来る6月17日は原節子の生誕104周年です。
(1920年6月17日生誕 - 2015年9月5日死去)
それを記念して原節子の作品を紹介します。

 

『秋日和』(1960)
監督 小津安二郎
撮影 厚田雄春
共演 司葉子, 岡田茉莉子, 佐田啓二, 佐分利信, 中村伸郎, 
北竜二, 笠智衆

【あらすじ】
麻布の寺で、三輪の七回忌の法要が行われた。
三輪の学生時代の友人間宮、田口、平山の三人が久しぶりに集まる。
彼らは三輪の娘アヤ子に縁談を勧めるが、笑ってごまかされてしまう。
実はアヤ子は、結婚すると母秋子が一人になるのを気遣っていたのだった。
間宮と田口は、秋子が再婚すれば、アヤ子も結婚を決心するだろうと秋子と平山の再婚を画策するのだが、話はこじれていく。

 

『晩春』(1949)のリメイクです。
『晩春』での父笠智衆/娘原節子の関係が、『秋日和』では、母原節子/娘司葉子の関係に置き換えられています。

いずれの作品でも、配偶者に先立たれた親が、娘を嫁がせるために、再婚の意思をフェイクで示すことで、娘が「再婚なんて汚らしい」と怒ります。
その怒りを、娘の友人が子供っぽいとたしなめるのですが、その友人役は、『晩春』では月丘夢路が演じ、『秋日和』では岡田茉莉子が演じます。

そして、更に共通しているのは、娘が嫁ぐ前に、二人で旅行するところです。
『晩春』では京都だったのが、『秋日和』では伊香保となっております。

ラストシーン近くも、娘が嫁いだ後に、友人が親を訪れ、「これから寂しくなるだろうからたまに遊びに来ます」のような趣旨を伝えるところも、同様です。

(無論、白黒とカラーとの違いもあります。春と秋との対称性もあります。)


この映画で、胸を打つのは、伊香保旅行の宿で、原節子と司葉子とが、同じ薄茶色の羽織をまとって、布団の上に同じ方向を向いて座っているシーンです。


その映像が寡黙に指し示すのは、この旅行が母娘の最後の旅行であり、2人がもう二度と同じ羽織を着ることが無いということです。


別離というものについての、優れた映像表現のように思います。








この映画はコメディ仕立てになっており、岡田茉莉子と、中年男3人(佐分利信、中村伸郎 、北竜二)との関係がユーモラスに描かれていて、創意あるリメイク術も楽しむことができます。

言うまでもなく、そのリメイク術の中心にあるのは、『晩春』で娘役を演じた原節子が、『秋日和』では母を演じているということです。
 

小津安二郎にとって、最も重要な女優である原節子を、このように演出しわけることに、1950年代の日本映画の豊かさを感じずにはいられません。

(なお、『晩春』自体が『父ありき』のリメイクなので、同じテーマで小津は3つの作品を撮っていることになります)















 

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