ラストの後味の悪さを除けば、かなりうまく行ってる悲劇的なサイコスリラーだと思います。ホラーではないし、地獄落ちの話ではないので、ビジュアルは相当ミスリーディングだと思いました。

ニコラス・ケイジ演じるジョーはしがないトラック運転手。その日の支払いにも事欠くような食い詰めぶり。ある晩、トイレで首を締められている女性ジュリーを助けたけど、じつは彼女は幽体離脱をできる能力を持っていた。交通事故に遭った娘ビリーを助けたかったのだと。病院にジュリーを連れて行くとビリーは瀕死状態。ジョーは彼女がもう一度幽体離脱してビリーの魂を身体につなぎ止めるのを手伝った。うまくいってビリーは回復した、はずだった…。

しばらくするとビリーの言動が前と違う。ジュリーの目を盗んでジョーに色目を使うようになったのだった。ジョーはジョーで荷物の配達が遅れたことでトラックを没収されジュリーの家に居候。

そしてある日、ビリーはジョーに正体を明かす。それはかつて火事で亡くなった、ジョーの妻メアリーだった。病院でビリーの魂より先に、ビリーの身体に入り込んだのだという。信じがたいことだがうれしいジョー。やがて二人は関係に溺れていく。

ある日とうとうジュリーの目に止まり真相を告白したが、ジュリーを邪魔者扱いするビリーは殴って気絶させてしまう。そしてボーイフレンドの家に行って現金を強奪を計画して、はずみで友達を死なせてしまう。

追い詰められた二人は、かつて住んでいた廃屋に。そこには死んだ妻と娘サラの遺物が。追いかけてきたジュリーとビリーと銃を突きつけにらみ合いに。そこでジョーは一人で留守番ができなかったメアリーが自らサラに手をかけたという真相を知る。精神が崩壊するジョー。ビリーとジュリーが揉み合いジュリーは被弾。昏睡状態になりながら、彼女はビリーの魂を身体に引き戻すのだった。

狂気の中で娘サラと再会したジョーは自らに火を放ち、屋敷はジュリーの亡骸とともに焼け落ちる…。

ラスト、ビリーは寿命がつきてたんだったらサラがもどってくる、というずらしたハッピーエンドにできなかったのかな、とも思ったりしましたが。でも本来悲劇で終わるべきなんでしょうね。ビリーと彼氏は逃げちゃっていいんでしょうか。そしてジョーの過去も少し匂わされていました。やはり暴力の中で育ったこどもの不幸というものが背景にあることを示唆していますね。

ニコラス・ケイジのダメ人間描写はいつもながら説得力抜群ですね。妻と娘を失った時点ですでにもこの世にいる意味を半分うしなったような無気力人間。ジュリーと出会いビリーを救うのを手伝ったことで少し人間味を取り戻したようなところに、ビリーがミステリアスなからみ方をしてきて、しかもちょっとエロいという。少し「愛と死の間で」と「コンスタンティン」あたりを連想するようなところがありました。

ジュリー役は誰だっけ、とずっと考えていたんだけど、「ボーン・アイデンティティー」のヒロイン役でしたね。

最初はちょっと期待させたのですが、途中からおいおい、という感じになり、まさかそんな平凡な終わらせ方はしないだろうと思った通りの最悪の終わり方という、ちょっと想像できない結果でした。中学生の文化祭的なやつですかね。

エネルギー問題を解決する画期的なプロジェクトだけど詳細にはわからない、そんなスカウトに乗せられてアメリカから妹ミアとその息子ドニーをつれてイギリスに移住してきた主人公ウィル。

どうもその計画とは、地球と全く同じ資源をもった世界をクローンして(ただし生命体は作らずに)、そこの物質を純粋なエネルギーに変換すれば、どんな発電方式よりも効率的に地球のエネルギー不足を解消できるらしい。そんなアホなと思うでしょうがそれにまんまと乗せられてパイロット役をすることになったウィル。

時系列が飛んでトリップ後、並行世界にやってきたらラボのメンバーがみんな死んでいる。どうやらテロリストに襲われたらしい。外に出るとドローンに警告されて逮捕されると。だけどテロリストグループにも襲われて、その中の一人がなんとかつての仲間。彼によるとウィルは死んだらしい!並行世界で?

