マーベルの原作の中では早くからアベンジャーズのメンバーだったというアントマン。いささか回りくどい手順ですが、元犯罪者から適役をリクルートして、軌道に乗せていく、というお話を見事なストーリーテリングとカメラワークで。

最初は、またシリーズ全体での位置づけをするために、過去のシールド内での意見の食い違いで、ハンク・ピムが引退するシーン。ここでのマイケル・ダグラスが、「えっ」と思うほど若いのですが、これは多分それなりに加工してるんでしょうね。

そして時代は飛んで、刑務所でお勤めを終えたスコット・ラングが出所。娘との再会だけが喜びですが、妻はすでに再婚、その相手の警官ともそりが合わず、波瀾含み。再就職もうまくいかず、つるんでいたワル仲間に誘われて老人の金庫を狙おうと。大金が手に入ると当て込んで見事に金庫を開けると中にはバイクのスーツ?が。ところがそれは老人ハンク・ピムが仕掛けた罠だった。

何の気もなくスーツを着ると、体が縮んだり戻ったり。慌ててスーツを返しに行くと、そこに警察が駆けつけて逮捕。このままではどうにもならん、となったときにまたスーツが差し入れされて、脱獄に成功。

ピム博士は、自分が会社の後釜に据えたクロスが独自に縮小技術をものにしてミニミニ兵士の契約を軍と結ぼうとしていることを知り、それを止めるために会社に侵入してほしいと持ちかけるのでした。それを聞きつつ面白くないのは博士の娘ホープ。なんで自分に任せてくれないの、と親子関係がこじれて、そこを取り持ったり、スーツを着こなしや体力の発揮の仕方のトレーニングでだいぶ時間を使います。

そしていよいよ本番、と思ったらクロスにはこちらの動きはほぼ筒抜け、万事休すか、と思いつつ、会社のサーバーの破壊には成功、そして、娘の危機も救ってクロスがスーツを着たイエロージャケットも倒し、娘の義父とも仲直り、というめでたいエンディング。

ストーリーにしたら他愛ないかもしれないですが、娘キャシーがかわいいのと、親子の情愛に絞りつつ、盗みのシーンでは3バカトリオのチームワークと手口も面白く、正義の味方っぽくない爽快さがあります。

スコット役ポール・ラッドは、見た感じはそれほど特徴際立たないですが、会話の間とかがよくて、ちょっと臭い感動的シーンに水を差す演出などはうまくいっていると思います。

ヒロインのホープ役エヴァンジェリン・リリーは、アクションなども頑張っていて、角度や表情によっていろいろに見えます。ただシリーズが今後続いていくという前提だとやや年齢が高く見えるかな。ああ、「LOST」のケイト役でブレイクしたんですね。

悪役クロスのコーリー・ストールは割に最近露出が増えてきた人のようで「ダーク・プレイス」「ボーン・レガシー」などにも出ているようです。3バカのうちのパソコン得意な人は見覚えあると思ったら「ブレードランナー2049」でラブに殺された科学者でしたね。最後にクロスの技術の一部を持ち出すのに成功する、ミッチェル・カーソンは、ハル・ハートリー映画の常連キャスト、マーティン・ドノヴァンです。