原題はRagnarokで、それが神話世界のアズガルドの崩壊を意味しているのだから、それを素直に邦題にすればいいと思うのですが、映画の宣伝の世界ってすごく月並みで凡庸だなぁ、といつも思います。
内容は、監督が変わったこともあって、いろいろと思うところがありますが、ロキとソーの関係性をネタにしたユーモアは楽しいかなと思います。
ソーは最近夢見が悪く、アズガルドが滅亡する夢ばかり見ていると。そこでアズガルドを恨んでいる敵を倒したりして、国に戻ると、ロキが父王に化けてのどかに過ごしている。前作で行方が知れなくなった父王オーディンを探すとそこでドクター・ストレンジにさらわれて、父親の居所を知っていると言われる。兄弟二人で父を訪ねると、凶暴な姉のヘラがアズガルドを滅ぼす、と予言だけ残して成仏してしまう。成仏っていっても、キラキラの光になって消えていくんですけど。で、そこに姉がやってきて、ちょっと戦ってもハンマーは粉々に打ち砕かれてしまうし、とても敵わない強い相手だとわかる。ロキが帰ろうとして虹の橋をかけたところ、追っかけられてヘラだけが国に帰るという最悪の展開。
そしてソーとロキはどこに行ったかというと、グランドマスターという男が支配する星に。そこでファイトをして生き残れるかどうか。ソーはチャンピオンに挑戦させられるのだけど、相手はまさかのハルク。ちょっと前から姿を見ないと思ったらそんなことになってたのかと。丸2年、人間に戻れずにハルクでいたことになりますが。
そこで戦って一応痛み分け?ソーの方が負けたようにも見えましたが、死にはしなかったと。そこでハルクとスクラッパーと星を逃げ出す算段。そこで知り合ったとらわれ人たちも、ロキと一緒に脱出することに。
アズガルドでは、ハイムダルが民衆を匿って虹の橋の剣も隠し持っていて、ヘラに狩られている途中。ソーが再びチャレンジするけれど、力の差は歴然。戦闘で右目を失ってしまいます。しかし、幻で見た父のアドバイスで、ハンマーに頼らず自分の力をちゃんと出せ、と言われて雷撃に覚醒します。
父の「アズガルドは場所ではない、民のことだ」の一言で宇宙船で脱出して、ラグナロクは予言どおりに起こすのが最善だ、と悟ったソー。冒頭でやっつけた怪物の封印をロキに解かせて、ヘラと相討ちさせることでアズガルドの滅亡を成就したのでした。
ヘラはその強さゆえに最初の方でアズガルドを支配したらその他にすることがない。本来なら他の星の一つや二つ攻め落としてもいいはずなのにぼやぼやしてる。その間の闘技場の戦いはそれほど魅力がなかったですかね。ハルクのまんまでずいぶん言葉を明瞭にしゃべるようになってるのがちょっと不思議。それから、ロキとソーの兄弟関係、前作まではロキを兄あつかいしてたと思うのですが、今回はソーを兄呼びしてたような。
前に比べると、アズガルドの民がずいぶん普通の人間ぽく感じたり、ドクター・ストレンジの登場はいかにもシリーズとの関連でのこじつけっぽく感じたり、シリーズゆえのめんどくささがあって、話そのものの面白さを追求しきれない感じもありましたけどね。でも、ラグナロクの成就が解決策だ、という逆転の発想は悪くなかったです。
スクラッパーは戦闘のスタイルにはそれほど特徴がなかったけど、今後も出てくるんでしょうか。グランドマスターでジェフ・ゴールドブラムが楽しそうに演じてました。ヘラがケイト・ブランシェットですか。貫祿ありましたがここまでアクションできるとは。
ウィル・フェレルのいつものやつです。
一発屋としてヒットを飛ばした後にミシガンのフリントという町のバスケットボールのチームを買収してオーナー兼監督兼プレーヤーをしているジャッキー・ムーン。肝心のプレーはでたらめでもプロモーションには熱心なアイデアマン。しかし所属しているリーグは弱小で、このたび一部のチームだけNBAに引き取られて解散する、ということが決まってしまいます。
そんなこと許せるか、と成績上位4チームが昇格、ということになったので、そこから頑張らなきゃ、なのですが、どうもパッとしない。そこに途中加入したモニックス(ウッディ・ハレルソン)がコーチ役を引き受けて、猛練習の末に成績はぐんぐん上り調子。しかし、後1試合で4位が確定する、という目前になって、連盟がフリントの町の規模に難色を示して、やっぱり昇格はなし、という話になってしまい…。
