「キャプテン・アメリカ」というタイトルがもはやいいのかどうか、これがマーベル・シネマティック・ユニバースの本拠地になってる感じのあるストーリーで、「アベンジャーズ」とどっちがどっちかわからなくなってます。「アベンジャーズ」の方が、宇宙的規模の話を扱う、ということですかね。

なにかと大規模な危機から地球を救いはするものの、甚大な被害も出すアベンジャーズ。非難の声も高まり、国連の指揮下に入れとの圧力が。アベンジャーズのメンバーの中でもこれを受け入れるかどうか、意見が割れます。

意外なのは、いつも勝手を言っているトニー・スタークがこれを受け入れよう、と言って、ふだんは杓子定規なスティーヴ・ロジャーズが反対すること。

折しもペギー・カーターが老衰?で亡くなり、お葬式。前作で活躍した姪のシャロン・カーターが弔辞を読み、その後ウィーンでの国連会議。そこで採決しようとする間際に会場が爆破され、ワカンダの国王が亡くなります。

そこで犯人探しが始まりますが、ここで前々から雲行きの怪しかった、キャプテン・アメリカとアイアンマンのトニー・スタークの間に決定的な亀裂が生まれる。その原因は、犯人と目されるウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズ。

バッキーを保護する過程で、死んだワカンダ国王の息子がブラック・パンサーとしてバッキーへの復讐を試みたり、つかまったバッキーが殺人マシーンとして洗脳プログラムを施されてまた暴れたりしていろいろワチャワチャ。

そして、真犯人ジモを探そうとするロジャース組と、バッキーを捕まえようとするスターク組に分かれて、アベンジャーズが派手なバトルを繰り広げる、というのが一つの山場。そこで、「アントマン」と、新人の「スパイダーマン」も登場。それぞれに見せ場のある戦いが見られます。

キャプテンたちがシベリアのハイドラの施設に向かう中、逮捕されたアベンジャーズたちからトニーも行き先を聞き出し、手伝いに向かいますが、そこでジモに見せられたものは、まさかのトニーの両親の殺害シーン。殺したのは洗脳されたバッキーだった。そこでなんとも悲しい戦闘シーンが。

最終的に勝敗はつかずにバッキーとロジャースはその場を去りますが、バッキーはたっての希望でコールドスリープに。つかまっていたアベンジャーズは、どうやら脱獄に成功した、というところでおしまい。

今後のアベンジャーズの団結に疑問符がついた形で終わるとはなかなかやりますな。

個人的には、スパイダーマンのピーターの家を訪ねた時のトニーとピーターの会話がツボで、さらに若くて綺麗なメイおばさんをマリサ・トーメイがやっているのがうれしいですね。エミリー・ヴァンキャンプがペギーの姪だったというのは今回初めてハッキリ明かされたんじゃないかと思いますが、ロジャースとはいい仲になっていくんですかね。心に残ったのは、スカーレット・ウィッチであるワンダとヴィジョンの関係でした。

まあ、常になにかは見どころがある、という感じでサービス満点の1本です。

ホームズの設定に則っていつものウィル・フェレル風を試してみたけれど、どうもうまくいかなかった、という感じでしょうか。「フィギュアスケーター」をやっていたころに比べるとちょっと年をとって、切れ味を欠く、ということかもしれません。

プロットとして、モリアーティーが登場して、ホームズが取り逃がしたのか、あるいは本当にアメリカに逃げたのか、という謎から始まって、モリアーティー風の手口の犯罪が起き、そこから女王の暗殺とイギリスの没落を予告される、というのは悪くないだろうと思います。

アメリカからの女性二人のキャスティングも魅力的。この二人が生かしきれなかったのは痛いと思います。それから、ギャグの質として、下ネタがすごく多い、というのはマイナスポイント。女王を殺しちゃった、と思い込むのも面白いんだけど、そのあとの処理のドタバタは少し悪趣味。イギリス的な文化への皮肉というよりは悪意に感じる部分も多いかなと。

真犯人の意外性、というのはちょっとあってそこは評価したいなと思うのだけど、ラストシーンにタイタニックを絡めたのも、この悲劇をリアルに受け止める人からするとバカにするな、ということになると思うので、ちょっと距離感を誤ったかな、と思います。

批評家からは軒並み総スカンを食らったらしいですが、急に歌いだすシーンとか笑っちゃうし、ミリーの歌唱力にもびっくりするし、そこまでひどいというつもりもないです。ただ、もっといいもの作れたよなぁ、という残念さは残りますね。

