40話公園で失われた「運命のタオル」を探せ!チヨ、霊感迷走
初夏の公園には、今日もいつもの面々が集まっていた。タカシは変わらず公園を見守る。最近はいつ変なものが出るか分からないから、気が抜けない。(ったく、俺だっていつ何が出てくるか分かったもんじゃないぜ…ヒヤヒヤするな…)
ハナちゃんは元気いっぱいに駆け回り、ヨシダさんはベンチでうたた寝、チヨは木陰でスマホをいじっている。
「あー、霊界つまらん。ほんま、刺激が足りひんわ。」チヨがスマホから目を離し、大きくため息をつく。「霊界ニュースも『昨日の晩御飯は何でしたか?』とか、しょーもない投稿ばっかやし。霊界にも『いいね!』ボタン欲しいわ。マジで。」
(霊界にいいねボタンねぇ…どういうシステムになるんだか。)俺は内心でツッコミを入れる。霊界の平和ボケぶりはチヨの話でよく分かる。
公園の入口に、なんかソワソワしてる若いお姉さんが現れた。地面ばっか見てて、顔色悪いし、めっちゃ焦ってる感じ。お姉さんの顔色や心拍数から見て、何か困っているのは明らかだ。
「ん?あの人、どうしたんやろ?」チヨがお姉さんに気づく。「兄さん、カメラで見てみい。完全に迷子キッズの親御さんモードやん。汗だくやで。」
(ああ、何か探し物をしているみたいだ。)俺は応じる。
ハナちゃんがピューっと駆け寄る。「お姉さん!どうしたの?なんか落としちゃった?」
お姉さんはハナちゃんを見て、顔をクシャッとさせた。「そうなの!ここでね、とっても大切なものを落としちゃって…探してるんだけど見つからなくて…」
「大切なもの?なーに?」ハナちゃん、キラキラ好奇心。
お姉さん、モジモジ。「あの…タオルなんですけど…」
「タオル?」ハナちゃん、キョトン。「どんなタオル?クマさん?ウサギさん?」
「ううん…普通ので…使い古した、ただのタオルなんですけど…」お姉さん、さらに言いづらそうに小声で。「でも…私にとっては…『運命のタオル』なんです!」
「う、うんめいのタオルぅ!?」ハナちゃん、目が点。今日一番の驚き。
チヨが面白がってすり寄ってきた。「なんやて!?『運命のタオル』!?どこの少女漫画やねん!ってか、タオルに運命って重すぎやろ!うちの霊感で探し出したろか?霊なら得意やけど、タオルかぁ。まあ、霊感は万能やし、やってみよか!」
お姉さん、チヨの声に「ひっ!」ってなってハナちゃんの影に。「え?声が!?誰かいるんですか!?」
「あ、この子はチヨちゃん!幽霊だよ!でも怖くないよ!チヨちゃん、探し物もできるんだ!」ハナちゃん、幽霊を紹介する時の声が明るすぎる。お化け屋敷の案内か。
お姉さん、恐る恐る宙を見る。「…ユ、ユウレイの方…!?あ、あの!もしよろしければ!私の『運命のタオル』を…霊感パワーで!あれがないと私…もう…もう…干からびちゃうんです!精神的に!」
「干からびるって大げさやなぁ!タオルごときで!」チヨ、ウキウキ。「よっしゃ、任せとき!うちの霊感、当たるも八卦当たらぬも八卦、てか当たるんやけどな!湿気でちょっと鈍ってるけどな!」
チヨは目を閉じて、お姉さんの周りをフワフワ。「タオル…タオルの気配…うーん…感じるのは…なんかこう…使い込まれた『年季』と…お姉さんの『尋常じゃない執着心』やな…あと、ちょっと酸っぱい匂い…」チヨ、困った顔。「タオルの霊体が見えへんわ。タオルにも霊って宿るんかな?意外と奥深いな、タオル。」
(タオルにも霊体ねぇ…そりゃ新しいデータだ。)俺は内心で面白がる。(それに酸っぱい匂いのデータは…まあ、記録しておこう。)
「チヨちゃん、どうだった?どこにある?」ハナちゃん、期待の眼差し。完全に探偵と助手やん。
チヨは腕組み。「うーん…なんか念が強い方向があるわ…こっちや!」チヨが指差したのは、公園の隅っこの植え込み。
皆で植え込みをゴソゴソ。ハナちゃんが枝を避け、お姉さんが心配そうに見守る。しかし出てくるのは、犬の散歩グッズとか、誰かが落としたお菓子の袋とか。あとは、なんか変なキノコ。
「あれぇ?ないやん…」チヨ、首を傾げる。「おかしいなぁ…さっき、ここらで『タオルのモヤモヤ』を感じたんやけど…モヤモヤ、逃げ足速いなぁ!」
お姉さん、顔面蒼白。「そんな…!モヤモヤって何ですか!?もしかして、もう誰かに拾われちゃったのかしら…!モヤモヤを置いて…!」
俺は監視カメラの映像を巻き戻す。(公園内の監視カメラ履歴を検索したが…タオルらしき物体は多数確認できる。どれが探しているものか、個別特定は不可能だ。)モニターに、地面に落ちたタオルらしきものがザーッと流れる映像が映る。色が違う、形が違う、サイズもバラバラ。とても特定できそうにない。
「うわ、兄さん、全然役に立たへんやん!人類に不可能って!大げさか!」チヨが俺に抗議。
「人類に不可能かどうかは分からないが、俺のデータでは不可能だな。」俺は冷静に応じる。
その時、ベンチで爆睡してたヨシダさんが「ふごっ!」と鼻提灯を破って目覚めた。「ふむ…タオル探しじゃと?ワシも昔、運命のフンドシを失くしてな…あれがないと、どうにも落ち着かんくて…」
「ヨシダさん!フンドシの話は今関係ないでしょ!タオル!タオルの話!」ハナちゃんがツッコミ炸裂。今日も元気!
