあまり気負わず頑張ってね。またゆっくり遊びに来てね!」兄と話したことで、いくらか夫氏の表情が和らいだように見えた。兄は、「両親の言葉は強めかもしれないけど、あられを思ってのことだから、大目に見てやってほしい」と、ナイスフォローを繰り出したようだ。夫氏も親心を理解すると同時に、自身の不足を悔いているだろう。挨拶まわりを終え、カフェで反省会。筆者「お疲れさま。」夫氏「ふー疲れたー!急にあんなこと言われるからびっくりしたよ。」筆者「急じゃないよ。自分からちゃんと話してってお願いしてあったよね?」夫氏「まぁ…」筆者「あなたから話をしてれば、あんな風に詰問されることもなかったと思うよ。」夫氏「でも、あんな風に言わなくてもねぇ。」夫氏に、自分の言動を省みる素振りはなかった。まるで他人事。筆者は夫氏の実家を訪れたとき、義母の言葉で、夫氏の人生に関わることを自覚した。しかし、夫氏にそんな自覚は芽生えなかったようだ。筆者の中の何かが音を立てて崩れていくのを感じた。反省会後、駅で夫氏と別れた。筆者は実家に戻ることにした。筆者の悟りは、確信へと変わっていた。これ、終わったな。

  • 05Nov
    • 婚活回想録   –筆者の実家訪問 その2–

      夫氏は、筆者とは対照的に余裕を醸していた。夫氏「お父さんとは理系マニアックな話題、お母さんとは音楽の話題。うん、大丈夫!」筆者「タイミングみて、大事な話はあなたからしてね。わたしは静観してるから。」午前中に待ち合わせ、夫氏と共に実家へと向かった。到着すると、なんだか両親がぎこちない様子。それもそのはず。何せ、娘たちが彼氏を自宅に連れてきたのは、これが初めてなのである。とりわけ父は、様子がおかしい。手土産の授与を終え、リビングで父と夫氏の会談が始まった。なにやら波長は合うように見える。母はお茶出しなどしつつ、側から傍観する姿勢。筆者も手伝う。筆者「どう思う?」筆者母「ずいぶん細身のジャケットね。腰が低いけど、悪い人ではなさそうね。」筆者「お父さん、緊張してる?」筆者母「さあ?なんか頑張ってるわね。お母さんは黙ってよーっと笑。」筆者らが席についたあとも、基本的には父と夫氏が話していた。仕事の話を中心に、他愛のない雑談。筆者父「じゃあ、そろそろ時間だから、行こうか。」実家では本題に移ることなく、ランチ会場へと移動することになった。向かうは、家族で記念日に利用していた鉄板焼きレストラン。個室ごとにシェフがついてくださる。横並びの席、鉄板焼きパフォーマンス、窓から臨む庭園。両親と対峙してのコース料理よりもこの方が気楽だろう、という母の計らいであった。鉄板に向かって父、夫氏、筆者、母の順で座った。結果、相変わらず夫氏と父、筆者と母が話す格好になった。筆者「なんだかあの二人は気が合いそうね。」筆者母「盛り上がってるわね。お母さんはゆっくりステーキがいただけるわ♪」食事中も、夫氏と父は楽しげに話しているが、やはり雑談。筆者はやきもきしてきた。いつになったら必要な話をするつもりなのか。鉄板焼きを終えると別室に移動し、デザートが提供される。もう、残された時間はあとわずか。しかし、話を切り出さない夫氏。やきもきがイライラに変わり、筆者の口数は減った。何食わぬ顔で楽しそうにしている夫氏に、余計に苛立つ。全員、デザートも食べ終えた。さぁ、どうする?夫氏。筆者母「あの、◯◯さん。今日は何かお話があっていらしたんじゃないの?旅行に行くとか聞いてますけど。」痺れを切らせ、話を切り出したのは、母であった。さきほどまでニコニコしていた母からは、笑顔が消えていた。夫氏「あ、はい。旅行行こうかなって思ってます。」ん?それだけ??続きは???筆者母「男性と海外旅行に行くって大きなことなんですよ。ましてや娘は、もう悠長にしていられる年齢じゃありません。どういうお考えなんですか?」筆者父「君、責任はとれるのかい?」急展開。父よ、言葉選びにもう少し工夫がほしかった。夫氏に目をやると、表情が凍っている。筆者は悟った。これ、終わったな。。。

