榊(さかき)  6/30 香取神宮

2月12日 
今日は旧暦の正月 ですね。
おめでとうございます。

今回も茶花から
茶道や日本の文化、工芸を
皆さんと一緒に學んでいきたいと思います。

前回は、羊毛の生える木【綿(わた) 】でした。

今回は【榊(さかき)】です。

朝鮮半島 台湾 中国、
日本では関東から南に分布しています。

榊の語源は
「神様と人間の境にある木」「常に緑で栄える木」神聖な木を意味する「賢木」が転じた説などが
あります。

「木」と「神」から作られた「榊」という字は、
日本で作られた漢字「国字」です。



◼️神の依代は様々な常緑樹を供えた!
今でこそ、榊を神事に用いていますが、
まず関東以南にしか自生しない榊ですから
日本全国用いることはできませんね。

そのため、地方によって「榊」は、
非榊、椿 、山茶花、楠、杉である地域もあります。

古来「さかき」という意味は、
神の依代として用いた若松  など様々な
常緑植物の事を指しています。

ゆえに現在「榊」を表すために
「本榊」「真榊」を付けて区別するのは
そのためです。

「榊」を買って来ないと
神様に叱られるなんてありません。

霊性の高い「椿」でも
庭の「槙」「松」でも良いですね。

ちなみに今でも日本の安寧を祈り
入定されている空海さん の食事には
パスタや中華も出ますから。
神様だって、スーパーの榊よりは
たまには良いかもしれません。


◼️1日と15日になぜ「榊」を代えるのか?

旧暦の太陰暦では、
1日が新月・15日が満月と決まっていました。
1日から物事が始まり、15日に満了する
考えられてたことから、

1カ月を区切りとして、
毎月1日と15日は神社に参拝し、
神様に無事に過ごせた感謝と
新しい月への祈願を行っていました。

それにならって、家庭でも榊を交換して
神棚のお供え物などを新しくするのです。


学校で教えてほしかったですね。

皆さんは今の80歳の方々を老人、仙人と
思いますか?

マイナス30年してみてください。
日本のバブル期にその方々は
バリバリの50歳です!

テレビに映る80歳の政治家も
実は内面はとても若いんです!


やはり、お茶の先生が頑張って
日本文化や歳時記を伝えなくては
ならない時代だと思います。





◼️万葉集にみる「榊」と「木綿(ゆふ)」とは?

ひさかたの天の原より生(あ)れ来(きた)る、
神の命、奥山の賢木(さかき)の枝に、
しらか付け、木綿(ゆふ)取り付けて、
斎瓮(いはひへ)を、斎(いは)ひ掘り据(す)ゑ、
竹玉(たかたま)を、繁(しじ)に貫(ぬ)き垂(た)れ、
獣(しし)じもの、膝(ひざ)折り伏して、
たわや女(め)の、襲(おす)取り懸け、かくだにも、
我れは祈(こ)ひなむ、君に逢はじかも

大伴坂上郎女
おおとものさかのうえのいらつめ

⚫意味
天の原からおいでになる神さまに、
山の榊(さかき)の枝に白香(しらか)や
木綿(ゆふ)を取り付けて、瓶を供えて、
竹玉(たかたま)を紐に通して、鹿のように
ひざを曲げて、かよわい女の衣を着て、
せめてこうゆう風にでも私はお祈りいたします。
あなたに会えるかも知れないので。

と説明したのですが、この歌には
木綿(ゆふ)が登場しますね!

この木綿(ゆふ・ゆう)とは
楮(こうぞ)のことであり、それを原料とした
布のことです。楮の木の皮を剥いで蒸した後に、
水にさらして白色にした繊維です。

神宮式年遷宮や他の神社でも遷座では
頭に巻いたり、たすき掛けにして用いられる。
真麻木綿(まそゆう)とも呼ばれます。

木綿(ゆう)から作られた造花を
木綿花(ゆうはな)と言います。

榊は神事に用いる常緑樹、木綿垂は玉串に
下げるもので、


このように茶道の中でも「紙垂(しで)」は
生かされています!
これを木綿(ゆう)に置き換えてもできますね。

ちなみにこの紙垂」も自分たちで
作りますから、茶道を學ぶことは
暮らしの役に立ちます。



◼️光源氏も食した「椿餅」


2月になると季節の和菓子「椿餅」が見られます。
「源氏物語」にも登場し、平安貴族も食していた
椿餅はやはり「踏青 」と同じように
新しい息吹に満ちた大地のエネルギーで
邪気を祓っていたのかも知れませんね。