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クリーチャーとか宇宙船とかは、そんなにオリジナリティーがあるわけではないのですが、後半に行くにつれて人間ドラマで見せるというタイプの作品。

Pitch Blackは、漆黒、真っ暗闇、というような意味らしいです。
前半、宇宙船が難破するくだりはあまりにも単純な小隕石の衝突で、船長の死に方とか、そもそもそんな危険な宇宙船があるかよ、と思ってしまいました。惑星への不時着とか、人間がちょうど生存できる環境だとか、設定自体はちょっと都合よすぎるでしょう。

その後のすべての人々、特に犠牲者の行動原理が無謀すぎて、死んで当然に見えてしまうのはちょっとまずいかな。

「リディック」を借りようとしたら、その前日譚がある、と知って借りたので、リディックという名前が出てきたときに、彼は死なないんだろうな、と思いましたが、義眼だとか夜も見える目だとかいうのは初めて知りました。なんでこんな改造を受けたのか、続編で説明があるんでしょうか。

刑事だと思っていたのが、じつはバウンティハンターで、そんなに善玉でもない、というのはわかりますが、リディックがなんで最初からそんな悪者ぶっているのか、全員の生存に向けて、なんでちゃんとしたプランを立てようとしないのか、についてはちょっともの足りない部分もありましたかね。

一度は乗客の命を捨てて自分が助かろうとした船長代理が、途中から責任感に目覚めて、結果的には自分を犠牲にする、というストーリーにはちょっと盛り上がりを感じました。ただ、そんなにリディックが弱る局面があること自体が無理筋な感じはしましたけどね。

異世界の感じを出すために、画面全体を青っぽく染めたのは少し安っぽかったかなと思います。そうしないとただの砂漠になってしまうのもわかりますが。
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リドリー・スコットらしい、容赦ない演出によるクライム・ストーリー。

豪華なキャストで破滅の予感、タブー感はたっぷり。

何が不足かというと、マイケル・ファスベンダーの演じる弁護士が、事態についていけてない感じが、観る側の共感を呼ばない点でしょうか。ちょっと事態の進行に対して鈍すぎ、反撃らしい反撃もできない点。同情したくなるほど無邪気でもないし、何かを積極的に暴けるほど有能でもない。

観客も一緒に裏切ってオチまで見せきってほしいところが、中盤で予測のついた悲惨な結末に淡々とたどり着くだけなのが殘念。

それでも、オリジナリティーのある描写はたくさんあって、何年かしたら再評価されるのかもしれませんけどね。
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ポレポレ東中野で公開初日に見ました。映画の日で1000円、しかも初日なので主人公の李小牧さん、監督の邢菲(ケイヒ)さん、ニューズウィーク日本版編集長の長岡義博さんのトークショー付き。

日本に帰化して、新宿区議会議員に立候補した李小牧さんの2015年のキャンペーンを追ったドキュメンタリー。

歌舞伎町を中心に新宿のあらゆる場所が出てくる。水商売、外国人、LGBTなどの声の代弁者となるべく奮闘する姿を街頭演説を中心に追いかける。既製の演説ではなく、アプローチの方法も54歳の新人ならではのやり方で、こういうやり方も日本の低投票率にどう対処していくか、のヒントになるのではと思いました。

面白いのは監督が中国の人で、必ずしも日本人のオーディエンスだけをターゲットにしていないこと。時に李さんに向けられるむき出しのヘイトや異文化カルチャーへの恐怖心、戸惑いが時に監督手持ちのカメラにさえ向けられる。

全編英語字幕も付いていて、海外にも出品されているらしい。考えされられる一本でした。
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「エージェント・マロリー」とかを見ながら、いろいろと器用にこなす人だけど、本当の強みはどこなんだろうな、と漠然と感じていたのですが、この作品では脱帽です。一度ハリウッド的な工業製品を脱して、自分なりの作り方にこだわって復帰した、という作品らしいので、いろんな意味で祝福された作品ですね。

チャニング・テイタム、アダム・ドライバー、ダニエル・クレイグなど、キャラクターを肉付けできるキャストを得て、ちょっとジム・ジャームッシュとか、ハル・ハートリーとも似た、オフビートな深みと、先が読めないけど期待をさせる脚本の運びで、集中力が途切れることもありませんでした。

オープニングから、ジョン・デンバーのそれほどヒットしなかったSome days are diamondsが流れてうれしくなってしまいました。後半ではTake me home, country roadsも流れて、ウェスト・バージニアの人々がこの曲をどう捉えているか、が感動的に伝わります。マニアックな知識を披露するジミーの娘がキュートすぎる!

