こんにちは。
心の育児シリーズ、
「きょうだい&ひとりっ子のほめ方」講座でのご質問&答です。
Q
「食事のとき、上の子がごはんをこぼします。
『こぼしちゃダメでしょ』『こぼさず食べてね』としかってしまいます。
でも、下の子がこぼしても、まだ小さいので気になりません。
上の子ばかり怒ってしまう毎日です。
でも、ごはんはこぼしてほしくないし。
どうしたらいいでしょうか？」
A
上の子がこぼしても、いいですよ。
いずれ、もっと大きくなったらこぼさずに食べられるようになるのではないでしょうか。
私のきょうだいの1人は左利きで、
昔のことですから、親に右手で箸を持つように矯正されました。
利き手ではない右手で食べると、うまく動かせなくて、
ボロボロごはんをこぼしていました。
小学校高学年でもこぼしていました。
でも、中学生のころには、
あまりこぼさずに食べられるようになっていました。
「左利きを矯正された」という事情があってのことですが、
長い目で見たら、こぼさずに食べられるようになりました。
大人になるまでにできるようになればいいのではないでしょうか？
また、こぼさずに食べてほしいとき、
言い方を工夫することができます。
私は、小さな子どもがごはんをこぼすと、
「あっ。ピーピーさんのだね」と、よく言っていました。
ピーピーさんは、鳥さんのことです。
できる範囲で拾って窓から外にまいたりしました。
子どもも、「うん。ピーピーさんにあげよう」と言っていました。
優しい笑顔です。
こぼしたごはんは鳥さんにあげよう。
むだにしないように、大切にしよう。
こぼしたら、他の生き物と分け合おう。
そういう気持ちで子どもたちに言っていました。
こぼしても、しかりませんでした。
でも、食べ物はなるべく捨てずに大切にする。
そのことは伝えていたのです。
もちろん、「できる範囲で」いいです。
「絶対に捨てないようにしよう」とすると、できないときに自分を責めたりして苦しくなってしまいます。
また、もし、「こぼさないように食べないとお行儀がわるいよ」「かっこわるいよ」「はずかしいよ」という言い方で子どもに注意するとしたら、
子どもは、「自分はこぼして食べる、はずかしい人間」という自己イメージを持つかもしれません。自分を否定して苦しむかもしれません。
「こぼすとはずかしい、お行儀がわるいと笑われるから」という不安でこわい気持ちから動くようになるかもしれません。
「こぼさないようにしよう、食べ物は大切だから」という優しい誠実な気持ちではなくて。
不安や恐怖からおびえて？「こぼさないように」がんばるより、
笑顔で優しい気持ちから「こぼさないように」心がけるほうが、
子どもの心が守られて、
食事の時間もなごやかになるのではないでしょうか？
子どもがもう少し大きくなってからは、
「お米には１粒に７人の神様が宿っているんだって」と、
どこかで聞いた言い伝えを楽しく話したりもしました。
小学生くらいからだったかな？
そうすると、たとえばごはんを10粒くらいこぼすと、
「あー！７０人の神様がーー！」と言って、惜しんだりしました。
この場合の神様と言うのは「大自然の恵み」のたとえです。
「もののたとえ」で言っていることは、子どもたちも理解していました。
子どもたちは、「今のは３粒だから（３×７=）２１人の神様だね」と明るく言ったり、「しまったーーー。ごめんね、神さまー」と、やはり明るく、お米に謝ったりしていました。
こぼしたことは、しからない。責めない。
ただ、「ごはんは大切なもの、大自然の恵みだよ」ということを伝えていました。
「食べ物は大切にしようね」と常々、伝えていると、
そして、子どもも「食べ物は大切にしたいな」と思うようになると、
子どもは自分から、「大事にしよう」「こぼさないようにしよう」と
工夫するようになっていきます。
何事も動機が大事です。
そこに、（こぼさずに器用に食べる）技術が追い付くのを待てばいいのです。
いずれ、こぼさずに食べられる日が来ると思います。
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