つまり、生物のいない並行世界を作り出したはずが、人間も丸ごとコピーしてしまった?どんなちょんぼやねん。ていうか、コピー作るのにどんだけリソース使ったのと思ってしまいました。

で、ウィルが持っている四角い箱、これはリディバイダー(再分離機)というらしい。何に使うの?と聞いてもラボから駆けつけたアビーは言葉を濁す。どうやら実験がうまくいかなかった時のために、世界を分離して、コピー世界を破壊するためのモノらしい。

そうしているあいだにも空に開いた穴から船やら電車やらが落ちてきたり鳥や動物が吸い上げられたり、この世の終わり感が満載。

そして、テロリストに追われたり警察のドローンに追われたりしているうちに、ウィルはこっちの世界のミアとドニーは助けられたと聞いていたけど、実は死んでしまっていたことを知る。アビーの嘘つき!

で、ブチ切れてウィルはエネルギータワーを目指して、リディバイダーを接続し、こんな世界滅亡させてやる!で終わる。

元の現実世界ではミアとドニーがタワーのエネルギー消滅を見届けて終わり。

画に描いたようなバッドエンド。

何が問題って、コピーして作られた世界の生き物にも生きる資格は同等にある、という当たり前のことが認められない主人公の欺瞞を作品がまったく見過ごしていること。また、アビーもウィルもとにかく演技が酷い。本当に思っていることか、相手を騙すために思っていることか、怒っているのか、怒っているフリをしているのか、まったくわからない。

そして、演出手法としても、大部分がウィルの主観という体で描かれていて、まぶたを開けたり締めたりする演出が古い!そしてモノローグとか、会話部分のセリフの棒読みっぷりがもう…。

引退した元英国首相の自伝を書こうとしていた人物が死んで、その後任になった主人公が、その真相を次第に発見していく、政治スリラー。

ユアン・マグレガーがゴーストライター役。この世界では筆の早さでは定評がある。さっそくボストン近くの島の別荘?に元首相を訪ねる。折しも元首相は捕虜の拷問・虐待をCIAと組んで行った疑惑。

そして、元首相をめぐる、秘書官と妻ルースの微妙な関係、ゴーストライターの前任者マカラの死を探るうちに、フェリーから落ちたのなら海岸に流れ着くはずがないはず、前夜に浜で明かりを見た人物が転落して意識不明になっていることを知る。

部屋に隠されていた写真を見ているうちに、元首相が若いころに出会っているポール・エメットに会いに行き、その直後にフェリーまで尾行される。危機を感じてフェリーから降りたゴーストは、元首相を告発した元外相ライカートに連絡を。マカラの草稿にヒントがあると聞くのだが、それらしい情報は発見できず。

やがて元首相が迎えにきて島にもどるのだけど、そこで元首相は狙撃されて死亡。彼が書いた自伝はベストセラーに。

その発売記念パーティーで、あの草稿の秘密に気づいたゴースト。本当に元首相を影で操っていたのは…?

伝記作家なので、とくに派手なスパイアクションとかはなく、素朴な青年が好奇心から変なところに踏み込んでしまった、という体なのですが、なんせオビワンですから、もうちょっと活躍してくれないかな、という惜しさはあります。ラストも、なんで真相を突き止めておいて、あんな間抜けな最期を、と思ってしまうのですが、ミステリーとしてはこれはありなんでしょうね。

元首相の妻ルース役オリヴィア・ウィリアムスは、「シックス・センス」にブルース・ウィリスの妻役で出た以外はそれほど大作には出ていないようですが、魅力ある女優さんだなと思いました。

ポランスキー作品、丁寧に心理描写を重ねていて、ストーリーには引き込まれるんだけど、映像美としてはそれほど圧倒的なものではないところがちょっと惜しい、ということが多いです。

北欧って、ミステリー好きなんでしょうかね。「特捜部Q」とちょっと似たテイストの、猟奇犯罪をテーマにしたミステリー。捜査陣が非常に男臭くて、そこに謎めいた美女が絡むという、ある意味古典的な作りです。「ジェニファー8」と「氷の微笑」を合わせたら、こんな感じになるのかな、とちょっと思いました。

ベルギーで首なし死体が発見され、身元はどうやら行方不明だった女性らしい。完全に血を抜かれて、綺麗に首を切り落とされている。さて首は?というと犯人らしき人物の描写も時々挟み込まれて、どうも首だけ大事に冷凍保存しているらしい。それを捜査し始めるフレディとエリック。

売り文句は二人の刑事の物語、なんですが、どっちかというと若い方のフレディが主人公で、先輩のエリックはその暴走を苦々しく見る先輩、といった感じ。途中からプロファイリングのプロというふれこみのムルデル(「Xファイル」のモルダーリスペクトか?)がオランダから駆けつけ、現場中心のフレディと対立するという。