キャサリン・ウォーターストンも、ファンタジーもできる人なんでしょうが、やはりこの日常的な存在感を出せる人なんだな、とあらためて思いました。「エイリアン」シリーズではちょっと無理してるかな、と思ったので。
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遅ればせながら、見てきました。基本的には、音楽に浸る映画で、それ以外には、フレディの魂の彷徨として、「家」「家族」を求め続けた人間として描いているということでしょうか。

そうすることで、結果的には彼の人生を彩った「パーティー生活」「ソロ活動」などは「悪」として描かれてしまう。特に残ったメンバーからするとそうとらえざるを得ない部分があるのでしょうね。これをフレディ自身がどう捉えただろうか、というのはちょっとわからない気がしました。

音楽については、結構ふんだんに使われていて満足なんですが、時々おや、と思うような編集がしてあって、必ずしもリズムで切っているわけではないな、というところがありました。

ラミ・マレック、顔が必ずしも似ているわけではないですが、とてもよく頑張っているな、と思いました。しゃべっている時の声については、ちょっと惜しいな、という印象。フレディのインタビューはいつもウィットに富んでいて、上品で少し甲高いところがあったのですが、ラミの声は少し太くて、体調悪そうに聞こえるので、なんだか若いころから晩年っぽいな、と思ってしまいました。少し顔が大きくて、体とのバランスが引いた絵で見ると本物とは違うな、というところはありましたが。メンバーで一番似ていたのはブライアンでしょうか。

音楽的なサウンドの進化の軌跡をたどろうと思うと、ちょっと時系列的に不正確な部分があったりするのですが、クイーン初心者も対象に分かりやすく、ということであれば、もう文句ない出来だと思います。
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エンドクレジットでメル・ブルックスの名前を見て納得の一品。

分析官から現場のエージェントになりたくて仕方なかったマックスが、組織の危機に立ち上がって、整形直後の美女エージェントと組んで核戦争をくい止める、というお話。

途中でまさかの裏切りもあり、アクションも満載、お笑いも満載。キャストにアラン・アーキン、ジェームズ・カーンといった大御所も余裕のボケをかましてくれて、これで楽しめないはずがない。

アン・ハサウェイは、こういうおマヌケコメディーでの自分の生かし方をとても心得ていて、ダンスシーンなども難なくこなす、ほんとうに才色兼備のスターだな、と思います。
スティーヴ・カレルは、どこで見たんだっけ、と思ったら、「エバン・オールマイティ」という、やはりこれもコメディーで主役をしていた人でした。
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謎はあったけど解決はない、そんな話でした。ジョン・キューザックの魅力が不発に終わった、残念賞という感じでしょうか。「アイデンティティー」を見たばかりだったので、余計にその落差が激しかったです。

誘拐監禁ミステリーで、エドガー・アラン・ポーの作品に沿って犯人が手がかりを残していく、というのですが、そんなにポーの著作に詳しくない人にとっては、冒頭の数人の殺人以外はピンとこないものがつづき、単にポーと刑事が翻弄されている様だけを追っかける形になってしまったのは残念。

エミリーの側が少し逃亡の試みをするものの、大したことはなく、終始受け身で進むのも今どきのヒロインとしては物足りないですね。

ラストに刑事が犯人をつかまえるシーンだけおまけのようにありましたが、後の祭りというところ。ポーも犯人の言いなりに毒を飲んで死んでしまうし、なんのひねりもなかったのが信じがたいです。

エンドタイトルだけ、急に「ボーン・アイデンティティー」か「スパイダーマン」か、というグラフィックになったのもミスマッチ感が半端なかったです。

素材や時代設定、着眼点は面白かったのに、脚本の力不足ですね。

原題はThe Ravenということで、鴉。邦題は分かりやすいけど、ベタすぎませんかね。
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全編を通じての大雨による閉塞感と、次々におこる不愉快な事件に、ちょっとフラストレーションがたまるのですが、中盤以降、この出来事すべてを関連づけるヒントが出てきてからは加速的に面白くなっていきます。

