ホテル探偵ストライカー | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

コーネル ウールリッチ, Cornell Woolrich, 稲葉 明雄, 小川 孝志
ホテル探偵ストライカー―世界の名探偵コレクション10〈9〉
集英社文庫:★★★☆

女の子がはじめてお化粧をするのって、何歳のときなんだろう。

自分がはじめてマニキュアを塗ったときのことは、なぜか良く覚えている。小学校6年のとき、友達の家に泊まりに行ったときのことだ。彼女のお母さんはきれいでおしゃれな人(つまり私の母とは正反対)で、魅惑的なマニキュアの小瓶に見とれている私たちに、マニキュアの塗り方を教えてくれた。

「左、右、真ん中、って3度で塗るときれいに塗れるんだよ」と言いながら塗ってくれた私の手が、なんだかいつもと全然違うものに見えて、どきどきした。


この本の挿入作「シンデレラとギャング」の主人公の女の子も、そんなどきどきをどこかで求めているお年頃。

そして、一人で留守番をしている夜に、女スパイ宛てにかかってきた間違い電話をいいことに、そのまま女スパイになりすましてしまう。しかも、都合の良いことに依頼相手は女スパイの顔を知らないという。図に乗った彼女は姉の服を借り、初めてのメイクをして、待ち合わせ場所にでかけた・・・。

まったく世間知らずの彼女と、世故に長けた依頼主とのずれた会話も面白く、その後にはスリルたっぷりの展開が待っている。


その他3作も粒ぞろい。

刑事であるお父さんに手柄を立てさせるため、「事件」を探していたフランキーがいつの間にか危険に巻き込まれてしまう「ガラスの目玉」、怪我のせいで安静を余儀なくされた男が、向かいのフラットを観察するうちに、ある家族の奇妙な行動に気づいてしまう「裏窓」、913号室に泊まった客が、なぜか続けて投身自殺をはかるホテルの謎をあばく「ホテル探偵ストライカー」。どれも見事な構成で、しっかり読ませる。


この人、実は前に感想を書いた幻の女 と同じ作者らしい。どのようにペンネームを使い分けていたのかは定かじゃないけど、アメリカではフィッツジェラルドのライバルと目されていた有名な作家とのこと。


BGM:Guitarra/Madredeus