「酵素」 神仙界の食べ物 | 瑞霊に倣いて

瑞霊に倣いて

  
  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

・天狗の特別食

 

 “……先人の綴った天狗界の記録に目を通すと、まず草根木皮の類が重要視されていることに気がつくが、現象界から訪れた者には、また別個(?)に特殊な食餌が与えられていることに気がつく。この特殊食は、河野久が師と仰いだ中山照道にもあったようであるが、平田篤胤のもとにいた寅吉は「それはアリという特殊な食物である」と言っている。篤胤が「吾れ幼くて出羽の秋田に在りしとき、或る人、異人に誘われ、八十余日にして帰宅しけるが、その物語を聞きしに、途中にて飢えたりしとき、そのことを異人に云いしに、伴いたる異人、懐中より、大きさ指ほどのもの、味は甘くポウロという作り菓子のごときを取りいだし、食わしめられたるに、それより帰る日まで、飢えを覚えざりきと云えり。すこしばかり、その残りのありしを見るに、薄黒くして、にったりとしたる物のように覚えたるが、しかるものなきや」という問に対して、寅吉は「それはアリというものである」と答えて、その製法まで教えている。

 それはアリというものにて、イチゴ、桑の実、梅、柿の実、櫟(くぬぎ)の実、そのほかくさぐさの甘き果実を集めて、岩の凹みにて雨雪の入らぬ所に久しくおけば、自ら熟して、とろりとなって湧き上がり、水は上に澄みて甘き故に飲み、正味は蕨粉を練りたるごとく底に固まる、それを日に乾かして固めたるものなり。

 このほか昆布のごときものにて、はなはだ高直のものあり、これとても「アリ」と同じく、二百日ばかりは飢えざるなり。このほか田螺の干したるものあり。これとても飢えをしのぐに力あるものなり。

 この寅吉の洩らしたアリと同巧異曲のものが、島田幸安の談話のうちにも見られるが、なお具体的な談話を洩らしているのが河野久である。”

 

(宇佐美景堂「現代に生きる天狗」(霊相道実行会)より)

 

*『平田篤胤のもとにいた寅吉』とは、平田篤胤の「仙境異聞」(文政五年)に登場する『仙童寅吉』のことです。寅吉は、七歳のときに常陸国岩間山の杉山僧正と名乗る神仙によって幽冥界に導かれ、彼がそこで過ごしたときの体験を篤胤が聞き取って本にしたのですが、かなりのリアリティがあります(中には荒唐無稽な話もありますが)。最近は読みやすくした現代語訳も出ています(「天狗にさらわれた少年 抄訳仙境異聞」 角川ソフィア文庫)。

(仙童 寅吉)

 

*ここで述べられている「アリ」という食べ物についてですが、様々な果実を発酵させたもので、『味は甘く、薄黒くして、にったりとしたる物』とは、おそらく「酵素」に間違いありません。最近は「練り酵素」のようにペースト状の酵素も販売されています(中には純植物性でないものもあります)。

 

*出口王仁三郎聖師は、大本内に『酵素研究室』をつくられ、早くから酵素の研究に取り組んでおられました。聖師は酵素肥料について『酵素は天国の肥料である』と言われましたが、食品としての酵素もまた、幽冥界(天狗界・神仙界)の特別な食べ物であるようです。

 

*酵素断食(ファスティング)や酵素風呂などで知られる『大高酵素』の大高登氏は大正15年に皇道大本に入信され、出口聖師から多くのことを学ばれており(参考:「大高 登伝 大地を喰んだ男」朝日ソノラマ)、大高氏が設立された北海道小樽市の大高酵素(株)からは酵素を原料とした様々な健康食品や化粧品などが製造・販売(通販)されています。なお、(株)酵素の世界社(滋賀県甲賀市)を設立した島本覚也氏も熱心な大本信徒で、こちらからも『バイエムコーソ』を初めとする様々な酵素食品、酵素肥料などが販売されています。

 

 

*仙道連でも、酵素は『金液』と呼ばれ、仙道修行者の行を助け、健康を増進するものとして重視されていました。さすがに大陸道観式の金液の製法は秘密とされていますが、一般的な酵素の他にも、酵素味噌、青汁酵素などがあり(参考:星文訓著「虹の彼方の神秘家たち」柏樹社)、熟成された松葉酒も酵素の一種とみなされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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