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長崎の「淳ちゃん事件」とは….

 

「では最後に、長崎の寿司文化にまつわる“事件”を一つご紹介しましょう。地元では“淳ちゃん事件”と呼ばれているんですが……」

「淳ちゃん事件?なんですかそれ」
と大杉主任が食いついた。

「もう半世紀以上前の話だそうです。転勤で長崎に引っ越してきた、東京育ちの小学校低学年の男の子――名前を淳司くんといいます。その子がある日、家族と一緒に寿司屋に行って、大好きな“鉄火巻”を頼んだんです」

「うんうん」
と大杉主任。

「ところが、出てきた鉄火巻を見て、彼は泣き崩れてしまった。“ちがう、ちがう”と」
と亀田主任。

「……え、なにそれ。なんで?」
と首をかしげる大杉主任の目の前に、1枚の写真が差し出された。

 

「……白い鉄火巻?」
と目を丸くする。

「なるほど……ブリ、ハマチ、ヒラス(ヒラマサ)というところですか」
と天野次長は会議室の天井を見ながら、何かを思案している様子。

 



「大杉さん、長崎では、10年くらい前までは、そもそも“マグロを食べる”という習慣自体があまり無かったのよ」
と天野次長が語り出す。

「へぇ、そうなんですか」

「今では、私の実家がある対馬でもマグロの養殖が盛ん。でも、ブランディングして都市部に出荷するのがほとんどで、地元で日常的に食べられてるわけじゃないの」

「マグロを食べない長崎……ちょっと意外ですね」

その時、天野次長がふと表情を引き締めた。

「亀田さん……私たち今、とんでもないことに足を突っ込みかけてる気がしませんか?」

「そうですね。これはもう――日本、いや世界を巻き込む“海洋資源未来図”ですよ」
と、亀田主任も冗談めかしながら、どこか確信めいた口調で応えた。

「次回、長崎を訪問される際は、『ながさきオーシャン・エコノミー』の代表、矢野先生をご紹介しましょう。きっと面白い話が聞けますよ」

「ぜひお願いします」
と天野次長が力強く答えた。

こうして、その日のすべての予定が、穏やかな夕方の空気のなかで締めくくられた。


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長崎の寿司文化

 

「これが、6月12日付の長崎市の評価シートです」
と亀田主任は、新しいページを開いて見せた。

『新産業・起業チャレンジ促進事業』としての位置づけ(2024年6月12日)
地場企業の事業拡大、新分野への展開


スタートアップの育成
地場企業×都市部企業等のマッチングによるオープンイノベーションの推進
新たなビジネスモデルによる起業促進・事業創出
これらを通じて、「新産業の“種”」を発掘・育成することを目的とする。


長崎の魚にまつわる話題でミーティングは思いのほか盛り上がり、ふと時計を見ると、すでに午後4時を回っていた。

「最後に、“長崎と寿司”の関係について少しだけ触れておきましょうか」
と亀田主任が、語り口を少し柔らかくした。

「長崎の寿司文化を総括するにはまだ材料が足りませんが……昔は“寿司といえば、家で家族みんなで寿司桶を囲むもの”だった。それが、今では“家族で回転寿司に出かけて楽しむもの”に変わった――そういう時代の移り変わりがあると思います」

「なるほど、それは分かりやすい変化ですね」
と天野次長が頷く。

 


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長崎「さしみシティ」プロジェクトの総括は…。

 

2024年6月11日 総括レポートより抜粋

「長崎の魚」の認知度向上に向けて、キャッチコピー・ロゴマーク「さしみシティ」を掲げ、全体のブランドプロモーションを進めているものの、観光客がイメージしやすい具体的なグルメとしてのプロモーションは十分でないため、具体的なグルメとしての「長崎の魚」の認知度の向上につながっていない。

