ほんのにちようび -5ページ目

ほんのにちようび

心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

有頂天ホテル


インフルエンザで死んでいた間にたまっていたものを、まとめ書き。


[あらすじ]

新年のカウントダウンパーティまで残すところ2時間となった、都内の有名ホテル”アバンティ”。さまざまなイベントが重なるこの年の瀬を乗り切るのが、副支配人・新堂(役所広司)の役目なのだが、そんな新堂をあざわらうかのように、さまざまなトラブルが降りかかり・・・


映画館では、最初から最後まで何度となく笑いが沸き起こっていた。

好奇心旺盛な登場人物たちのちょっとした出来心。それが引き金になって次々とトラブルが起こるさまが、ツボにはまりだしたらもう監督の術中だ。


個人的には役所広司(←私の小学生時代のヒーロー)の演じる役どころが好き。副支配人のときの役所広司は、彼がよく演じるような落ち着いたキャラクターなのだけど、別れた妻と偶然再会して素に戻り、「自分をえらくみせようとする」という彼の役どころはとても新鮮だった。


豪華ゲストの人数にも、とっちらかった話を最後まで惹きつける脚本の構成力にも驚いたけど、もっとも良かったのはあるセリフ。「いらっしゃいませ」という副支配人・新堂(役所)のあいさつで始まり、また同じ「いらっしゃいませ」で終わる構成のこの映画で、とある人物がそれに対して「帰りは遅くなる」と答えるシーンは、笑いの絶えないこの映画のなかできゅっと締まるすごく素敵な場面だった。それがどうして素敵なのかは、映画を見ればきっとわかるはず。


BGM:天国うまれ/甲本ヒロト(the 有頂天ホテル用書き下ろし)

    YOUの歌声もすてきだった。

 2006年も明けたということで、2005年の読書生活を振り返ってみます。 

 総読書数は147冊。そのうち、特に良かったもの10冊は以下の通り(順不同)。

 

1 ダ・ヴィンチ・コード

 本筋よりトリビア的知識が面白い。感想はこちら 

 

2 東京物語      

 主人公の上京~現在までを描いた青春もの。時代の切り取り方がうまい。 感想はこちら  

 航路          

 アメリカのドラマを彷彿させる筋立て。感想はこちら


 対岸の彼女     

 女性の友情って結構繊細。感想はこちら


5 現実入門       

 ちょっぴり内気な穂村弘ワールド炸裂のエッセイ。感想はこちら


6 袋小路の男      

 絲山さんは2005年最大の収穫。感想はこちら


 英語達人列伝  

 英語を勉強してる人には面白いのでは。感想はこちら


 東京タワー

 普遍的な感情を素直に書いたお母さん物語。感想はこちら 


9 陋巷に在り/酒見賢一  

 孔子とその弟子、顔回の物語。魑魅魍魎みたいな人々が跋扈する古代中国で活躍する顔回の動向が楽しみで、毎回わくわくしながら読んだ。全13巻なのだが、ラストは近年類を見ないほどの素晴ら しさ。 


10 アルケミスト/パウロ・コエーリョ

 羊飼いの少年がお告げをもとに、宝探しの旅に出る話。寓意に富んだ内容で、なんだか「星の王子様」と「ドラゴンクエスト」を足して2で割ったような内容だった。 


2005年は私にとってやや不作の年だった。絲山秋子さんと「現実入門」(穂村弘)に出会えたのは大きな収穫だったけど、2004年の「雷桜」「幸福な食卓」クラスの本に出会いたかったなあ。

追記:絲山さん、ついに芥川賞を受賞!


 BGM:Thank you for the music/bonobos  

2006年は、「去年読んだ面白かった本10冊」ではじめようと思っていたのだけど、今日はそれ以上に書きたいことがあるので、また次回に。



幸運なことに、1月8日(日)に武道館で行われたくるりのライブに行くことができた! 

