「かゆみ止めの飲み薬」なんかで、ぜんそくが予防できるわけないでしょ?
こんにちは。橋本です。
「アトピーを発症してしまった子どもは、その後、ぜんそくになることが多い」
いわゆるアレルギーマーチといわれる現象があります。
「じゃあ、未然にぜんそくを防ぐ方法はないのか?」という話になるわけですが、世の中では、いろんな予防法が話題にのぼります。
しかし、抗ヒスタミン薬。カンタンにいうと、「かゆみ止めの飲み薬」は、ほとんど世の中の話題には、のぼりません。
「えー、かゆみ止めと、ぜんそくなんて、関係あるわけないじゃん」と正直、思ってしまいますが。

「かゆみ止めの飲み薬が、ぜんそく発症の予防に関係するのか?」
これについては、いくつかのランダム化比較試験があります。
参考記事:
ランダム化比較試験とは?
ケトチフェンを1年間飲んだランダム化比較試験
生後3ヶ月以上、3歳未満のアトピーの子ども128人を対象にしたテストでは。
ケトチフェン(商品名「ザジテン」など)を1年間飲んだグループでは、ぜんそくを発症したのが約13%。
それに対し、プラセボ(偽薬)を飲んだグループでは、約42%だったという結果が出ています 1) 。
このテストは、子ども自身が飲んだ薬が「本物か」「偽薬か」わからないようにし、ぜんそくを診断する医師も、子どもが飲んでいる薬が「本物か」「偽薬か」、わからないようにしたテスト。
子どもも、医師にもテスト内容を不明にする。
いわゆる二重盲検(ダブルブラインド)という方法でやっているため、思い込みによる誤差の少ない、厳密な結果になっているはずです。
ケトチフェンを3年間飲んだランダム化比較試験
両親がアレルギー疾患を持つ、2歳以下の子ども100人を対象にしたテストでは。
3年間ケトチフェンを飲んだグループでは、ぜんそくを発症したのが約9%。
それに対し、プラセボ(偽薬)を飲んだグループでは、約35%だったという結果が出ています 2) 。
これも、二重盲検法によるランダム化比較試験です。
セチリジンを3年間飲んだランダム化比較試験
1~2歳のアトピーの子どもに3年間追跡した調査では。
1年半セチリジン(商品名「ジルテック」など)を飲み続けたグループと、飲まなかったグループでは、大きな差はなかった。
しかし、ダニや花粉に陽性の子どもたちに限って比較すると、ぜんそくの発症がおさえられている、と報告されています 3) 。
これも同じく、二重盲検法によるランダム化比較試験です。

「かゆみ止めの飲み薬」を飲み続けるべきか?
この3つの比較テストからわかるのは。
まず、「かゆみ止めの飲み薬」で、ぜんそくを完全に予防しようとするのには、無理があるということ。
しかし、ケトチフェンを飲むか飲まないかでは、ぜんそくの発症率に3倍以上の開きがあるのも事実です。
ただし、ケトチフェンやセチリジンが、どのようなメカニズムで、ぜんそくの発症をおさえるのかは、突き止められていません。
また、「かゆみ止め」としても、ケトチフェンやセチリジンの効き方には、大きな個人差があります。
そういう意味でも、どういうふうに「かゆみ止めの飲み薬」を使っていくかは、経過をみながら、お医者さんとよく相談して決める必要があるわけです。
でも、
「かゆみ止めをいつまでも飲み続けて意味があるのかなあ?」
と、疑わしくなることもありますよね。
その場合にも、一部の「かゆみ止めの飲み薬」では、子どものぜんそくの発症予防に意味があるデータが出ている。
そのことも参考にして、「飲み続けるか」「飲み続けないか」を考えるのもいいんじゃないのかな、と思います。
参考記事:
ケトチフェン、セチリジンなど、第二世代抗ヒスタミン薬
参考文献:
1) 飯倉洋治, ほか: 小児気管支喘息発症予防に関する研究 : Ketotifen 二重盲検群間比較法による検討: アレルギー 40(2): 132-140, 1991.
2) Bustos GJ, et al: Prevention of asthma with ketotifen in preasthmatic children: a three-year follow-up study. Clin Exp Allergy 25: 568-573, 1995.
3) Warner JO; ETAC study group: A double-blinded, randomized, placebo-controlled trial of cetirizine in preventing the onset of asthma in children with atopic dermatitis: 18 months' treatment and 18 months' posttreatment follow-up. J Allergy Clin Immunol 108: 929-937, 2001.






