企業合併
(海外)
RJRナビスコのMBO・LBOの大接戦
タイムとワーナーの略奪結婚
小(スイス銀行)が大(スイスユニオン銀行)を呑み込む
(日本)
三井物産と三菱商事、それぞれの財閥解体と集結と金看板の奪い合い
官庁主導の海運業界大再編成
国に助けられた新日鐵と 国に反対された王子製紙の幻の合併。
以上6つの経済読み物。
圧倒的に面白いのがナビスコ。これだけでも読む価値有り。
本書でもう一つ面白いのが…。
新日鐵合併時にその立役者・興銀の中山素平が「ソニーは世界に名を
売ったが、やはり巡洋艦にすぎない。日本の経済力を世界に誇るには
やはり”戦艦大和”が欲しい」と述べた。
それから30年、ソニーは総資産を60倍にし、新日鐵は2.2倍にしか
出来なかった。(70年度と99年度の比較)
その点を箭内は皮肉るのだが…。
本書執筆から4年。もちろんソニーを新日鐵が上回りはしないのだが
本年8月半ばからの日本株の相場は「鉄は国家なり」を思わせるもので
あった。国家百年の計にたてば、中山素平の認識は今日においても
評価されようか。
【通勤用にGOOD】 2001年
RJRナビスコのMBO・LBOの大接戦
タイムとワーナーの略奪結婚
小(スイス銀行)が大(スイスユニオン銀行)を呑み込む
(日本)
三井物産と三菱商事、それぞれの財閥解体と集結と金看板の奪い合い
官庁主導の海運業界大再編成
国に助けられた新日鐵と 国に反対された王子製紙の幻の合併。
以上6つの経済読み物。
圧倒的に面白いのがナビスコ。これだけでも読む価値有り。
本書でもう一つ面白いのが…。
新日鐵合併時にその立役者・興銀の中山素平が「ソニーは世界に名を
売ったが、やはり巡洋艦にすぎない。日本の経済力を世界に誇るには
やはり”戦艦大和”が欲しい」と述べた。
それから30年、ソニーは総資産を60倍にし、新日鐵は2.2倍にしか
出来なかった。(70年度と99年度の比較)
その点を箭内は皮肉るのだが…。
本書執筆から4年。もちろんソニーを新日鐵が上回りはしないのだが
本年8月半ばからの日本株の相場は「鉄は国家なり」を思わせるもので
あった。国家百年の計にたてば、中山素平の認識は今日においても
評価されようか。
【通勤用にGOOD】 2001年
-
- 箭内 昇
- 企業合併
知財戦争
一太郎のアイコンを巡るジャストシステムと松下の訴訟の
知的財産高等裁判所特別部(これの設立について本書で書かれている)
が判決を出した翌日に、日経新聞に「特許庁と裁判所でねじれ」という
記事が載っていたが、本書でその意味がよくわかった。
本書は、知財について幅広く分かり易く書かれている。
中国の盗用・模造が問題になる昨今であるが、そもそも国内における
知財行政・司法もままならない状況であることを知らされる。
「特許訴訟は『オセロゲーム』」という項がある。(130)
「特許侵害だ」として訴えを起こすと、地裁→高裁→最高裁という具合に
一般の民事同様に訴訟が進む。
ところが訴えられた方が「特許は無効だ」として反撃に出ると、
特許庁の審判部門→東京高裁→最高裁と、別ルートで進む。
そのため特許権侵害で勝っても、別ルートで負けてしまう可能性がある。
ルートを1本化すれば済む話だが、官庁の縄張り争いでそうもいかない
とのこと。
【話のネタ本にはGOOD】 2004年
知的財産高等裁判所特別部(これの設立について本書で書かれている)
が判決を出した翌日に、日経新聞に「特許庁と裁判所でねじれ」という
記事が載っていたが、本書でその意味がよくわかった。
本書は、知財について幅広く分かり易く書かれている。
中国の盗用・模造が問題になる昨今であるが、そもそも国内における
知財行政・司法もままならない状況であることを知らされる。
「特許訴訟は『オセロゲーム』」という項がある。(130)
「特許侵害だ」として訴えを起こすと、地裁→高裁→最高裁という具合に
一般の民事同様に訴訟が進む。
ところが訴えられた方が「特許は無効だ」として反撃に出ると、
特許庁の審判部門→東京高裁→最高裁と、別ルートで進む。
そのため特許権侵害で勝っても、別ルートで負けてしまう可能性がある。
ルートを1本化すれば済む話だが、官庁の縄張り争いでそうもいかない
とのこと。
【話のネタ本にはGOOD】 2004年
-
- 三宅 伸吾