現場で半裸で発見されたのはリナ。どうも精神カウンセラーをやっているらしい。エリックは彼女の周辺が怪しいとにらんで保護を要請したりするが、ケルンからやってきた11人があやしいとプロファイリングで絞り込まれ、エリックは無視される。で、アメリカ大使館のスタッフを疑ってみたりゲームプロデューサーを疑ってみたり、右往左往。

一方リナの患者のパトリックがあやしいとにらんだエリック。そうこうしているうちにリナと寝てしまう。そうそう、けっこうな数のぼかし入ってます。

で、最有力と思われた容疑者が自殺、そして同時にリナとパトリック失踪。電話を手がかりに鐘楼を登ると屋根裏に冷凍庫に入っているリナを救出。そしてパトリックを市場で追いかけて射殺。ここで結構民間人巻き込まれて死んでます。警察としては大失態でしょうね。でもこのシーンにきて、オープニングの鐘のメカニズムを執拗に映していた意味とか、ハンマーとの連想がつながるのはうまいと思いました。

で、最後になって、やっぱりパトリック一人でこれができたはずがない、誰かが指示を出していた。誰?もちろん、リナでしょう!

で、フレディも車で話しているうちにさすがに気がつき、問い詰めるけど、リナと運転席で揉み合い、タンク車に激突。リナは自分が殺した死体と同じ姿の首チョンパ。「世にも怪奇な物語」の赤い風船の少女を思い出しましたが、あんな綺麗なもんじゃない。フレディも重症を負ったみたいですが、最後の起き上がり方を見ると命はとりとめるんでしょうかね。

謎の解き方があまりスマートじゃないのと、直感型のフレディの根拠も薄弱、リナは色っぽいし惜しげもなく脱ぐけれども、これだけ派手な殺人の動機や、カウンセリング対象の患者を操る手腕など、いろいろと説明がたりないのは残念。原作小説だったらもう少し詳しくわかるんですかね。プロファイラーのムルデルも、自分の理屈にこだわってたっぽい割に、自信喪失してフェードアウトするという、ここが北欧風ってやつでしょうか。序盤でオランダからムルデルを迎えるシーンで、なんとなくベルギーがオランダに対して持っているコンプレックスのようなものを感じました。

デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウが若き日のSFアクション・ヒーロー物ですね。

バーチャル世界の中で街を再現して、その中で人格を育てる、という実験がこの設定の中でどういう価値があるのか、よくわからなかったですが、この世界の中で合成された人格シド6.7が、ある研究者の暴走で実体を持って、現実社会で暴れ始める、という話。

デンゼル・ワシントン演じる元刑事パーカー・バーンズは、かつて爆弾テロ犯人に妻子を人質にとられて殺され、その犯人を射殺したことで服役中。抜け出したシドの中にはこの犯人のデータも移植されていた。この犯人を捕らえれば恩赦になるという取引で捜査に参加。

シドはシャバでとにかくカメラの前に出て目立ちたい性格なので暴れ放題の劇場型犯罪。銃で撃たれてもちょっと青い染みができる程度で、大きな怪我はガラスに触れば直るという強者。ちょっと「ターミネーター2」のT-1000と被ってます。

何度か捕らえ損ねたり、人質を殺されたりするうちに、警察にまで疑われて追われる立場になったパーカー。味方は犯罪学者のマディスン・カーター(ちょっと「マックス・ヘッドルーム」のエディスン・カーターを意識?)のみ。そのマディスンの娘まで人質にとられてのクライマックス。

一騎討ちは制したけれど、シドのコアを取り出して殺してしまったパーカー。これで人質の娘の居場所はわからずじまいか?

と思わせてラストはバーチャル世界に舞い戻って別エンディングをシドに味わわせることで逆転。妻子を殺されたときと同じワナを今度はクリアしてマディスンの娘を救出。かつて救出に失敗した自分の妻子の姿を重ねるのだった…。

バーチャル世界だから「バーチュオシティ」なんですね。てっきり、犯罪の芸術家みたいなのが現れてビルトゥオーゾな犯罪を見せてくれるのか、謎解きが芸術的なのかと思ったら、かなり大雑把な解決法でした。

「プリズン・ブレイク」「俺たちフィギュアスケーター」で有名なウィリアム・フィクナーが、まだちょっと軽い役で出ています。ラッセル・クロウも変質者てきな役割は好きなんでしょうね。犯罪者だけど甘いマスク、という役柄がまだこの時期はかろうじてできるイケメン枠みたいなところでしょうか。マディスン役のケリー・リンチは、「カクテル」にも出ているみたいですが未見。「氷の微笑」の主役を断ったそうです。