  • 28Oct
    • 婚活回想録   –筆者の実家訪問 その1–

      筆者は、かねてから夫氏に海外旅行を提案されていた。夫氏の勤め先には、一定の勤続年数で長期休暇が与えられる制度があり、当時はその年度に当たった。夫氏「年末年始、どこか旅行行きたいね。」筆者「そうだね。どこがいいかなー。」筆者の職場は比較的自由に休みが取れる。その年はまだ長期休暇も取っておらず、何もなければまた一人でハワイか、程度に考えていた。二人であれば一人では行けないところにも行ける。楽しいかもしれない。しかし、両親は何と言うだろうか。結婚前の娘が、男性と海外旅行。30過ぎた娘が誰とどこに行こうが知ったこっちゃない、というご家庭もあるだろう。しかし、残念ながら我が家はそうはいかない。そして、筆者自身も幾ばくかの不安があった。貴重な休暇を捧げ、数十万を使っても、それが成果に結びつく保証はない。結婚という成果に。“楽しい”という一過性の感情に支払う対価としては大きすぎる。どうせならば、成果につなげたい。筆者「冬休みに海外旅行に行こうって言われてるんだけど…。」筆者母「まぁ!!もちろん結婚するならいいけど、大丈夫なの?」これまでも結婚を匂わせる発言は多々あったものの、先方のご両親にもご挨拶はしたものの、プロポーズされたわけではない。海外旅行に先駆け、何らかの確約がほしい。筆者「あのね。旅行に行く前に、わたしの両親にも会ってほしいんだ。真面目にお付き合いしてるって表明してほしいの。」夫氏「そうだね。どこのどいつかわからない奴と旅行に行くのはご両親も心配だよね。そもそも、うちの両親より先にあられちゃんのご両親に先にご挨拶すべきだったよ。」結婚を前提とした真面目な付き合いであることを伝え、海外旅行の許しを乞う。夫氏にはある種の覚悟が生まれ、両親も安心する。という算段である。そうして、筆者家の家庭訪問の運びとなった。先日、読者さんから筆者の母親についてご質問いただいたこともあり、今一度筆者の両親をご紹介する。父は国立理系大学院を修了し、外資系企業に勤務。日米を行ったり来たりの生活で、学校行事に不在のこともしばしば。いつのまにか米大学でMBAを取得していたり、大学で非常勤講師をしたりと、今思えばバイタリティあふれるサラリーマン。のちに、関連企業の代表取締役に就任。現在は、愛犬と孫と戯れ、家庭菜園を楽しむ隠居生活である。一方の母。私立理系四大を卒業後、大学職員として研究に従事するも、結婚を機に退職。専業主婦として留守がちの父に代わって家を守り、三人の子どもを生み育てた。子どもが中高生になった頃から、非正規雇用で企業の研究所に勤め、兼業主婦に。それでも、お弁当作りや塾の送り迎え、父の靴磨きまで欠かさなかった。いつ眠っていたのか、不思議な生活。現在は、父と愛犬と孫の世話に追われる専業主婦である。両親とも幼い頃から厳しかった。とりわけ母は古風な考え方の持ち主で、礼儀作法やしきたりを重んじる。婚活における筆者の価値観も母から受け継がれたものといえる。果たして、夫氏は、両親の面接を無事通過することができるのか、海外旅行(予約済み)の承諾を得ることができるのか。筆者の緊張感は、夫氏のご実家訪問のときよりも高まっていた。