「くるりはとにかくライブが最高!」という評判は色々と聞いていたものの、実際に彼らを生で見るのはこの日がはじめて(ついでに、武道館に行くのもこの日がはじめて)。



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大学生のとき、書店アルバイトの仲間でくるりが大好きな子がいて、その子のおかげで私はくるりを知ったと思う(たしか)。くしくもそのちょっと後に『world’s end supernova』が発売され、彼らはちょっとだけ有名になった。当時は『world’s end…』以外はあんまりぴんと来なくて、そのまま忘れ去っていたけど。

その年の冬、街がイルミネーションで飾られているなかを歩いていたときに、突然どこかから『world’s end…』が流れてきた。久々に聞いたその曲は、なんとも冬の寒さにぴったりで、流れる電子音も周りのぴかぴかのイルミネーションにぴったりで、その場でしばらく聞き入ってしまった。その日、家に帰ってから、さっそくCDを聞きあさったのが、私のくるり歴のはじまり。

でも不思議なことに、私がくるりの曲を好きになるまでには、いつもある程度の熟成期間が必要らしい。新しいCDが出るたび、「今回はあんまりピンと来ないなあ」と思うのだけど、しばらくして聞き返すといつの間にか大好きになっている、そんな不思議なバンド。

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と、前置きが長くなってしまったけど、『お祭りわっしょい』で幕を開けたライブ。

しばらく続いた演奏が一瞬静まったなか、岸田さんがすっと息を吸う音が響いてはじまった『Baby I Love You』、ステージから幻想的な緑のビームが出て、会場全体が陶酔したようにゆらゆらと踊り続けた『ARMY』、さらには「このところの寒波に備えて厚着してきたんですが、ここは暑い!」というMCに続いてはじまった『ハイウェイ』『ばらの花』などのヒットパレード!! 今まで特に印象になかった『水中モーター』も、ライブではめちゃめちゃかっこよかった。

岸田さんは思ったより小さかったけど、声の力強さと演奏の迫力は予想をはるかに超えていた。


あっという間にアンコール。


「どうも。あのね、羽田空港ってあるでしょう? その羽田に行く時に、京浜急行に乗るんだけど。僕らね、その京急のテーマ曲に『赤い電車』っていう曲を書いてて。でも、京浜急行って乗り入れも多くて。羽田行くのは乗り入れのほうが多いぐらいでね、その乗り入れの電車は銀色だったりするんですけど… 

全部赤く塗らんかい!!」


と言ってそのまま『赤い電車』へ。浮遊感あふれるライブバージョン。


「かっこいいー!!」と叫ぶ男性の声に、


「え、マッコリ? マッコリ飲みたいねえ」ととぼける岸田さん。

「僕ら京都出身で、せやからいまだに京都が首都だと思ってるんですけど(笑)。東京に出てきて、5,6年になるかな。学芸大とか、下北とか、高円寺とか、たぶん人気だと思うんやけど、僕らの東京は大久保です」

というMCのあとに、『東京』。この流れが絶妙。


そして、最後に『街』。

「さようなら 言わなきゃそろそろ」という歌詞が、ライブの終焉を感じさせた。くるりはライブで聞くのが一番、っていう評判は本当だった。また行きたいなあ。


セットリスト


01. お祭りわっしょい

02. Ring!Ring!Ring!

03. Long Tall Sally

04. Superstar

05. Bus To Finsbury

06. Morning Paper

07. Baby I Love You

08. ARMY

09. Tonight Is The Night

10. Birthday

11. ハイウェイ

12. ばらの花

13. 虹

14. 青い空

15. 水中モーター

16. ワンダーフォーゲル

17. (It’s Only)R’n R Workshop!

