【3】仮説を作る能力を“結果検証”で更に磨く!
 
 1》顧客の反応を“印象的”に記録する
 
 たとえば、常連Bさんが好むと思われた襟や袖口の“形”で選んだ服では、
 Bさん自身やBさんに似た趣向の客に、形を強調してアピールします。
 そして、実際に買っても買わなくても、
 その反応をパソコンの“記録”に書き加えるのです。
 
 たとえば『襟と袖口の個性的な形が受けると想定したのに、
 Bさんはスカートの長さばかりにこだわった』とか、
 『襟が大きいのは可愛いけれど、自分には似合わない』と
 “漠然とした理由”で断ったとか、
 顧客の反応を印象的に記録するということです。
 
 
 2》仮説と印象のすり合わせ蓄積の成果
 
 具体的な顧客をイメージしながら仮説を作り、それを実際に検証するという
 活動を蓄積して行くと、徐々に『想定通りの反応で買う客が増える』と、
 その講師候補者は言います。
 そして、感性というのは、何となく持つものでも天性で持つものでもなく、
 実務的に時間をかけて鍛え上げるものではないか
と指摘するのです。
 その言葉がAさんの心に響きました。
 
 瞬間のひらめきのような、天才的な感性も重要かも知れませんが、
 まさに実績と経験に裏打ちされた“この種の人にはこの服が売れる”という
 感性は、もはや感性の域を超え、確立されたビジネス“勘”、あるいは
 経営“勘”とも言える
ところに至っているとAさんは感じたからです。
 
 
 3》先見性は記録・分析の蓄積結果?
 
 それは婦人服の流通ビジネスに限りません。
 どの企業にも、売れそうな商品や買いそうな客を見つける先見性は
 不可欠
ですが、それを感性や直感だけに頼っていたのでは、
 すぐに限界が訪れるからです。
 しかも記録して分析する習慣がつけば、
 思い込みが激減して“気付き”が大いに増えるでしょう。
 
 Aさんは、交流会メンバーの中で『どうしてこっちが売れて、
 こっちが売れないか分からない』と嘆くケーキ屋のCさんや、
 『直感的に値段をつけるが、後でいつも、もっと高くても売れたのにと
 後悔する』という飲食業のDさんの話を思い出しました。
 そして、これは良いテーマだと感じたのです。
 
 
 【4】先読み力は“仮説を作る力”の延長上にある
 
 1》会合テーマの“視点”を変えた!
 
 しかしAさんは、異業種交流会にどちらの“候補”も呼びませんでした。
 講師を呼んで一方的に話を聞くより、むしろ二人の講師候補の姿勢の違いに
 ついてメンバーで話し合う
方が、実りが大きいように思えたからです。
 
 そんな露骨な“比較材料”にするために、講師を呼ぶわけには行きません。
 
 会合では、まずAさんの“二人のバイヤー(商品仕入れ担当者)”
 比較報告から始まりました。
 
 その報告の中には、後日追加調査した
 “それぞれの企業の業績データ”も含まれていました。
 
 もちろん、二人目の候補の企業の方が圧倒的に優良でした。
 
 
 2》先見性は“仮説創造力”の完成形?
 
 会合の後、『やっぱりメンバーの多くも、私と同じように感じた』
 と言いながら、Aさんは、先見性は“仮説を作る”能力の延長上に
 あるものだ
というのが会合の“結論”だったと報告してくれました。
 
 そして『私たちは、先が見えないとか、予想外のことばかりが起きる、
 などと嘆くけれど、先を見よう、予想をしようとする熱心な努力に欠ける
 部分があった』と言われるのです。
 
 更に、たとえ間違っても、先を見て仮説を作り、その仮説を実績と比較して、
 どこがどう違ったかを丁寧に見て行く
習慣を持てば、先を読む力は、
 漫然と経営している時より格段に付いて行くはずだ、とも言われていました。
 
 
 3》時代変化の重さ
 
 特に、異業種交流会メンバーの一人が、多くの顧客が“流行”に躍った
 以前なら、感性だけの人も仮説志向の人も、大きな差は出なかっただろう。
 
 しかし買い手が豊かになり、あるいは高齢化して、社会全体が
 “商品選択眼”を高めている今は、直感だけではやって行けない。
 それがそのまま、二人のバイヤーが属する企業の業績になって表れている

 指摘した時には、皆自分の事業を想起してか、しばらく口が聞けず、
 やや重苦しい空気が流れたのだそうです。
 
 確かに顧客の欲求を先読みする力なくしては、今後の経営は
 更に難しくなるでしょう。しかし、どうすればよいのでしょうか。
 
 
 【5】日々の経営の中で“先読み力”を鍛えるには?
 
