そんなわけで2008年の8月に当時小学6年生の次男帯同で挙行した甲州街道徒歩旅行の記録の中半「相模湖~大月」。前半の「国立〜相模湖」は昨日の記事に読む人が眩暈するほど詳しく長く。(←クリック!!)
旅に出た経緯は昨日のブログに詳しく書いた。(←クリック!!) 以下の文章は当時の旧ブログからの転載。明らかな間違い、誤変換以外はそのままコピペする。写真も当時のもの。その後、判明したや時代の変化などは青字で追記している。
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中日 2008年8月15日(金)の旅日記
[相模湖の朝]
朝は湖上を飛び交うトンビの鳴き声「ピーヒョロロ」で目が覚めた。

上の写真は早朝の相模湖。ほんと目の前。白鳥型の遊覧船はスワン丸。船内放送で、村田英雄の「相模湖音頭」、島倉千代子の「相模湖小唄」を聞かせてくれる。だけど両方ともやけに声が高い。理由は当初より遊覧コースが短くなって船内放送が余ってしまったのでテープの回転数を上げた、という都市伝説で有名。
朝食をすませて9時に出発。今日ももちろん甲州街道を西に向かう。
昨日、「5年前発行の地図に載っているドライブインが、ホテルが、ガソリンスタンドが廃墟になっている」と書いた。一夜明けたこのコースでも実に多い。
栄枯盛衰は世のならいというが・・・。いや、「枯」と「衰」ばかりで「栄」「盛」にはお目にかからなかった。5,6年前に家族で行ったドライブインも廃業していた。元気な店長さんのいる楽しい店だったが・・・。
「売ホテル」という看板が出ていた。いきなり「売ります」って言われてもびっくりしてしまう。カバンに入らないし。
かつて深夜テレビのCMで有名だったホテルである。相模湖畔に、まるで高崎の観音様のように聳え立っている。
要はラブホなんだが、CMのナレーションは重鎮・森山周一郎だった(刑事コジャック)。しかも007かクリフハンガーのような演出がある。どこが007かクリフハンガーかというと、ラブホなんだから車で入ればいいものをモーターボートで近づき、外壁をロープでクライムするのだ。つまり、難攻不落な女性もこのホテルなら落とせるという暗喩だったのかもしれないが。
昔、佐藤蛾次郎がCMをしていたホテルも名を変えていた。純白だった外壁もエスニックカラーに塗り替えられていた。身売りしたのかもしれない。タキシード姿の蛾次郎が金髪美女エスコートして豪華客船の形をしたホテルに入っていくというCMがいかしていた。
「栄枯盛衰は・・・」と呟きながら「藤野」へ向かった。
「相模湖のホテル」について (2021/04/05に追記)
前者「湖畔にそびえたつ廃ホテル」とは「相模湖ローヤル」である。今や関東を代表する廃ホテルで心霊スポット。YOUTUBEには探訪記が多数アップされている。危険だからやめた方がいいです。いや「祟り」とかじゃなくて不法侵入は普通に犯罪ですから。しかも自ら証拠を全世界向けに拡散して・・・・。そして有名だったCMとはこちら。

↑ 写真をクリックすると別窓で動画 かっこいいので必見 ↑
後者「蛾次郎案件」は「ホテルクィーンエリザベス石庭」。CMでは「結婚式場」って謳っているなあ。どうなんだろう。興味のある方は調査してみてください。
[藤野のシーゲル堂]
「栄枯盛衰は・・・」と呟きながら向かった隣町の「藤野」。駅前に実に楽しそうな薬屋さん「シーゲル堂」を見つけたが生憎開店前だった。

このようなお店を見つけるというのが徒歩旅の醍醐味である。車だったら気づかずに通り越しちゃうだろうし、電車でも途中下車する駅じゃない。徒歩じゃないと気づかないものはあまりにも多い。
で、この「シーゲル堂」、薬屋さんかと思ったら薬屋さんの店舗を改装した地域密着のギャラリーだったみたい。地元アーティストの作品や地域の特産品などを売っているらしい。一度行ってみたいなとおもうのだけど・・・機会はないかもしれないなぁ。
それはそうと相模湖を出るときに飲み物の補給をと、旅館の近くで「伊右衛門」を買った。いや買ったつもりだった。微妙に違った。
これ、セーフ?
ギリギリでかする、なかなかの危険球だと思うのだけどいかがか。

