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ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ジョン・グッドマン、ビル・マーレー、ケイト・ブランシェットなど、名優を揃えて、ナチスに奪われた美術品を、ヒトラーの命令で破壊される前に、しかもソ連が占領しにくる前に奪還しないといけない、という一大文化プロジェクト。ジョージ・クルーニー自らが監督をして作ったという作品の割に、話題はあんまり聞かなかったような気がします。

派手な戦闘シーンからはかなり遠く、すでに勝負がついてドイツ軍が撤退したところに捜索に行くわけなので、その意味での地味さは否定できず、しかも現場の軍隊からは余計なちょっかいを出すなと牽制され、どこに隠されたかはわからず、美術品を奪われた当の国からも、どうせ美術品を横取りするのではと疑われる、損な役回りの苦労を丹念に描いていて、軍記物でもスリラーでもサスペンスでもないけど、これを覚えておくことは大事だな、と思いました。

途中には、逃げ後れたドイツ兵を目撃するけどことを荒立てずに放置する場面や、狙撃手を追い詰めるけど子供だから見逃すとか、この戦争が行き着いた現実の一面を描いているのもよかったと思います。

「アデーレ・名画の帰還」に比べると、群像ものとしての各個人の彫りが浅く、山場というものの設定には苦労していて、ミケランジェロの聖母像が見つかるかどうかに後半の焦点を絞らせた、という意味では、「ミケランジェロ・プロジェクト」という邦題には一定の役割があったかな、と思います。

付属の日本語版予告編を見ましたが、これはちょっと全体を茶化しすぎて、場違いコメディーだと勘違いさせて劇場に客を呼ぼう、という魂胆が見えすぎて、全体像を見誤らせるな、と思いました。予告編の役割ってこういうことじゃないように思います。