 1》“先読み力”のトレーニング?
 
 Aさんの異業種交流会では、先読み力をアップさせるために、
 まず、“何が読み切れていないか”という視点で不足点を探すことから
 着手したそうです。
 
 具体的には、たとえば年度末が来る3ヵ月前に今期の売上予想や
 利益見込みだけではなく、来期の見込み(予算)を立ててみること
などから、
 意識的に取り組んでみたということです。
 
 するとまず、売上にしろコストにしろ、スラスラと予測できる部分と
 イメージが湧かない部分
がはっきりするといいます。
 
 そのイメージが湧かない部分が“先を読めていない”部分で、Aさんは、
 だいたい思わぬ損失はその部分から生まれているのではないか
 感じるケースが多いと言われていました。
 
 
 2》見えない部分の発見と更に…
 
 実際に、仮説として立てた見込みを実績と比較できるのは、
 まだ先のことですが、その際に困らないよう、次回のテーマは
 予算管理法(単年度計画法)にしよう
というのが、
 異業種交流会での大勢だったそうです。
 
 仮説は、それを作る段階から、実は十分には見えていない部分
 特定してくれるという効果をもたらしますが、その仮説を丁寧に実績と
 比較することで、先の婦人服流通業者のように、得難い経営勘の蓄積をも
 生み出してくれるはずです。
 
 
 3》“先見性”“先読み力”が重要になった現代で…
 
 まじめに頑張っていれば、まず間違いないという時代は去り、
 先を読む力が、様々な経営分野で求められる状況になってまいりました。
 
 しかし、先読みの力は短兵急につくものではなさそうです。
 そして、簡単には得られないものだからこそ、
 経営ノウハウとして非常に重要
なものなのでしょう。
 
 そうした他社が真似のできない“経営勘”の養成のために、
 弊事務所でお手伝いできることはないか、と考える今日この頃なのです。

 先日発生した新潟県中越沖地震
 被災された方々にはお見舞い申し上げます。
 
 この地震は名前のとおり新潟を中心とした地震でしたが、
 この地震により、トヨタをはじめとした日本の自動車メーカーが
 生産中止に追い込まれました。
 
 エンジンのピストンリングなどを製作している
 リケンの生産がストップしたためです。
 
 余分な在庫を持たないかんばん方式の弱点を突かれた格好となった訳です。
 
 「だから在庫を持たなきゃいけないんだ」
 と言ったメーカーをわたしは知っていますが、それはないでしょうね(苦笑)
 
 おそらく言われているように、
 今後は生産拠点を分散してリスクを軽減する方向に向かっていくと思います。
 
 それよりもわたしは、2000年9月に起きた東海豪雨で見せた、
 ”被災した人たちの生活よりも、企業の建て直しを優先させた”
 という姿勢が、今回はないようにしてほしいと思うのであります。
 
 【1】セミナー会場で見た“婦人服”商談スペース
 
 1》オフィス・ビル内の仮設ショップ?
 
 地域の異業種交流会で“世話役”をされているAさんが、
 “経営セミナー”に出かけた時のことです。
 
 セミナー会場に早く到着し過ぎたAさんは、
 何気なしにビルの中を散策していました。
 
 すると、あるフロアーに季節ものの婦人服が、
 急ごしらえのショップのように展示されているのが見えたそうです。
 
 それどころか、いくつかの会議室には、
 内部にぎっしり“おしゃれな服や小物”が飾ってありました。
 
 部屋の中から驚いたような目を向ける“係員”を無視して、
 Aさんはどんどん“ショップ”の中に入って行きました。
 
 あれこれと“見学”していると、しびれを切らしたのか、
 一人の“係員”がAさんに声をかけてきました。
 どうやら注意をしにやって来たようです。
 
 
 2》そこは“商談会場”だった…
 
 実は、そこは、来年の婦人服の商談会場だったのです。
 そこでは、婦人服メーカーが小売店を集めて商品を見せ、
 小売店はその中から仕入商品を決めるわけです。
 
 会議室の隅にはテーブルがあり、確かに何人かが“商談”をしていました。
 どう見ても婦人服の流通関係者には見えないAさんが入って来て、
 メーカーの担当者も当初は警戒したようでしたが、
 その後Aさんに親しみを感じたのか、“商談”の仕組みを教えてくれました。
 
 来年流行する服が、今、目の前にあるわけです。
 
 
 3》それは簡単な仕組みなのか…?
 