ヨシダさん、聞いちゃいない。「そうじゃったそうじゃった。あのフンドシはのぅ、ワシが初めて…」
お姉さん、ヨシダさんの話を聞いて、さらに目が泳ぎ出した。目の前にいるのが幽霊で、隣で寝ぼけたおじいさんがフンドシの話を延々としてるんだから、そりゃそうなる。情報量多すぎやろ。
「もう!チヨちゃん!ちゃんと探してよー!霊感パワー全開で!」ハナちゃん、チヨの腕を引っ張る。
チヨ、必死の形相で再度霊感集中。「くっ…!湿気のせいで、霊感が!霊体が!しなしなになった海苔みたいになってるんや!タオルの念が掴めん!滑るんや!」
(霊感、しなしなになった海苔か…チヨの表現はいつもユニークだな。)俺は内心で感心する。(霊体と湿気の関係ね…新たな研究テーマになりそうだ。)
チヨは諦めない。「ええい!今度こそ!この風に乗って、タオルの念が…あっちや!あの滑り台の下!今日こそ当たるわ!」
皆、滑り台の下へ!ハナちゃんが率先して潜り込む。そこには、泥だらけになった、明らかに子供が使っていそうなクマ柄のタオルが丸まってた。しかも、ちょっと臭い。
「ち、違う…これは私のタオルじゃない…」お姉さん、涙目。そらそうやろ。
「また外したぁ…霊感天気予報、今日も外れか…」チヨがガックリする。予報通りにならない天気予報に文句を言う人みたいになってる。
結局、公園中を探し回ったけど、「運命のタオル」は見つからなかった。チヨの霊感は湿気でしなしななのか、元々なのか、全く役に立たず。俺のデータも正直すぎるだけで役に立たず。ヨシダさんは相変わらず「運命のフンドシ」について熱く語り続け、もう壮大な叙事詩になってる。ハナちゃんは健気に普通のタオルをいくつか発掘。リサイクルショップに持って行こうか。
お姉さん、とうとう力尽きた。「やっぱり…見つかりませんでしたか…。私の『運命のタオル』…」お姉さん、力なく立ち上がり、肩を落として公園を出て行こうとする。完全に『運命のタオル』ロスだ。
「お姉さん!大丈夫!また見つかるかもしれないよ!」ハナちゃんが最後まで声をかける。諦めない心、大事。
チヨはそんなお姉さんの背中に向かって、フォローなのか何なのか分からんセリフを吐く。「まあ、霊感なんて、天気予報みたいなもんやしな!たまには外れることもあるわ!当たらなくてもクレームは受け付けへんからな!」開き直りスキル、高すぎィ!
お姉さんは力なく振り返り、幽霊の励まし(?)に少しだけ複雑な顔をして、公園を後にした。たぶん、今日の出来事は夢だったことにするだろう。
公園にいつもの時間が戻る。
「やれやれ、結局見つからんかったなあ。」ヨシダさんがフンドシの話を終え、伸びをする。「しかし、『運命のフンドシ』…良い響きじゃ。」
「って、だからフンドシはもうええって!」チヨが本日何度目かのツッコミ。もう様式美やな。
(今日の霊感的中率は0%か…霊感という機能の信頼性は低いな。)俺は淡々と分析する。(まあ、霊体と湿気の関係は興味深いデータとして記録しておこう。)
チヨは腕をさすりながらブツブツ。「あーあ、霊力チャージどころか、湿気で霊体ベタベタやん。風呂上がりみたいや。霊界にも除湿機、マジで必要やわ。てか、ドラム式乾燥機とか欲しい。」
(霊体用除湿機にドラム式乾燥機か…)俺はチヨの言葉に内心で反応する。(新しい研究課題だな…優先度は低いが。)
かくして、公園での「運命のタオル」探しは、大した成果もなく、賑やかに幕を閉じた。そして俺はまた一つ、霊体に関する謎めいた研究課題を抱え込むことになったのだった。
41話 只今編集中(しばらくお待ちください)
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