東京都庭園美術館 茶室トークイベント
錦織りなす秋晴れの中
開催することができました。
重要文化財 茶室「光華」は
「昭和の名工」とも云われた、
大阪の平田雅哉氏が施工した数寄屋建築です。
今回は現代の茶室・数奇屋建築の第一人者、
中村外二工務店棟梁 中村義明氏を迎え
時空を越えたコラボレーションを
実現できました。
立礼から広間、小間と
全て解説いただきましたが
私達の印象に残っている
講演の一部を簡単にご紹介
させていただきます。
◼️あくまで建物は器である
建物は座ってみなければわからない、
できれば茶を一服するなどして
自分の五感で感じてほしいです。
利休さんの云われた
「渡り(用)六分に、景気(意匠)四分」が
私は大切やと思うてます。
◼️時代を反映する建物
日本の景気の良かった
大正時代の建物などは、時代を反映し
「力強い建物」つまり部材や線の
太い建物になります。
平田雅哉氏や、私の父である
中村外二もそんな「力強い建物」が多いです。
◼️茶室「光華」の気品
そんな力強い建物が多い
平田建築において、茶室「光華」は
実に繊細であり、部材や線が細く
気品を大切にしています。
おそらく、皇室様式の反映や
朝香宮殿下のご意向も
反映されていると思います。
特に小間には天井の高さや
床柱などに工夫が見られます。
◼️美しい茶室にあるもの
様々な素晴らしい茶室の
共通点は「力強く、かつエレガント」で
あるところです。
◼️これからの茶室の可能性
平安の建物は庭から作られていましたが、
室町からは建物から庭を
作るように変化しました。
その時代の中で派生した茶室は
仕切りや、囲いなど、ある種
「閉じた空間」の中で茶の湯は
育まれてきましたが、コロナ禍を機にもう一度
自然や庭と、茶室の新しい関わり方が
生まれてくるのではないかと感じています。
お菓子は神楽坂梅花亭の井上さんに
秋の茶室「光華」の景色を
浮島で表現していただきました。
十代の頃より井口海仙宗匠のもとで
茶の湯を学び、数奇屋、茶室建築に
反映してきた中村棟梁からは
「心や暮らしが豊かになりますし、
新しい出会いも生まれますから
参加者の皆さんも、ぜひ生涯学習として
お茶に触れてみてください。」と
お話がありました。
講演後に、東京都庭園美術館の本館を
中村棟梁と一緒に見学しました。
京都には無いアールデコの建築様式の
美しさや、当時の宮内省内匠寮の
技術の高さに感激しておられました。
⚫中村棟梁から茶室を学びたい方には
中村義明(なかむらよしあき)プロフィール
中村外二工務店代表/数寄屋大工棟梁。
1946年、大工の神様と呼ばれた
中村外二の次男として京都市に生まれる。
大学卒業後、中村外二工務店に入り、
大工としてのキャリアをスタート。
1970年、大阪万博日本庭園内茶室の
新築工事を皮切りに、米国ニューヨークの
ロックフェラ邸(1972年)、
松下幸之助邸茶室(1973年)、
伊勢神宮茶室(1982〜1985年)、
京都迎賓館主賓室座敷(2006年)など、
錚々たる数寄屋建築に携わってきた。
俵屋旅館や菊乃井、和久傳など旅館や
料亭との付き合いも長く、ひらまつの
「高台寺十牛庵」開業の際、数寄屋建築の
再生に携わった。デンマークの建築家で
家具デザイナーのフィン・ユールの家具の
愛好家で、そのコレクションが趣味。
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