 話を聞きながら『デザイナーが予め決めた流行が宣伝され、
 それをメーカーが作って小売店が売る…、いい仕組みだなあ』と、
 Aさんはまず思ったそうです。予め流行を作った上で、
 ユーザーを先導するなら、こんなに楽なことはありません。
 ユーザーニーズを分析する必要もないからです。
 
 しかし『こんな造られた流行に振り回される女性は…』と
 非常に否定的な気持ちになった時、ふと、この商売の難しさに気付いた
 Aさんは言います。
 
 
 【2】“売れ筋”選定眼を経営勉強会のテーマに…!
 
 1》次回の異業種交流会テーマが決まった…
 
 “今流行している、昔のブルマ(女児の体操着)に似せて
 裾に丸みをもたせたスカート”などのように、はっきりしたものを作ると、
 確かにユーザーには訴求しやすいでしょうが、ではその中から実際に
 “どのスカート”を選んで仕入れるかとなると、
 必ずしも簡単ではありません。
 同じ種類のデザインの商品でも、色や微細な装飾の差などで、
 売れるものと売れないものの差が出るからです。
 小売店側には選定眼が不可欠です。
 
 そんな思いの中でAさんは、ふと次回異業種交流会のテーマを、
 “売れる商品を選ぶ目:ユーザーニーズの見分け方”にしようとひらめき、
 話をしてくれる人を探すことにしました。
 
 
 2》勉強にならない“感性”主義者?
 
 さっそく知人から二人の講師候補者の紹介を受けましたが、
 一人はやたらに“感性”を強調するのみでした。
 
 『自分が一番好きな服を選ぶと、不思議にそれが売れる』と主張するのです。
 多分事実なのでしょうが、聞いていて勉強になりません。
 “感性”主張者の中には、確かに天才肌の人もいますが、
 大部分は『その場その場の思いつきで行動しているに過ぎない』と、
 Aさんは常日頃から警戒していたのです。
 
 もう一人の候補者も、一見“感性”主義者のようでしたが、
 少し様子が違っていました。
 
 
 3》仮説を作るだけでも意味があるのに…
 
 その講師候補は、まず店に来る常連や最近来店して印象に残った人など
 一人一人時間をかけて想起するのだそうです。
 そして、その人たちに“どんな服が似合うか”を考えます。
 
 しかも、あの人はきっとこれを買う、
 別の人はこれを買うと仮説を作ると言います。
 その仮説はパソコンにデータとして残します。
 
 そうして、決めやすかった服から仕入れるそうです。
 そこまででも十分意味があるように感じますが、
 その人には“更にその次”がありました。
 
 仕入れる時に“仮説”を作るだけではなく、その仮説を細かく“記録”に
 残し、実際に売る段階で、それを一つ一つ“検証”して行くのです。
 
 その“概要”は次のようでした。


  ~ 以降、次回に続く ~

 65歳から69歳の人たちの携帯電話使用率は約54%、
 一方パソコンの使用率は約25%だそうです。

 日本は、パソコンのソフトやコンテンツはパッとしないが、
 携帯の方のソレは、逆に世界の先端を行っている、という感じがします。

 そして今夏の携帯電話のトレンドは、
 スマートフォンという、パソコンに近づいた携帯。

 20代前半より若い世代も、
 パソコンより携帯電話の方でネットを見ているという調査もあります。

 このあたりに、今後のITの方向性が見られるように思えますね。

 

 もっともコレは、日本独特なものだとも言えるので、
 そのあたりの見極めは重要になってきますよ。

 以前、東京新聞の夕刊やラジオのニュースで、
 失業率が9年ぶりに4%を割り、3.8%になったと報じられておりました。


 これは企業業績が堅調に拡大し、
 団塊の世代が退職期を迎えだしたために
 新卒の採用が増えたとの分析です。

 私は昔からどうもこの失業率というのが理解できないでいるのです。

 政府は失業率が下がってきたから景気が回復してきたとか
 企業の業績がアップしてきたから景気もよくなるだろうと報じるが、
 では一体何故、今でも日本の債務がどんどん増えているのか
 不思議でなりません。

 リアルタイム財政赤字カウンター

 
 景気が良くなり、失業率も回復してきたなら何故給与がアップしたり、
 年金の受取り幅も改善できないのか?

