- 梨木 香歩
- 沼地のある森を抜けて
- 新潮社 ★★★
[あらすじ]
大学生のときに両親をなくし、そのまま一人暮らしを続ける久美。そんな久美のもとに、叔母の形見として「ぬか床」がやってきた。なんでもいわくつきのぬか床らしく、絶対捨ててはいけないし、毎日の手入れも欠かしてはならないという。しぶしぶながら毎日ぬか床をかき混ぜていると、ある日ぬか床の中に卵があることに気づいた。その卵にひびを見つけた次の日の朝、久美が部屋のなかで見たのは一人の少年だった・・・。
この本の前半部分を読んでいたとき、「おいおい、ぬか床から男の子が生まれるって・・・。勘弁してよ」という気持ちがどこかにあった。不思議話は結構好きなのだけれど、川上弘美の亜流にはちょっと飽き気味だったので。
そういいつつも、ついつい続きを読み進めていくと、途中から一気にアクセル全開で面白くなって、そこからはもうとまらなかった。一気に存在感を増してくる登場人物と、徐々に明らかになってくる「ぬか床」の秘密。ぬか床はナスやきゅうりのために存在するのじゃなかった。もっと大きなもの、もっと崇高なものの一部だった。最後のシーンは感動的でさえあった。
うーん、ぬか床からはじまっただけにびっくり。
BGM:きらめく世界/メレンゲ