  • 18Oct
    • 婚活回想録   –夫氏の振る舞い その2–

      合理性>配慮そんな夫氏の公式を覆すことがあった。筆者は、年に数回出張で海外に行くことがある。(現在は全面的に中止)交際中、最初の出張は米国。遠路ゆえ移動日は週末に設定した。土曜朝羽田発、日曜夕方成田着。土曜日はお昼まで寝て過ごすのが常の夫氏。しかし、羽田まで筆者を見送りに来ると言う。筆者「朝早いし、無理しなくていいよ!一人で大丈夫だから!」夫氏「一緒に空港で朝ごはん食べようよ。飛行機眺めるのも楽しいし、見送りに行くよ!」お言葉に甘え、空港まで送ってもらい、わずかな時間ながら、朝デートをした。たった1週間の不在だが、名残惜しそうにする夫氏が可愛らしく映った。帰国前日のLINEの一幕。夫氏「迎えに行くか迷うなー。」筆者「成田遠いからいいよ!日曜日だし、ゆっくり過ごしてね。」さすがに、なんの合理性も利益もないのに、迎えに来ることはないだろう。翌日に仕事を控えた日曜日。しかも成田。筆者は、言葉どおりゆっくり一人の時間を過ごして欲しいと思っていた。着陸して携帯の電源を入れると、夫氏からLINEのメッセージ。夫氏「到着ロビーにいるから着いたら連絡してね。」なんと、夫氏は迎えに来ていた。一人で帰るつもりの筆者はもちろん、すっぴん。手荷物が出てくるのを待つ間、気持ちばかりのメイクを施した。筆者「びっくりしたよ!わざわざ来てくれてありがとうね。」夫氏「いや、成田の航空博物館行ってみたかったんだよね。ついでに。」そうして、夫氏は家まで筆者を送り届けてくれた。普段のデートで筆者を送迎することはないのに、出張は送迎する。合理性>配慮 の公式に当てはまらない、過剰な配慮だと思った。しかし、配慮とも違うのかもしれない。デート後の見送りは、一緒に過ごした後の行動。出張の見送りは、一定期間離れて過ごす前の行動。おそらく、寂寥感の度合いが違う。実質会わない期間は1週間のため、普段となんら変わりないはずだが、物理的な距離が離れていることで、期間も長く感じたそうだ。整理すると、振る舞い公式は以下のように書ける。感情>合理性>配慮だって人間だもの。そして、悲しいかな、そんな感情も時間の経過とともに目減りしていく。以降の出張はアジア圏ゆえ、平日発、週末着の日程。行きはもちろん一人。帰国時の夫氏の対応は以下のように変化していった。二回目、帰国後に二人で出かける予定があったが、空港までは来ず、途中駅で合流。荷物を持ってくれた。途中まででも、来てくれてありがとう。結婚後の三回目、旧友との集まりで不在。まぁ、仕方ないよね。四回目、就寝中。深夜便とはいえ、帰宅はもう起きててもいい時間ですよ。夫氏「ちょっとの出張で寂しがっててどうするの。そんなんじゃ海外赴任なんてできないよ。」1週間の出張で寂しがっていた夫氏が懐かしいが、前向きな変化と捉えよう。そうして夫氏の振る舞い公式は、洗練されていく。合理性>>感情>配慮

