ムーミン列車を追っかけていすみ鉄道の外房の玄関口、大原駅にきましたよ。
ここ大原は、伊勢海老の水揚げが日本一なんだって。伊勢じゃないのにね。
ここでは土日限定でこんな駅弁があったり、
「なんにもない」はずのローカル線なのに、今はやりのグルメ列車が走ってたりするんですよ。
伊勢海老特急。
>くいしんぼうでテツおたのグレパパはぜんぶコンプリートしてるんですよ!わたしをほったらかしてね!
>そんなイセエビでユウメイなオオハラぎょこうにきましたよ。なんかたべさせてもらえるのかな?
>ええっ?さっきのつづきですかぁ?あーセンセキね!?
>くんくん、きょろきょろ、このへんがアヤしいです!
>と、うしろをふりかえったら、ありました!
>うもれかけたドウクツがあります!
ここ大原町の八幡岬にも、大戦末期に特攻基地が作られました。
小浜基地と名付けられたここには、人間魚雷・回天の格納壕が3本造られ、第12突撃隊が配備された記録があります。
回天の説明は、Wikiのリンクを貼っておきます。文字通り人間が操縦する魚雷です。
港に向けて造られたその3本の格納壕のうち、中央に位置する1本が現存しています。
両サイドの2本は造成などにより消失しているようです。
それでは、その回天格納壕(便宜上B号壕と名付けます)に潜入します!
しゃがみながら入り口を超えるとすぐに内部は広くなります。
グレースはすたすた入っていきます!
壕は幅約3m、高さが若干それより大きく、油壺で見た海龍格納壕に似ています。
写真にも時おりストロボに反射して写り込むほどの湿気を感じます。
懐中電灯があるからいいですが、10mほど進むと真っ暗になります。
奥行きは約40mほどあるでしょうか、かなり長い、まっすぐな壕です。
ようやく突き当りが見えました。よしこれで引き返そうか。
と、思ったその時です!
>くんくんくくんくんっ!ひだりにわきみちがあります!
終点から3mほど手前に狭い脇道があり、覗くとなぜか古い自転車があります!
まさかこの先は自転車でどうぞってわけではないでしょう、真っ暗ですから。
意を決してそっちに進みます!5mほど先に次の部屋があるのがわかります!
いま写真を見ると天井にコウモリがいるのがわかります。知らぬが仏ってやつです。
次の間に入ってすぐ、左に向けてシャッターを切ると・・・
造成によって入り口が封鎖されたもう一本の回天壕(A号壕)であることがわかりました!
右を向くと、コンクリートで面一に壁ができています。おそらくこれも丘の反対からの造成によるものでしょう。
もとの壕に戻りました。さあ帰ろうか。
>まってください!ドウクツは3つあったっていってませんでしたか?
でも右の壁には穴は開いてないよー。
>くんくくくっ、くんっ!
なんと!突き当りの壁に沿って右に曲がる形で、もう一本の交通路がありました!
真っ暗なので見落とすところでした!進入します!
案の定、3本目の回天壕(C号壕)に交通していました!
左側は7,8mほど先まで伸びて止まっています。C号がいちばん長かったようです。
で、右方向。
われわれが進入してきたB号の入り口の方向と同じ方向を見ていることになります。
かなりの湿気で、ストロボが水蒸気に反応しています。
もう気づいたと思いますが、向うの壁に、さらに2つの交通路が開口しています!
でもそれは撮影後カメラのモニターで気づいたくらいで、中は完全な真っ暗。
懐中電灯の向きを変えただけで、いま来た交通路さえ見えなくなってしまう状況では、単独行ではこの先は危険と判断しました。
遭難しないうちに撤収しましょう。なぁに、そのうちエキスパートの方がこの先を見て公開してくれるさ。
B-A間よりもB-C間のほうが長く、10mくらいに感じます。
最初のB号壕に戻りました。
一部断念した部分はありますが、かつての回天壕は3本とも現存していることがわかりました!
懐中電灯の灯りだけでスローシャッターを切ると、かつての枕木の跡がわかります。
ここに納められた人間魚雷・回天は、台車に乗せられ、レールを伝って漁港に着水、出撃することになっていたそうです。
・・・することになっていた、というのは・・・
この基地が完成し隊員も配備されていたが、回天を運搬する輸送艦が洋上で触雷し到着することができず、
そのまま終戦となり、隊員たちは難を逃れたということです。
いまは伊勢海老の水揚げにわく、平和に満ちたのどかな漁港の姿になっています。
さて、このあとは探検のごほうびに、漁港にほど近い大原海水浴場にいきましたよ。
冬の海水浴場はひとっこひとりいませんでした。
広大な砂漠のような砂浜で思い切り走りました!
>ひゃっほう!
>きもちいい~
もちろんザブンも!
>バシャバシャ!
>ダーッ!
すごい遠浅!泳ごうと思ったら、あれ、足が着くじゃん?って感じでした!
>サイコーでーす!
いま、いつでもそこにある平和な日常は、
かつての大きな代償と引き換えに私たちが手に入れたものなんだと気づきました。
だから、そんな毎日をたいせつにしようね。
「なんにもない」いすみ鉄道が結ぶ、
千葉県いすみ市の、2つの特攻基地跡の探検でした。