最後の試合を目前にして、どう結束するのか、そして試合の結果は?というところ。
いろいろと頑張ってのオバカがたくさんなのですが、どうも下ネタの下品な方向に行きがちなのと、女性軽視の傾向が露骨になってきて、あんまり笑えないシーンが多かったです。それでも、最後に頑張ろうとするところや、人には言えない秘密を持っていたり、コンプレックスがあったり、というところにはちょっと共感したり、感動したりするから侮れないです。
やっぱり、そういう意味では芝居の深みはウッディ・ハレルソンがさすがでしたね。モニックスの元彼女リン役はモーラ・ティアニーといって、ちょっとマリサ・トーメイやジェニファー・アニストンに似た感じの美女。「ライヤー・ライヤー」ぐらいしか見た作品はなかったです。
前作の路線を継承して、欲張りすぎずにライトなエンターテイメントとして仕上げられた冒険ものです。
前作のブレンダン・フレイザーのおじさん役は全く登場せずに、ただ義父のハンクとショーンの関係性で見せていくので、ちょっと当たり前すぎではありますが。
ショーンがおじいさんと思われる人から謎の暗号を受け取って、それがジュール・ヴェルヌの「神秘の島」のありかだ、となぞの確信を得てそれを解読しようとしている。義父のハンクは息子との関係を改善しようと、一緒に協力すると。暗号を解読するプロセスは単純だし、元海軍のハンクがそんなところで急に活躍しだすとか、やや都合よすぎな感じはしますね。だいたい、いままでどんな関係だったのか、急に関係改善を図る、とか「キミたち今出会ったの?」という感じがしてしまいます。
まあ、それはともかく、パラオに行くとそれがある、ということで地元のヘリをチャーターして向かう。操縦士の娘に一目惚れのショーン。そして「キングコング・髑髏島の巨神」と全く同じ展開で島に不時着。やったー着いた!
生物の大きさの逆転した生態系とかはわかりやすいですけどね。トカゲや鳥に襲われて逃げまどった後で、島が沈みつつあるということがわかって脱出方法を探ります。
頼りは伝説のネモ船長の作ったノーチラス号。それを探るためにネモ船長のお墓探検。探るうちにも火山の噴火が激しくなりしかも金を噴出していることが明らかに。ガバチョは抜け出して娘の学費を作ろうとするけれど、必死に止める娘など。
ノーチラス号を海底に潜って見つけたけどバッテリーが上がっていて起動せず。そこで電気ウツボと接続してわーい、動いたー!海に落ちた仲間も無事回収して、無事に帰還。
ガバチョはノーチラス号を使って海底ツアーで大儲け。娘のカイラニはアメリカに渡って夢の留学。めでたしめでたしか。
おじいさん役にマイケル・ケイン。ハンクとの相性の悪さが次第に解消していく、というところはあんまりうまく出なかったというか、そもそも何で対立しているのかがよくわからない。ただユーモアの感覚が理解し合えないだけなのかも。
ガバチョも父娘関係での経済的な悩みはあるにせよ、一度話せば解消するようなレベルの話なので、大きなプロットの中ではあまり機能しない役柄になってしまったかなと思います。
とはいえ、ノーチラス号の造形とか、合成とかは前作以上に頑張っていたと思うし、不思議な世界を冒険した、という点はちゃんと作れていたと思うので。
でも、アトランティスがギリシャ文化圏だとして、なぜパラオの辺りにあるのか、はいま一つ説得力ないし、700年周期?で沈むとしても、今回は遺跡が完全に破壊されてるし、前回と沈み方がちがうんでしょうかね。
原作がある小説だとしかたないのかな、とも思いますが、思わせぶりにしすぎて、オチがたいしたことないのに気分だけで引っ張られるのは気持ちよくないと思いました。
映像的に回りくどい割に誰の気分を伝えたいのか、脅かすつもりなのか考えさせるつもりなのか、時系列のいじり方も間が悪く、サスペンスの盛り上がるタイミングも不発。
冷戦の時期、「サーカス」と呼ばれるイギリスの情報機関に内通者の疑いが持ち上がり、工作員もブダペストで任務に失敗、トップの二人は辞任に追い込まれます。
しばらくして、政府にリッキー・ターという工作員からの内通者の通報があり、それを調べてくれ、と引退したスマイリーに依頼が。そこから辞めさせられた過去の関係者や、リッキーなどとの接触を通じて、かつて情報部で何が起きていたのかを洗い出す作業が。