  • 15Oct
    • 婚活回想録   –夫氏の振る舞い その1–

      婚活においてしばしば話題に上る、男性の振る舞い。エスコート云々。知り合って間もない段階においては、ある種のマナーとして評価してしまう振る舞いも、“共通の趣味”同様、筆者にとってはさほど重要ではなかった。二人の関係性が変化すれば、振る舞いも変容する。振る舞いの本質も見えてくる。夫氏は女性慣れしていない理系男子。スマートな振る舞いなど期待できる相手ではなかった。しかしながら、基本的な所作は身についているようだった。車道側を歩くエスカレーターは女性の下側に乗る重い荷物を持つ飲食店では女性を奥の席に通すなど。期待していなかった筆者にとっては、嬉しい誤算であった。一方で、筆者を家まで送り届けることはほとんどなかった。筆者母「年頃の女性を遅くまで連れ回して、家に送り届けないなんて信じられないわ!」筆者「仕事で遅くなることもあるし、飲み会があっても誰も送ってくれないわよ。そもそも年頃じゃないし笑。」筆者母「貴女は大事にされてないのよ!大事だったら、遠回りしてでも送り届けるものよ。その方は早く見切りをつけて、別の方を探しなさい。」筆者「そうなのかなぁ。でもね、わたしは贅沢言ってられないのよ。そんなことで切り捨ててたら、おばあさんになるまで婚活してることになるのよ。」母とのやり取りを、夫氏に冗談半分に話してみた。あまり響いていない様子だったが、後日。夫氏「埼玉に住んでる彼女を電車で送り届けて、そのまま戻ってくるという友達がいたよ。そういうもんなんだね。考えもしなかったよー。」それ以降、夫氏は筆者の帰路を少しばかり配慮してくれるようになった。夫氏は、筆者をないがしろにしていたわけではなかった。むしろ、何も考えていなかった。ただ、物理的、経済的に、合理的な経路で帰宅していただけなのだ。冒頭に挙げた、重い荷物を持つ等の振る舞いは、夫氏の筆者に対する配慮に基づく行動と考えられる。そして、そこにはある種の合理性がある。相対的に体力のある男性が女性をサポートする。合理的な行動である。一方の見送り。筆者の自宅を経由することで、夫氏は非合理的な経路で移動することになる。しかも、筆者は単独での移動が可能であり、夫氏のサポートを必要としない。すなわち、筆者の見送りは、夫氏にとって非合理的な行動なのである。合理性>配慮夫氏の振る舞いはこの不等式に基づくと解釈できる。これが、夫氏の振る舞いの本質である。悲しいかな、この不等号の右辺と左辺の差分は、日毎に大きくなっていった。結婚後、筆者が一人実家に帰ったときのこと。荷物が増えたため、帰宅の道中で夫氏にLINEで助けを求める。筆者「お土産もらって荷物が増えちゃった駅まで迎えにきてくれるとうれしいなー。」夫氏「そっかー。頑張れ!!」応援ありがとう。夫氏は迎えに来なかった。荷物の多い筆者への配慮よりも、一人の時間を有意義に過ごす合理性の方が勝ったのだ。どんまい。別の機会に再挑戦。筆者「ごめんね、また荷物が増えちゃった荷物もってくれたら、帰りにスーパーの買い物も済ませられるのだけど、迎えに来てくれる?夕食何食べたいか考えておいて!」夫氏「おっけー。何時ごろ行けばいい?」迎えにくることに合理性を与えたところ、快諾された。合理的な配慮。これが夫氏に求めるべき振る舞いらしい。

