10月22日のカトリーヌ・ドヌーヴの81歳の誕生日を記念して、ドヌーヴの映画を最初期から、たどり返しています。
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ドヌーヴは、1980年の『終電車』により大きな興行的な成功を収めました。作品的にも充実した内容であったため、1970年代のスランプから復活したかのように見えました。
しかし、その後、あまりにもひどい企画を持ち込まれたこと、そして、監督たちの逝去(ヒッチコック、トリュフォー、ブニュエル)、ドゥミとの仲違いと言ったことからでしょうか、ドヌーヴは引退を考えたそうです。
ドヌーヴは、映画作家の映画に出ることを大事にしており、自分のルックスだけを利用するような映画(007のボンドガールのような?)には全く興味が持てなかったからです。
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40歳を迎えたこの年、ドヌーヴは初めてホラー映画に出演します。
『ハンガー』(1983)
監督 トニー・スコット
共演 デヴィッド・ボウイ、スーザン・サランドン
衣裳 イヴ・サン=ローラン
撮影 スティーヴン・ゴールドブラット
【あらすじ】
女吸血鬼と、彼女の力で若さを保つ青年を描いたホラー。
青年は100年もの間、若い姿のままでいたが、突如として老化現象が始まってしまう。女吸血鬼は新たな犠牲者を見つけようとするが……
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『幸せはパリで』(1968)、『ハッスル』(1975)、『外人部隊フォスター少佐の栄光』(1977)に続く英語圏映画です。
監督は、キューブリックの元アシスタントのトニー・スコットで、彼の処女作になります。
(彼の映画史上の貢献は別の機会に譲りますが、細かいカットの繋ぎが特徴の映画作家です。オープニングのバウハウスのパフォーマンスも、カットが歯切れよく、奇妙な爽快感さえあるのです。)
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現代の吸血鬼の物語です。
引退を考えていたほどのドヌーヴですから、こういう意欲的な企画を切望していたように思います。
「もう美女だのマダムだのは沢山。ブニュエルやトリュフォーやドゥミのような天才監督と仕事をさせて頂戴。」というような切望のようなものを感じます。
これは血を求める吸血鬼の飢え(ハンガー)の物語であると同時に、退屈しきった現代人の飢えを描いた物語ですが、ドヌーヴ自身の飢え(ハンガー)でもあるように思います。
(その意味で、ヨーロッパの退廃を歌ってきたデヴィッド・ボウイの起用は、最高のキャスティングでしょう。)
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ここでのドヌーヴは、キャリアの全てを活かしたかのような素晴らしさに満ち溢れています。
アップの連続に耐えるような美貌は言うまでもありません。
ドヌーヴは再びサン=ローランに身を包み、華麗なシニョンのブロンドヘアを金のように輝かせています。
強い外界の光を窓辺で受けて、逆光の中に輪郭がモアレ状に波動しています。
こうしたドヌーヴの妖しさは、『哀しみのトリスターナ』(1970)『リスボン特急』(1972)の系譜にあり、1990年代のオリヴェイラの傑作『メフィストの誘い』(1995)に繋がっていきます。
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ちょっと間違えると、退屈な耽美的な美学だったり、好事家が好きそうなキワモノ映画だったりしそうなのですが、それをトニー・スコットは周到に避けています。
ドヌーヴのブロンドヘアのシニョンは、幾たびか、乱れ細く髪の毛が垂れ下がります。
その映画的な運動。
つくづく、ドヌーヴは髪の女優だと思います。
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この作品は、ジャック・ドゥミの『ロバと王女』の系譜にあります。
『ロバと王女』は、荒唐無稽な中世のおとぎ話のパロディでしたが、『ハンガー』は吸血鬼のパロディなのです。
いずれも、ファンタジーのパロディ(再解釈)なのです。
スーザン・サランドンとのレズビアンシーンは、そんなパロディとしての仕草であり、華麗なおふざけのように思います。
おふざけというのは、真に切実な同性愛的な衝動を感じさせないという意味です。
ドヌーヴとサランドンは、こうした遊戯を通じて、これまでの映画表現にない美やファンタジーを追求しているのです。
(アメリカ映画はじめ、女性2人が主人公の映画というのは実に少なく、ジャクリーン・ビセットの製作・主演の『ベスト・フレンズ』(1981)まで、女性2人を主人公に据えることが忌避されていたように思います。
映画は、男女の愛を描くものか、勇ましい男性を描かないとならないとでもいう風でした。)
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そもそも映画は、ファンタジーを描くものであったはずですが、映画産業の衰退とともに、上質なファンタジーも失われていったのです。
この作品は、そうした失われたファンタジーに生命を吹き込む映画でもあります。
※なお、サインをスーザンに求める女性の役で、あのベッシー・ラヴが登場しています。
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