(ENCORE)

18. 赤い電車

19. 尼崎の魚

20. 東京

21. 街

絲山 秋子
ニート
角川書店 ★★★

[あらすじ]

ごくたまに連絡をとる、古い友人のつけたブログを久々にのぞいた「私」。すると、そこには切迫した生活をおくる彼の姿がありありと現れていた。明日の食べ物にも困っているニートの彼を、「私」は呼びだし、なんとか負担をかけない形で軍資金を融通しようとするのだが・・・。


すっかり絲山マジックにかかってしまった。読む本読む本けっこうツボ。

表題作の「ニート」と、その続編ともいえる「2+1」が特によかった。

主人公が救いの手を差し伸べた相手である読元くんという友人は、端的に言えば無気力ニート。こういうキャラクターは「イッツ・オンリー・トーク」 にもいたっけ。絲山作品は概して女性が「男前」な性格をしていて、男性は無気力ニートだったり、過信と卑屈の間を揺れ動く不安定な人物だったり、寡黙で世間から自分を閉ざし気味だったりする。しかし、これらの「非さわやか」な男性キャラクターに決して魅力がないわけではなく、読み進めるうちにむしろ抗えない魅力を感じさせられてしまうところこそが、絲山作品の真骨頂。


「男前」な彼女たちは、セックスにも重大な意味を見出したりしない。彼女たちのなかで、それは「癒し」とか、「共感」の記号みたいなものだ。とはいえ、その行為はひそやかに彼女たちの生活に波紋を広げていくのだけれど。


余談だけど、「ニート」に共感したのには、もうひとつ理由がある。

読元くんのような友人が私にもいるせいだ、たぶん。

たまに連絡が来ると、決まって彼はひどい状態のなかにいる。大学卒業に必要な単位を落として留年していたり、就職したと思えば余分なところに労力を使いすぎていつも疲れていたり、かと思えばいつの間にか仕事をやめて、遠くで夫と子供のいる女性と同棲していたり。ここさえがんばればなんとかなる、というところで、彼はいつもくじけてしまう。


いつか彼は、「ニート」という部屋から出てこれるだろうか。願わくば大切なものを失ってしまう前に。


BGM:Tonight is the night/くるり

カズン

カズン(1)

いくえみ稜 ★★★☆


[あらすじ]

ぼんちゃん、こと白川つぼみ。18才と9ヶ月(ちょっと太め)。女子校を卒業し、晴れてビデオ屋にてフリーターデビューを飾る。男の子にまったくご縁がなかったぼんちゃんにも、バイト先ではじめての男友達ができて・・・。


今更ながら、いくえみ稜に再注目している。

いくえみ稜といえば、今の20代なかばの女の子がたいてい思春期に読んだであろう(そうでもない?)『I love her』の作者。以来、しばらく彼女の作品からは遠ざかっていたけれど、いつの間にやら絵もおしゃれっぽくなって私の前に再登場。ちなみにこの『カズン』は、今Zipperに連載されているもの。


極論を言ってしまえば、漫画の命は「キャラクター造形」、「セリフ(しぐさを含む)」と「間(テンポ)」の3つだろう。そして、いくえみ稜の作品はこの3つを兼ね備えていると思う。さらに絵もうまくなって、もはや無敵。


この『カズン』でも、特にたいしたことが起こるわけでもないし、美人でもない主人公にいきなり言い寄ってくる“漫画的”な人物があらわれるわけでもない。でも、そういうどこにでも転がっている生活が、少しずつ、少しずつ、変わっていく様子が絶妙のテンポで描かれるのを、見守らずにはいられない。


余談だけど、主人公のぼんちゃんが思いを寄せる「茄子川さん」なる人物はかなり私好み。ああ、そういえば『I love her』を読んだときも、主人公が夢中になっている担任の先生(奥田民生に激似)が好みだと思った記憶が。あの頃から成長していないのか?



BGM:愛し愛されて生きるのさ/小沢健二

「本好きへの50の質問」というものを見つけたので、ちょっと答えてみます。



01. あなたの好きなジャンルについて、その分野ならではの魅力を簡単に述べてみてください。


  えと、ほのぼの系? 読後、心があったかくなって、人に優しくなれそうな気になれるから。

  猫:まあ、そんな気になるだけで実際にやさしくなるわけじゃないんですけどね。


02. この作品を読まない間は、この分野(作家)のファンとは名乗れないと思う……そんな作品はありますか?