読み終わると同時に、室内に微妙な沈黙が流れた。

「……ダ、ダメじゃないですか〜!」
思わず大杉主任が、声を上げてしまった。

「いや、ほんとに。惜しいところまでは来てるんでしょうけどね」
と天野次長が苦笑まじりにフォローする。

亀田主任も、少し照れたように頷きながら、
「課題は山積みです。でも、挑戦は始まったばかりですから」
と、ふたたび資料に目を落とした。

 



しばらく沈黙が続いたあと、亀田主任がふたたび立ち上がり、会議室のキャビネットへと向かった。
手に取ったのは、A4サイズの白い紙ファイル。背表紙には「おさかなサブスク」と、テプラが貼られている。

「こちらも、少しユニークな取り組みなんですが――」

ファイルを開いた亀田主任が説明を始めた。

「“おさかなサブスク”というのは、一言で言えば“パーソナライズされた魚の定期便”です。最新の冷凍技術『凍眠』を使って、鮮度とおいしさを保ったまま、魚種豊富な長崎の魚を個人向けにお届けする仕組みです」

 


刺身の組み合わせは月2回、利用者の自宅へ配送される。冷凍庫を開ければ、いつでも魚がある――そんな新しいライフスタイルを提案しているのだという。

「県内外の企業が連携して始めた“オープンイノベーション”の成果でもあります。いわば、長崎発の“魚の未来”を探るプロジェクトですね」
亀田主任はそう言って、にこりと笑った。

キャッチフレーズは、
「常備菜ならぬ“常備魚”。常に冷凍庫にさかながある生活。」

「直近の評価は、どうなんでしょうか?」
と天野次長がたずねた。


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長崎「さしみシティ」プロジェクト

 

長崎「さしみシティ」プロジェクト
予算:2,686万円
活動期間:2021年4月1日〜2024年3月31日



会議室のテーブルに広げられた資料を前に、亀田主任が静かに説明を始めた。

「この『さしみシティ』プロジェクトはですね、刺身をはじめとする“魚の美味しいまち・長崎”の魅力を、市民や企業など多様な主体が主体的にPRしていこう、というものです。市が主体ではなく、市民側が中心となり、市と協調して展開する地域ブランド事業として位置付けられています」

「つまり……住民参加型の魚推し、ということですね」
天野次長が要点を確認する。

「そうです、まさにその通りです」

「へぇ~」と大杉主任が声を漏らし、ページをめくる。

「すでに事業期間は終了しているようですが、総括などは行われたんでしょうか?」
天野次長が尋ねる。

「はい、こちらがその総括になります」
亀田主任はファイルの表紙をめくり、綴じられた1ページ目の記事を示した。


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では、教えていただきましょうか。

 

「では、亀田さんの“おすすめ寿司店”を3つ、ぜひ教えていただけますか?」
と大杉主任がたずねる。

「寿司店ですか?うーん……」
少し考え込んでから、亀田主任がぽつり。

「……正直言って、ここ10~15年ほど、寿司“専門店”には行ってませんね。回転寿司なら家族と行きますけど。あれも、けっこう美味しいと思いますよ」

「では、魚料理全般ではどうでしょう?お刺身でも海鮮丼でも構いません」
と天野次長がやんわりと畳みかける。

「魚料理ですか?うーん……」
再び沈黙が流れ、数秒後――

「どこの店も、うまいですよ。ほんとに」
と亀田主任が、まっすぐに言った。

「そうですよねぇ」
と天野次長と大杉主任が、思わず声をそろえる。

 



