北欧って、ミステリー好きなんでしょうかね。「特捜部Q」とちょっと似たテイストの、猟奇犯罪をテーマにしたミステリー。捜査陣が非常に男臭くて、そこに謎めいた美女が絡むという、ある意味古典的な作りです。「ジェニファー8」と「氷の微笑」を合わせたら、こんな感じになるのかな、とちょっと思いました。
ベルギーで首なし死体が発見され、身元はどうやら行方不明だった女性らしい。完全に血を抜かれて、綺麗に首を切り落とされている。さて首は?というと犯人らしき人物の描写も時々挟み込まれて、どうも首だけ大事に冷凍保存しているらしい。それを捜査し始めるフレディとエリック。
売り文句は二人の刑事の物語、なんですが、どっちかというと若い方のフレディが主人公で、先輩のエリックはその暴走を苦々しく見る先輩、といった感じ。途中からプロファイリングのプロというふれこみのムルデル(「Xファイル」のモルダーリスペクトか?)がオランダから駆けつけ、現場中心のフレディと対立するという。
現場で半裸で発見されたのはリナ。どうも精神カウンセラーをやっているらしい。エリックは彼女の周辺が怪しいとにらんで保護を要請したりするが、ケルンからやってきた11人があやしいとプロファイリングで絞り込まれ、エリックは無視される。で、アメリカ大使館のスタッフを疑ってみたりゲームプロデューサーを疑ってみたり、右往左往。
一方リナの患者のパトリックがあやしいとにらんだエリック。そうこうしているうちにリナと寝てしまう。そうそう、けっこうな数のぼかし入ってます。
で、最有力と思われた容疑者が自殺、そして同時にリナとパトリック失踪。電話を手がかりに鐘楼を登ると屋根裏に冷凍庫に入っているリナを救出。そしてパトリックを市場で追いかけて射殺。ここで結構民間人巻き込まれて死んでます。警察としては大失態でしょうね。でもこのシーンにきて、オープニングの鐘のメカニズムを執拗に映していた意味とか、ハンマーとの連想がつながるのはうまいと思いました。
で、最後になって、やっぱりパトリック一人でこれができたはずがない、誰かが指示を出していた。誰?もちろん、リナでしょう!
で、フレディも車で話しているうちにさすがに気がつき、問い詰めるけど、リナと運転席で揉み合い、タンク車に激突。リナは自分が殺した死体と同じ姿の首チョンパ。「世にも怪奇な物語」の赤い風船の少女を思い出しましたが、あんな綺麗なもんじゃない。フレディも重症を負ったみたいですが、最後の起き上がり方を見ると命はとりとめるんでしょうかね。
謎の解き方があまりスマートじゃないのと、直感型のフレディの根拠も薄弱、リナは色っぽいし惜しげもなく脱ぐけれども、これだけ派手な殺人の動機や、カウンセリング対象の患者を操る手腕など、いろいろと説明がたりないのは残念。原作小説だったらもう少し詳しくわかるんですかね。プロファイラーのムルデルも、自分の理屈にこだわってたっぽい割に、自信喪失してフェードアウトするという、ここが北欧風ってやつでしょうか。序盤でオランダからムルデルを迎えるシーンで、なんとなくベルギーがオランダに対して持っているコンプレックスのようなものを感じました。