「青よりも白く、やや灰色を帯びる。」
青磁の色は「雨過天青」
つまり雨上がりのしっとりと
水気を含んだ空の色。
それは観る者の心を静める穏やかな「青」
若尾先生は
私の多治見工業高校 の先輩でもあり、
粉青瓷作家として
日本工芸会 を中心に活躍されています。
北宋汝窯の青瓷、
南宋官窯の南宋龍泉窯の青瓷。
青瓷を志す、もののふの
目指す頂はさまざまですが
特にその表現が難しく
究極の青瓷と言われるのが、
皇帝のためにつくられた
茶道の世界の青磁といえば「馬蝗絆」の茶碗、
砧青磁、天龍寺青磁、飛青磁の花入などが
知られています。
室町時代日本に伝わり、
数々の逸話が残る青磁は、
茶道では格の高い道具として扱い、
現代にもその歴史的背景 に
私達茶道を実践する者は
畏敬の念を表しています。
日本における青磁への取り組みは、
第二次大戦後にはじまりました。
特に1950年代以降に
宋代の青瓷に挑みながら、
独自の青瓷をつくったのは、
加藤唐九郎氏の長男
岡部嶺男氏であることは
やきものの世界では、あまりにも有名です。
中国で粉青と呼ばれる
青瓷釉を再現し「嶺男青瓷」とまで
よばれる独自の青瓷の世界を展開しました。
一方、若尾先生は
美濃焼 の代々の窯元の家に生まれ
身近な環境で「嶺男青瓷」を見たことで
青瓷の研究制作に取り組まれるきっかけになったと、私はもう10年以上前に聞いていました。
しかし「嶺男青瓷」は大変数が少なく
幻の存在です。
さらに実際に茶室で茶碗として
使われるなど夢のまた夢です。
しかし、今回東京都庭園美術館様の
ご協力により
時空を越えたコラボレーションが
皇室ゆかりの重要文化財茶室
「光華」で実現致します。
前回開催した
実際に
「茶室で茶碗に茶を点て服す」
あたりまえのようで
あたりまえにできない日本で
日本の伝統《茶の湯の力 × 陶芸の力》で
日本でしか実現できない事があります。
今回「嶺男青瓷」と「誠青瓷」が
東京都庭園美術館にて実現します。
参加者の皆様
ぜひその瞬間にお立会ください。