「シーゲル堂」について (2021/04/05に追記)
その後、2017年にクローズされたそうだ。そしてその地元在住のアーティストのお一人が「おふろやさん」「やこうれっしゃ」の原画展を企画させていただいた西村繁男さんだ。僕は結局行けなかった。残念。
[ラーメン屋で聞いた声]
前日のように長距離を歩く必要はない。たっぷり休憩を取りながら歩く。10時になったらその辺のお店でアイスを買ってアイス休憩、と三吉と約束していた。10時にちょうど藤野駅周辺に出たが、お店などない。シーゲル堂しかない。
甲州街道も市街地を離れ山道へ入り、ますます絶望的。おっと柏谷商店というお店があった。酒屋さんだ。アイスのケースがある。店もあいている。でも店の人がいない。どうしたものかと途方にくれていたら、僕の直後に車で来たおじさんが、
「おばちゃ〜ん、おばちゃ〜ん、ライターをくれ〜!!」
と胴間声で呼ばわったら、奥からおばあちゃんがユラユラと出てきてくれた。ライターの小父さんに続いて「スイカバー」を買う。
「領収書、いりますか」
いえ、いりません。
時計が11時を指す頃、ようやく上野原市に入った。ここから山梨県。ようやく山梨県。これで大手を振って「甲州街道徒歩紀行」と言える。
上野原といえば酒饅頭である。三吉に「酒饅頭買ってやるからな」というと、「小学生が食べても良いのか」と心配そうな顔。
田舎道も歩き飽きた頃、ラーメン屋が見えてきた。ここが宿場町の外れ。ここからが市街地だ。市街地でどこか飲食店を見つけて昼食にしようと思ったが、店がない。いや、店はあるのだが閉まっている。お盆のせい? それにしてもシャッターが下りた店がやたらと多い。大丈夫か?
いいかげん歩いた後あきらめて、さっきのラーメン屋まで戻った。時間のロス。
テレビでは終戦記念日の式典をやっている。天皇陛下のスピーチを聞く。このひとの話にはいつも納得してしまう。誠実な人柄だと思った。時報とともにちいさく黙祷した。
三吉はチャーシュー麺、僕はスタミナ定食でスタミナをつけて午後の部開始。饅頭屋で酒饅頭を買った。お腹一杯なのでとりあえずカバンに入れて、GO WEST!!
饅頭屋さんの向かいにはお洒落なブティックがあった。 中央のキャラクターは、「彦左衛門」に勝るとも劣らない「危険球」だと思う。

これから本日のメインイベント「甲州のラピュタ」探訪へと向かうのである。
おしゃれなブティックの現在について (2021/04/05に追記)
こういうお店がどんどんなくなっている。寂しい。調べてみたらこのお店は健在だった。そしてこの危ないキャラクターの現在は、というとこれも健在だった。ストビューで確認。

これ、明らかに看板をリニューアルしているよね。確信犯だな。
[甲州のラピュタ]
上野原を出て西へ向かう。暑い。次のポイントの「甲州のラピュタ」まではJRで一駅。
市役所からの長いダラダラ下り坂。向こうから自転車が登ってきた。まだずっと向こうで豆粒のように小さいシルエットが陽炎でユラユラ揺れる。
と思ってたら僕の横を通り過ぎた。思わず道を譲る。シルエットが小さいのは遠くだからなんじゃなくて、小さいからだった。小学校低学年くらいの男の子。小さな自転車に大きな荷物を積んで本格的な自転車旅行スタイル。思わず「がんばって!!」と声をかける。言われなくても頑張らざるを得ないのだから大きなお世話ではあるが。
続いてもう少し大きい、小学校高学年くらいの男の子とお父さんが登ってきた。父子3人での自転車キャンプらしい。本格的な装備。坂道をぐんぐん登ってくる。
それはともかく強くシンパシーを感じてしまい、すれ違うとき目が合ったので「お疲れ様です」と声をかけると、ヒゲ面をニカッとほころばせて、「いやー、暑いですねー」とかえしてくれた。振り返って見送ると3人の影はあっという間に小さくなった。
ところで、さっき「甲州のラピュタまではJRで一駅」と書いた。でもこれが遠いんだ。ただでさえ地方では駅間が広い上に山道。鉄道は山を貫いて一直線に進むけど、国道は山肌をうねうねと蛇行する。結構距離がある。
途中、突如山道に蜃気楼のように現れたダイソーで100円のお菓子を買いがてら涼んだり、郊外型スーパーのベンチで休憩したり(僕は酒饅頭を食べ、三吉にはプリンを買った)しながら歩き、道の先に「空中都市・甲州のラピュタ」への通路が見えてきたときは3時になろうとしていた。

で、「甲州のラピュタ」の話である。「甲州のラピュタ」と言っても、世間でそういわれているわけではなく、僕が勝手にいっているだけであるのだが。
中央本線の四方津(しおつ)駅は上野原のとなり。甲州街道に面し、背後に山が迫る小さな駅だ。その背後の山の上にあるのが「甲州のラピュタ」こと「コモアしおつ」だ。山の上を切り開いた積水ハウスによる一大造成地で、数百軒の瀟洒な住宅が並んでいる。その全体像についてはここを見てもらったほうが良いかな。
ユニークなのがそのアクセスだ。上の写真のように駅から直結のガラスドームの巨大エスカレーターで一気に昇るのだ。高低差は約90メートル。緑深い山に光るガラスドームは一種の奇観。未来を予見させる風景だ。
今までも何度も前を通った。でもクルマだったり特急列車だったりして常に素通り。一度その有名なエスカレーターに乗れたいと思っていて、ついに念願がかなう時が来た、というわけ。勇躍、エスカレーターの「駅」というべき塔屋に乗り込んだ。
ところががっくり。エスカレーターは朝夕の通勤通学時のみの運行だった。そのかわり日中は斜行式エレベーターが運行していた。もちろんこれでも十分。

