タイトルからはクライム・スリラーかアクション、サスペンスを想像しますが、ホラーです。

いろいろと頑張っているところはあって、CGや加工に頼らずにオリジナルの展開を作っている、というのは確かです。

二人の殺し屋が、“魔術師”を殺しにやってくる。ボスの女をかどわかした、という理由です。屋敷に足を踏み入れると、次々と予想外のことが起きて、それぞれが自分の過去と向き合わされ、抜け出せない迷宮をさまよう、というお話。

歳も経歴も違う二人の殺し屋が、暗殺に来たにしてはずいぶんと饒舌におしゃべりしながら、廃墟探索してるんだなぁ、というおかしさはちょっとあって、しかも序盤の虚勢を張ったような経歴自慢が、ある時点をすぎるとただおびえて逃げ回るだけの存在になってしまう、というのがトホホな感じでもあります。

特に最初から愛人に捨てられてうつを患って2年ちょっと休んでた、とかいう話になると、じゃ殺し屋なんかやるなよ、と全観客から突っ込み入っただろうな、と思います。

長回しだったり、二人が分岐するときにはマルチ画面で追ったり、映像的な工夫は随所にあって、ホラー的な脅かしの要素は音と相まってなかなか効果を上げています。特殊メイクのお化けたちのさりげない登場やサブリミナル効果などはなかなかのものだと思います。

しかし、一度パターンがわかってしまってからはやはりちょっと単調。お化けのパターンも、銃で撃ったらどうなるのか、ピストルの故障はそう何度も使えない、どこをどう迷っているのか、なんで早く脱出しないのか、などイライラがつのります。

開き直って事態をどう把握するのか、の心理が主人公の側にあまりなくて、もうなぶり殺し状態。終盤になって、なぜここから抜け出せないのか、前半に起きた奇妙な出来事はなんだったのか、への回答が明かされ、なるほど、そういう意味では見事にできた入れ子細工の迷宮だったのだな、と関心するのですが、いかんせん、そこに到達するまでが長すぎた。

何度も繰り返してみて、構成の緻密さやタイムループの前振りの確認などもその気になれば面白いでしょうが、ストーリーを追って楽しみたい、という人にとっては、ちょっとカタルシスが足りないでしょうね。