子肌育Blog アトピーに負けない生活。 -35ページ目

子肌育Blog アトピーに負けない生活。

子どものアトピー性皮膚炎治療、スキンケアなどについての正しい知識を、わかりやすくまとめています。

「かゆみ止めの飲み薬」なんかで、ぜんそくが予防できるわけないでしょ?


こんにちは。橋本です。


「アトピーを発症してしまった子どもは、その後、ぜんそくになることが多い」


いわゆるアレルギーマーチといわれる現象があります。


「じゃあ、未然にぜんそくを防ぐ方法はないのか?」という話になるわけですが、世の中では、いろんな予防法が話題にのぼります。


しかし、抗ヒスタミン薬。カンタンにいうと、「かゆみ止めの飲み薬」は、ほとんど世の中の話題には、のぼりません。


「えー、かゆみ止めと、ぜんそくなんて、関係あるわけないじゃん」と正直、思ってしまいますが。


アレルギーマーチ:アトピーから喘息


「かゆみ止めの飲み薬が、ぜんそく発症の予防に関係するのか?」


これについては、いくつかのランダム化比較試験があります。


参考記事:
ランダム化比較試験とは?


 


ケトチフェンを1年間飲んだランダム化比較試験


生後3ヶ月以上、3歳未満のアトピーの子ども128人を対象にしたテストでは。


ケトチフェン(商品名「ザジテン」など)を1年間飲んだグループでは、ぜんそくを発症したのが約13%。


それに対し、プラセボ(偽薬)を飲んだグループでは、約42%だったという結果が出ています 1)


このテストは、子ども自身が飲んだ薬が「本物か」「偽薬か」わからないようにし、ぜんそくを診断する医師も、子どもが飲んでいる薬が「本物か」「偽薬か」、わからないようにしたテスト。


子どもも、医師にもテスト内容を不明にする。


いわゆる二重盲検(ダブルブラインド)という方法でやっているため、思い込みによる誤差の少ない、厳密な結果になっているはずです。


 


ケトチフェンを3年間飲んだランダム化比較試験


両親がアレルギー疾患を持つ、2歳以下の子ども100人を対象にしたテストでは。


3年間ケトチフェンを飲んだグループでは、ぜんそくを発症したのが約9%。


それに対し、プラセボ(偽薬)を飲んだグループでは、約35%だったという結果が出ています 2)


これも、二重盲検法によるランダム化比較試験です。


 


セチリジンを3年間飲んだランダム化比較試験


1~2歳のアトピーの子どもに3年間追跡した調査では。


1年半セチリジン(商品名「ジルテック」など)を飲み続けたグループと、飲まなかったグループでは、大きな差はなかった。


しかし、ダニや花粉に陽性の子どもたちに限って比較すると、ぜんそくの発症がおさえられている、と報告されています 3)


これも同じく、二重盲検法によるランダム化比較試験です。


ザジテン:子ども用シロップ


 


「かゆみ止めの飲み薬」を飲み続けるべきか?


この3つの比較テストからわかるのは。


まず、「かゆみ止めの飲み薬」で、ぜんそくを完全に予防しようとするのには、無理があるということ。


しかし、ケトチフェンを飲むか飲まないかでは、ぜんそくの発症率に3倍以上の開きがあるのも事実です。


ただし、ケトチフェンやセチリジンが、どのようなメカニズムで、ぜんそくの発症をおさえるのかは、突き止められていません。


また、「かゆみ止め」としても、ケトチフェンやセチリジンの効き方には、大きな個人差があります。


そういう意味でも、どういうふうに「かゆみ止めの飲み薬」を使っていくかは、経過をみながら、お医者さんとよく相談して決める必要があるわけです。


でも、


「かゆみ止めをいつまでも飲み続けて意味があるのかなあ?」


と、疑わしくなることもありますよね。


その場合にも、一部の「かゆみ止めの飲み薬」では、子どものぜんそくの発症予防に意味があるデータが出ている。


そのことも参考にして、「飲み続けるか」「飲み続けないか」を考えるのもいいんじゃないのかな、と思います。


参考記事:
ケトチフェン、セチリジンなど、第二世代抗ヒスタミン薬


 


 


 


2013.04.23. 改訂

コメントをくださった方からのご要望により、2013.04.22.にいただいたコメントを削除しました。


関連記事:

アトピーをおさえる「家庭の対策」3つの基本

食物アレルギーを調べることができる病院

きれいにしすぎるとアレルギーになるの?

参考文献:

1) 飯倉洋治, ほか: 小児気管支喘息発症予防に関する研究 : Ketotifen 二重盲検群間比較法による検討: アレルギー 40(2): 132-140, 1991.