  

  私にはそういうのはないのですが、「本好きと自称するような人は、当然ドストエフスキーは読んでるよね」、という前提が世間にはあるような気がする。私は読んだことないのですけど。

  
03. 「この分野(作家)の作品は読んだことがない」という人に本を貸すことになったら、どんな順で本を貸していきますか?


  ほのぼの分野なら、佐藤多佳子「しゃべれどもしゃべれども」と、瀬尾まいこ「幸福な食卓」あたりで様子を見る。 


04. 人に薦められて夢中になった作家はいますか? 作者名と、きっかけになった本の題名を教えてください。


  人に薦められ、一回挫折してから好きになったのは筒井康隆(他にもいっぱい)。複数の人に薦められたが、挫折したままいまだに好きになれないのが村上龍。  


05. 人に本を貸して、「面白かった」と言われたときのあなたの反応を教えてください。


 「あ、ほんと? だったらこれなんかもおすすめだよ」 ←顔は若干にやけぎみ。


06. 逆に、「面白くなかった」と相手に言われたときの反応は。


 「そっか、それは残念」と言うか、相手の好みを聞いた上で他の本を薦めるか、相手次第。


07. とても欲しくて、でも手に入れることが出来なかった本はありますか。


 図書館ヘビーユーザーなので、あまりそういうことで困ったことはない。でも、前に国分寺の古本屋で見つけたオーブリー・ビアズレーの画集はケチらずに買えば良かったかなあと思うことがあります。


08. 手放した・紛失したことを後悔している本はありますか。


 ない。図書館にいけばあるし。


09. 本や作品にまつわる思い出をひとつ、教えてください。


 上京する前に、母がいままでの読書のなかで気に入った詩やことばを書きためておいたノートをもらいました。正確に言うと本じゃないけど、あれはたからもの。


10. 「もっと若い頃に出会いたかった!」と思う本がありますか? あれば教えてください。


 大人になってから読んだ、あらゆる童話。




11. 読んだ本について、感想を述べあうことはありますか。それは誰とですか?


 友人、もしくは同僚など。たまに母。


12. 身近に本が好きな人は居ますか? 居るならば、あなたはその人の影響を受けていると思いますか?


 います。受けまくってます。薦められたら、たいがいの本は読みます。


13. 乗り物の中で、近くに本を読んでいる人が居るとき、その人が何を読んでいるのか気になりますか?


 首の運動とかしてるふりしながら、なんとか書名を見ようとする。


14. 読んでいる本にカバーは付けますか? 付ける・付けない……その理由を教えてください。


 借りた本を持ち歩くときは、汚れないように付けることもある。


15. 書店で買う・図書館で借りるのが恥ずかしかった本はありますか? 本の題名と理由をお願いします。


 結構あったような気がするが、若年性アルツなのでもはや思い出せない。 


16. 内容は分かっているのに題名が思い出せず、もどかしい。そんな本はありますか? ある場合は、内容を要約して教えてください。


 太宰治だか、芥川だかの本で、自分のお兄さんについて書いた短編。才気煥発なお兄さんを彼は慕っているのだが、お兄さんはやがて病に倒れてしまう、という話。捜索の結果、以前一度タイトルが判明したのだけど、また忘れてしまった。


17. 「この題名は、いい!」。そんな題名があったら、教えてください(未読でも可)。


 「永遠も半ばを過ぎて」(中島らも) 他多数 


18. 読んだことはないけれど、気になっている本の題名はありますか? ある場合は、タイトルをお願いします。


 「淋しいのはお前だけじゃな」(枡野浩一)  結局きみは淋しいのか淋しくないのかどっちなんだ!!


19. (18の回答について)それは、どんな内容の本だと思いますか?


