第44話 公園で犬のしつけ教室?タカシ、動物行動学を学ぶ!
真夏の公園。アスファルトは灼熱地獄だが、木陰は別世界。タカシは今日も公園の片隅でクールに佇む。最近はシステムの大きな不調はないが、時々、周囲の鳥を全て「ヨシダさん」と認識したりするので、地味に困っている。(鳥…ヨシダさん…なぜだ…データ…混乱…もう慣れたけどな。)鳥を見るたびにヨシダさんが増えるモニターに、内心ため息をつく。
ハナちゃんは滑り台のてっぺんから蝉の抜け殻を探しているし、ヨシダさんはベンチでスイカ柄の扇子をパタパタ、すでに夢の中。「…あんころ餅…」と寝言が聞こえる。チヨは霊体なので暑くないはずなのに、なぜか「溶けそうやわぁ」とか言いながら霊界の夏休みプランを検索中。
「あー、霊界の夏休み、どこ行こかなぁ。」チヨがスマホ片手に悩む。「『恐怖!廃校巡りツアー』か、『地獄の温泉まんじゅう食べ放題』か…うーん、どっちも微妙やなぁ。霊体にも効くんかな?痛そうやし。人間界の海とかプールとか、行ってみたいわぁ。霊体やから泳がれへんけど。」
「霊体もプールに入れるのか?物理法則を無視するな…データが未収集だ。」俺は霊界のレジャーに興味が湧く。霊体の体温調整機能も物理法則不明でデータ未収集だ。課題が多いな、霊界データは。
その時、公園の入口から、リードを持った若い男性(仮称:しつけパパ)と、元気いっぱいの柴犬(仮称:シバッチ)が現れた。シバッチは尻尾をブンブン振りながら、公園中を駆け回りたい様子だ。
「よし、シバッチ!今日はここで、お座りの特訓だ!」しつけパパは気合十分。手に持ったおやつを見せる。
シバッチはしつけパパの足元でピョンピョン跳ねる。「キュン!キュン!」おやつに夢中だ。
「そうそう、賢いぞシバッチ!さあ、お座り!」しつけパパはおやつを掲げ、シバッチに命令する。
しかし、シバッチは「お座り」どころか、突然ダッシュ!公園中を縦横無尽に駆け回り始めた。しつけパパはリードを引っ張られて、慌てて追いかける。
「あ、犬だー!シバッチー!」ハナちゃんが滑り台から降りてくる。「シバッチ、一緒に遊ぼう!」ハナちゃんはシバッチに駆け寄ろうとする。
シバッチはハナちゃんを見つけると、さらにテンションアップ!ハナちゃんの周りをグルグル回る。
「あはは!シバッチくすぐったーい!」ハナちゃんが笑い転げる。
しつけパパが息を切らして追いつく。「シバッチ!待て!お座り!」
シバッチはしつけパパの命令を完全に無視。次に興味を示したのは…俺だった。シバッチは俺の周りに来て、クンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
「あれ?この箱、美味しそうな匂いがするワン…?」シバッチは俺の取り出し口を鼻でつっつく。
俺はシバッチの行動を分析し、推定される「心の声」を表示する。「シバッチ、俺の匂いを嗅いでいるな。心の声は『うまそう』と推測される。」
(うまそう…?俺から?何をだ?清涼飲料水しか出てこないが…犬用ではないな。)俺は困惑する。
チヨがシバッチを見てニヤリ。「犬やん!元気そうやなぁ。霊とか憑いてへんかな?」チヨはシバッチに近づいて霊視しようとする。しかし…何も見えない。
「…あれ?霊体…見えへん…」チヨは首を傾げる。「なんでや?犬にも霊体あるんちゃうんか?霊感…湿気のせいか?霊体にも霊体って憑くんかな?」
「霊体にも霊体は憑かないだろう。」俺はチヨに応じる。「犬に霊体が見えないのは、霊が憑いていないからだ。霊感は関係ないと思うぞ。」