2) Bustos GJ, et al: Prevention of asthma with ketotifen in preasthmatic children: a three-year follow-up study. Clin Exp Allergy 25: 568-573, 1995.

3) Warner JO; ETAC study group: A double-blinded, randomized, placebo-controlled trial of cetirizine in preventing the onset of asthma in children with atopic dermatitis: 18 months' treatment and 18 months' posttreatment follow-up. J Allergy Clin Immunol 108: 929-937, 2001.

肌にやさしい「純度の高い石鹸」を作る方法とは


こんにちは。橋本です。


今日は、「固形石鹸の作り方」についてのお話です。


スキンケアにとって石鹸の「純度」って、かなり重要です。


なぜかというと、油脂から石鹸を作るときに不純物もできるんですが、その不純物の中でも、「水酸化ナトリウム」「遊離脂肪酸」などは、肌を刺激してしまう可能性があるからなんですね。


固形石鹸の作り方は、数種類あります。


釜焚鹸化塩析法(かまだきけんか・えんせきほう)で作られた石鹸は、これらの不純物も取り除かれていて、石鹸としての純度が98%以上にもなります。


この製造方法は、熟練の技術がいる、職人的な作り方。


手間ひまをかける、酒、しょうゆ、みそなどの作り方とイメージが、だぶるようにも思えます。


ではここで、純度の高い石鹸を作る技術、釜焚鹸化塩析法が、どんなものか、ざっくりとみていきますね。


油脂とアルカリを混ぜる


 


「鹸化」させる


釜焚の場合、固形石鹸の原料は、「油脂」「水酸化ナトリウム」です。


「水酸化ナトリウム」は、苛性ソーダ(かせい・ソーダ)ともよばれます。


油脂水酸化ナトリウム石鹸分グリセリン


実際には、「油脂」を釜で加熱して溶かし、かき混ぜながら、徐々に「水酸化ナトリウム」を加えていきます。


そうして反応がおこると、ゆっくりと石鹸分ができてきます。


「油脂」と「水酸化ナトリウム」が反応して、「石鹸」と「グリセリン」ができる。


この反応を鹸化(けんか)とよんでいます。


1日、場合によっては、数日かけてこの「鹸化」をゆっくりおこない、ペースト状の石鹸分とグリセリンが、できあがります。


ですが、先にいったとおり、ここには不純物が多く混じっています。


これを塩析(えんせき)という方法で、純度の高い石鹸にしていきます。


塩析で不純物を取り除く


 


「塩析」で不純物を取り除く


「鹸化」でできあがった、ペースト状のものに、加熱しながら食塩水を混ぜていく。


すると変化がおこってきます。


ペーストに硬さが出てきて不透明になり、徐々に粒々が目立ってきます。


さらに、火を止めて静かに一晩おいておくと、釜の中身が上下2層にわかれます。


上の層 → 石鹸分(かたまり)

下の層 → グリセリン、不純物


この反応が「塩析(えんせき)」です。


下層の不純物には、未反応の水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、食塩、それから遊離脂肪酸など、いろんなものが含まれます。


この下の層を取り除くことで、「純度の高い石鹸」が得られるわけですね。


さらに、食塩水による洗浄を繰り返すことで、より純度の高い石鹸にしていきます。


固形石鹸


 


完全に「鹸化」させる


場合によっては、さらに水酸化ナトリウムで、未反応がないようにしっかり「鹸化」をさせていきます。


「鹸化」が不十分だと、それだけ不純物も多くできてしまうからです。


そして、肌にとって悪い「水酸化ナトリウム」を塩析の繰り返しによって、取り除きます。


ゆっくり冷まして、最後に1~2日おいておくことで、純度を極限まで高めた石鹸ができあがります。


あとは、「固形石鹸」の形にして、数日、乾燥熟成させます。


 


「純石鹸分」の表示も品質の目安になる


全工程で2週間ほどかけて、しっかり「鹸化」して、塩析を繰り返す。


そうして高品質の石鹸を作るのが、「釜焚鹸化塩析法」です。


この方法がいちんばん純度も高く、変質の少ない、いい石鹸ができます。


ただ、「固形石鹸」そのものを見ても、普通の人には、いい石鹸か、悪い石鹸か、見分けることはできませんよね。


その場合は、製品のパッケージを見るのも、ひとつの目安になります。


「純石鹸分98%」とか「純石鹸分99%」とか表示されていれば、きちんと塩析をして、「不純物が取り除いてあるんだな」ということがわかるからです。


 


 


 


関連記事:

なぜ泡立てたほうがいいのか?