トータルでは、まあ飽きさせずにアクションで見せるとは思いますが、あんまり考えさせるところはないのと、CGはちょっと時代がかっていて、「マックス・ヘッドルーム」的な、今日ならテレビ的作りですね。

ローコストなのかどうかわかりませんが、限られたシチュエーションの中で宇宙でのサバイバルをリアリティーをもって描いた佳作だと思います。

思春期を迎えた少女シーは父親と二人で宇宙での資源採掘に従事する、わりと底辺の生活をしている。ある日、ポッドが目標からずれたところに着陸、しかし不幸中の幸い、資源が豊富に取れる宝の山を探り当てたかも、と思ったところで、二人組の流れ者に発見されてしまう。

父の計略でいったんは二人を銃で脅すけれど、不測の事態で父と相手の一人が相討ち。ポッドに逃げ帰ったシーは宇宙ステーションに戻ろうとするけれど故障で発射できない。そこに父を殺したエズラがやってくる。銃を構えて撃つけれど腕をかすっただけ。

そこで、他の採掘場に行って宇宙船に乗ってステーションに行くまでは停戦協定が成立。ところが途中でエズラの体調が悪化したところから、二人の関係性に微妙なゆらぎが。

常時、あまり広い画での状況は見せずにヘルメットをかぶった閉塞状況でのシチュエーションとポッドの中などで描くので、社会から切り離された主人公の心理がうまく描かれ、サバイバルものとしてよくできていると思いました。

最初はただのチンピラに見えたエズラが、途中からシーを守るために命をかけているのが、本当の父親よりも父親らしく見えてくるという、なんだかわからない感動があります。演じているペドロ・パスカルは、どことなく、ジェレミー・レナーを思わせますね。シー役のソフィー・サッチャーは、まだ15歳にもならないぐらいに見えるのですが、思春期らしい寡黙な、でもたくましく生きていく少女を好演。これから人気でるんじゃないでしょうか。


 

「ヤング・~」と聞くと、記憶にある一番印象的なのは「ヤング・シャーロック」だったり「ヤング・インディー・ジョーンズ」なのですが、なんと巨匠メル・ブルックスにもあったとは。1974年なのですが、モノクロ。

有名なフランケンシュタイン博士の曾孫フレデリックが、曾祖父の研究室を訪ねてその研究の秘密を知る。初めは自分はまっとうな科学者のつもりでいたけれども、やはり誘惑に抗しきれずに生命創造の実験に手をつける、というお話。

生まれた怪物は、言葉をしゃべれない失敗作だったけれども、フレデリックの必死の教育で、科学界に披露できるまでになる。しかし火への恐怖から暴れ出した怪物は捕らえられてしまう。

後は怪物の逃亡劇と、彼を救うためのフレデリックの最後の実験。原作とは一味違ったハッピーエンドに。

全体を通じてのメル・ブルックス節、オフビートな笑いで飽きさせずに見せてくれますが、本質的に原作が持っていた怪物の哀しみや大衆の愚かさ、科学者の傲慢のようなものはそのまま生きているのがすばらしいなと思いました。

キャストではアシスタントのインガ役がテリ・ガー。「警部マクロード」や「オー・ゴッド!」「未知との遭遇」「スペース・エイド」などが著名ですが、74年だと本格的に知名度が上がる前の作品ですね。怪物役のピーター・ボイルは「ドリーム・チーム」が印象に残ってます。エンドロールが出るまで気がつかなかったのは怪物が逃亡中に出会う盲人役がジーン・ハックマンだったこと。

イギリスの「ホット・ファズ」、フランスの「フランス特殊部隊RAID」と、ヨーロッパの警察モノには一味違う味わいがあるのですが、こんどはドイツから傑作が。

見た物はなんでも覚えてしまう、フォトグラフィック・メモリーの持ち主だけど実技はからっきしだめな若者テオが特殊部隊に。最初は武器庫の管理係だけど現場に出たいとなんども申し入れていた。

かたや現場一筋の筋金入りマッチョ隊員ルークは問題児。結果を省みない突撃で、事件は解決するけれども建物や美術品には被害が。上司はそれを嫌ってルークを配置換えになり官邸の裏口の警備員に。相方にテオが。

そこで、モルダヴィアの大統領の娘がさらわれる事件が。不始末がきっかけで二人は停職に。名誉挽回のために独自で捜査を始める二人。やがて意外な真相が…。

マッチョなベテランと頭脳明晰な若者のデコボココンビのミスマッチ感と、テオに片思いするコンピューターオタクのニッキー、そしてさらわれたマーシャに片思いするテオの三角関係、そしてルークの別れた妻とその娘、という人間模様のからみ方がうまくて、ちょっとしたひねりも最後にあって、気持ちのいいコメディーです。