この辺の、過去にさかのぼるくだりも非常にご都合主義というかまだるっこしく、リッキー・ターの情報も非常に冗長で要領を得ない。ターの上司だったギラムがいろいろ資料を探ったりしているのも、スリルがまったくなく、発見の意外性も出ないので、非常にイライラします。
そのうち、スマイリーが過去に対峙したロシアのスパイ・カーラが背景にいることがわかってきたりするんですが、この辺の情報の出し方も下手。
最終的には最初から怪しかったやつみんなほぼぐるになっていて、その中から一番の裏切り者は誰かを当てるだけなので、大してカタルシスがないと。
ただ、最後まで真犯人がばれにくかったのは、スマイリーの妻を誘惑するようにと、カーラの入れ知恵があったからだ、というのだけが、意外性のある情報なんですが、そんなの、勝手にしろと思います。
たぶん、本で読んでいると時間もかかるし、うにゃうにゃ伏線があって、読みごたえがある感じなのでしょうが、映像がつくともっと簡単に済む話を、文字を追うように映像化しているので、ただ回りくどい、あるいは見る側が本を読んでいることを前提にしたような不親切な語り方をしている、という風に見えました。
マーク・ストロングが、オープニングクレジットで名前が出る前に撃たれてしまったので、「え、これで死んでいたらすごい」と思ったらそうではなくてよかったです。ジョン・ハートがトップの“コントロール”役。コリン・ファース、ゲーリー・オールドマン、ベネディクト・カンバーバッチなど、実力派はそろっていますが、スマイリー役にオールドマン、どうだったでしょうか。彼にはもう少し複雑な役を振った方が生きたというか、彼と一緒に真相を探っていこう、と共感しづらい役柄ではなかったかな、と思います。
すでにシビル・ウォーでデビューしてしまっているから、というので、設定を丁寧にやっていないのが、よくも悪くも今回の特徴ですね。
サム・ライミから数えても3つめのシリーズなので、定番商品とは言え、ちょっと頻繁に作りすぎでは?という感じもしてしまいます。
その分、ピーターを巡る家族関係、友人関係も過去のものとは少しちがっているのが特徴で、あまり説明もされないので戸惑う部分もあります。
物語としては、前回のアベンジャーズとチタウリの戦いで廃品を回収していた業者トゥームスが、スタークの会社に仕事を奪われたのを逆恨みして、チタウリの武器を使って儲け始める、というのが始まり。廃品回収の業者に、そんな技術がどこにあったんだろう、というのはちょっと不思議で、彼らの会社の下町の腕自慢、という感じの前振りが少し足りなかったのかもしれません。
ピーターはピーターで、スパイダーマンになるまでの経緯が飛ばされている分、ご近所のスケールの小さいトラブルを解決している、という設定がかなりチマチマしていて、街にも本当に感謝されていない小物にされてしまっているのはかわいそうな感じがしました。糸の使い方も、丈夫さもそれほどなくて、その辺の設定のコンセンサスが少し甘いかな、と思いました。おっちょこちょいな高校生の性格は遊びたいんでしょうが、オタッキーな性格の分、あまりコメディーにならないというか。
まあ、それでも構造としてはトゥームスがこっそりやっている武器取引の現場を目撃したところから、スタークに認められたい一心で独断専行の捜査をするピーターの挫折と成長、というところに絞ったやり方ですね。
お目付役のハッピーがあまりに無能すぎて、こんなのもっと連絡がちゃんとしてたらあっと言う間に片づいてたはずだよね、と思ったり。
一番面白かったのは、ホームカミングパーティーでリズの家に行って、初めて父親がトゥームスだとわかったところ。そこからのピーターの緊張感はいい芝居だったと思います。マイケル・キートンも以前「パシフィック・ハイツ」で見た、サイコパスな悪役の顔が決まってるな、と懐かしく思いました。
ピーターが、スーツの力以外の体力面でどのくらい人間離れしているのか、とかはもう少し説明があると、瓦礫から立ち上がるところとか、技術力に頼らないで自分でやる、みたいなところを前面に出せたような気もしますが、あそこだけ急に泣き言を言い始めるのちょっとびっくりしました。
まあ、話としては、トゥームスの命も助けたけど結局逮捕されて、憧れのリズは転校してしまう。そこで初めて本命の彼女、MJが登場するわけですね。MJも元々引きこもり傾向のあるタイプの女の子として設定したのは、なかなか今どきだなぁ、と思いました。