グレース役のレベッカ・ホールは少しアン・ハサウェイを思わせる大きな瞳の美人で、「フロスト×ニクソン」「アイアンマン3」「トランセンデンス」などけっこう大作も多いです。助手ミリー役のローレン・ラプカスはそれほど映画は多くないけど「ジュラシック・ワールド」にも出ていますね。ハドソン夫人役のケリー・マクドナルドはスコットランド出身で「トレインスポッティング」「ノー・カントリー」「ハリー・ポッター」にも出ている実力派です。

Yahoo!ムービーにも載っていないマイナーなタイトルで、英語のウィキペディアページすらないのですが、IMDbには記載がありました。

原題はThe Mourningということで愛するものを失った哀しみを中心に描いたもの。

 

従軍した先で行方不明になって、死を宣告された男アーロンが、なぜか森の中で意識を回復。20年前の姿のまま、家族や友人の前に姿を表します。

言葉も話せなくなって、何を覚えているのかもわからないまま、家族と再会したり、認知症の父親に会ったり、今は結婚して子どももいる恋人と再会したりします。そのうちに、少し言葉を発するようになったり、でも再会した人々の中には戸惑いを覚える人々もいて…。

 

やがて彼の体調も少しおかしくなってきて、急に出血して倒れたり、急に元気になったり。彼のことを嗅ぎ回るUFO信者のグループも追いかけ回すようになったりして、最後は発見された林に戻ったところで唐突に終わり。

 

プロットとしては少し説明不足で、説得力はないのですが、この作品の強みはそこではなく、人々の心情に着目したところでしょう。ここには戦争で愛するものと分かれ、死別し、その後を乗り越えるまでの感情の動きが刻み込まれています。人を亡くした後にその人の幻影を街の雑踏で見つけたりする、というルーシーの言葉には胸を衝かれるし、戦友デイヴィッドが戦地から還っても誰にも語れなかった自分だけの悔悟、今の妻ルーシーの元恋人が帰って来たときの夫ジェームズのリアクションなど、ここには本物の人間のリアクションがある、と感じました。

 

唯一、おもちゃみたいな作り物のキャラクターが、UFO信者の3人なのですが、この人工的なとってつけた、粋がってる感じは、狙ってのことなのでしょうかね。

 

序盤から、なにか第三者の目で見つめられている、というのは伝わったのですが、それが森とどう関係あるのか、姪のエリンだけに見えた存在とはなんだったのか、もう一つピンと来ませんでした。木の精霊なのかな、とか思ったりしたんだけど、木は動きませんしね。

 

陰謀派のスーツ女のドミニク・スウェインは「ロリータ」でデビューした女優さんのようですが、他にはあまりメジャー作品はなさそうです。アーロン役マイケル・ルネ・ウォルトンも、ウィキペディアのページがないですが、監督/プロデューサー/作曲家としても活躍しているようです。一番の鍵になったのは戦友デイヴィッド役ルイス・マンディロアで、フレディ・マーキュリーか、ジャン・レノか、ルトガー・ハウアーか、と思わせる印象的な瞳と鼻の形をしていて、保安官という職業と、戦争のトラウマをぬぐいきれずにいるジレンマを深みをもって表現していたと思います。昔の恋人ルーシー役サリー・マクドナルドも、やっと日常に平和を見いだせたと思ったのに、アーロンを思った日々を捨て去れない、微妙な心情をうまく表現していると思います。後は、ルーシーの娘リンジーが、すごく大切なキャラクターで、彼女がアーロンとルーシーを結果的に出会わせていたり、父親との和解に一役かっていて、なかなかいい味を出していました。

 

20年前のフラッシュバックシーンで、20年前の若さはちょっと表現できていなかったかな、というのは残念ポイントですが、いやいやどうして、なかなかの佳作だと思いましたよ。

エマ・ワトソンと、イーサン・ホークという、昔美少年だったけどいまはくたびれたオヤジ感を売りにしている俳優。この作品を見ていて、「ウェイワード・パインズ」というテレビシリーズに出ているマット・ディロンを思い出しました。

