「夏の思い出・・・影踏み」①
九州の電力会社に勤める父は転勤族だった。
僕は1958年に福岡市で生まれ、2歳頃から小学校入学まで、九州各地を転々としていた。
幼稚園に行く前だから4歳位の頃だと思う。大分県の玖珠町という所に住んでいた。そこは町の真ん中を川が流れ、周囲を山に囲まれた風光明媚な自然が溢れる田舎町だった。
小学校は杉板を横張りにした、木造2階建ての校舎だった。その学校の隣に神社があったような気がする。夏休みになると、その神社を中心に祭りが催されていた。
中に電燈を灯した竹組みに和紙を張った巨大な人形たちが神輿に担がれ神社から町の商店街を練り歩いていた様な・・・何となく覚えている。
・・・
夏祭りに向かう僕は、母に手を繋がれ歩いていた。小学校に通う兄は、僕たちの周囲をふざけながら歩いていた。そのうち兄は僕の影を踏み出したのである。・・・子供心に影を踏まれるのは自分自身の分身を踏まれているようで、ちょっと恐怖だった。母から手を離し、僕は兄の靴から逃げる為、一目散に走った。
自分の影を見るのは、久しぶりの様な気がする。
初めての迷子・・・田舎の夏祭り、。・・・周辺から多くの人々が集ってくる。その雑踏に迷い込んでしまったのだ。・・・その後の事は覚えていない。
目の前に写る自分の影とそそり立つ名古屋駅の高島屋デパートを見ていると、昔の記憶が蘇って来た。
・・・
月に一度の楽しみが、父と一緒に出かける百貨店だった。
となりのトトロに出てくる、猫バスの様なボンネットバスに乗っていくか、茶色の車両を引っ張る蒸気機関車の列車で久大本線をデパートがある街の福岡県の日田市に買い物に行った事を覚えている。
・・・夏の思い出、怖かった影踏みと、楽しかった父との百貨店への買い物、。





















