手加減というものを知らないやつ…。
8月30日、土曜日のK-1。
YAMAHA R1に跨るシータが、K-1の入口でエンジンに火を入れた。
「ピレリのディアブロの実力、見せてもらいましょうか」
還暦間近にしてもなお、挑発的な笑みを浮かべるその姿は若い頃と何も変わらない。
俺も続いてCB650Rを始動させ、シータの背中を追う。
一本目、上り。序盤はなんとか食らいつくが、中盤であっさり突き放され、終盤ではR1の姿すら見えなかった。
二本目の下りに至っては、最初から完全に置いていかれての一人旅。
「相変わらず手加減ってものがないなぁ、シータ」
ヘルメットを脱ぎながら声をかけると、先に休憩所に着いていたシータが、俺のバイクの右後方を眺めていた。

写真の左後ろには上原さんの超カスタムハーレの姿が…
「なに、この乙女チックなFILAバッグは…」
「おっと、またカスタムしちゃいましたけど、何か?」
「カスタムだと? ……だっせぇなぁ、お前ホントに」
そこへ、後から到着したハーレ乗りの上原君(彼も還暦)が笑いながら加わる。
「ハーレ乗りもやりますよ、こういう手作り感のあるカスタム」
「なわけねーだろ!」とシータが突っ込む。
やがて、シータはグローブをはめ直しながら言った。
「今日はここまでだ」
そう言い残し、排気音を残してK-1を下っていった。
時計はもうすぐ正午。じりじりと気温が上がり続けている。
「俺も今日は降りますわ、上原さん。熱中症になりそうで」
そう言って、俺もK-1を後にした。
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