ラストでは、結局メイおばさんもピーターの正体に気づいた、ということですね。親友ネッドは口が軽そうでいつ秘密を漏らすかヒヤヒヤさせるのが目的の一つでしょうが、結構いいところで助けに来てくれたり、頼りになる相棒感の方が強かったですね。
最後にスパイダーマンがアベンジャーズに加わるための記者会見を本当に用意していたのが無駄になりそう、となって、ペッパーとトニーが婚約会見をする、というところが笑わせました。
全体としては、映像の出来は、合格点だけどMCUの全体の中では平均をちょっと下回りますかね。トゥームスの悪役のアクションがバリエーションに欠けるし、スパイダーマンとしての戦い方もちょっと単調でした。
キャストで気がついたのは、フラッシュ役のトニー・レボロリに見覚えがあって、「レジデント」のデヴォン役のひとかな、と一瞬思ったのですが違って、「グランド・ブダペスト・ホテル」の語り部のボーイ役です。ちょっとストレートに嫌な奴すぎて、しかも笑えるシーンは少なかったですかね。高校の校長先生が、「9-1-1」でチムニー役のケネス・チョイですね。
レンタルのBDで見ましたが、他のマーベルシリーズと違ってメイキングやNG集がついていないのは、ソニーが予算とかに渋いんでしょうかね。
3Dではなく、DVDで見ました。軽くジュール・ヴェルヌの地底探検に基づきながら、現代に置き換えての映像化。本を参考にした科学者の兄の足跡をたどる弟と甥の冒険を縦軸に。
ヴェルヌ本をベースに行く、というところですでに厳密な意味での科学的な検証には耐えない、とわかった上で、どう楽しく冒険を作っていくか、という潔い割り切りがあるので、それなりに楽しめました。
兄を亡くして彼が残した研究室も閉鎖されそうなトレバー。甥っ子のお守りを任されている最中に、兄の遺品の本の中の書き込みから、不思議な観測結果を発見。現在の観測記録とまさしく一致と。兄が行ったはずの探検の足跡をたどりに出発。甥のショーンも最初は今風のやさぐれた若者かと思ったら父親の足跡には食いついて一緒に旅することに。
アイスランドの研究所を訪ねると博士はすでに亡く、娘の山小屋だけが。彼女をガイドに山に登っている最中に雷をよけようとして洞窟に入ったとたんに崖崩れで閉じ込められ、抜け道を探す間にどんどん地下に落下することに。
途中で「インディー・ジョーンズ魔宮の伝説」みたいなトロッコレースがあったりしつつ、マントルのさらに下にある地下世界に到達。ここがもう不思議なくらいに明るくて、いったい生態系はどうなっているのかと。だけどここを暗くリアルに作ってしまってはエンターテイメント失格。陸や海の野生のクリーチャーをたくさん出しながら、脱出劇を描いてゆきます。
まあ、ティラノサウルスが昔ながらの爬虫類丸出しだったり、なぜか地下に携帯電話がつながったり、あら探しをしたらいくらでも、なのですが、限られたキャストの中の人間関係のわかりやすさを含めて、ジュブナイル冒険の楽しさはちゃんとあったかなと思います。
ブレンダン・フレイザーも、かっこよくはないですが、ダメ男の魅力は十分に健在。ちなみに続編も作られているのですが、そっちにはブレンダンは出演せず、ドゥウェイン・ジョンソンが主演。ショーン役だけが続投しています。
アベンジャーズのシリーズじゃないんじゃないかと思えるような、強烈な個性の面々が大活躍する作品。前作でみんなを守るために犠牲になったグルートがちっちゃくなって帰って来たのですが、今回はそのちっさい彼が大活躍。オープニングタイトルの曲から、ずっと彼に釘付けでした。
そして、「スター・ロード」の異名をとるピーター・クイルの出自が明かされます。なんと、小さな神様。
一仕事終えて、依頼人に報酬を受け取って帰ればいいところ、余計なことをしたので追われる身になった彼ら。あわや危機一髪というところで助けてくれる人が。彼はピーターに父だと名乗り、自分の星へおいでと誘います。
ガモーラ命を付け狙う妹ネビュラはとらわれの身でロケット達と宇宙船に残ります。
一方、かつてピーターを地球から連れ去り、かといって父親のところには連れて行かなかったヨンドゥには、ピーターを追えという依頼が。
父親エゴの星についてみると、何もかもえらく進化していて、どうやらピーターにも神のような能力が備わっている模様。一緒に暮らそうと提案する父。一方、助手役のマンティスには人の心を読んだり、癒したりする特殊な力があるのだけど、なにか伝えたいことがある模様。