 いまどこの企業も派遣社員やらパート、季節労働者の雇用に力を入れ、
 所謂ボーナスを支給しなくてもよい準社員を
 多く雇用しているのが現状なのです。

 しかも、失業率の定義は、
 完全失業者数 ÷(就業者数+完全失業者数)×100

 という公式があるようだが、これには仕事がなくて、
 仕事したくても仕事を探していない人はカウントされないようだ。

 あと、仕事がないから仕方なくパートやアルバイトをしている人も
 これには当てはまらないようだ。

 しかも田舎へ行けば行くほど賃金格差が増大する。
 北海道の札幌市以外ではほとんど、
 年齢関係なく最低賃金の時給644円なのだ。

 私は、飲食店も経営しているので、人集めには苦労したものだが、
 今名古屋では、時給850円支払っても
 なかなか飲食店には人が集まらないのが現状だ。

 今日の新聞にも東京へ一極集中し、地方都市は更に過疎化するようだ。

 少子高齢化を迎え、若者はパラサイトシングルやニート、
 団塊の世代は年金暮らしとなると、出て行く一方で、
 税収が全くないと一緒のことだ。


 もっと、誰でも理解できるちゃんとした失業率というものにしたいものだ。

2007年6月30日(土)に、

岐阜県瑞浪市の『柳家 』にて、深山料理をいただいてまいりました。


柳家 』さんの外観



フランスなどで言うジビエ料理です。

ジビエという言葉は日本人にはあまり馴染がないかと思いますが、

狩猟による鳥獣肉をジビエといいます。




当日は14名のみなさまにお集まりいただきました。
(遠路はるばる東京からご参加された方も見えました)



 ・天然鮎
 ・ヘボ(蜂の子)
 ・わさびの漬物
 ・天然うなぎ
 ・蝦夷鹿
 ・自然の鴨
 ・鮎雑炊  をいただきました。



郡上の天然鮎の塩焼です。
なんと2尾もいただきました。
1尾は塩焼きをそのまま、
2尾目は塩焼きしたものをお酢をつけていただきました。

お酢をつけて塩焼きをいただいたのは初めてでしたが、とても合いますよ





郡上の天然鰻の蒲焼です。
メチャクチャ柔らかです。
一口食して、養殖との歴然とした差がわかります。




天然鴨のネギ間、心臓、砂肝


天然鴨のネギ間、心臓、砂肝です。
ネギ間は、使われた皮はもちろん美味いですが、
それ故にとでも言いましょうか、脇役的なネギが最高に美味かったです。
(個人的にはこれがイチ押しです)

心臓は奥が深い味
そして、砂肝は、チェーン店にある砂肝と同じ砂肝という名前を使うのが
失礼なくらいの柔らかさでした。
(串から上がる美味そうな煙がわかりますか?)



蝦夷鹿のロースト!!!


蝦夷鹿のローストです。
メタボリックなんて向こうに行け!ってくらい油部分が美味かったです。
もちろん、赤味の部分もサイコーでございますです。
(クドイようですが、串から上がる煙がわかりますか? (笑))




う~ん、『美味い』としか書けない自分の表現力の無さがナサケナイ(苦笑)


今回いただいた料理の美味さに、わたくしいたく感動いたしました。

ここで宣言しておきます。


秋(または冬)の、鍋物中心の料理をいただくツアーも開催いたします!

今回参加いただいた方も、そうでない方も、

今からそちらの告知を楽しみにお待ち下さい。



柳家 』さん、ありがとうございました。

またよろしくお願いします

 【3】“気温”では気付きがあったが“経営”では…?
 
 1》細かく見ると気付きが増える!
 
 気温の変化を考えても、“平均気温”だけを見ると、
 下のグラフのように、ただ上昇傾向しか見えません。
 
 
 そして漠然と“温暖化”を感じることしかできないのです。
 
 ところが、前回のグラフのように、
 総合平均を“一日の最高気温と最低気温”の
 それぞれの月平均に分けただけで、実態の見え方が大きく変わってきます。
 
 『データを細かく見るだけで、こんなに気付きが増える』と、
 それがAさんの驚きだったのです。
 
 
 2》それは経営にも言えること…?
 