原題はHOT DOG。これはテオがルークに提案した、ピンチの時の合言葉。ルークは最初は歯牙にもかけないのだけど、本当にピンチになったときに、これを言う瞬間があって、なかなか効いています。

テオの記憶のよさとか頭脳の切れが、最初から炸裂しないのがいいのかもしれませんね。ふだんはヘタレだけど、追い込まれたときだけ、すごい能力を発揮する、という逆転の爽快さがありました。

ルーク役のティル・シュヴァイガー、苦虫をかみつぶしたような表情がなかなかよくて、誰かに似てるな、と思ったら、マイケル・ルーカーに似ているのでした。

キアヌ・リーヴス主演のSFだけどアクションじゃないのって、なんか新鮮ですね。

人間の意識をアンドロイドに委嘱する研究を続けているビル。だがあと一歩というところで失敗してプロジェクトは資金打ち切りの危機。

そんなときに、家族でボート旅行に出かけようとしていると、車が事故に遭い、妻と子ども3人が死亡。絶望のどん底に落ちたとき、悪魔的な閃きで、彼らのクローン作ることを思いつく。

同僚エドの協力でクローン作成には成功するものの試験体が3体しか手に入らず、くじ引きで末っ子のゾーイだけあきらめることに。整合性をとるために家族の記憶を編集して末っ子を消去。

クローン家族が意識を取りもどして、一度は幸せな日常が戻ってきたかに見えたが、実は会社も彼らの動向を把握していて、恐ろしい軍用技術として利用としていた…。

事故に遭うまでのプロットが荒っぽかったり、クローン技術が順調に行き過ぎて不自然だったりと、雑なところはたくさんあるのですが、前半のアンドロイドが後半活躍したり(アクションはいまいちだけど)、「ペット・セメタリー」的なバッドエンドではなく、けっこう楽しめました。

謎解きとかのひねりはそんなにないし、記憶を編集された家族の欠落感とその空白を埋める心理描写などはもっとやってもよかったんじゃないかと思ったり、生き返らされたクローンを主人公にして真相を知るような、「アンノウン」みたいな作り方もあったんじゃないかな、と思ったりしました。

かつてのイケメンとは違った、ダメ人間だけどどこか憎めない愛嬌のある小物の情報屋を、リチャード・ギアが演じています。見ているうちにイアン・マッケランか、ジョン・ハートか、と思うような枯れた味わいとオフビートなテンポが気持ちよくなってきました。

イスラエルとアメリカの合作映画。ノーマンという、人と人を引き合わせることでコネを作って生きていく、フィクサーと言うにはほど遠い人物。いろいろやってもうまくいかなかったのだけど、ある時、イスラエルの若手政治家を付け狙って、靴屋の前で声がけに成功。仲良くなって靴をプレゼント。

3年後、そのミカ・エシェルがイスラエルの首相となってアメリカに。エシェルに思い出してもらえたノーマンはいい待遇を受けて、いろんなコネを作ります。

でもいろんな人々のいろんな要求に応えて筋道をつけるのにも四苦八苦。ユダヤ教会の立ち退き問題と友人の結婚、エシェルの息子の進学問題など難問山積。

そんなとき、イスラエルで政変が。エシェルに汚職疑惑が持ち上がり、失脚の恐れが。純粋に友情から彼のことを心配するノーマン、アメリカ人の実業家が不利な証言をするという情報が流れ、それを突き止めようと以前知り合った国連の弁務官に接触するけれど…。

最初は単なる山っ気でやっているかに見えた口利き稼業、ノーマンにはノーマンなりの虚勢もあるけれど、実はそれは友情の上に成り立っていた、という切ない話。

ラビ役のスティーブ・ブシェミが見られてうれしいのと、友人役マイケル・シーンは「フロスト×ニクソン」でフロスト役、「パッセンジャー」ではロボットのバーテン役をやっていましたね。

ちょっと、ノーマンの稼業の怪しさや生々しさが適宜省略されていて、とんとん拍子に進みすぎたり、うまい汁を吸っている感じが弱かったり、というのが物足りなく感じる部分でもあるのですが、大人の童話としてはちょっと心をくすぐられる、というか、大人で会社勤めしていると、全部を正直に言えない部分もあったりして、そこをごまかしながらなんと帳尻合わせたい、と思いながら生きている感覚は、なんか身につまされました。