 歌人だから、たぶん歌集だと思う。


20. いままでに読んだ中で、最も長い作品のタイトルを教えてください。


 たぶん「陋巷に在り」(酒見賢一)ではないかと。




21. “本は人の(   )である”。( )のなかに適当な単語を当てはめてください。


 想像力の源? ふたつめの心? よくわかりません。


22. 短篇の名手だと思う作家、長篇の名手だと思う作家の名前と作品名をお願いします。


 短編はあまり読まないので、無難にO・ヘンリー。長編ってどのぐらいからを長編って言うんだろう。


23. 女性は男性に、男性は女性に「読んで欲しくない」と思う様な本はありますか? 作品の題名と理由を教えてください。


 願わくば、ボーイズラブものはあまり好んで読んでほしくない。


24. 完結しているけれど続きを読みたい、外伝を読みたい……そんな作品はありますか?


 いろいろあるけど、結局のところ完結したものにはもはや何も付け加えないほうが良いかもしれない。


25. 情景描写が魅力的だと思う作家を、教えてください。


 長田弘(詩人) 


26. 心理描写が巧みだと思う作家を、教えてください。


 あう。一流の作家さんはみな巧みだと思います。 


27. 生理的に受け付けない本は、ありますか?


 村上龍作品群。あと、グロい話や救いのない話。


28. 本の内容・世界を舞台にした夢を見たことがありますか? あるとしたら、それはどんな夢でしたか。


 残念ながらありません。キャラクターになりきった妄想ならあるけど。


29. 本に登場するキャラクターの中で、外見や性格が最も自分に似ているのは?


 猫:ネクラで卑屈な割にプライドが高く、始末に終えない女がいたらたぶんそれですわね。

 ごほん。勝手に答えないように。


30. 主人公の成長を扱った物語と言われたとき、まっさきに浮かぶ本の題名は?


 今まっさきに思い浮かんだのは「ゲド戦記」(ル・グウィン)でした。でも、一番すきなのは、薫くみこの十二歳シリーズ。小学校のときによく読みました。




31. 季節を題材にしたもので印象的な作品を、春夏秋冬それぞれあげてみてください。


 春:今思いつかない。  

 夏:「放課後の音符」(山田詠美)のなかにある、夏休みに離島で出会った口のきけない男の子と恋に落ちる話。  

 秋:「錦繍」(宮本輝) ←題材にしてたっけ?  

 冬:今思いつかない。


32. 時間をテーマにした作品で、印象的だった作品を教えてください。


 時間といえば「モモ」。


33. スポーツをテーマにした作品で、印象的だった作品を教えてください。作品の魅力は、どんなところですか。


 「あしたのジョー」は漫画だからダメかしら。本なら、「敗れざる者たち」(沢木耕太郎)に収録されている、マラソンランナー円谷幸吉についての短編。遺書に圧倒された。


34. 伝奇という言葉から浮かぶ作品を教えてください。


 よくわからないけど、京極夏彦「うぶめの夏」とか? 


35. 学生の姿がリアルにかかれている作品を教えてください。作品の魅力は、どんなところですか。


 そういう作品はいっぱいあるし、大好きです。学生時代のあせりや、甘酸っぱさや、かっこ悪さをすべて含んでいて懐かしい。「青春デンデケデケデケ」(芦原すなお)なんて、まさにどまんなか。


36. 異世界という言葉から連想する作品を教えてください。


 「クリムゾンの迷宮」(貴市祐介)。冒頭が異世界。


37. 都会を舞台にしているもので、印象的な作品を教えてください。その作品の魅力は?


 作者と同郷ということもあり、奥田英朗の「東京物語」。


38. 宇宙が舞台になっているもので、印象的な作品を教えてください。


 そんなの読んだことあったかなあ・・・。


39. 本に登場する乗り物のなかで、実際に乗ってみたいものはありますか?(あれば、乗り物の名前と作品名を教えてください)。


 駕籠。乗り心地を知りたい(たぶんあんまり気持ちよくないと思われる)。


40. 現実には無いけれど、持ってみたい……そんな、フィクションならではの能力はありますか?


