5月5日金曜の子供の日。
ゴールデンウィーク後半3日目のこの日は前日に新潟から遊びに来た妻のお母さんと姉さんと私とで合流する予定だ。妻は仕事で朝早くに出勤してしまった。息子はゴールデンウィーク中で唯一サッカーがオフの日となった。連戦で疲れた体を休めるようコーチからの指示のようだ。そのことが分かっていたので久しぶりに彼女とデートの予定を立てているらしい。娘も随分前から友達との約束があり午後から出かけるそうである。
そうなると必然的に私がお客様のお相手を仰せつかることになる。妻の家族とは良好な関係を築いているので全く問題ない。強いて言うならお喋りの間が持つかな、ということくらいだが1対1ではなく3人なのでまあ大丈夫だろう。
息子は10時に家を出た。娘は連休明けにテストがあるようで、珍しく机に向かっている。私は新潟からのお客様と連絡を取り、1人で駅まで迎えに行った。場所を指定して車で待っていると2人が笑顔で車に乗り込んできた。
「とりあえず、家に行きましょう。娘が家で待っています」
私はそう告げて車を走らせた。2人とも慣れない電車移動で疲れただろうからちょうど良い。
家に着くと娘が笑顔で飛び出して来た。大好きな2人にまた会えたからである。昨夜は都心で夕食をとり賑やかな晩餐となった。
コーヒーを淹れて一息ついてもらう。娘は13時半に駅で友達と待ち合わせをしているので私が車で送って行く約束をしていた。その車に全員乗って送っていこうと言う話になった。娘も大喜びだ。
聞けば今日は府中の大国魂神社で、くらやみ祭りという有名な祭りが行われているらしいのだ。娘が小学生の頃、国語の教科書にこの祭りが題材として使われていた。宿題で色々と調べたり音読したりしている姿を何度も見たのでよく覚えている祭りである。九州出身で大人になってから東京に出て来た私には馴染みの薄い祭りだが、地元では有名で大きな祭りだそうである。そういえば数年前、この祭りのことなど全く知らず、子供達を連れてなんの気なしに車で行った記憶が蘇った。なぜ行ったのかは覚えていないが物凄い人混みですぐに退散した記憶がある。
このような話をお母さんとお姉さんに話すと、娘とは別に私達も行ってみようということになった。娘は友達と電車で移動し、私達は車で現地に向かうことにした。
行き道は渋滞などどこにもなくスムーズに流れた。順調に大国魂神社に近づいて行くと府中本町の駅前で前の車がストップした。数台の車列を組んで道路を流れていたのだが前方に警備員が立っており、道を塞いでいる。
祭りだ。
頭巾のようなものをかぶり、はっぴを着て踊っている人がいる。よく見るとその先に大人の身長よりもはるかに大きな直径の太鼓が山車に乗せられてゆっくりと移動しているではないか。1人の男性がこれも普通の太鼓のものより随分大きい野球のバットのようなバチを手に持ち、その大太鼓と並んで歩いている。一定間隔でその大きなバチを大太鼓に向けて思い切り振り抜く。すると、車に乗っている私達の腹にまでドンと伝わるような大きな音が響きわたる。お母さんとお姉さんが喜んで見ているようだ。これだけで来た甲斐があったなと思えた。
昼食がまだだったので祭りの屋台で軽く食べようという話をした。タイミングが合えば娘達とも会うだろう。そんなことを楽しみに神社に近づいた。裏口にあたる鳥居の下に墨字で駐車場入り口と手で書かれた看板あったのでそれに従い神社に侵入した。見たところ、空いているスペースはひとつもなさそうである。前の車が運良く1台分のスペースに車を停めた。我々はそれをやり過ごして前に進むと交通誘導のガードマンが笑顔でやって来た。
「駐車場を探しているのですが、、、」
私が問いかけると、この辺りの駐車場は全て満車なので少し離れた場所に行くしかないと優しく教えてくれた。そうこうしているうちに私の車は祭りに来ている見物客に取り囲まれてしまった。物凄い人の数である。
マズいな。直感的にそう思うレベルである。しかしその優しい誘導員の方がゆっくりと道を開けてくれて無事に人の渦から脱出することができた。優しい誘導員さんに感謝なのだ。行き場がなくなった我々は娘に祭りには行けないことをLINEで伝えて、賑やかな祭りを離れた。
とりあえず、ご飯にしましょう。私が提案して和食チェーン店に入ることにした。昼時の後半ではあったが店内は比較的空いていてゆっくりできるボックス席に座ることができた。
お母さんは五目うどん、お姉さんは冷やし坦々サラダうどん、私は坦々うどんとミニ天丼セットにした。
ドーン!良いではないか。
麺がうどんではなかったら、まさしく坦々麺である。平麺に近いうどん玉は歯応えがありもちもちとしていて美味しい。辛い挽肉をバラしながら啜るうどんに汗がにじんできた。いゃ〜旨い!汗を拭き拭きスープを飲み干し、ミニ天丼まで完食すると満腹になった。最強!
夕方に仕事終わりの妻をみんなで迎えに行く約束だったので近くにある公園で一休みすることにした。大きな芝生が広がる公園に座り、周りで遊ぶ小さな子供達を眺めながら、息子と娘が小さかった頃の思い出話で盛り上がった。何の気なしにGPSアプリを開いてみると、なんと息子が半径300メートル以内にいることが判明する。私達からは見えない建物の中にいるようだ。その事を息子にLINEするとすぐに返事が返って来た。
「絶対に来ないでよ!」
もちろんである。少し興味はあったがそこは父親、場はわきまえるのである。
ニヤミスの件をお母さん、お姉さんに伝えると、会ってみたいねーと言って叶わぬ場面を想像し悔しがっていた。
妻の仕事が終わる時間になったので車を飛ばして職場の近くまで行った。妻はすぐに出て来て満面の笑顔を見せながら乗り込んできた。軽く買い物を済ませ自宅に帰る頃には息子も家に戻っていた。
娘は祭りの後にそのまま習い事に行っており、帰りが21時前になる。女性陣3人が車で娘を迎えに行くことになった。私は寿司と唐揚げを宅配で注文し、簡単な料理を作ることに決めた。買って来た鰹のタタキとほうれん草のおひたし、春キャベツの千切りじゃこサラダである。
新潟から迎えた2人のお客様の2日目は、我が家でささやかな歓迎パーティーで幕を閉じた。私が作った料理を喜んで食べてくれた。こちらも嬉しいのである。正々堂々とビールを大量に飲んで、非常に楽しい宴となった。
メシツブ、メシツブなのである。
【この日のビール】
ロング缶:3本
レギュラー缶:4本
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このような毎日が続き、実はランニングをサボりっぱなしである。罪悪感に駆られ、昨日はさすがに走りに行った。翌日は雨予報で走りに行けそうもなく、今月末は健康診断が待っているのだ。
そして明日は久しぶりに雨の中、出社する。
ビールをこよなく愛する皆さま
今宵はゴールデンウィーク最後の夜。
おいしいビールで楽しく締めくくろうではありませんか。
乾杯っ!
なのである。
ムフフフフ。
昨日、久々のランニングに出た夜の空には浮世絵のような満月が綺麗に見えた。