- 知財戦争
憲法対論
憲法学者・奥平康弘と社会学者・宮台真司の対論。
おおむね宮台が喋っているので、大幅な減点評価。
奥平によるエッセイ風の後書きが一番読み応えがある。
「日本の憲法研究者は、憲法九条を抱えているという点で、ユニークな
課題を背負っている」と言い、それはかなり違うけれども米国における
政教分離(合衆国憲法修正第1条)と同様に、「憲法においては規定が
踏まえる『理念』と、多数者が受認してしまっている違憲的な『現実』との
あいだにギャップがあるのは、そんなに異常なことではなく、憲法研究者
が引き受けるべき課題として、どこの国にもあるのではないか」「規定が
踏まえる『理念』のほうを棄てて、体制的な『現実』にすり寄ってしまった
ならば、研究者たる存在意義を自ら失うことになる」。
憲法は主権者が統治権力に対しての命令であろうけれども、日本は
受動的な国民性ゆえに逆になっていよう。そのため「推定無罪に象徴
される憲法的原則は、国家よりも社会を信頼」(宮台 185)するはずが、
国民自ら逆を望み、推定有罪を社会の基調として迎えたように思う。
明確にはオウム事件を境にして。
【つまみ読みにはGOOD】 2002年
おおむね宮台が喋っているので、大幅な減点評価。
奥平によるエッセイ風の後書きが一番読み応えがある。
「日本の憲法研究者は、憲法九条を抱えているという点で、ユニークな
課題を背負っている」と言い、それはかなり違うけれども米国における
政教分離(合衆国憲法修正第1条)と同様に、「憲法においては規定が
踏まえる『理念』と、多数者が受認してしまっている違憲的な『現実』との
あいだにギャップがあるのは、そんなに異常なことではなく、憲法研究者
が引き受けるべき課題として、どこの国にもあるのではないか」「規定が
踏まえる『理念』のほうを棄てて、体制的な『現実』にすり寄ってしまった
ならば、研究者たる存在意義を自ら失うことになる」。
憲法は主権者が統治権力に対しての命令であろうけれども、日本は
受動的な国民性ゆえに逆になっていよう。そのため「推定無罪に象徴
される憲法的原則は、国家よりも社会を信頼」(宮台 185)するはずが、
国民自ら逆を望み、推定有罪を社会の基調として迎えたように思う。
明確にはオウム事件を境にして。
【つまみ読みにはGOOD】 2002年
- 奥平 康弘, 宮台 真司
- 憲法対論―転換期を生きぬく力
世界財閥マップ
江戸の流刑
拍子抜け。
流刑地は地獄絵図なのかと思いきや 狭いところに押し込められ
伝染病が蔓延する牢屋の方が地獄であった。
流刑地は国もとから送られてくる見届けもの(金や食料)しだいで
それなりに暮らせるのであった。
面白いのは新・吉原の遊女、花鳥と豊菊のエピソード。
島で春をひさぎ見過ぎをし、それで知り合った男達を率いて島抜け。
なんとも70年代東映ぽいピンク&バイオレンス。
(それはきっと企画・天尾完次 監督・牧口雄二 で)
と書いたところで 花鳥 豊菊 で検索すると
奥田瑛二が松坂慶子で映画化していた。
「るにん」 http://www.eijidokudan.jp/workinfo_dir_runin.html
【話のネタ本にはGOOD】 2005年
流刑地は地獄絵図なのかと思いきや 狭いところに押し込められ
伝染病が蔓延する牢屋の方が地獄であった。
流刑地は国もとから送られてくる見届けもの(金や食料)しだいで
それなりに暮らせるのであった。
面白いのは新・吉原の遊女、花鳥と豊菊のエピソード。
島で春をひさぎ見過ぎをし、それで知り合った男達を率いて島抜け。
なんとも70年代東映ぽいピンク&バイオレンス。
(それはきっと企画・天尾完次 監督・牧口雄二 で)
と書いたところで 花鳥 豊菊 で検索すると
奥田瑛二が松坂慶子で映画化していた。
「るにん」 http://www.eijidokudan.jp/workinfo_dir_runin.html
【話のネタ本にはGOOD】 2005年
-
- 小石 房子
- 江戸の流刑
書店の近代
近代日本で書店が発展していく過程のエピソード集。
目次を見るとたいそう面白そうで読む。
「書店の小僧としての田山花袋」「尾崎紅葉と丸善」「芥川龍之介と丸善」
「梶井基次郎と京都丸善」「丸善の店員だった佐多稲子」etc。