 「香水」(パトリック・ジュースキント)という小説のなかに、「人に愛されるにおい」や「人に敬われるにおい」など、周りの感情を操れる匂いを意のままにつくれる天才調香師が出てくるのだけど、あの能力をちょっと使ってみたい。




41. 好きな作家・作品には有名になって欲しくない、面白さを独り占めしたい……そう思ったことはありますか? あるとしたら、それはどの作品に対してですか?


 あったような気もするが、今は特にない。有名になることによって作品が変に一般受けするものになってしまうことさえ防げれば、どんどん有名になって欲しい。


42. エッセイ・随筆で気に入っている作品を教えてください。


 ナンシー関、筒井康隆のいくつか。


43. あなたが新刊をチェックするために使う手段を教えてください(例:新聞の広告欄、雑誌の記事等々)。


 WEB本の雑誌、ダ・ヴィンチ、知人・友人からの口コミなど。


44. この本を読むと行ってみたくなる……題名と、場所の名前を教えてください。


 「WORLD JOURNEY ~世界一周しちゃえば?~」を読んだときは、会社辞めて世界一周旅行に出ようかと思った。


45. この本を読むと食べたくなる……題名と、食品名を教えてください。


 川上弘美の「パレード」を読んだときはそうめんが食べたくなった。


46. 印象に残っている形容詞や擬音、造語などはありますか(作品名も教えてください)。


 最近だと「告白」(町田康)の“くほほ”というフレーズ。

  
47. この本にはこの音楽、密かに決めている組み合わせはありますか?


 うーん・・・思いつかない。


48. これから読もうと思っている本の題名と作家名を教えてください。


 「ニート」絲山 秋子


49. あなた自身に対して、本に関する質問をひとつ作り、答えてみてください。


 Q 今の子どもたちに、おとなになる前に読んでほしい本は?

 A 安房直子の主要作品すべて


50. 本とあなたの関係を例えて言うなら、どんな感じになりますか?


 自分の想像力の入れ物の底には小さな穴があいていて、そこから伸びた秘密の通路は、きっと書庫につながっている。そんな感じ。





・・・ふう、ちかれた。


BGM:Waltz for Debbie/Bill Evans

気がつけば、このブログもはや一年。

ということで、たまにはふだんと違うアプローチで本を選んでみます。

第1弾のお題は「猫」。猫に関するもので、私が読んだ本は、と言えば・・・



「我輩は猫である」 夏目漱石 ★★☆

言わずと知れた名作ですねえ。実は細かい内容をあんまり覚えていないのですが・・・。猫の目から見た人間の世界、という形の小説は当時はきっと新鮮だったのでしょうね(とか適当なことを言ってみる)。



「ノラや」内田百閒 ★☆

夏目漱石さんのお弟子で、文豪の内田さん。飼っていた猫が行方不明になり、その見苦しいまでの(失礼)狼狽ぶりをつらつらと描いた作品です。気持ちはよくわかるものの、さすがに途中で飽きてくるぞ・・・。



「猫に未来はない」長田弘 ★★★☆

以前ここ に感想を書きましたが、猫が嫌いだった長田さんが、段々猫と仲良くなっていく過程も、そのみずみずしい文章も大好きです。猫の脳には、未来を推測するというメカニズムがないんですって(これがタイトルの由来)。



「100万回生きた猫」佐野洋子 ★★☆

名作という前評判に期待しすぎて少し肩透かしをくらったものの、構成といい絵といい、良くできた話です。猫好きが好きな本というよりは、子どもだったことのあるすべての人が好きそうな本。