刑事役自体が、ちょっと既視感があるのですが、悪魔崇拝とか、児童虐待だとか、美少女の告発とか、胎児を殺す儀式だとか、結構興味深い事件をどう料理してくれるかな、と期待しながら見始めたのですが、時代の精神が遅れていることもありますが、いかにも鈍いリアクション、ただ腕っ節に頼るだけの強引な捜査、あまり魅力ない心理学者のいいかげんな催眠術と心理分析。事件が混迷しているんじゃなくて、事件をどう描きたいか、作り手が混迷しているように思えました。

で、結果的にまんまと罠にはまった刑事のひとり相撲。もう話半ばで、このパターンだとどう考えても辻褄が合わないからオチはこれしかない、最悪のやつ、と思っていたらまんまとその通りで、これなら「プロフェシー」の方がおもしろかったなぁ、と思いました。

 

DVDを借りて見たのですが、画面全体が緑がかっていたのも残念なポイントでした。劇場ならもう少し綺麗な色だったでしょうか。

幼いころから関わってきたカルト教団を抜け出した兄弟が、現実世界でもうまくいかずに、ちょっと教団に戻ってみる、という体験をしてみると…。

割にありそうな設定で、また抜けられないカルト教団のぬかるみを描くのかな、と思ったら違いました。

兄にいつもあーしろこうしろと言われて嫌気がさしている弟は教団に里心がついて、少しでも長くいたい。ところが兄の方は元々弟を強引に引きずり出した立場だし、教団の怪しい部分にすぐに気づく。

最初のうちは昔のわだかまりでぎくしゃくしているだけかと思ったら、教団の信奉している中身がちょっと普通じゃないことに気づく。集団自殺を試みているわけではないけど、なにか超常的な力が働いて、こちらを観察しているみたい。

そうしているうちに、兄弟は意見が食い違い、兄だけ出て行くことに、しかし車がガス欠で歩いているうちに変なところに迷い込み、このあたり一帯が不思議なループ空間になっていることを知ります。

ループは、人ごとに周期も違って、とにかく死ぬとまた同じところから繰り返す。まだ死んでいない兄は自由にいろんなループ空間を移動しながら抜け出す方法を探る。一方弟も行方のしれなくなった兄を探そうとするうちに、いくらなんでもこの人たち怪しい、ということに気づきます。

三つ出た月のすべてが満月になった瞬間に、なにかが起きる、ということでキャンプ場に出てみると村人は全員消滅。世界の崩壊が始まる。ガス欠の車を押しがけしながら脱出を試みる兄弟、そこで初めて胸の内を語り合い、わだかまりを解消しながら、脱出に成功する、というのがお話。

兄への不満を抱きながら、それでもそれが兄弟だ、家族だ、と認めることから始まる、という、なんか感動したぞ、という終わり方。ラストで見送る教団の人たちも、実は俺たちのようになるなよ、と脱出する兄弟を温かく見守っているようで、深みのあるプロットでした。

火事の現場とかは明らかにCGだし、特撮はそれほど派手ではないのですが、ループが生じる瞬間とかはどきっとさせてくれたし、「アナイアレイション」ほどには映像的に風呂敷を広げすぎる必要がなかったのが成功の鍵のように見えました。

 

容赦のない空間の法則とか、ループにとらわれた人々の運命とか、描き方が客観描写で、ちょっと2017年の「ツイン・ピークス」のテイストを思い起こしました。


実は、この映画には、監督が同じで、共通の世界観・設定をもった作品が一つあって、原題はResolutionという、2013年の映画なのですが、こちらは日本では公開されていないみたいです。チャンスがあったら見てみたいなと思います。

ナタリー・ポートマンが主演で、ジェニファー・ジェイソン・リーが助演の、SFホラー。ホラーと言ってもそんなにこけおどし的ではありませんけどね。

リーナ(ナタリー・ポートマン)がクリーン・ルームのようなところに隔離されて尋問されているところから始まります。どうやら彼女はどこか危険なところに行っていたらしい。しかもただ一人の生存者。


リーナは軍人を退役して学校で教えている進化生物学者。夫ケインを亡くして1年らしい、と思ったら急に帰って来てびっくり。そしてまた急に倒れて救急車で帆走中に黒塗りの車にさらわれてわけわからないところに。どうやらそこは灯台の近く。“シマー”と呼ばれる一帯があって、そのエリアは刻一刻と広がりつつある。中に入ったものはたくさんあれど誰も出てこず。

実は夫もそこに入って行方不明になったのだ、ということがわかってさあ大変。重病の夫も治療のめどが立たず、何が起きたのか知りたいので、5人のチームを編成して調査することに。