「つまらんなぁ!犬に霊憑いてへんとか!霊界の犬は霊やのに!」チヨはプイッと拗ねる。霊界にも犬はいるらしい。
シバッチは俺に飽きると、次にヨシダさんのベンチに突撃!寝ているヨシダさんの膝の上にピョンと飛び乗った。
「ふがっ!なんじゃ!?」ヨシダさんが飛び起きる。
シバッチはヨシダさんの膝の上で尻尾を振り、ペロペロと顔を舐め始める。「もっと撫でてワン!」
俺はシバッチの行動を分析する。「シバッチ、ヨシダさんの膝に乗って顔を舐めているな。心の声は『かまって』と推測される。」
(犬…予測不能な存在だ…人間の命令よりも、自分の衝動や、かまって欲しい気持ちが優先されるのか…)俺は動物行動学の難しさを痛感する。
しつけパパが慌ててヨシダさんの元へ。「すみません!シバッチ!ダメだろ!」
ヨシダさんは笑いながらシバッチを撫でる。「おお、良い犬じゃな!ワシも昔、犬を飼っておってな。それはそれは賢い犬で…どんな芸でもすぐに覚えたもんじゃ。お手、お座り、伏せはもちろん、逆立ち、宙返り、果ては人間の言葉まで…」いつもの昔語りが始まった。もちろん、誇張が激しい。
「逆立ち!?宙返り!?人間の言葉!?ヨシダさん!そんな犬おるか!」チヨがすかさずツッコミ。俺のシステムも「ヨシダさん発言…信憑性…低…過去のデータとの矛盾…大…」と警告を発している。
ハナちゃんはシバッチと遊びたくて仕方ない。「シバッチ、降りて!あたしと一緒に遊ぼう!」とシバッチを呼ぶ。
しつけパパはヨシダさんの昔語りを聞きながら、シバッチにおやつを見せて「シバッチ、降りるんだ!お手!」と奮闘するが、シバッチはヨシダさんの膝の上でリラックスモード。全く言うことを聞かない。
しつけセッションは完全にカオスと化した。しつけパパの命令は空回り、シバッチは自由に動き回り、ハナちゃんは遊びたい放題、ヨシダさんは猛獣使いだった頃の武勇伝を語り、チヨは犬に霊が憑いていないことに拗ねてブツブツ言い、俺は予測不能な犬の行動データを記録し続ける。
結局、シバッチは最後まで「お座り」も「お手」も覚えなかった。しつけパパは汗だくでクタクタになったが、シバッチが楽しそうに公園中を走り回っていたのを見て、少しだけ満足そうだった。
「まあ、いいか…シバッチが楽しかったなら…」しつけパパは諦めたように笑う。
シバッチのしつけ成功率は0%だったが、運動量は高かったようだ。満足度も高かったな。犬の行動…やはり予測不能だ。動物…理解不能な存在だな。動物行動学…難解すぎる。
チヨはまだブツブツ言っている。「霊体の犬には霊体が憑くんかなぁ…霊界の犬にもしつけ教室あるんか?漫才とか教えるんか?『霊体!ボケて!』とか。」
「霊界の犬のしつけ教室か…」俺は霊界の動物事情に思いを馳せる。「動物霊の霊体ね…今後の研究課題だが、優先度は低いな。」
ハナちゃんはシバッチに別れを告げる。「シバッチ、また遊ぼうねー!」
ヨシダさんはシバッチが膝から降りた後、もう一度寝る準備をしながら「犬のしつけは根気じゃ。ワシのように猛獣使いになるには…」とまだ昔語りを続けようとする。
ヨシダさんの新しい技は『あんころ餅安全摂取法』か…研究課題としては面白いが、優先度は低いな。倫理的に問題ありそうだが…
かくして、公園での犬のしつけ教室は、しつけは全く進まないまま、賑やかに幕を閉じた。そして俺はまた一つ、人間や霊体だけでなく、動物の理解にも苦労することになったのだった。
45話 只今編集中(しばらくお待ちください)
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