 そして、それは店の“経営”にも言えることではないかと、
 Aさんは考えました。
 つまり、儲かったとか儲からないとか、総合的な結果しか見ないから、
 商売の実態も顧客の動向も十分に見えていないのではないかという思いが、
 腹の底から湧いてくるように感じたのです。
 
 そこでAさんは、気象データ分析?をやめ、
 現実的な経営データについて考え始めました。
 
 マネジメント上でも、
 もっとデータによって気付きを増やすことはできないだろうかと…。
 
 
 3》勉強してはみたものの…
 
 そこで今度は書店に行き、経営分析経営指標に関する書籍を探し、
 何冊か買って来ました。
 『こんなに本を読むのは久しぶりだ』と言いながら、
 Aさんは2週間で3冊の本を読みました。
 
 ところが、その感想は意外にも、
 『なんだかピンと来ない』というものだったのです。
 
 気温のデータでは、あんなに短い時間に驚くほどの“気付き”があったのに、
 なぜマネジメントの話になると、ピンと来ないのでしょうか。
 そこには2つの理由がありました。
 
 
 【4】知識としての“経営分析”が役立たない理由
 
 1》経営指標で分かるのは“対世間レベル”
 
 Aさんがマネジメントの本を読んで、ピンと来なかった理由の1つは、
 そうした書籍の多くが“内側から経営を見る”のではなく、
 部外者として企業の業績や体力を外側から比較するために
 書かれたものだからです。
 
 たとえば投資家が投資をし、銀行が融資をする際、
 優良企業とそうでない企業を見分けるために、分析視点や指標を
 持つわけです。
 もちろん、自社の優良性の世間的レベルをつかめるという意味では
 指標は参考になりますし、売上高利益率など指標を決めて、
 経営改善を図る基準にするという活用は可能です。
 
 しかし“自社の実態を知る”際には、
 それほど直接的に役立つものではないのです。
 
 
 2》レジ伝票で“現場”データを収集
 
 そこで、Aさんは何か自分で納得できる“データ”を作ってみることに
 しました。
 そして、たまたま昨年からとり始めた“客単価”データを
 より充実させることにしたのです。
 
 具体的には、レジ伝票の裏に『満足度、人数、時間帯、支払者の年齢層』の
 4つを素早く記号で書くことから始めました。
 たとえば、夜の7時から9時半まで50歳代の人が3人連れでやって来て、
 顧客が満足そうに帰ったら、M(満足度)3ポイント、P3、700~930、
 50前半などと書き込むことにしたそうです。
 
 満足度は1~3で表現し、Pは人数、700~930は時間帯、
 50前半は支払者の年齢です。
 
 
 3》何がしたいかが不明なら知識は役立たない?
 
 そもそも“客単価”データをとり始めたのは、来店者数が伸び悩む中で、
 いかに収入を上げるかの答が“客単価アップ”と“リピート促進”にあると、
 Aさんが考えていたからです。
 
 そして、単価アップとリピート促進策を企画する前に、どんな客が高単価で
 リピートするかを実際的に観察してみたくなったわけです。
 これで書籍がピンと来なかった2つ目の理由を解消したことになります。
 
 何がしたいかが決まらなければ、データや分析を知識として学んでも、
 必ずしも役には立たないということです。
 
 
 【5】自分流“現場データ”の副次効果と着眼点!
 
 1》意外に早く出た“(副次)効果”
 
 Aさんのデータ化戦略?は、まだ始まったばかりですが、
 早々から効果が出ているといいます。その第一は
 “1.自分も従業員も顧客をよく観察するようになった”ために、
 自然とサービスがきめ細かくなったということです。
 店の空気が変わりました。
 
 そしてそれが、飲み物やデザートなどを“2.タイミングよく勧める
 姿勢を喚起し、顧客に満足していない様子が見えたら
 “3.何が不満だったかを皆で考える”習慣にもつながりました。
 
 単に機械的に仕事に取り組むのではなく、目的を持ってデータ収集を行うと、
 1.顧客観察力アップ、2.営業姿勢向上、3.サービスの反省
 が、比較的自然な形で発揮されたというわけです。
 
 
 2》本当の“効果”はこれから出る
 
 客単価自体の分析は、まだ先のテーマですが、
 その際にも先の気温分析のように、月平均等を比べるに留まらず、
 たとえば支払額の大きさ、年齢、人数、時間帯などの分析視点を決めて、
 満足度やリピート度との“関連”を探し始めると、
 驚くような発見が多々あるはずなのです。
 