そう、実はエゴは自分の息子たちを次々に殺して、エネルギーを奪い取ってこの星を維持してきたのです。ピーターも危ない!一度は反逆を起こされたものの船を取り返したヨンドゥや、姉への復讐に燃えるネビュラも合流し、実体は星そのものであるエゴとの最終決戦に。
ザモーラとネビュラ、ロケットとグルート、エゴとピーター、ヨンドゥとピーター、など複数の軸で、家族の愛憎が描かれ、距離の近さゆえに素直になれない人々が、冒険を通じて少しだけ、自分の気持ちに正直になる。大事なものは近くにあるのに気づかない。
ヨンドゥ役のマイケル・ルーカーは、スタローンと並ぶと「クリフハンガー」を懐かしく思い出しました。ドラックスのデイヴ・バウティスタ、メイキングの素顔を見たらなぜか見覚えが。それもそのはず、「ブレードランナー2049」で一番最初に殺されるレプリカント役の人でした。
劇中で盛んに話題にされるデビッド・ハッセルホフは「ナイトライダー」の主役だった人。ちゃんとゲスト出演しています。
あとは挿入歌がとにかくいいのが高評価。
いままでにないタイプの、女性スパイものでコメディー。日本では劇場公開されなかったというのがなんとももったいない。
メリッサ・マッカーシーはコメディーベースでアメリカで活躍中の女優さんですが、サタデー・ナイト・ライブでのレギュラー出演はないようですね。女性版リブートの「ゴーストバスターズ」にも出演していました。
オペレーターとしてトップクラスのスパイと組んでいた女性が、相棒の殉職により、現場に出ることになり、行方不明の核兵器奪回に乗り出す、という話で、一見「ジョニー・イングリッシュ」ノリかな、と思うのですが、もう少し才能のなさに自覚があるものが必死でチャレンジする姿が楽しい、という別な魅力があります。
プロットとしても、核兵器を追っているうちに売却相手を探ることになり、その途中でもさまざまな裏切りや暗殺計画が入り乱れて、真相には簡単に行き着けない、アクションもそこそこ本格的で、エンディングも爽快。なかなかの快作だと思います。
相棒のナンシーはミランダ・ハートというイギリスの女優さんなんですが、スーザンとの会話の間合いが絶妙でずっとコンビを組んでいたかのようです。
悪役ながらずっとスーザンと行動をともにする、核兵器の所有者レイナは、ローズ・バーン。「スター・ウォーズ」シリーズにも出ているほか、「トロイ」「ノウイング」「Xメン」シリーズなど、いろんな作品に出ていますね。ラストシーンでは逮捕されてるんですが、なんか共感したくなる、おいしい役柄だったと思います。
そしてゲストキャラクターが豪華。ジュード・ロウの本格的な二枚目スパイもいいですが、マッチョ自慢のジェイソン・ステイサム演じるフォードは引っかき回すだけ引っかき回す、おいしい役。なぜかスーザンにべた惚れなアルドもなかなかです。
前半と後半で印象が変わって、前半はミステリアスなウェイトレスを巡るちょっとヒッチコック風のスリラー、後半は「ハンニバル」もどきのホラーという感じです。
全編を通じての色使いが「ディック・トレーシー」を思わせる、暗闇と色彩のコントラストが面白かったです。
話としては、駅に迷い込んだ重病の国語教師ビル、そしてフランクリンというフィクサーに雇われた殺し屋を巡る話。冒頭に告解室でフランクリンと取引をするアニー。どうやら深夜カフェでウェイトレスをしているらしい。
ウェイトレスのアニーとの会話しながら病気のことを話すビル。そして、別な時間軸ではそこにやってきて打ち合わせをする二組の殺し屋。
会話が進むうちに、ビルとアニーの隠されていたつながりが見えてきて、これは復讐だったのだ、ということが明かされます。そして途中で疑心暗鬼に陥って仲間割れを起こす殺し屋二人も次々と殺されてゆきます。
最初から誰かが全体をモニターしているな、と思っていたら、それは駅員に化けていろいろと裏工作を行っていたフランクリン本人だったと。
アニーとの会話の巧妙さと謎掛け感に感心しました。微妙にルイス・キャロルの「アリス」をなぞっているな、と思っていたら、最後にひとつ大きな仕掛けを残していました。アニーはトウィードルダムとトウィードルデーのように双子だったのです。