子どもでもできるボディーソープ泡立ての裏技

石鹸は、天然の界面活性剤ではない


はじまりは「紅斑」という症状


こんにちは。橋本です。


湿疹には、いろんな見た目、たくさんのバリエーションがあります。


そのひとつに、「紅斑(こうはん)」というのがあります。


アトピー性皮膚炎の症状としても、紅斑はよくみられます。


しかし、アトピー以外にも紅斑がみられる病気は数多くあり、「紅斑だからアトピーだな」とは簡単にはいえません。


アトピーかどうかの判断は、必ずお医者さんにしてもらうことが大切です。


実際の症例写真:紅斑


紅斑は湿疹の第一段階


「紅斑」は、ひらたくいえば、「皮膚に赤みが出てはれた状態」です。


アトピーの場合、湿疹は皮膚に炎症がおこることでできます。


「紅斑」は、その炎症によるダメージが、はじめに目に見える形になったもの。


湿疹のはじまり、ともいえるわけですね。


アレルギー反応をおこす抗体、IgEのネーミングは、「Erythema(紅斑)」の E からきています。


「炎症により肌の細胞がダメージを受けて、毛細血管が拡張し、血液の成分も血管の外にしみ出る」


そのために、皮膚が赤くなったように見えます。


紅斑が発展していくと・・・


ごく初期の「紅斑」には、盛り上がりはありません。


アトピーの場合には、カサカサして、かゆみがあります。


さらに炎症がそのまま続くと、紅斑は盛り上がってブツブツができ、炎症が長期間続けば「苔癬化(たいせんか)」という状態に発展していくこともあります。


「苔癬化(たいせんか)」は、皮膚が厚く硬くなった状態。


そこまでいくと、強めのステロイド外用薬を使わないと、炎症がなかなかおさまらないだけでなく、症状もぶり返しやすくなってしまいます。


やはり、そのためには、初期の「紅斑」の段階で、炎症をしずめてあげたほうが、そのあとのケアは楽になります。


そのあたりは、虫歯の治療などにも似てますよね。


強い紅斑が長く続いたり、繰り返したりすると、湿疹が治っても、皮膚に色素沈着が残ることもあります。


初期消火が基本


もちろん、アトピーは、「良くなったり」「悪くなったり」が繰り返す病気です。


紅斑をほうっておいたら、必ずひどくなるとも限りません。


自然によくなることも、少なくありません。


しかし、「ほうっておく」、良くいえば「自然治癒」。そのような、なりゆきにまかせるのは、ギャンブルみたいなもの。


よくなることもあるかもしれませんが、逆に、悪くなって湿疹が広がってしまうことも、十分ありえるのです。


軽い乾燥や「紅斑」の段階で、炎症をおさえておけば、肌をぶり返しにくい、いい状態にキープしやすくなり、自然治癒にもつながりやすくなるんですね。


炎症を早めに消す。


そして、スキンケアも続けながら、ゆっくり悪化因子をなくしていく。


それが、アトピー治療の基本です。


しかしだからといって、炎症をちょこちょこ薬でおさえていることを繰り返すのもよくありません。


「薬は使うべきときに、正しい使い方をする」


ステロイド外用薬にしても、プロトピック軟膏にしても、ここのところを、ぜひマスターしてくださいね。


参考記事:
「虫刺されの薬」のように、ステロイドを使ってはいけない


関連記事:

塗り薬は、「いつ塗るか」で差が出ます

プロトピックってなに?

「ツメの切りかた」ってあるの?

「ワセリン系」の保湿剤をまとめてみる


こんにちは。橋本です。


ワセリン系の保湿剤は、乾燥肌やアトピーの治療には、とても重要です。


なぜかというと、「肌に対して刺激が少ない」から。


これに関しては、一部には間違ったイメージも伝わっています。


ワセリン系の保湿剤


「ワセリン→石油→毒」というイメージ


ワセリンは、石油から作られる。


だから、石油由来のワセリンを、体に塗るようなことはよくない。


そんなイメージを、なんとなく持っている人もいます。


たしかに、石油を体に塗れば、肌によくありません。


石油に含まれるフェノール、ベンゼンなどのようなものには、強い毒性があるからです。


しかし、「だからワセリンも毒だ」というところまでいくと、少し話に無理があります。


今の日本の精製技術では、毒性を持つような、また、肌に刺激となるようなものは、ワセリンに残りません。


過去には、ワセリンの純度に問題があったようですが、それらをクリアして現在に至るわけです。


それは、製品の「色」「におい」でも、わかるかと思います。


肌に使うようなワセリンは、無色無臭ですよね。


ワセリンなら安心なの?