 その意味で、Aさんの店の来年が楽しみです。
 
 
 3》有効な“着眼点”に至るには…
 
 以上のように“現場のデータ”は、変化を的確に把握する上で非常に重要な
 示唆を与えてくれますが、何を着眼点としてデータをとるかについては、
 自社の状況と経営方針などを踏まえ、個々に決めて行かなければならない
 ものなのです。
 
 書籍には、様々なヒントはあっても決して答はありません。
 Aさんのケースでは“客単価”という明確な視点がありましたが、
 そうした着眼点が見つかっていない場合は、着眼点を見つけるためにも、
 まずは日常の業績管理をしっかり行うことからお勧めします。
 
 あるいは、はじき出された業績を、
 気持ちをいったん白紙にして眺め直してみるのもよいかも知れません。
 
 それが事実をしっかり反映した業績管理であれば、
 経営視点を見つけ出すことも、それほど困難ではないはずです。
 
 食肉加工販売会社ミートホープのミンチ偽装問題は、
 どんどんボロが出てきて問題が大きくなる一方のようですね。
 
 田中稔社長の応対は、笑って喋るなど、
 最初から良いものではなかったですが、
 
 「もちろん私が一番悪いんですけども・・・
  消費者自体も安いものばかり求めるから」
 
 なんて、一般消費者にも責任があると言う発言を聞くと、
 もはや単なるバカ者だと思ったのは、
 わたしだけではないですよね?
 
 このミートホープ、当然ですが会社休業となり、社員は全員解雇だそうです。

 バカ者経営者のせいで従業員はとばっちりをくい、
 今後の再建の道は苦しいでしょうが、
 ひとつだけ救いなのは、
 会見でノラリクラリとシラを切っていた田中社長の態度を正させた、
 長男の田中等取締役が居るという点ではないでしょうか。
 
 まだまだ先の話ですが、次の舵取りが田中等取締役になってからの
 ミートホープに注目したいと思います。
 
 【1】暖冬なのに“冬物”が好調だったブランド店

 1》暖冬なのに売れている?
 
 記録的な暖冬の影響で、得意の“鍋料理”が売れなかった
 和食レストランを経営するAさんが、3月に入ったある日、
 奥様と一緒にブランドショップに行ったそうです。
 そこで、奥様が洋服選びをしている間、
 その店の女主人と談話になりました。
 
 それは
 『今年は暖冬で、売れるものが売れないね』
 という“天候”の話題ですが、
 その日はいつもの“無難な話”に留まることはありませんでした。
 なぜならAさんが
 『コートが売れずに大変だったでしょう?』
 と聞いたのに対し、女主人が、
 『いえ、うちの冬物はいつもと同じように買っていただいています』
 と答えたからです。
 
 
 2》暖冬は“軽微”という予報
 
 しかも今、“春物”が比較的好調で、
 それなりに“景気”がよいというのです。
 
 テレビのニュースで“暖房器具や冬物コートの
 売れ行きが悪い”と聞いていたAさんは、
 なんだか妙な気がして調べてみたくなったそうなのです。

 
 そこでまず、過去の新聞記事を検索すると
 2006年12月25日付けの
 NIKKEI NETの記事が見つかりました。
 気象庁が今年の1~3月の気温予想をしたものです。
 そしてその記事には、
 暖冬をもたらすエルニーニョ現象は小規模なため、
 極端な暖冬にはならない
とありました。

 
 3》同じ高級店で売れ行きが違う
 
 『だから私は油断してしまったし、
  ブランド店の冬物は昨年中に売れたのだろう…』
 とAさんは納得しながら、それでも気になって、
 今度は気象データを調べてみたくなったのです。
 
 まだ疑問が残っていたからです。
 
 それは、もしもあの店が高級であるために、
 暖冬でも冬物販売が好調だったとしたら、
 なぜ、うちの鍋料理は売れなかったかという、
 なんだかスッキリしない思いだったのです。
 
 Aさんの店も高級店の部類でした。
 

 【2】最高と最低をとらえて初めて見えた暖冬実態

 1》平均だけでは分からなかった…
 
 何の気なしに2月の気温の推移を見ているうち、
 Aさんは妙なことに気付きました。
 
 平均気温1本だけで見ると、
 確かに“地球温暖化”のような大きな傾向しか見えませんが、
 一日の最高気温と最低気温を月中平均したもの
には、
 ある傾向が見られたからです。
 
 Aさんは、その傾向をより見やすくするよう、
 次のようなグラフを作ってみました。

20070626グラフ

 2》一日の最低気温の平均が上昇!
 