そして、フランクリンの若いころに焼き殺されたのが、二人の母。父親はなにを隠そう、フランクリン自身だったのです。そして、母の仇をとる二人のアニー。
最後のオチはややストレートすぎてあんまり楽しめなかったようにも思います。
あと、フランクリンがずっとモニターで監視していたのなら、アニーが双子に気づかなかったのは迂闊な感じがしますね。香水が変わっていたことで若い殺し屋の方はそれとなく気づいてましたが。
シャロン・テート役で有名なマーゴット・ロビー、綺麗な人ですが、「フォーカス」でウィル・スミスと組んで詐欺師役をやってますね。あと、トーニャ・ハーディング役もやってます。ビル役のサイモン・ペッグがいなかったら、前半はさぞかし退屈な映画になったような気がします。ティム・ロスみたいな存在になってきました。
駅員役のコミカルな演技はマイク・マイヤーズさすがだな、と思ったのですが、後半になって黒幕フランクリンだとわかるとちょっと過剰ぶりに引いてしまう部分がありました。そこまでの人間としての屈折や深みは感じないですね。
一度は見て、大体覚えてたんですが、MCUの一本として位置づけたことがなかったので、腑に落ちないシーンもいくつかあったりして、おさらいと思っていたけど、やっぱり見始めたらノンストップで見てしまいました。
天才的神経外科医、というエリート中のエリート、しかもこの世界にはありがちな高慢さを持ち合わせた人間が、交通事故で肝心の両手の感覚を失ってしまい、リハビリも思うようにいかず、自暴自棄に陥ったときに、奇跡的な回復を見せた患者の症例をみて、訪ねたカトマンズのカマール・タジ。そこで出会ったエンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)の導きと、持ち前の勉強熱心さと記憶力で、どんどん魔術の力をつけていく、という話。
それとは別に、この世界では、先にカマール・タジから禁断の書を奪って去っていった反逆児カエシリウスがいて、暗黒世界と手を結ぼうとしていると。
修行の途中で、もうカエシリウスたちの侵略が始まって、ロンドン・香港・ニューヨークの3拠点のうちロンドンは落ち、ニューヨークも襲われ、エンシェント・ワンも殺され、最後の香港を残った3人の弟子でどう守るか、という話に。
結果的にはストレンジのとんちで永遠のループから逃れるためにドルマンムとの取引を行い、引き換えにカエシリウス一味の魂を持っていかせる、というめでたしめでたし。だけど兄弟子のモルドはエンシェント・ワンが暗黒パワーを使って寿命を長らえていたことが許せずに、悪の道に落ちてゆく、というストーリー。
ストレンジの性格が最初の高慢さからハッキリ変わっていくところというのは、魔術の勉強の過程ではよくわからなかったかな、とか思ったりして、元彼女のクリスティーンとの再会の時の会話で少し匂わせるくらい。事件が矢継ぎ早に起きていくので、精神的な成長とかはすこし駆け足すぎたかも。手術室の霊体抜け出しとかは面白かったですが、クリスティーンとの関係はもう少し見たい感じがしました。
映像的に、ミラー世界の面白さが一番独特で、いろんなアクションや重力の変化を見せて楽しめましたが、案外そういう異常な世界を作っているカエシリウス側の方もこの世界に苦労しているようで、なんのためにやっているのか途中からわからなくなったりしました。最後のバトルも地球上ではちゃんと決着がつかないのでカタストロフィーと逆回転だけ、みたいな。「ファンタスティック・ビースト」で魔法使いたちがノーマジの世界の破壊を「なかったことにする」みたいなデジャヴ感覚はありました。
カエシリウス役のマッツ・ミケルセンは「007カジノ・ロワイヤル」とかでも知られる存在感のある人。今回は目の周り塗られすぎて表情がいま一つわからなかったかも。モルドは先輩だけどダークサイドに落ちる、という心情の奥行きが少し足りない感じ。クリスティーン役のレイチャル・マクアダムスは「シャーロック・ホームズ」でアイリーン・アドラー役をやってますが、コメディータッチが似合う、かわいい女優さんですね。ウォン役のベネディクト・ウォンがコメディー担当としていい味出してます。ティルダ・スウィントンは「コンスタンティン」のガブリエルみたいにこの世のものとは思えない綺麗さと強さ(と悪さ)を併せ持つ人で大好きですが、今回もはまり役でした。