やがて、みんなは、時間の感覚を失ったり、外界との連絡がとれなくなったり、異様な進化をした生物たちに襲われたりといろいろ大変なことになります。

その間にリーナの記憶のフラッシュバックで、実は同僚と浮気していたことがばれたり、いろいろありますが、とにかくチームはバラバラに。でも引き返すことはできずに崩壊してゆく。

結局先に灯台にたどり着いたのはヴェントレス(ジェニファー・ジェイソン・リー)、どうもわけのわからないものに体も意識も乗っ取られてしまったらしく、最後は白い発光体に。一方は灯台に設置されていたカメラの映像から、生きて帰ったと思っていたケインが実は自殺していたことをしり、じゃ、いま重病で寝ているのは?という謎。そして、リーナの動きをそっくりまねする銀色の生命体との対決。

想像を絶する不思議なものを描くにはどうしたらいいんですかね。しかも一つのエリア丸ごと、というのが大変。描き方は抑制的ですが、ポイントポイントに生物学的な突然変異や、動物と植物の境界線で起きる不思議な出来事を入れていかないといけないので大変だな、と思いました。もしも本当に遺伝子レベルでものすごいスピードでなにかが起きているとしたら、虫だって危ないし、ワニやクマの一個体のレベルじゃない形でいろいろ進行するはずなんじゃないかな、と少し理屈っぽく考えてしまいました。

女性だけの混成チームで、あまりちゃんと統制がとれていないのにぐいぐい前に進むあたりがB級感ありますね。

音響的にはなかなか予兆めいたものをうまく表現していて、ちょっと「メッセージ」を思わせるところがあって、ビジュアル的にもいろいろと頑張ったと思うのですが、ちょっと風呂敷を広げすぎたかなぁ、と思ったりしました。

ラストがハッピーエンドじゃないの、好きですけど。

タイトルからはクライム・スリラーかアクション、サスペンスを想像しますが、ホラーです。

いろいろと頑張っているところはあって、CGや加工に頼らずにオリジナルの展開を作っている、というのは確かです。

二人の殺し屋が、“魔術師”を殺しにやってくる。ボスの女をかどわかした、という理由です。屋敷に足を踏み入れると、次々と予想外のことが起きて、それぞれが自分の過去と向き合わされ、抜け出せない迷宮をさまよう、というお話。

歳も経歴も違う二人の殺し屋が、暗殺に来たにしてはずいぶんと饒舌におしゃべりしながら、廃墟探索してるんだなぁ、というおかしさはちょっとあって、しかも序盤の虚勢を張ったような経歴自慢が、ある時点をすぎるとただおびえて逃げ回るだけの存在になってしまう、というのがトホホな感じでもあります。

特に最初から愛人に捨てられてうつを患って2年ちょっと休んでた、とかいう話になると、じゃ殺し屋なんかやるなよ、と全観客から突っ込み入っただろうな、と思います。

長回しだったり、二人が分岐するときにはマルチ画面で追ったり、映像的な工夫は随所にあって、ホラー的な脅かしの要素は音と相まってなかなか効果を上げています。特殊メイクのお化けたちのさりげない登場やサブリミナル効果などはなかなかのものだと思います。

しかし、一度パターンがわかってしまってからはやはりちょっと単調。お化けのパターンも、銃で撃ったらどうなるのか、ピストルの故障はそう何度も使えない、どこをどう迷っているのか、なんで早く脱出しないのか、などイライラがつのります。

開き直って事態をどう把握するのか、の心理が主人公の側にあまりなくて、もうなぶり殺し状態。終盤になって、なぜここから抜け出せないのか、前半に起きた奇妙な出来事はなんだったのか、への回答が明かされ、なるほど、そういう意味では見事にできた入れ子細工の迷宮だったのだな、と関心するのですが、いかんせん、そこに到達するまでが長すぎた。

何度も繰り返してみて、構成の緻密さやタイムループの前振りの確認などもその気になれば面白いでしょうが、ストーリーを追って楽しみたい、という人にとっては、ちょっとカタルシスが足りないでしょうね。

マーベルの原作の中では早くからアベンジャーズのメンバーだったというアントマン。いささか回りくどい手順ですが、元犯罪者から適役をリクルートして、軌道に乗せていく、というお話を見事なストーリーテリングとカメラワークで。