一瞬の静寂。ふいに天野次長が言葉を継いだ。

「こんなに魚が美味しいのに、なぜ金沢のように、県外の観光客にもっとPRしないんでしょうか?」

その問いに、亀田主任は一呼吸置いてから、静かに言った。

「正直に申し上げますと――長崎市がやってます」
そう言いながら、キャビネットから一冊のファイルを取り出し、ふたりに手渡してきた。


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―8月、K-1にて―


8月に入った。
俺はK-1を一往復したあと、木陰で休んでいた。
そこへθ(シータ)がやって来て、俺に声をかけてきた。

「山ちゃん、熱中症だな。熱中症。」

「いやいや、熱中症には若い頃、上海のゴルフ場で一度なったことがあるけど、こんなもんじゃないよ。」

θはニヤリと笑って言った。
「山ちゃんじゃないよ。タイヤ、タイヤ。フロントタイヤだってば。」

促されるまま、俺はCB650Rのフロントタイヤをのぞき込んだ。




「あー、こりゃそろそろ交換かな……」と俺がつぶやくと、θはわざとらしく周りに聞こえるような声で言った。

「そのタイヤ、山ちゃんのライディングの下手さ、如実に出てますなぁ。」

すると、周囲にいた仲間たちが次々と俺のバイクの前輪のあたりに集まってきた。
θが腕を組んで言う。

「『コース取りが悪い』、あるいは『前輪荷重が過ぎる』、もしくは『コーナーでハンドルに力を入れすぎ』……いや、山ちゃんの走りは、三つ全部乗せかもしれんな。」

「そんなことあるか?」と俺が言うと、
θは笑いながら、「みんなのバイクの前輪、見てみろよ」と言った。

言われるがまま、俺は他の5台のバイクを順に見て回った。
……本当に、どのタイヤもサイドが綺麗なもんだった。溶けてもいないし、荒れてもいない。

「だろ。」
θは満足そうな顔をしていた。

――8月の週末、俺は、ライディングの悪癖をまざまざと突きつけられたのだった。

 

 

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ながさき地域戦略研究所

 

「大阪ビジネスコンサルタンツの天野次長と大杉主任ですね。お待ちしておりました」
迎えてくれたのは、主任調査役の亀田氏。落ち着いた声と柔らかな笑顔が印象的だった。

 



「千﨑部長から、今朝も念押しの電話がありましたよ。“質問には正直に答えろ”ってね」
亀田主任調査役は笑いながら、二人を会議室へと案内してくれた。

「千﨑部長とは、福岡で開催された九州道州制の会議で意気投合して、中洲に飲みに行ったのがきっかけで仲良くなったんです」

「そうなんですね」
と天野次長が相づちを打つ。

「でもね、千﨑さんは、こちらに飲み代を払わせてくれないんですよ。結果、こっちは“借り”ができた状態になる。その後、何年にもわたって、ちょこちょことお願いごとがくる。こっちも断れない。……そういう構図です」

「はい、それ、全国展開してますね。全国で」
と大杉主任がニヤリと笑う。

 



「全国ですか。さすが千﨑さん……」
亀田主任も笑いながら肩をすくめた。

ふと表情を引き締め、亀田主任が本題に戻す。

「ところで、今日のミーティングのテーマは“長崎の魚事情”としか伺っていないのですが」

「はい。私たち、先日仕事で金沢に行ってきまして、近江町市場でお寿司と海鮮丼をいただいたんです」
と天野次長。

「近江町市場ですか……。実は私もコロナ前に行きました」

「で、その帰りの新幹線の中で、ふと調べてみたんです。人口10万人あたりの寿司店の数で、石川、富山、福井――いわゆる北陸3県がトップ。長崎は10位でした」

「大健闘…ですかね。実感はあまりわきませんが」
と亀田主任が少し苦笑する。


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それは、好みの問題です。

 

「おっと、ちゃんぽん来ましたね」



「うわ、おいしそう!」
と大杉主任の目が輝く。

「個人的な意見ですが、長崎の街中華で“ちゃんぽん”がまずい店って、ないと思います。まぁ、好みの問題ではありますけどね」

「ほんとに美味しい!」
大杉主任は、一口食べて、うれしそうに、冷房の効いた店内で湯気の立つ器を見つめていた。

食事を終えた一行は、徒歩で10分ほどの場所にある「ながさき地域戦略研究所」へと向かった。昼下がりの陽ざしのなか、路面電車の音を聞きながら、静かな街並みを歩く。

「私はここで失礼します。すぐ近くに『ながさき漁業協同センター』がありますので、そちらに戻ります」
と上田さんが足を止めた。

「すみません、何から何まで……」
天野次長が深々と頭を下げる。

「いえいえ、お安い御用ですよ」
上田さんはにこやかに手を振り、そのまま歩き去っていった。

その足で「ながさき地域戦略研究所」の建物を訪れると、受付ロビーに人の気配があった。


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長崎ちゃんぽん!