 戦後の1945年から2007年まで、
 毎年の2月(東京都)の一日の最高気温と
 最低気温の月中平均を並べてみると、
 明らかに最低気温の上がり方の方が
 最高気温より激しい
のです。

 温暖化、つまり平均気温の上昇には、
 “暖かくなる”というより“寒くならない”
 影響の方が強かったわけです。
 
 Aさんは、こんなグラフを見ながら、
 たとえば、お気に入りのコートを
 着るのがガマンできないほど暖かい日は少なくとも、
 鍋が恋しくなるほどに寒い日が減った
 
というイメージに至ったのです。
 
 
 3》それ以外の地域や時期では…
 
 同じような傾向が、東京だけではなく京都のデータでも出ました。

 また2月だけではなく真夏の8月も、
 最低気温の平均が高くなることで“暑い夏”を形成していたのです。
 
 さらに『世界的に赤道ではなく
 寒い地方の高温化が進んでいるとしたら、
 地球の平均気温差以上に両極の氷が解けるのは当然だ』
 などと考えながら、
 Aさんは再び経営に考えをめぐらせました。


 先日の5月1日をもって、「会社法」がスタートしてまる1年が経過しました。

 昨年の同じ頃は、書店にいっても「会社法コーナー」。

 連日のように、さまざまな団体が「会社法セミナー」を開催し、
 さながら「会社法バブル」の様相だったことが懐かしく感じます。

 この1年の間に、会社法に対応するために各種の手続をされた方、
 様子見していた方、さまざまだったと思いますが、さすがに経営者の方で、
 「会社法ってなに?」と言われる方は
 もうおみえにならないのではないでしょうか。

 その「会社法1周年」の先日5月1日に、中小企業庁が
 「中小企業における会社法の活用状況について
 という調査結果を発表いたしました。


 これは、タイトルでもお分かりのとおり、中小企業(有効回答約4000社)
 に対するアンケート等により、中小企業が会社法に対して
 いかにリアクションをしたか?を調べたものです。

 そのなかで「種類株式等の導入状況」という項目がありますが、
 「種類株式等を導入している企業」はなんと、たった3%!

 「種類株式」というものを知らなかった企業も約25%ありました。


 会社法のなかで一番、経営に役立つと言われる「種類株式」なんですが、
 予想以上に認知度が低いようです。これはたいへん、勿体ない!


 そこで、ここではその「経営に役立つツール」である「種類株式」について
 簡単に触れてみようと思います。


 ふつう「株式」というと、自分がお金を出した分だけ、
 株主総会での議決権や配当をうける権利が与えられます。

 たとえば、ある会社の1株の価格が1万円であれば、
 10万円出して株式を買った人は10個の議決権が、
 100万円出した人は100個の議決権が与えられる、というものですね。

 ところが、お金をいくら出したかに関わらず
 「種類株式」というものを使うことで、
 例えば、その株式を持っている人は…

 1.株主総会での議決権をゼロにする

 2.配当についてほかの株主より優先的にもらえる

 ということができるようになるのです。

 さらに…


 3.その株主がダメといえば、
   どれだけ多くの賛成があってもその議案は否決される

 4.最初に決めていた価格で会社に買い取ってもらえる

 など、「種類株式」を活用することで、
 会社や株主(出資する人)のニーズに合わせて
 いろいろな株式をつくりだすことができるというわけです。

 さらにイレギュラーな形として、

 5.Aさんには1株について10個の議決権がある

 などという、おどろきの設計!まで可能に。


 このように経営上のさまざまな場面、
 たとえば資金調達、事業の承継、危機管理などにおいて、
 活用しだいで「使えるツール」となる「種類株式」。

 これを使う使わないは、それぞれの企業の自由ですが、
 この制度を知らないというのは「宝のもちぐされ」ではないでしょうか。。。

 1年を迎え新しいステージに向かうであろう会社法下の社会。
 いよいよ会社法を使いこなす企業とまったく使えない企業の差が
 現れてくるものと思います。


 会社法は、何らかの形で企業、
 とくに中小企業にとって「使える武器」になるはずです。

 もう一度、会社法を注目しても損はありません。
 それどころが思わぬ宝が見つかるかもしれませんよ。