「ルドルフとイッパイアッテナ」斉藤 洋 ★★★★

この本はずいぶんわくわくしながら読んだ記憶があります。「俺の名前はいっぱいあってな」「え? イッパイアッテナ?」なーんて会話からイッパイアッテナと呼ばれるようになった物知り猫と、迷い猫ルドルフの冒険物語。余談だけど、中学時代、成績オール5の優秀な友人が、高校の推薦入試の面接で好きな本を聞かれて(普通少し背伸びしがちなお年頃なのに、小学校低学年向けの)この本を答えたと聞いたときには、その子のことを心から素敵だなあと思ったものです。



「面目ないが」寒川猫持 ★★

バツイチで医者、かつ歌人の寒川猫持(ペンネームからわかるように猫を飼っている)。面食いで別れた妻に未練たっぷりのダメおやじなのだけど、作る歌にはたっぷりのユーモアとひとしずくのペーソスで満ちています。なかでも猫関連の歌は猫好きのツボ。

「尻舐めた舌でわが口舐める猫好意謝するにあまりあれども」 とか。



「猫語の教科書」ポール・ギャリコ ★★★

猫から届いた原稿を編集者が本にした、という本がこれ。その原稿とは、全国の猫が快適に過ごすためのマニュアルだという。猫の生態に関する新しい知識が得られたりもしてなかなか面白い。なかでも大納得したのが、欲しいものがあるときは「声に出さないニャーオ」が効果を発揮する、という記述。猫を飼ってる人ならお分かりと思うのですが、これやられるとなんだかもうきゅんとなっちゃうんですよね。



「夏への扉」ハインライン ★★☆

タイムスリップSFの名作として名高いこの本にも、猫が脇役として効果的な演出をしています。 「なべての猫好きにこの本を捧げる」という冒頭の献辞から察するに、作者もかなりの猫好きとみた。



「猫の事務所」宮沢賢治 ★★

ちょっと悲しい、いじめにあう猫の話。「千と千尋の神隠し」に出てくる釜爺は、この釜猫からイメージしたのかなあなんて思ってしまいました。


ほかには赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズなんかもありますね。

猫の本、思い出したらまた付け加えます。

BGM:Baby I love you/くるり

コーネル ウールリッチ, Cornell Woolrich, 稲葉 明雄, 小川 孝志
ホテル探偵ストライカー―世界の名探偵コレクション10〈9〉
集英社文庫:★★★☆

女の子がはじめてお化粧をするのって、何歳のときなんだろう。

自分がはじめてマニキュアを塗ったときのことは、なぜか良く覚えている。小学校6年のとき、友達の家に泊まりに行ったときのことだ。彼女のお母さんはきれいでおしゃれな人(つまり私の母とは正反対)で、魅惑的なマニキュアの小瓶に見とれている私たちに、マニキュアの塗り方を教えてくれた。

「左、右、真ん中、って3度で塗るときれいに塗れるんだよ」と言いながら塗ってくれた私の手が、なんだかいつもと全然違うものに見えて、どきどきした。


この本の挿入作「シンデレラとギャング」の主人公の女の子も、そんなどきどきをどこかで求めているお年頃。

そして、一人で留守番をしている夜に、女スパイ宛てにかかってきた間違い電話をいいことに、そのまま女スパイになりすましてしまう。しかも、都合の良いことに依頼相手は女スパイの顔を知らないという。図に乗った彼女は姉の服を借り、初めてのメイクをして、待ち合わせ場所にでかけた・・・。

まったく世間知らずの彼女と、世故に長けた依頼主とのずれた会話も面白く、その後にはスリルたっぷりの展開が待っている。


その他3作も粒ぞろい。

刑事であるお父さんに手柄を立てさせるため、「事件」を探していたフランキーがいつの間にか危険に巻き込まれてしまう「ガラスの目玉」、怪我のせいで安静を余儀なくされた男が、向かいのフラットを観察するうちに、ある家族の奇妙な行動に気づいてしまう「裏窓」、913号室に泊まった客が、なぜか続けて投身自殺をはかるホテルの謎をあばく「ホテル探偵ストライカー」。どれも見事な構成で、しっかり読ませる。