 

「では、お昼を食べに行きましょう。田山社長からは、駅前あたりで“ちゃんぽん”でも、と伺っていますが……」

「それでお願いします」
天野次長が頷いた。

「四海楼か江山楼かなぁ……」
大杉主任が楽しそうにつぶやく。

駅の東口を抜け、高架橋を登ったところで、天野次長はふと立ち止まり、振り返って長崎駅を見た。



「“100年に一度の変革期”…かぁ。すごいなぁ、長崎」

駅前の高架橋を渡ってすぐの場所に、目的の店があった。



「『中華大八』……?」
思わず目を丸くする大杉主任。

「ここ、うちの事務所からも近いんで、よく来るんですよ」
上田さんが穏やかに笑う。

「ちゃんぽんで、いいですか?」

「はい、お願いします」

料理ができるまでの間、天野次長は上田さんと話し込んでいた。話題は、自然と弟のことに及んだ。

「正直に言いますとね、うち――ながさき漁業協同センターと対馬の『厳原トレーディング』さんとは、直接の取引や関係はあまりないんですよ。ただ、先代の田山社長とは個人的なお付き合いがありまして」

「私の父ですね」

「ええ。実は私、以前は長崎県庁の水産部に長く勤めていまして。対馬にも異動で2度赴任しました。その頃、先代の田山さんには、プライベートでもずいぶんお世話になりました」

「夜に飲み屋に呼び出されたりも、しょっちゅうで……」
と苦笑しながら続ける上田さん。

「それは、父がご迷惑をおかけしました」
天野次長が頭を下げる。

「いえいえ、とんでもないです」
と手を振る上田さん。

「でも……対馬に“日本のアナゴのプライスリーダー”がいるなんて、知ってる人はほとんどいないでしょうね」
そう語る目には、少し誇らしげな光があった。


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シン長崎県庁舎

 

次の見学先は、長崎県庁舎だった。「出島メッセ長崎」の横の道路の向かいにその堂々たる姿が見える。


 

2018年1月から、この新庁舎で業務が始まっています。8階には展望テラスと展望室がありますので、そちらに行ってみましょう」
と上田さんが案内してくれた。

8階に上がると、開放感のある空間が広がっていた。大きな窓の向こうには、港と街がゆったりと広がっている。

 


 

「眺めがいいですねぇ」
思わず、大杉主任がスマートフォンを取り出し、景色を撮影した。

天野次長と大杉主任は、しばし黙って長崎の街並みを見つめた。ガラス越しに見下ろすその風景は、まさに変革の只中にある都市の姿だった。

「これが、長崎の“100年に一度”の再開発か……」

 


天野次長がぽつりと呟く。その言葉には、素直な驚きと敬意がにじんでいた。

「あそこに見える大きな建物が、長崎スタジアム・シティですよね?」
と大杉主任が指を差す。



「はい、そうです。スタジアム・シティは、2024年10月14日――スポーツの日にグランドオープンしました。今回は見学される予定ですか?」
と上田さんが尋ねる。

「残念ながら、今回はスケジュールの都合で、見学の時間が取れなかったんです」
天野次長が少し残念そうに答えた。

「そうでしたか。ぜひ次回、足を運んでみてください。おそらく、民間が建てた最初の大型スポーツ施設です。地域振興にスポーツの力がどう活かされているのか、実際に体感できると思いますよ」

「そうですね。次は必ず伺いたいと思います」

天野次長の言葉には、既に期待がこもっていた。


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