人は亡くなる前に意地悪になる (野口整体) | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

 “自分の気を一心に集めて、大切にしているものというのは、そのものに格が出て来る。そして誰でもそれだけ気を集めて大事にしていくことによって、変ってくるだけの力があるんです。私達は愉気と呼んでいるのですが、愉気ということを通して人に接していくと、人はやっぱり変ってくるものなんだなとつくづく思う。そこで私達も、気を見ていくことによって、相手の気を澄まし、また自分の気を澄ましていく方法のひとつとして愉気をお教えしているわけです。

 ただ人間は身体が弱ってくると、愉気を受け入れられなくなってくることがある。反対にものすごくそれを欲する人もいる。或る人がお母さんが亡くなる前に野口先生のところにやってきて、どうしても自分が愉気をしようとすると母の方が逃げていってしまう。何故なんだろうかと言って悩んでいた。その時に野口先生はこう説明した。

 「人が死んでいく順序なんです。人が自然な状態で死んでいく時というのは、一番最初は近くにいる人の注意を惹きつけたくて、あっちが痛い、こっちが痛いと言っている。そしてその時期が終ると、今度は意地の悪いことばかり言うようになって、自分の中に近寄らせまいとする。嫌われるようなことばかりやり出す。そして完全に一人になる。そして本当に一人になった時に、もう一度自分の一番近しい人の愉気を欲する。一番近しい人の気を集めたくなって、それでふっと死んでいく。それが一番自然なんです」と。

 そして、

 「皆にいじわるして、離して離している時に、あなたは絶対に近くに寄ってはいけない。隣の部屋からでも愉気してあげなさい」

と言われた。その人はその通りにやっていたら、いざ本当に体力が弱り、亡くなる直前になったら、「愉気をしてほしい」と呼ばれて、愉気してあげたそうです。そして今でも愉気してあげられたことが有難くてよかったと言っていました。

 そんなように愉気を受け入れられないという時期があります。逆に、丈夫な力が余っている人間に愉気していくと、何だかどこか動きたくなってきます。大抵は活元運動的な動きが誘導できるようになってきます。そして愉気が快く受け入れられる時というのは、自分の気を澄ましていくのに役立っているものです。ともかく、体力が弱ってきて、自分自身でわざわざ硬張らせているという時には、遠くから愉気していかなければならない。離れても愉気できるんです。そしてその方がいい場合もあります。

 まあ私はこうして人が死ぬとか生きるとか見ていますけれども、みんなある時期ひどく意地悪になる時がある。ちょっとみんなが近寄り難く、これではしようがないという感じで意地が悪くなっている時が、見ているとある。”

 

 “ここでは手を当てるということを通して気を伝えます。そして相手の中にあるひとつの力を揺す振り起こしていく。鈍っているものを敏感にしていく。手でなくともできます。目で愉気することもできますし、遠くにいる人に愉気することもできる。気の合わない人には無理だけど、気が合いさえすればどこにいたって通じます。海外にいるから気が離れているかというと、そういうわけではない。その人達から電話がかかってきたりすると、普段みている人よりよく、どんな状態なのかというのがサッと分かることがある。

 そんなように愉気していくことだけだと、気が合う人にはできるけど、気の合わない人には全くできなくなってくる。だから玄人の人には向かない。気の合わない人には無理にやらなくていいんです。”

 

 “手当てというのは、外側からみていると、確かに手を当てているだけですけれど、手を当てることによって相手に対して自分の気を送る。それが本当の手当てということの意味だと思っております。だから手を当てることで愉快な気を込める。自分の持っている愉快な気で包んでいくというようなことが本来の愉気ということです。

 

(「月刊全生」昭和63年11月号 野口祐介 『気というもの』より)

 

*私の友人に、入院中の父親のわがままに腹を立ててカッとなって怒鳴りつけて帰宅し、しばらく見舞いに行く気になれずにいたら容態が急変して亡くなってしまい、怒鳴ってしまったこと、孤独のまま死なせてしまったことをずっと後悔している人がいます。野口晴哉先生によると、どうやら意地悪になるのは一時的であって、ほとんど誰にでも起こる現象らしいのですが、もしかしたらこれまでの人生でため込んでいたストレスを発散するために必要なプロセスなのかもしれません。前もってこのことを知っていれば、その友人もそれほどは腹を立てなかったでしょうし、とりあえず父親と距離を置くなりして対応できたはずでした。多分、介護の仕事に携わっておられる方々は既に御存じでいらっしゃると思うのですが、この「人は亡くなる前に意地悪になる時期がある」ということは、誰もが知っておくべき知識だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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