イギリスの「ホット・ファズ」、フランスの「フランス特殊部隊RAID」と、ヨーロッパの警察モノには一味違う味わいがあるのですが、こんどはドイツから傑作が。
見た物はなんでも覚えてしまう、フォトグラフィック・メモリーの持ち主だけど実技はからっきしだめな若者テオが特殊部隊に。最初は武器庫の管理係だけど現場に出たいとなんども申し入れていた。
かたや現場一筋の筋金入りマッチョ隊員ルークは問題児。結果を省みない突撃で、事件は解決するけれども建物や美術品には被害が。上司はそれを嫌ってルークを配置換えになり官邸の裏口の警備員に。相方にテオが。
そこで、モルダヴィアの大統領の娘がさらわれる事件が。不始末がきっかけで二人は停職に。名誉挽回のために独自で捜査を始める二人。やがて意外な真相が…。
マッチョなベテランと頭脳明晰な若者のデコボココンビのミスマッチ感と、テオに片思いするコンピューターオタクのニッキー、そしてさらわれたマーシャに片思いするテオの三角関係、そしてルークの別れた妻とその娘、という人間模様のからみ方がうまくて、ちょっとしたひねりも最後にあって、気持ちのいいコメディーです。
原題はHOT DOG。これはテオがルークに提案した、ピンチの時の合言葉。ルークは最初は歯牙にもかけないのだけど、本当にピンチになったときに、これを言う瞬間があって、なかなか効いています。
テオの記憶のよさとか頭脳の切れが、最初から炸裂しないのがいいのかもしれませんね。ふだんはヘタレだけど、追い込まれたときだけ、すごい能力を発揮する、という逆転の爽快さがありました。
ルーク役のティル・シュヴァイガー、苦虫をかみつぶしたような表情がなかなかよくて、誰かに似てるな、と思ったら、マイケル・ルーカーに似ているのでした。