外は大変な暑さだが、エレベーターの中は涼しく、そのうえテレビまでついている。オリンピックを観戦。
5分ほどで頂上に着く。もちろん途中に停留所はない。頂上には大きなスーパーがあった。そしてまわりには瀟洒な住宅が整然と立ち並んでいる。相当に広い町だ。建築基準が厳格なようで景観は整然として美しい。歩いている人達もオシャレな感じで表情も明るい。
スーパーは地元資本の「公正屋」。ここで一休みすることにした。奥の方に休憩スペースがあり、これがまた気が利いている。ベンチとテーブルが置かれ、飲み物の自販機もある。ちょっとしたした喫茶店がわりになる。また巨大液晶テレビがあり、アニメの「デスノート」をやっていた。地元のケーブルテレビの有料チャンネルのデモンストレーションのようだ。
三吉はコーラ、僕はカップベンダーのレギュラーコーヒーを飲んで一休み。あ、電子レンジもある。上野原で買った酒饅頭をチン!して食べた。スーパーではペットボトルのお茶とエアーサロンパスを購入。ついでにお茶の保冷用に氷もいただいた。
いやーいいなぁ、「コモアしおつ」。ちょっと住みたくなってしまった。新宿から1時間ちょっとで十分に通勤圏だし、清潔でインフラも整っている。自然にも恵まれている。エリア内をちょっと歩いたところ、まだまだ分譲中の所もたくさんある。
そんなことを考えながら「甲州のラピュタ」こと「コモアしおつ」を後にした。
[大月市梁川の旅館“やまみち”]
ふたたび甲州街道を西に向かう。さっきいただいた氷をビニール袋に入れて、火照った首筋に当てると気持ちがいい。
新呼戸橋を越えると大月市。桂川の清流を眼下に見ながらトンネルの側道に進み、酒屋の角で左に折れて甲州街道にしばし別れを告げる。
豪壮な「塩瀬大橋」からの絶景。

橋を渡り、だらだらとした山道を登りきったところで、今夜の宿「やまみち」が見えてきた。
結論から言えば、とてもいい宿だったなぁ。手放しで大絶賛してしまうよ、俺は。おすすめ。大月方面に行かれる方はぜひご利用ください。たとえ途中下車しても行く価値があると思いますぜ。
2日続きの長征で疲れ切って宿にたどり着いたのは5時近く。女将さんが笑顔で迎えてくれた。国立から徒歩で来たというと驚いて三吉に「ボク、がんばったわねぇ」とやさしく声をかけてくれた。
見るからに明るい印象の建物は結構大きく、玄関も広々としている。シンプルながら清潔感にあふれ手入れが行き届いているのがよくわかる。廊下も十分に広い。案内してもらった部屋も綺麗で窓からの眺めもいい。
厨房では何人かの女性がキビキビと働き、夕食の準備に余念がない。楽しみ楽しみ。
一休みしたらお風呂。24時間入浴可能な人工温泉。効能が「疲労回復」とはありがたい。
夕食は大広間でいただく。
食事も美味しかったー。僕の前にはスタンダードな旅館の和食コース。しかしとても垢抜けている。綺麗な先付けから始まりお刺身、煮物、鮎の塩焼き、てんぷら、〆に饂飩もつく。「とうちゃん、こんなに食べられるのか」と心配顔。かく言う三吉の子どもコースも鮎の塩焼きがハンバーグに替わった豪華メニュー。もちろん三吉も大満足だ。2人とも一日歩ききったあとなのでペロリと平らげた。
広間の舞台の上の大画面テレビではオリンピック。温泉に入ったあと、ビールを飲みながら美味しい料理をつつきながらオリンピックを見る。ああ、なんて幸せ。同宿の皆さんと共に柔道女子78超級の塚田の準決勝の応援に熱が入る。となりのテーブルの長期滞在の工事関係の小父さんたちと妙な連帯感が生まれる。
夕食後は部屋に戻り、部屋のテレビでオリンピックを見るか「クレヨンしんちゃん」を見るかで三吉とジャンケン対決。結果、並んで「クレヨンしんちゃん」を見ることとなった。
エアーサロンパスを足に噴射した後は、明日に備えて早めに寝よう。
「やまみち」の現在について (2021/04/05に追記)
こういういい旅館がなくなっていたりすると寂しいものだけど今もご繁盛のご様子。よかったストビューで確認。

歩行距離約19.5キロ(2021/04/05に追記)

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チャーマァ洋品店 in ビブリオ 第4回

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