ジョン・キューザックが中年になって、ケビン・スペイシー的な渋さと謎めいた雰囲気を漂わせて、いい感じになってきました。レイ・リオッタは例によって例のごとき、暴力的な単細胞の役で、これはこれではまっています。

モーテルで起きる殺人事件、ということで、「サイコ」の断片を思わせるシーンも時々出てきますね。特に最初の女優が殺されるシーンでビニールのカーテンをかぶっているところははっきりしたオマージュなんでしょう。

ホラーなら絶対に起きないはずの単独行動や、行くなと観客が思う方向に行ってしまう、突っ込み所満載の行動様式はあるのですが、内幕がわかってくると、これは仕方ない展開なんだな、と納得がいきます。

ラストでめでたしめでたしでなく、やはり最後の一捻りがあったか、というのも含めて、序盤が我慢できれば、うまく予想を裏切ってくれた、となる快作なんじゃないでしょうか。
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ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ジョン・グッドマン、ビル・マーレー、ケイト・ブランシェットなど、名優を揃えて、ナチスに奪われた美術品を、ヒトラーの命令で破壊される前に、しかもソ連が占領しにくる前に奪還しないといけない、という一大文化プロジェクト。ジョージ・クルーニー自らが監督をして作ったという作品の割に、話題はあんまり聞かなかったような気がします。

派手な戦闘シーンからはかなり遠く、すでに勝負がついてドイツ軍が撤退したところに捜索に行くわけなので、その意味での地味さは否定できず、しかも現場の軍隊からは余計なちょっかいを出すなと牽制され、どこに隠されたかはわからず、美術品を奪われた当の国からも、どうせ美術品を横取りするのではと疑われる、損な役回りの苦労を丹念に描いていて、軍記物でもスリラーでもサスペンスでもないけど、これを覚えておくことは大事だな、と思いました。

途中には、逃げ後れたドイツ兵を目撃するけどことを荒立てずに放置する場面や、狙撃手を追い詰めるけど子供だから見逃すとか、この戦争が行き着いた現実の一面を描いているのもよかったと思います。

「アデーレ・名画の帰還」に比べると、群像ものとしての各個人の彫りが浅く、山場というものの設定には苦労していて、ミケランジェロの聖母像が見つかるかどうかに後半の焦点を絞らせた、という意味では、「ミケランジェロ・プロジェクト」という邦題には一定の役割があったかな、と思います。

付属の日本語版予告編を見ましたが、これはちょっと全体を茶化しすぎて、場違いコメディーだと勘違いさせて劇場に客を呼ぼう、という魂胆が見えすぎて、全体像を見誤らせるな、と思いました。予告編の役割ってこういうことじゃないように思います。
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前作が予算規模からしたら大ヒットしたので文字通り二匹目のドジョウを狙うわけですが、それが予算もついたりしたからといっておいしいかどうか、の分かれ目で、でもこのあとも続いたからそこそこの評価、ということなんでしょうね。

演出が全く同じなので、もう早送りしたくなるシーンがいくつかあって、要点だけを見たい、という欲求も高まってきますが、それではこういうホラーは味わいがなくなってしまいますね。

前作のケイティの妹クリスティとその赤ん坊ハンターをめぐる、悪霊との攻防、ということで、カメラをどうするのかな、と思ったら空き巣が入った?のをきっかけとして専門の業者の設置した防犯カメラ、という設定で映像が。他に家庭用のハンディカメラ映像が、というところ。前妻の連れ子という設定の女の子アリが第三者の目で記録していく形です。家族揃ってカメラ好きなんですね。

久しぶりに生まれた男の赤ん坊だからこだわった、ということなんでしょうか。最終的に前作のエンディングとの関係性が生まれて、より派手なシーンで終わります。やっぱりえんがちょは人になすりつけちゃいけない、というのが教訓でしょうか。

こういうホラーものには、男の無理解、というのが常にものごとが悪化するきっかけだ、という印象を受けて、ややワンパターンになりがちだと思います。意地をはったり、目の前の恐怖と向き合うことを拒んだり、科学的根拠がない、という言い訳にすがったり。もう少しで女性監督が活躍して、ホラーの新時代が到来するような予感もします。