最初は、またシリーズ全体での位置づけをするために、過去のシールド内での意見の食い違いで、ハンク・ピムが引退するシーン。ここでのマイケル・ダグラスが、「えっ」と思うほど若いのですが、これは多分それなりに加工してるんでしょうね。

そして時代は飛んで、刑務所でお勤めを終えたスコット・ラングが出所。娘との再会だけが喜びですが、妻はすでに再婚、その相手の警官ともそりが合わず、波瀾含み。再就職もうまくいかず、つるんでいたワル仲間に誘われて老人の金庫を狙おうと。大金が手に入ると当て込んで見事に金庫を開けると中にはバイクのスーツ?が。ところがそれは老人ハンク・ピムが仕掛けた罠だった。

何の気もなくスーツを着ると、体が縮んだり戻ったり。慌ててスーツを返しに行くと、そこに警察が駆けつけて逮捕。このままではどうにもならん、となったときにまたスーツが差し入れされて、脱獄に成功。

ピム博士は、自分が会社の後釜に据えたクロスが独自に縮小技術をものにしてミニミニ兵士の契約を軍と結ぼうとしていることを知り、それを止めるために会社に侵入してほしいと持ちかけるのでした。それを聞きつつ面白くないのは博士の娘ホープ。なんで自分に任せてくれないの、と親子関係がこじれて、そこを取り持ったり、スーツを着こなしや体力の発揮の仕方のトレーニングでだいぶ時間を使います。

そしていよいよ本番、と思ったらクロスにはこちらの動きはほぼ筒抜け、万事休すか、と思いつつ、会社のサーバーの破壊には成功、そして、娘の危機も救ってクロスがスーツを着たイエロージャケットも倒し、娘の義父とも仲直り、というめでたいエンディング。

ストーリーにしたら他愛ないかもしれないですが、娘キャシーがかわいいのと、親子の情愛に絞りつつ、盗みのシーンでは3バカトリオのチームワークと手口も面白く、正義の味方っぽくない爽快さがあります。

スコット役ポール・ラッドは、見た感じはそれほど特徴際立たないですが、会話の間とかがよくて、ちょっと臭い感動的シーンに水を差す演出などはうまくいっていると思います。

ヒロインのホープ役エヴァンジェリン・リリーは、アクションなども頑張っていて、角度や表情によっていろいろに見えます。ただシリーズが今後続いていくという前提だとやや年齢が高く見えるかな。ああ、「LOST」のケイト役でブレイクしたんですね。

悪役クロスのコーリー・ストールは割に最近露出が増えてきた人のようで「ダーク・プレイス」「ボーン・レガシー」などにも出ているようです。3バカのうちのパソコン得意な人は見覚えあると思ったら「ブレードランナー2049」でラブに殺された科学者でしたね。最後にクロスの技術の一部を持ち出すのに成功する、ミッチェル・カーソンは、ハル・ハートリー映画の常連キャスト、マーティン・ドノヴァンです。

 

ベトナム戦争とイラク戦争という違いはあれ、退役軍人のトラウマというのが時代に落とす影というのはいつもこういうものなのでしょう。

少女売春から少女たちを暴力的手段で救い出すのを生業にするジョー。老いた母親との二人暮らし。

そこに新しい仕事が。議員の娘がどうやら組織的売春につかまったらしい。相手を痛めつけて取り返してほしいと。タレ込みのあった場所で待ち伏せして、見事に娘ニーナを取り返し、待ち合わせに父親が現れるのを待っていると、その父親が自殺したというニュースが。そしてジョーたちは襲われニーナは再びさらわれてしまいます。

そして、ハンドラーも残虐に拷問の末ころされ、連絡係も親子ともに惨殺。さてはと家に駆けつけると老母もすでに睡眠中に射殺されていたと。

怒りに任せて一人を射殺、残る一人から情報を聞き出してから、ジョーは母親を湖に弔い、自分も自殺しようとしますが、さらわれたニーナのビジョンを見て思いなおします。

そして、彼女をさらった知事を別宅に襲います。ところが寝室にたどり着くと寝室には喉を掻っ切られた知事の死体が。ニーナがすでに自分で仕事を済ませていたのでした。

二人で寄ったダイナーでジョーはもう行き場もなく、自殺するビジョンを。しかしニーナは「行きましょう、いい天気よ」。

お互いにDVや性暴力にさらされ、傷つきあったもの同士の共感と、若さの持つ再生力、未来を奪うことはできない、という前向きなメッセージを、女性監督リン・ラムジーが確固たる表現で描き出します。

