デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウが若き日のSFアクション・ヒーロー物ですね。

バーチャル世界の中で街を再現して、その中で人格を育てる、という実験がこの設定の中でどういう価値があるのか、よくわからなかったですが、この世界の中で合成された人格シド6.7が、ある研究者の暴走で実体を持って、現実社会で暴れ始める、という話。

デンゼル・ワシントン演じる元刑事パーカー・バーンズは、かつて爆弾テロ犯人に妻子を人質にとられて殺され、その犯人を射殺したことで服役中。抜け出したシドの中にはこの犯人のデータも移植されていた。この犯人を捕らえれば恩赦になるという取引で捜査に参加。

シドはシャバでとにかくカメラの前に出て目立ちたい性格なので暴れ放題の劇場型犯罪。銃で撃たれてもちょっと青い染みができる程度で、大きな怪我はガラスに触れば直るという強者。ちょっと「ターミネーター2」のT-1000と被ってます。

何度か捕らえ損ねたり、人質を殺されたりするうちに、警察にまで疑われて追われる立場になったパーカー。味方は犯罪学者のマディスン・カーター(ちょっと「マックス・ヘッドルーム」のエディスン・カーターを意識?)のみ。そのマディスンの娘まで人質にとられてのクライマックス。

一騎討ちは制したけれど、シドのコアを取り出して殺してしまったパーカー。これで人質の娘の居場所はわからずじまいか?

と思わせてラストはバーチャル世界に舞い戻って別エンディングをシドに味わわせることで逆転。妻子を殺されたときと同じワナを今度はクリアしてマディスンの娘を救出。かつて救出に失敗した自分の妻子の姿を重ねるのだった…。

バーチャル世界だから「バーチュオシティ」なんですね。てっきり、犯罪の芸術家みたいなのが現れてビルトゥオーゾな犯罪を見せてくれるのか、謎解きが芸術的なのかと思ったら、かなり大雑把な解決法でした。

「プリズン・ブレイク」「俺たちフィギュアスケーター」で有名なウィリアム・フィクナーが、まだちょっと軽い役で出ています。ラッセル・クロウも変質者てきな役割は好きなんでしょうね。犯罪者だけど甘いマスク、という役柄がまだこの時期はかろうじてできるイケメン枠みたいなところでしょうか。マディスン役のケリー・リンチは、「カクテル」にも出ているみたいですが未見。「氷の微笑」の主役を断ったそうです。

トータルでは、まあ飽きさせずにアクションで見せるとは思いますが、あんまり考えさせるところはないのと、CGはちょっと時代がかっていて、「マックス・ヘッドルーム」的な、今日ならテレビ的作りですね。