先日の5月1日をもって、「会社法」がスタートしてまる1年が経過しました。

 昨年の同じ頃は、書店にいっても「会社法コーナー」。

 連日のように、さまざまな団体が「会社法セミナー」を開催し、
 さながら「会社法バブル」の様相だったことが懐かしく感じます。

 この1年の間に、会社法に対応するために各種の手続をされた方、
 様子見していた方、さまざまだったと思いますが、さすがに経営者の方で、
 「会社法ってなに?」と言われる方は
 もうおみえにならないのではないでしょうか。

 その「会社法1周年」の先日5月1日に、中小企業庁が
 「中小企業における会社法の活用状況について
 という調査結果を発表いたしました。


 これは、タイトルでもお分かりのとおり、中小企業(有効回答約4000社)
 に対するアンケート等により、中小企業が会社法に対して
 いかにリアクションをしたか?を調べたものです。

 そのなかで「種類株式等の導入状況」という項目がありますが、
 「種類株式等を導入している企業」はなんと、たった3%!

 「種類株式」というものを知らなかった企業も約25%ありました。


 会社法のなかで一番、経営に役立つと言われる「種類株式」なんですが、
 予想以上に認知度が低いようです。これはたいへん、勿体ない!


 そこで、ここではその「経営に役立つツール」である「種類株式」について
 簡単に触れてみようと思います。


 ふつう「株式」というと、自分がお金を出した分だけ、
 株主総会での議決権や配当をうける権利が与えられます。

 たとえば、ある会社の1株の価格が1万円であれば、
 10万円出して株式を買った人は10個の議決権が、
 100万円出した人は100個の議決権が与えられる、というものですね。

 ところが、お金をいくら出したかに関わらず
 「種類株式」というものを使うことで、
 例えば、その株式を持っている人は…

 1.株主総会での議決権をゼロにする

 2.配当についてほかの株主より優先的にもらえる

 ということができるようになるのです。

 さらに…


 3.その株主がダメといえば、
   どれだけ多くの賛成があってもその議案は否決される

 4.最初に決めていた価格で会社に買い取ってもらえる

 など、「種類株式」を活用することで、
 会社や株主(出資する人)のニーズに合わせて
 いろいろな株式をつくりだすことができるというわけです。

 さらにイレギュラーな形として、

 5.Aさんには1株について10個の議決権がある

 などという、おどろきの設計!まで可能に。


 このように経営上のさまざまな場面、
 たとえば資金調達、事業の承継、危機管理などにおいて、
 活用しだいで「使えるツール」となる「種類株式」。

 これを使う使わないは、それぞれの企業の自由ですが、
 この制度を知らないというのは「宝のもちぐされ」ではないでしょうか。。。

 1年を迎え新しいステージに向かうであろう会社法下の社会。
 いよいよ会社法を使いこなす企業とまったく使えない企業の差が
 現れてくるものと思います。


 会社法は、何らかの形で企業、
 とくに中小企業にとって「使える武器」になるはずです。

 もう一度、会社法を注目しても損はありません。
 それどころが思わぬ宝が見つかるかもしれませんよ。