  • 02Oct
    • 婚活回想録   –ギャップの演出 番外編–

      結婚後、夫氏と二人で迎えた冬に交わされた会話。夫氏「あられちゃんてさ、料理上手だけど、あんまり普通の料理作らないよね。」筆者「そうかな?肉じゃがこの前つくったよ。普通って例えば何が食べたいの?」夫氏「そうだなー。ぶり大根とか。」ぶり大根。ぶり大根と聞いた途端、筆者のある記憶が想起された。あれは、修士一年のときだろうか。研究室で恒例のお花見が催された。全体で飲食物の手配はしているものの、なんとなく女子は手作りのものを差し入れする流れ。筆者も例に漏れず差し入れをした。たしか、ケーク・サレとロールチキン。食べやすさと見た目の華やかさを考慮した選択だった。筆者の一年後輩に、言わずと知れたお嬢様がいた。お父上は名のある方で、本人は、服装もメイクも話し方もやや個性的。そんな彼女が差し入れとして持参したもの。それは、ぶり大根であった。彼女は、大きなシール容器二つを差し入れた。家庭的な差し入れに意表を突かれる。一方で、お花見にぶり大根?シャバシャバだし、シール容器を大勢でつつくの?という疑問が湧いた。どこかで、自身のパサパサフィンガーフードの方が正解だと思っていた。結果。ぶり大根は、教授をはじめとする男性陣の圧倒的な支持を得た。エキセントリックな風貌と家庭的な差し入れのギャップも相まって、人気を博した。一方の筆者は自ら持参したケークサレをつまむ。ええ、筆者はワインのお供を自ら用意しただけなのでね。いいんです。どなたかに召し上がっていただくためにご用意したわけではございません。このとき、筆者は学んだはずだった。ぶり大根こそ女子力の象徴であると。しかし、それを身につけることなく、時を過ごした。筆者の実家では、数えられるほどしか食卓に上ったことはない。そもそも、ぶり大根は一般的な料理なのか?筆者の母は料理上手である。おせちはゼロから作れるし、飾り切りも見事。異国の料理もお菓子もお手の物だった。筆者の大好きなおふくろの味は、キッシュ。学校から帰ると、アーモンドクリームたっぷりの洋梨のタルトが焼けていた。しかし、ぶり大根はほとんど見たことがなかった。筆者「ぶ、ぶ、ぶ、ぶり大根?実家では出てこなかったけど、普通の料理なんだね。挑戦してみるよ!」そうして、筆者は初めてのぶり大根を作った。夫氏「思ったより薄味だね。」筆者「てか、パサパサだね。」夫氏「まぁ、不味くはないよ。」結果は惨憺たるものだった。皆に喜ばれるぶり大根を作った後輩は尊敬に値する。筆者「食べられなくはないけど、また食べたいとは思わないよね…慣れないことすると、やっぱりダメみたい。」夫氏「あられちゃんも失敗することあるんだね。」筆者「改善の余地あり!次また頑張るよ。」普通の料理=ぶり大根とはどの国の話なのか。しかし、どうやら肉じゃがよりも女子力評価は高いようだ。今年はぶりが例年よりもお手頃らしい。修行を始めるにはうってつけ。さぁ、頑張ろう。ぶりは照り焼きでよくない?という気持ちに蓋をして。

  • 29Sep
    • 婚活回想録   –ギャップの演出–の画像

      婚活回想録   –ギャップの演出–

      夫氏が初めて筆者の自宅を訪れた日。例によって例の如く、ある審査が筆者を待ち受けていた。そう、お料理審査である。暇な学生の頃は、友達を家に招いたり、持ち寄りパーティーをしたりと第三者に自作の料理を提供することもあったが、当時はもっぱら自分のためだけの料理。さて、第三者のお口に合うものかどうか。彼女から妻への昇格をかけた大勝負。失敗は許されない。失敗の許されない戦いの武器として筆者が選択したのは、アクアパッツァもどき。サーモンの切身とあさりで作る母直伝超簡単料理である。あとはサラダだったか、簡単な前菜を用意して出陣した。アクアパッツァの残ったスープは、ご飯とパルミジャーノでリゾット風おじやで締める。結果。夫氏の反応は上々。それどころか、甚く感動している様子。感動するような大作は出していない。過大評価ではないか?夫氏「すごいね。こんなに女子力高いと思ってなかったよ!」筆者「実は簡単なお料理なんだよー。でも、そんなに美味しそうに食べてくれるとうれしいよ。」夫氏「部屋もきれいにしてるし!」筆者「そうかな?ちょっと片付けたけど笑。」夫氏「そこら辺に服が脱ぎ捨てられた部屋でコンビニ飯食べてても驚かないけど、違ったんだね!!」ん?はい??筆者「・・・そんなにだらしなくてガサツに見えてた?」夫氏「だって、東大院卒で理系専門職だよ?そんな、泣く子も黙る経歴で、女子力高いとは誰も思わないよ。外できちんとしてるからこそ、家ではガサツなのかなと想像してた笑。」筆者は女子力が高いわけではない。生活するに最低限必要な家事力と、多少の健康への関心があるだけ。しかし、これが過大に評価された。夫氏の筆者に対する期待値がとても低かったために。われわれは期待値に届かない実現値を過剰に低く、期待値を上回る実現値を過剰に高く評価する傾向がある。(6人目:一橋大学卒コンサルタント その2 ―期待値と実現値― より)筆者は、経歴によって女子力もとい家事力の期待値を大幅に下げることによって、その期待値をプラス方向に裏切った。図らずも、ギャップを自ら演出したのだ。喜べばいいのか、悲しめばいいのか。お料理審査を通過したことを思えば、喜ぶべきことかもしれない。しかし、トウダイリケジョのイメージの悪さを嘆かずにはいられなかった。↑審査当日写真を撮る余裕はなかったので、最近の食卓(新しい生活様式に従い、横並び。なのに、メイン以外は大皿。ランチョンマットしわしわはご愛嬌。)

  • 26Sep
    • 結婚に学歴は関係ない?

