このシリーズは編集者時代に撮影させていただいた写真とエピソードをほぼ僕自身の備忘のために紹介させていただいています。
 

これまで、

①  山口瞳さん (1926~1995)  ←クリック!!

②  庄野潤三さん (1921~2009)  ←クリック!!

③  宇野千代さん (1887~1996)  ←クリック!!

④  淀川長治さん (1909~1998) ←クリック!!

⑤  梅原 猛さん (1925~2019) ←クリック!!

⑥ 新藤兼人さん(1912~2012) ←クリック!!

⑦  小沢昭一さん(1929~2012) ←クリック!!

⑧  田辺聖子さん(1928~2019)←クリック!!

 

の皆さんの写真をご紹介してきました。

 

 

今回ご紹介するシリーズ第8弾はケシゴム版画家でコラムニストのナンシー関さん(1962~2002)。

 

 

 独自の視点によるテレビ批評とその挿絵に入れた著名人の似顔絵「消しゴム版画」で人気を博し、さらには社会そのものを鋭く批評していて一世を風靡しました。難しいことをシンプルに解き明かしてくれました。まさに正鵠を射て人気絶頂だった2002年、39歳の若さで亡くなりました。虚血性心不全による急死でした。

 

撮影させていただいたのは1994年の夏。

 

 

新刊の発売に合わせてコラムを書いていただいてその誌面用に写真を撮らせていただきました。「プロフィール用の写真をお借りしてもいいけれど極力、お会いして撮らせてもらえ」が前任者からの引き継ぎでした。

 

 

遅筆で有名なナンシーさん。締め切りまでに原稿が上がりませんでしたので写真だけ先に撮らせていただきました(締切りのストレスが寿命を縮めたと今では言われています)。当時は三軒茶屋のアパートにOLの妹さんと二人暮らしで、そちらのリビングで撮らせていただきました。

 

 

僕の「ナンシー歴」は結構長いです。去年、惜しくも廃刊になった伝説的テレビ雑誌「テレビブロス」での初期の無署名コラム「ブロス探偵団」はずっと愛読していましたし署名が入るようになってからも「俺がテレビを見て抱えたモヤモヤを言葉にしてくれるこのナンシーという人は何者だろうか」と思っていました。

 

 

「テレビブロス」は本当に大好きな雑誌で、1987年の創刊当時は「週刊誌課」という部署で週刊誌の全国配本を担当してましたが依怙贔屓してました。「確かに売れてないけどこの雑誌はすごいですよ」と行く先々で触れ回っていました。版元の営業部長から媒体資料(スポンサー向けのパンフレット)への短文を頼まれたことがありました。「書店員・松見十蔵(仮名)」としてこの雑誌のすばらしさと将来性を書きました。ギャラは当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった人気番組「笑っていいとも」のTシャツでした。いかにもなノベリティですが多分僕の初めての有ギャラ原稿だったと思います。

 

 

そんな話をしながら写真を撮らせていただきました。写さなかったけどケシゴムがたくさん入った紙箱があり、キッチンには大小の鍋がたくさんありました。同窓で年齢が近いこともあり話は弾みました。謙虚で礼儀正しく朗らかな方でした。デビュー以前の宅八郎さんを知っているとか聞いたような気がします。

 

 

原稿は数日遅れましたがギリギリでもないタイミングでファクシミリで届きました。

 

 

当該ページは作家のエッセイに合わせて契約イラストレーターにカットを描いてもらっていたのですがそのイラストもケシゴム版画で彫ってくださるとのことでした。

 

 

出来上がったのがこんなページです。

 

 

 

当時、主に書いていたテレビネタではなく生活ネタ。親元を離れて東京で一人暮らしをするようになってまず直面したのが「ものが腐る」ことだという内容。このコラムはのちに世界文化社から出た「何の因果で」という本に収載されています(のちに角川文庫)。

 

 

そして上のコラムに添えられたケシゴム版画。こちらの方はデッドラインぎりぎりでもう一度、三茶のアパートに取りに伺いました。

 

 

念のために捺したものを2枚お預かりし、掲載後は1枚はお返ししもう一枚は個人的にいただきました。

 

 

 

直ちに額装。今でも我が家の家宝です。

 

 

 

 

ナンシーさんが亡くなって19年。似た芸風の書き手が現れては消えていきました。いまだに唯一無二の存在と思っています。多くの人が言っていますが「ナンシーさんが生きていればなぁ」と思うことが今でもしばしばあります。

 

 

 

【これまでの「昔日の一葉」】

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③  宇野千代さん (1887~1996)  ←クリック!!

 

④ 淀川長治さん (1909~1998) ←クリック!!

 

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