ローコストなのかどうかわかりませんが、限られたシチュエーションの中で宇宙でのサバイバルをリアリティーをもって描いた佳作だと思います。

思春期を迎えた少女シーは父親と二人で宇宙での資源採掘に従事する、わりと底辺の生活をしている。ある日、ポッドが目標からずれたところに着陸、しかし不幸中の幸い、資源が豊富に取れる宝の山を探り当てたかも、と思ったところで、二人組の流れ者に発見されてしまう。

父の計略でいったんは二人を銃で脅すけれど、不測の事態で父と相手の一人が相討ち。ポッドに逃げ帰ったシーは宇宙ステーションに戻ろうとするけれど故障で発射できない。そこに父を殺したエズラがやってくる。銃を構えて撃つけれど腕をかすっただけ。

そこで、他の採掘場に行って宇宙船に乗ってステーションに行くまでは停戦協定が成立。ところが途中でエズラの体調が悪化したところから、二人の関係性に微妙なゆらぎが。

常時、あまり広い画での状況は見せずにヘルメットをかぶった閉塞状況でのシチュエーションとポッドの中などで描くので、社会から切り離された主人公の心理がうまく描かれ、サバイバルものとしてよくできていると思いました。

最初はただのチンピラに見えたエズラが、途中からシーを守るために命をかけているのが、本当の父親よりも父親らしく見えてくるという、なんだかわからない感動があります。演じているペドロ・パスカルは、どことなく、ジェレミー・レナーを思わせますね。シー役のソフィー・サッチャーは、まだ15歳にもならないぐらいに見えるのですが、思春期らしい寡黙な、でもたくましく生きていく少女を好演。これから人気でるんじゃないでしょうか。