      ちょっと回想に飽きてきたので、先日いただいた質問に、詳しくお答えしたいと思います。******婚活をしていた時、周りから学歴は関係ないとたくさん言われていたと思います。ー中略ー結局のところ学歴は直接の要因ではなく、ご縁だなと思いませんか?以前から読んでいただいている方はご存知のことと思うが、筆者は異様なほどにお相手の学歴にこだわっていた。多くの方に、その狭い視野を広げるべきだとお叱りを受けていた。それでも筆者、何かと理由をつけ、自分の信念を曲げなかった。結婚した相手は大学の先輩。筆者の結婚に、学歴は関係あったのか?それとも、なかったのか?結論から言うと、直接の要因ではないものの、間接的には学歴が結婚に寄与したと思う。また、結果的に夫氏が同じ大学でよかったと思うところも多分にある。婚活では、全く共通点のない、見知らぬ男女が出会う。大学の同窓生、という共通点は、親近感に繋がる。共通の知人がいれば、それもまた警戒心を和らげる一つの要素になる。先日、“共通の趣味”は要らなかったと述べたが、大学という別の共通点があったからかもしれない。婚活の入口においては、二人の“共通点”として、学歴がプラスに作用したといえる。こんなこともあった。結婚後しばらくして、夫氏側の披露宴列席者と食事をした時のこと。彼はこんなことをおっしゃった。「披露宴にいた人たち、ほとんど東大生なんでしょ?みんな自分より頭いいんだーと思っちゃった。」発言者は、旧帝大卒の長身イケメン。20代でご結婚され、公私ともに充実している。いわば勝ち組。このような言葉が出るとは思ってもみなかった。たしかに、披露宴には東大卒の人間が多く列席した。しかし、知能テストをするわけでも、クイズ大会をするわけでもない。列席者の学歴を気にする必要があるだろうか。夫氏が席を外した際、話題が見つからなかったのかもしれない。ただの冗談かもしれない。しかし、全く気に留めていなければ、このような発言はなかったはず。学歴社会を生き抜いてきた方の、自然な発想なのかもしれない。もしも、自分の伴侶が、披露宴で同じ思いを抱いていたら…そう考えたとき、筆者は心の底から、夫氏が同じ大学でよかったと思った。結婚は、当人同士だけの問題にはとどまらない。家族、友人との関係も必ずついてくる。その中で、疎外感や劣等感を感じるようであれば、やはり健全ではない。ゆえに、学歴は婚活において無視できない要素である。言うなれば、学歴も“ご縁”に含まれる。これが筆者の得た答えである。