ワセリン系のものは、肌に刺激が少なく、かつ、肌表面をフタをすることで水分の蒸発を防ぐ。


この能力が、とくに高いです。


そのため、乾燥肌やアトピーの治療には、とても役に立ちます。


症状がひどい状態から、治療をして、まずは肌をいいコンディションにもっていく。


いわゆる治療の初期には、ワセリン系保湿剤のお世話になる子どもも多いんですね。


ただし、「症状がひどければワセリンを塗っとけばいいや」というわけでも、ありません。


そこは、それぞれの保湿剤の特性。


さらには、アトピーという病気の特性。治療の進め方。


そういったことをお医者さんに聞きながら、相談しながら、ケアをしていくことで、子どもにとって最善の治療につながります。


ワセリン系保湿剤は4種類


保湿剤として使われるワセリン系のものは、おもに次の4種類です。


白色ワセリン

プロペト

サンホワイトP-1

ベビーオイル


純度の高い順は、


サンホワイトP-1プロペト白色ワセリン


です。


詳しくは、それぞれの記事を読むと、うまく使い分けができるかと思います。


参考記事:


プロペトって、どんなもの?


純度の高いワセリン「サンホワイトP-1」とは


「ベビーオイル」ってどうなの?


純度の高いワセリン「サンホワイトP-1」とは


こんにちは。橋本です。


「サンホワイトP-1」は、「白色ワセリン」をさらに精製して、ごく微量の不純物まで除去したワセリンです。


「白色ワセリン」を精製したものには、プロペトがありますが、「サンホワイトP-1」は、「プロペト」よりもさらに不純物が少なくなっています。


つまり、一般向けに市販されるワセリンの中で、いちばん純度の高く、不純物が少ないもの。


それが、「サンホワイトP-1」なんですね。


そのため、サンホワイトP-1は、パッチテストにも使われています。


サンホワイトP-1


パッチテストに使われる理由


パッチテスト(かぶれの皮膚検査)では、テストするもの。


たとえば、パッチテスト用に製造されているアレルゲンエキス。


石けんや洗剤なら、水溶液にして、「フィンチャンバー」とよばれる直径1cmほどのアルミニウム製の皿にのせます。


この皿に糊(のり)として、ワセリンを使います。


ワセリンの適度な粘りが、皿にのせる糊としてちょうどいいわけです。


しかし、このワセリンにかぶれてしまうと、正確なテスト判定ができなくなってしまいます。


なぜなら、テストしたものにかぶれているのか、ワセリンにかぶれているのか、わからなくなってしまうからです。


そこで、より不純物の少ない、より刺激が少ない「サンホワイトP-1」が、パッチテストの糊に使うのに向いているわけですね。


実際に、日本接触皮膚炎学会がパッチテストの使用に認めているのは、「サンホワイトP-1」です。


パッチテスト


保険がきかない


ということで、現状をみると。


医薬品である白色ワセリンより、化粧品であるサンホワイトP-1のほうが、性能が高いという、不思議な逆転現象がおこっています。


それは、製品の価格にも影響してきます。


サンホワイトP-1は、50gチューブで1050円。


同じ50gで比べると、


白色ワセリン(健栄製薬)は、231円(保険3割負担)。


プロペトは、237円(保険3割負担)。


分類上、化粧品となってしまう「サンホワイトP-1」は、保険が使える「白色ワセリン」や「プロペト」の4倍以上の値段になってしまいます。


白色透明:サンホワイトP-1


どんなケースに向いている?


アトピーなどで、患部がひどい時期から、治療をして、いい状態にもっていく時期など。


刺激をなるべく与えず保湿をしたい場合には、「サンホワイトP-1」が向いています。


目の周り、唇などデリケートな部分。それから、赤ちゃんの敏感な肌にも使うことができます。


ただし、ネックは値段が高めなこと。


実際に払う金額が「プロペト」に比べ高めなので、費用対効果をどこに置くかで、選択が変わってきますね。


そこまで金額が違うなら、「プロペト」のクオリティでも十分。


そういう選択が、現状では一般的ですね。


値段よりも、より低刺激、安全を求めるなら、「サンホワイトP-1」がベストです。


デメリットは?


しかし、「サンホワイトP-1」がどんなケースでもベストというわけではありません。


ワセリン系のものは、その特性から、塗るとどうしても体に熱がこもりやすくなります。


熱がこもったり、汗をかいたりすることが、アトピーが悪化する大きな原因。


そういうケースでは、「サンホワイトP-1」は、様子をたしかめながら使ったほうがいいですね。


また、使用感に関しては、当然ながら「ベタつく」というデメリットがあります。


なので、軽い乾燥肌という場合。


それから、体の広い面積に、長期間塗り続けるのには、使いにくいかもしれません。


関連記事:

入浴剤は使うべきか

接触皮膚炎(かぶれ)とは?

掃除機をかけるとき・・・子どもは?