准胝(じゅんてい)観音 三七年延命法 | 瑞霊に倣いて

瑞霊に倣いて

  
  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

 “高野山中学四年の冬、ある本で「三七年延命の秘法」があることを知り、天徳院の金山穆韶先生に伝授をお願いした。先生は炬燵にあたりながら本を読まれていたが、私の乞いを受けてわざわざ衣をつけて本堂に赴き、ローソク六本をつけ香を焚き、丁寧に若輩の私一人のために伝授して下さった。

 その秘法というのは、次のとおりである(金山穆韶大阿闍梨伝)。

 

 未敷蓮華合掌(二中(中指)を少し開く)にして明(みょう)三返。次に、二小(小指)を開き明三返。次に、二無名(薬指)を開き明三返。次に、二指(人差し指)を開き明三返。次に、二大(親指)を開き明三返。次に、二中を開き明三返。次に、八葉印(二大二小をつける)にして明三返。次に、始めの未敷蓮華合掌にして明三返。後は、明は返数を問わず(掌を丸くふくらます事)。真言は、「オーム カマレエー ヴィマレイ シュンデエイ ソワカ」。准胝(じゅんてい)観世音菩薩を本尊として拝む。

 

 これは在家の方に授けてもよいという法であるから、篤信の方に、長生きしたい方に、授けられたらよいと思う。

 それから私は六十七年も長生きさせて頂いて、こんな有難い事はないと感謝している。この命は仏様から頂いた命だから、仏様のみ心にそうように生きたいと念願してきた。それ以来、「み仏は至心にお願いすれば、必ず救ってくださる」と固く信じている。

 「困った時の仏(神)頼み」ではあったけれど、生きるか死ぬかの境目であったから真剣であった。一筋でお願いした。十一年間もかかったけれど、全快する事が出来た。こんな嬉しい事はなかった。お経を読んで重病が治るなんて、とても信じられない事だろうけれど、本当に救われるのだから、信心という拝むことは有り難い。これは体験しない事にはわからない。”

 

(佐伯泉澄「弘法大師 空海百話 Ⅱ」(東方出版)より)

 

*本文中の「明(みょう)」とは真言のことです。

 

*現在、スピリチュアルを扱う内容の本などで、これまで秘伝とされていたはずの密教の修法が色々と公開されており、実際にそれらを実践しておられる方もいらっしゃるようです。ですが、以前ある僧侶の方に聞いた話では、中には、本来は伝法灌頂を受け正式に伝授された者でしか修してはならないものもあるということで、そのような場合は越法罪(おっぽうざい)という罪を犯すことになってしまうのだそうです。またご本尊様への信仰もなく結縁されていないままで、しかも現世利益のために行われる修法では邪霊しか感応しない、とも言われました。私は過去に佐伯師と直接お話したことがあるのですが、この「准胝観音 三七年延命法」は、在家でも行ってよい法であるということでしたので、ここに紹介させていただきましたが、少なくとも本尊である准胝観世音菩薩への信仰は必要です。ですので、やはりこの修法を在家の方がご自分で実行される場合は、合わせて准胝観世菩薩への御祈祷を寺院に依頼されるのが良いように思います。准胝(准堤)観世音菩薩は、高野山の他、京都の醍醐寺や聖護院、横浜の総持寺などで祀られています。

 

 “空海の孫弟子にあたる理源大師聖宝は、山林苦行によって卓抜の験力をもつにいたった修験の僧として知られる。そんな彼が笠取山(醍醐山)に拠点を構えたとき、自ら霊木を刻んで祀ったのが、准胝仏母と如意輪観音だった。経典には、修行者が准胝陀羅尼を唱えればその身は清浄となり、仏果を得ると説かれており、聖宝は行者の守護仏として准胝尊に帰依したのであろう。そして、その教えを汲み、験力無双と謳われた仁海は、准胝を観音とする宋代新訳の経典に則り、「真言宗系六観音」のひとつに列せしめた。

 一方で、聖宝は醍醐天皇の皇子誕生を准胝観音に祈願し、のちの朱雀、村上両天皇が誕生したといわれ、一般には子授け、安産の本尊として知られることになる。”

(「神仏のかたちシリーズ第1号 観世音菩薩 自在に姿を変える救済のほとけ」Gakkenより)