リン・ラムジーという人の作品は、他には日本では「少年は残酷な弓を射る」ぐらいしか公開されていないみたいですが、光・音の使い方がとても自信に満ちていて、映像を意図的にぼやけさせたり、キリッと引き締めたり、自在のコントラストで、構図も決まっていますね。

ジョーの腕前については、ずいぶん荒っぽくて、それも少年時代の父親のDVに由来するものだ、というのが少しずつわかってきたりするのですが、話が始まった時点ですでにかなり疲労の蓄積がひどくて、見ていて哀れを催します。そして、老いた母との二人暮らしという関係性のリアリティーがぐいぐい来ます。

原題がYou were never really hereなのですが、「あなたは本当はここにはいなかった」。意味深ですね。終始自殺願望に悩まされるジョーに対しては、「ここで死のうと生きようと、世の中は大して気にしない。ならば開き直って生きまくれ!」というメッセージのようにも感じます。

「世界にパーレただひとり」という絵本があって、やんちゃでわがまま盛りの子がいて、ある日起きるとうるさいママやパパがいない。で、街に出てみるとお店もレストランも空っぽ。いつもできないことがやり放題だ、と大喜びのパーレだけれど…、というお話なのですが、それを思い出しました。

途中で何人かの子どもに出会って、でも相変わらず状況はよくわからなくて、というところから少し冒険めいていくのですが、途中でどうやら彼らの様子が監視されているようだ、というのも「アノン」風に匂わされて、ドローンも時々出没。

途中で警察で手錠をかけられていた黒人の青年を解放してあげると、お礼も言わずにバイクで立ち去る。

さらに、街を出ようとすると、街の周囲を巨大な霧?煙?の塊が取り囲んでいることを知り、さらに、先程助けた黒人の青年がボウガンかなにかで撃たれて倒れている。彼を助けて、ホテルで手当てして…。など。

途中で、集まった子どもたちのバックグラウンドがわかってきたり、それぞれが自分の中に孤独を抱えた存在であることがわかりつつ、少しずつ自分の頑なさを克服して結びつきを見いだす、みたいな話です。

ちょっと展開的には、ありがちで、若者が危機的状況に陥ったときに、どうやって生き残り戦略を立てるか、の基本の筋があんまり説得力なくて、行き当たりばったり感はある。当然観ている立場から疑問に思うようなことを登場人物がスルーしているのは、なかなか厳しいものがありました。

フランス人という国民性なのか、個々のキャラクターの身勝手さは、日本のようにチームとしての統率を重んじるものとは違って、これはこれで新鮮でしたけどね。だけどそれぞれに思っていることが遠回りすぎて伝わらない、というきらいはありました。

で、問題のクライマックス。妹分カミーユがさらわれて、その犯人は、と探すとマンガに出てくるようなナイフマンが犯人か。でも捕まえてみると言葉を話せない障害児のようで、黒幕は別にいると。

その存在をたどっていくうちに、街に来ている移動遊園地がそうらしい。そこにたどり着くと…。

ここからは、「LOST」か「パッセンジャーズ」のノリになってきて、途中で死んだはずのドジも生き返り、でもこれから一緒に死ぬんだ、みたいな、難のために今まで頑張ったのかわからない世界が続きます。

主人公のレイラが真相を知るところのフラッシュバックの感じとかは好きだし、前半の仕込み部分の映像に手がかりがすべて隠されていた、という作りは「サスペリア2」を思わせる見事さ。あとは仕上げの部分だけだったのですが。この展開なら、遊園地の火事の中、子どもたちが協力することで運命を変えて、別パラレルワールドで生き延びる、という展開は勝算があったと思うのですが。

どうも原作コミックのシリーズがあるらしいので、その意味ではバッドエンドにして、続編狙いなのかな、とも思いますが後味は悪いです。天国で讃えられている神様ポジションが、あの嫌なやつ、というのもなかなか神経逆撫でされます。

登場人物の中に、移民、黒人、障害児、そして隔離病棟で闘病中の兄、とかさまざまな今日的なテーマが盛り込まれてると思ったのですが、終盤に障害児のことはみんなが忘れてしまったみたいで、彼だって運命をともにした、犠牲者の一人ではなかったのかな、と、不公平感を感じました。