誇大自己症候群 | 中央線で読む新書

誇大自己症候群

自意識の怪物-ニーチェやヒトラーや佐世保の首切り小学生-を
「誇大自己症候群」と呼ぶのだそうだ。

没落や零落を味わった子どもは、失望と恥辱を補うために、しばしば
誇大自己症候群を呈するようになる」(153)とのこと。

本書では奈良の幼児誘拐殺人の小林薫が取り上げられている。
小林がスナックで携帯で撮った遺体写真を見せびらかせたのは
ほかに誇るべきものが皆無の小林の貧しい人生を反映していると思うが
これこそが誇大自己症候群であろう。

また池田小事件の宅間守も取り上げられている。彼は医者と嘘をついて
一度結婚している。結婚に至るまで嘘をつき通せるのも「誇大自己症候群」
からのナルシズムのなせる業であろうか。

オウムの麻原を障害者の側から書いたものが週刊文春に載った
ことがある。愛知和男の政策秘書で障害者である人物によるもので
オウム関連の書き物で私が読んだものではそれが最良であった。

麻原は盲学校の柔道部ではお山の大将であった。体が大きく
多少の視力も残っていたためである。そんな彼は東大を目指して
代ゼミに通うも、学力が足りずに挫折。
そして麻原がかつてのようにお山の大将なりたさにつくったのが
カルト教団であった。 というもの。

これも誇大自己症候群であろう。
元プロ野球選手が派手な生活が忘れられずに犯罪を犯すのも、
医大に進めなかった金持ちの子がハーレムをつくろうと女性を監禁する
のも根は同じである。

桐野夏生の「グロテスク」と併せて読みたい新書。

【通勤用にはGOOD】 2005年

岡田 尊司
誇大自己症候群