地域戦略部には戦略が無い(83) | cb650r-eのブログ

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八重山料理。実食。

 

車に乗り込むとすぐ、運転席の金城支店長が振り返って言った。
「お昼は、八重山料理を召し上がっていただきます」

 


 

「八重山料理ですか……」と俺は思わず口に出した。




目新しさは正直ないなぁ。

 

一通り、いただいてみる。


「旨い。本当においしいですね」と俺が言うと金城支店長が微笑んだ。

斬新というわけではない。むしろ、どの料理も、どこか懐かしさがにじむ不思議さ。

「正しい表現かどうか分かりませんけど。そう、全く違和感がない。むしろ、落ち着く味なんです」

「う~ん、そうなんですよ」と金城支店長が頷いた。
「おそらく、石垣島には長年、日本各地から観光客が訪れてきました。その影響で、知らず知らずのうちに、料理の味付けも本土寄りになっていったのかもしれませんね」
「なるほど。そういうことですか……」
言われてみれば、なるほど腑に落ちる。旅先で“地元の味”として提供されるものが、実は観光客の舌に合わせて進化してきた——そんな事情が、この島の料理にもあるのかもしれない。

「いやぁ、でも本当においしいですよ」
それは本心だった。味の奥に流れる、この島の時間と空気が、確かに俺には感じられた。

 

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