が、引用主体で読みにくく、好奇心をそそるチカラがなくて、思いのほか
詰まらず残念。
【車窓からの眺めの方がまし】 2003年
目次を見るとたいそう面白そうで読む。
「書店の小僧としての田山花袋」「尾崎紅葉と丸善」「芥川龍之介と丸善」
「梶井基次郎と京都丸善」「丸善の店員だった佐多稲子」etc。
が、引用主体で読みにくく、好奇心をそそるチカラがなくて、思いのほか
詰まらず残念。
【車窓からの眺めの方がまし】 2003年
-
- 小田 光雄
- 書店の近代―本が輝いていた時代
怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
「さわかみ投信」という株式運用会社がある。
これがもし、「さわがみ投信」だったら。
前者は さわやかで聡明で顧客を幸せにする会社のイメージ、
後者は ダーティーな乗っ取り屋…… に聞こえる …… かな。
言葉のサブリミナル効果-サブリミナル・インプレッション-について
その提唱者による。序章で「まあ賛否両論あると思う」と書かれては、
後付けの理屈に思えるものも素直につきあえる。
たとえば「マニフェスト」について
私自身はこのカタカナ語を採用した政党を信用することが出来なかった。
それは、主にF音のためだったのだと思う。すっきり政党公約と呼べば、
信頼のS音と清潔なK音が、その覚悟の程を知らせてくれる。 (60)
F音は「ふんわりした」「ものごとを霧散させて非現実的にしてしまう」
サブリミナル・インプレッションを持つと黒川先生。まあ横文字に対する
軽薄さと漢語の重厚さによるところが大きいのだと思うが。
【車窓からの眺めの方がまし】
これがもし、「さわがみ投信」だったら。
前者は さわやかで聡明で顧客を幸せにする会社のイメージ、
後者は ダーティーな乗っ取り屋…… に聞こえる …… かな。
言葉のサブリミナル効果-サブリミナル・インプレッション-について
その提唱者による。序章で「まあ賛否両論あると思う」と書かれては、
後付けの理屈に思えるものも素直につきあえる。
たとえば「マニフェスト」について
私自身はこのカタカナ語を採用した政党を信用することが出来なかった。
それは、主にF音のためだったのだと思う。すっきり政党公約と呼べば、
信頼のS音と清潔なK音が、その覚悟の程を知らせてくれる。 (60)
F音は「ふんわりした」「ものごとを霧散させて非現実的にしてしまう」
サブリミナル・インプレッションを持つと黒川先生。まあ横文字に対する
軽薄さと漢語の重厚さによるところが大きいのだと思うが。
【車窓からの眺めの方がまし】
-
- 黒川 伊保子
- 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
できる人の書斎術
「書斎」という言葉の響きの魅力を頼りにしただけの書物。
仕事のやり方系の書籍雑誌が大量に出回る今日に、埋没しないだけの
目新しさは打ち出せず、読み手のニーズになんら応えられない代物。
書斎で過ごす時間のアンケートなど、どういう結果であれ、どうでもいい
アンケート結果のグラフが73-80ページにかけて展開する。
よくこれが出版にこぎ着けたものだと思う。
住宅メーカーが書斎設置をそそのかすパンフレットがわりにするにはいいかも知れないが。
【車窓からの眺めの方がまし】 2005年
仕事のやり方系の書籍雑誌が大量に出回る今日に、埋没しないだけの
目新しさは打ち出せず、読み手のニーズになんら応えられない代物。
書斎で過ごす時間のアンケートなど、どういう結果であれ、どうでもいい
アンケート結果のグラフが73-80ページにかけて展開する。
よくこれが出版にこぎ着けたものだと思う。
住宅メーカーが書斎設置をそそのかすパンフレットがわりにするにはいいかも知れないが。
【車窓からの眺めの方がまし】 2005年
-
- 西山 昭彦, 中塚 千恵
- できる人の書斎術
自己愛型社会
「誇大自己症候群」の岡田尊司による。
こちらは個人にでなく、国家の盛衰に精神病理を見出すことによって
日本の危機の正体を知り、解決しようというもの。
古代ローマ、オランダ、アメリカがその診察対象。
なるほど読んでいくと現在の日本の病が見え隠れしてくる。
本書で倉部誠「物語オランダ人」文春新書 が取り上げられる。