この人、実は前に感想を書いた幻の女 と同じ作者らしい。どのようにペンネームを使い分けていたのかは定かじゃないけど、アメリカではフィッツジェラルドのライバルと目されていた有名な作家とのこと。


BGM:Guitarra/Madredeus

梨木 香歩
沼地のある森を抜けて
新潮社 ★★★

[あらすじ]

大学生のときに両親をなくし、そのまま一人暮らしを続ける久美。そんな久美のもとに、叔母の形見として「ぬか床」がやってきた。なんでもいわくつきのぬか床らしく、絶対捨ててはいけないし、毎日の手入れも欠かしてはならないという。しぶしぶながら毎日ぬか床をかき混ぜていると、ある日ぬか床の中に卵があることに気づいた。その卵にひびを見つけた次の日の朝、久美が部屋のなかで見たのは一人の少年だった・・・。


この本の前半部分を読んでいたとき、「おいおい、ぬか床から男の子が生まれるって・・・。勘弁してよ」という気持ちがどこかにあった。不思議話は結構好きなのだけれど、川上弘美の亜流にはちょっと飽き気味だったので。


そういいつつも、ついつい続きを読み進めていくと、途中から一気にアクセル全開で面白くなって、そこからはもうとまらなかった。一気に存在感を増してくる登場人物と、徐々に明らかになってくる「ぬか床」の秘密。ぬか床はナスやきゅうりのために存在するのじゃなかった。もっと大きなもの、もっと崇高なものの一部だった。最後のシーンは感動的でさえあった。


うーん、ぬか床からはじまっただけにびっくり。


BGM:きらめく世界/メレンゲ


 

リリー・フランキー
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
扶桑社 ★★★★

[あらすじ]

いつも昼過ぎまで寝て、夜になると酒を飲みに出て行くオトン。ボクが3歳のとき、オカンはそんな父を置いて家を出た。その後もオトンは家にやってきたり、来なかったりの日々。でも、オカンだけはいつも変わらずボクを大切に、しかし過保護にすることなく育ててくれた。やがて高校を卒業する日が来て、ボクは「ここではないどこかへ行かなければ」という強い想いと共に町を離れ、東京へと旅立った・・・。


話の筋には特に目新しいところもなく、特異なキャラクターが出てくるわけでもない。しかも、「上京」というテーマはもう、小説にしろ曲にしろ、嫌というほど見聞きしてきている。なのに、読んでいて途中から涙が止まらなかった(←この表現あんまり好きじゃないけど)のは、場面場面の登場人物の心情があまりにもストレートで、かつリアルだったからだろう(まあ、ストレートを装ったあざとい部分もあると思うけど)。


リリー・フランキーは特別マザコンってわけじゃないけど、母親への愛情の表し方がとっても自然だ。というか、家族を大切にしない日本の風潮においては、それはちょっと“不自然”ともとれるぐらいの自然さなのだ。なまじ社会人になると、「あたしももういい年だし、家族に頼らなくても生きていける」などと錯覚しがちだけど、本当に大人になるっていうのは、育ててくれた家族が頼ってこれるような自分になるってことなんだなあ、とこの本を読んだ後で思った。


リリー・フランキーが、母親の葬式で遺骨を食べるシーンがある。「蛇にピアス」でも、死んだ恋人の歯を砕いて飲むシーンがあったけれど、このシーンには「蛇にピアス」のような狂気はなくて、ただ純粋な愛情が感じられる。うちのおばあちゃんが死んだとき、叔父さんが遺骨拾いの場面を何枚も何枚も写真に撮っていて、しかもその写真を兄弟全員に送ってきたことがあった。遺骨の写真なんて気味が悪い、と一瞬思ったけれど、今思えばあれも純粋な愛情がさせたことだったんだろう。愛情表現って多彩。


まったく余談だけど、うちの愛猫が子どもを産んだとき、私は彼女の母乳を飲んだことがある。あれも愛情のなせる業・・・



猫:それはあんたが単なる変態だからですわよ。



BGM:東京/くるり