山中市長面談!(もちろん、フィクションです)
まだ、新築の香りがする小会議室で、我々三人は静かに待っていた。
やがて、バタバタと足音が近づいてきたかと思うと、山中市長と、市職員と思しき男性が慌ただしく入室してきた。
(市長はかりゆし姿だが、もう一人はスーツ姿だ)
名刺交換を済ませ、椅子に腰を下ろすと、自然と雑談に入る。
市長と一緒に現れた男性の名刺には、「総務部 防災危機管理課長 富口 公彦」とあった。
「今年の3月に、沖縄県の国民保護訓練を実施したんですよ」と富口課長が語り始めた。
「具体的には、離島からの住民避難と受け入れに関する机上訓練です。令和4年から続けてまして、国と沖縄県、そして先島五市町村※が連携して、有事を想定した訓練を実施しているんです。避難先は九州・山口方面です」
※石垣市、宮古島市、与那国町、竹富町、多良間村
「そのような訓練があったとは、大阪にいるとまったく耳に入りませんでした」と俺は率直に答えた。
「まぁ、正直に言えば――」と富口課長が苦笑する。
「不謹慎な言い方ですが、九州各県の皆様も、その内容を知らないが多いかもしれませんね」
「なるほど……」
国と地方自治体、そして離島という立地の制約。そこに有事という非日常が加われば、どれほど綿密にシミュレーションしても、実際の運用には課題が残るだろう。そう感じさせる説明だった。
富口課長が手元の資料から、写真を二枚取り出して見せた。
「なるほど、これはなかなか本格的な訓練ですね」と俺は素直な感想を述べた。
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