これを読んだ際はオランダ人はとんでもない連中だと思ったものだが
本書を読むとそのとんでもなさが日本にも当てはまることに気付いた。
なかなか説得力のある著書である。
著者は<今日の日本社会を動かしているのは、「誇大な自己愛」
よりも「卑小な自己愛」である。>(233)と言う。
昨今の にわかナショナリズムは「卑小な自己愛」にあたろう。
【暇つぶしにはGOOD】 2005年
こちらは個人にでなく、国家の盛衰に精神病理を見出すことによって
日本の危機の正体を知り、解決しようというもの。
古代ローマ、オランダ、アメリカがその診察対象。
なるほど読んでいくと現在の日本の病が見え隠れしてくる。
本書で倉部誠「物語オランダ人」文春新書 が取り上げられる。
これを読んだ際はオランダ人はとんでもない連中だと思ったものだが
本書を読むとそのとんでもなさが日本にも当てはまることに気付いた。
なかなか説得力のある著書である。
著者は<今日の日本社会を動かしているのは、「誇大な自己愛」
よりも「卑小な自己愛」である。>(233)と言う。
昨今の にわかナショナリズムは「卑小な自己愛」にあたろう。
【暇つぶしにはGOOD】 2005年
-
- 岡田 尊司
- 自己愛型社会―ナルシスの時代の終焉
誇大自己症候群
自意識の怪物-ニーチェやヒトラーや佐世保の首切り小学生-を
「誇大自己症候群」と呼ぶのだそうだ。
「没落や零落を味わった子どもは、失望と恥辱を補うために、しばしば
誇大自己症候群を呈するようになる」(153)とのこと。
本書では奈良の幼児誘拐殺人の小林薫が取り上げられている。
小林がスナックで携帯で撮った遺体写真を見せびらかせたのは
ほかに誇るべきものが皆無の小林の貧しい人生を反映していると思うが
これこそが誇大自己症候群であろう。
また池田小事件の宅間守も取り上げられている。彼は医者と嘘をついて
一度結婚している。結婚に至るまで嘘をつき通せるのも「誇大自己症候群」
からのナルシズムのなせる業であろうか。
オウムの麻原を障害者の側から書いたものが週刊文春に載った
ことがある。愛知和男の政策秘書で障害者である人物によるもので
オウム関連の書き物で私が読んだものではそれが最良であった。
麻原は盲学校の柔道部ではお山の大将であった。体が大きく
多少の視力も残っていたためである。そんな彼は東大を目指して
代ゼミに通うも、学力が足りずに挫折。
そして麻原がかつてのようにお山の大将なりたさにつくったのが
カルト教団であった。 というもの。
これも誇大自己症候群であろう。
元プロ野球選手が派手な生活が忘れられずに犯罪を犯すのも、
医大に進めなかった金持ちの子がハーレムをつくろうと女性を監禁する
のも根は同じである。
桐野夏生の「グロテスク」と併せて読みたい新書。
【通勤用にはGOOD】 2005年
「誇大自己症候群」と呼ぶのだそうだ。
「没落や零落を味わった子どもは、失望と恥辱を補うために、しばしば
誇大自己症候群を呈するようになる」(153)とのこと。
本書では奈良の幼児誘拐殺人の小林薫が取り上げられている。
小林がスナックで携帯で撮った遺体写真を見せびらかせたのは
ほかに誇るべきものが皆無の小林の貧しい人生を反映していると思うが
これこそが誇大自己症候群であろう。
また池田小事件の宅間守も取り上げられている。彼は医者と嘘をついて
一度結婚している。結婚に至るまで嘘をつき通せるのも「誇大自己症候群」
からのナルシズムのなせる業であろうか。
オウムの麻原を障害者の側から書いたものが週刊文春に載った
ことがある。愛知和男の政策秘書で障害者である人物によるもので
オウム関連の書き物で私が読んだものではそれが最良であった。
麻原は盲学校の柔道部ではお山の大将であった。体が大きく
多少の視力も残っていたためである。そんな彼は東大を目指して
代ゼミに通うも、学力が足りずに挫折。
そして麻原がかつてのようにお山の大将なりたさにつくったのが
カルト教団であった。 というもの。
これも誇大自己症候群であろう。
元プロ野球選手が派手な生活が忘れられずに犯罪を犯すのも、
医大に進めなかった金持ちの子がハーレムをつくろうと女性を監禁する
のも根は同じである。
桐野夏生の「グロテスク」と併せて読みたい新書。
【通勤用にはGOOD】 2005年
-
- 岡田 尊司
- 誇大自己症候群