  • 24Sep
    • 婚活回想録   –ご実家訪問 その2–

      落ち込んでばかりはいられない。減点を挽回せねば。気を取り直し、夫氏の後に続く。ご家族は明るく筆者を迎えてくださった。ご両親はいささか緊張されているようにも見受けられたが、妹さんが場を和ましてくれる。出しゃばらない。振られるまで喋らない。とにかく笑顔でにこやかに。筆者は、気立ての良い控えめな彼女を演じようと努めた。一方の夫氏。全く助け舟を出そうとしない。むしろ、不機嫌そうにほとんど喋らない。さっきまで筆者をからかっていたのに、どうしたというのか。たしかに、実家では口数が少ないことは事前に伝えられていた。トーク回しもしないことを宣言し、自力で会話を展開させるよう、言われていた。しかし、ここまで放置されるとは…なに?この試練。筆者「夫さんたら、どうしたの?さっきまでおしゃべりだったんですけど(苦笑)」義母「あら、そうなの?うちではいつもこんな感じよ!」ご家族3人と筆者がお話するという構図のままティータイムを終え、ディナーのお誘いを受けた。今回はお茶のみで失礼するつもりだったが、すでに予約済みとのこと。夫氏が承諾する。予想していなかったわけではないが、この状況がまだ続くのかと思うとつらい…ここで、義妹とはお別れし、4名でタクシーに乗り込む。行き先はホテルだった。夫氏に揶揄されたワンピースだが、どうやら筆者が正解だったらしい。ディナーは、お酒が入って饒舌になった義父がリードするかたちで進んだ。夫氏は相変わらず、自分の興味のある話以外は話さない。筆者は、乾杯程度にとどめ、細心の注意を払いながら義父との会話を盛り上げる。この時ほど、おじさまばかりを相手にする仕事でよかったと思ったことはない。お腹いっぱい、胸いっぱい。正直なところ、何を話したかほとんど覚えていない。夫氏がカメラの話には乗っていたことだけ覚えている。なんとか事なきを得たと思った別れ際。義母「息子が彼女を連れてきたの、初めてなんですよ。あられさんみたいな方で安心したわ。こんな息子ですけど、よろしくお願いします。」筆者の手を握って、義母はそうおっしゃった。心なしか、瞳が濡れていたように見えた。このとき、筆者は初めて自覚した。筆者は、夫氏の人生に関わることになるのかもしれない。解散後。夫氏「いやー、ほんとに完璧だったよ。できた彼女を持って鼻が高い。」そりゃどうも。あなたが働かない分、全力で働いたんでね。これは、夫氏の課した採用試験だと思うことにした。

  • 21Sep
    • 婚活回想録   –ご実家訪問 その1–

      筆者は、両親ともきょうだいとも仲が良い。実家には頻繁に帰るし、密に連絡をとる。婚活事情も全て報告していた。(むしろ、このブログ自体、家族の勧めで始めたものであり、家族全員に周知する機能も果たしていた)当然、夫氏の存在も公表しており、家族公認の交際であった。一方の夫氏。職場の人に話すくらいであれば、当然ご家族にもお話しているものと思われたが。ご家族に筆者の存在は明かされていなかった。筆者は、親御さんに公表できないような恥ずかしい彼女なのだろうか。非公認で付き合って、飽きたら野に放つ予定なのだろうか。筆者の憂いは増した。筆者「LINEや電話で一言、彼女できたって報告しないの?」夫氏「そんな話したことないし。」夫氏の勤め先にはお盆休みがない。年末年始は海外で過ごすため、実家に帰る頻度も期間も限られている。連絡も疎らで、突然そんな報告をすることが憚られるという。夫氏「わざわざ言うのめんどくさいから、いっそ会いに行く?」筆者「え⁉️」そんなわけで、交際開始から3ヶ月ほど経った頃に、ご実家を訪れることになった。週末の小旅行を兼ねて。手土産を悩んでいたところ、夫氏経由で義妹のリクエストを受けた。しかし、前日の午後の時点で完売。指定のものを買うことができなかった。終わった…リクエストされたものも買えない無能な人間。大幅減点は免れない。リクエストから見るに、重要なのは希少性。切り替えて別の有名パティスリーで手土産を用意した。その前の週に出張先のNYで購入したチョコレートも添えた。こちらも、海外旅行好きの義母と義妹のお眼鏡にかなうよう、現地在住の友人に情報提供を依頼していた。しかし、リクエストに応えられなかった後悔と反省は大きく、当日の朝まで引きずっていた。筆者「本当にごめん。こんなに入手困難なものだと知らなかったの。妹さんがっかりしちゃうね。」夫氏「別に大丈夫でしょ。妹もよくそんなもの知ってるなー。」筆者「もうだめだ。嫌われる。」夫氏「てかさ、どうしたのその格好?ただ実家行くだけだよ笑。」夫氏は筆者の気負いなどつゆ知らず。緊張する筆者をからかって楽しんでいた。まだ婚約者ではない。ただの彼女。だからこそ、ちょっとした気遣いができるかどうかが心証を大きく左右する。筆者は出だしから大きなミスをしてしまったのだ。憂鬱な気分で夫氏の故郷へと向かった。