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Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

敢えて時期をずらしての、遅ればせながらの話です。

 

日向坂46のMV集って映像ソフト化しないのかなぁ、出たら買うんだけどなーと常々思ってきた俺ッチの悲願が叶って、いよいよ発売されるそうです。

…発売されるんですが、素直に喜ばしい事であると受け入れられず…。

 

Blu-ray2枚にこれまでのMVを全収録、もう1枚にメイキングやNG集を含んだ特典ディスクを加えた3枚組。これにブックレットやアクリルスタンドを付けた豪華ボックスで発売されるとの事。

気になるお値段は……ささささんまんえんっ?

…ま、まぁ、アクスタとかオマケがあるんじゃ仕方ないよね、あくまでコアなファン向けの仕様があってもいいじゃない。

で、その他の通常版とかプチ豪華版はあるのかなと思いきや、あくまでこれ1種類のみ、しかもメーカー専売品だそうで…。

 

少ない小遣いをやりくりするガキより金払いのいい大人を相手にしたいのは分かるけど、こんな値段じゃ大人だってチト躊躇うでしょ。

気軽に手を出せない価格設定は離脱者を生む(または増やす)し、先細りの未来を早まらせる事にも繋がるんじゃないかと思うんだ。

ウン10万枚もCDが売れる有名グループがこんなせせこましい売り方に走ってしまうなんて、ガッカリしたというより、なんか一気に冷めちゃってね。ムカつけるほどの熱も上がらないというか(笑)。

それ故、驚くほどスパッと買わない決意ができちゃったよね。

 

ここで同じ坂道グループとして比較対象に挙げますが、乃木坂46もMV集が過去に2作発売されています。

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えっ、こんなに安くなってるの…!

 

乃木坂の場合、通常版はシングル曲のみ収録の1枚組というショボ仕様、他の限定版(というよりこっちが通常版?)はほぼ全てを含んだMV集ディスク3枚+メイキング映像を含んだディスク1枚を含んだ4枚組で、ディスク構成は変わらず、オマケが違う2種として発売されました。イベントやらプレゼント応募券も付いてたっけね。

こちらは最も高い仕様でも4枚組で約1.5万円に対し、日向坂は3枚組で3万円。

内容の充実度(もしくは収録時間)にもディスク1枚分の差があるのに、この価格差は理不尽すぎない?

 

メーカー専売品って、少量生産ゆえに客単価を上げる厚利小売(←チト怪しい日本語)のイメージがあるんですよ。いっぱい作っても売れなさそうだから、生産数を減らす代わりに客単価を上げようというね。

メーカー専売にして利益率を上げたいのは分かるけど、流通する販路を狭めれば、それだけ手に取る人も減ります。3万円でも安いくらいだ!と豪語できる従順なファンもいるんでしょうが、そこまでファン度数の高い人は世の中的には多くありません

 

ちょうどNHKの恒例である年末の大型音楽番組の出場者が発表されたところですが、今回の件を思い出すと、コアすぎる人に支えられるばかりで実はまだまだ大衆に認知されるグループにはなり得てない証左なのかなぁと、色々と残念な気持ちになりました。

…そして、櫻坂46とのローテーション出場になるんだろうなという予測は見事にハズれましたが、こんな感じなら次回も櫻坂に分がありそうな…?

『シンドバッド7回目の航海』を観ました。

 

航海を終えようとしていたシンドバッドの船は、食料や水を求めて小さな島に辿り着く。

船員らと共に上陸したシンドバッドは一つ目の巨人に遭遇。巨人に追われていたソクラを救出し、島を脱出する。巨人から盗んだランプを奪い返されたソクラは島に戻りたがるが、平和を望むシンドバッドはこれを拒否し、故郷バグダッドへの帰路に就く。

バグダッドに帰還したシンドバッドは、チャンドラのパリス姫との結婚を間近に控えていた。魔術師のソクラはパリスに魔法をかけ、彼女の体を小さくしてしまう。

ソクラの言う通りにせざるを得なくなったシンドバッドは、パリスを元に戻すために必要な怪鳥ロクの卵の殻を手に入れるため、ソクラを連れて再びあの島に向かう。そこには例の巨人を始め、様々な怪物が生息していて……といったお話。

 

人間の身体をベースにした着ぐるみでは表現できないような異形のモンスターをミニチュアで作り、それをひとコマづつ動かして撮影するストップモーションアニメの第一人者、レイ・ハリーハウゼンさんがそんな特撮=ダイナメーションを担当する作品です。

監督はネイザン・ジュランさんという方ですが、ハリーハウゼンさんが関わる作品は監督の名が霞んでしまうというね(笑)。

ちょっとビックリしたのは本作は1958年の作品という点。映像技術を鑑みるに、てっきり60年代後半くらいかと思ってたんですよ。

 

そんなダイナメーションも、昨今の若い人がこれを見れば、モンスターがカクカク動く姿に古臭さを感じ、一笑に付してしまうんでしょう。

確かに、昨今の緻密で滑らかなCGに比べれば迫力に欠けるのは明らかです。

ただ、もし目の当たりにする機会があったなら、モンスターの動きをじっくり見て下さい

例えばモンスターが歩くシーンがあったとして、動いているのは脚だけではなく、その他のどこかしらの部位もいちいち動いている事に気付くはずです。本作で言えばドラゴンの尻尾とか、常にウネウネ動いている上に動きも滑らか。

ロボットではなくモンスター=生物ですから、何かしらにリアクションの芝居を付けているのも芸が細かい。

――これらを、少しづつミニチュアを動かしながら1コマづつ撮っていくのって、スゲー気が遠くなる作業だと想像できませんか?

さらに言えば、人間との合成ショットも正確で、人間が投げた槍がミニチュアのそれに刺さるカットとか、どうやって撮っているんだろうと思わせます。

当時よりは遥かに能率よく撮影できるでしょうから、現代にダイナメーションが復活!なんて作品があってもいいですよね。

 

という事で、そんなダイナメーション満載のシンドバッドシリーズの第1弾です。“7回目の~”と謳ってるけど、7作目ではないのでお気にせず(笑)。

船乗りのシンドバッドが未踏の地に向かい、姫を守りながら未知の生物たちと戦う……というTHE冒険活劇です。

深みのあるストーリーでもないし、どちらかと言うまでもなくモンスター映画ですから、単純&純粋にハラハラ&ドキドキを楽しめればそれが最高です。

 

ヒロインでありながら、今作最大の被害者でもあるパリス姫。

インドの民族衣装のチョリっていうんですかね、ヘソ出しのやつ。衣装だけでなくキャラとしても可愛いんですよ。

ソクラの魔法により小さくされてしまったものの、悲しんだり困った様子もなくケロッとしているどころか、この状況を楽しんでいるかのように明るいままなんですよね。小さいままでもキチンと役割を果たすし、お転婆なところが魅力です。

 

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Blu-ray版は映像特典満載。当時を振り返るインタビューが興味深いですね。

 

…にしてもさ~、シンドバッドシリーズは3作あるのにBlu-rayは本作しか売ってないんだよね(大昔に高っけーBOXで3作分出てた気が)。

『アルゴ探検隊の大冒険』も含め再販しておくれよ、ソニー……いや、ハピネットさんよ!

『歌う若大将』を観ました。

 

日劇で行われた、加山雄三の初のワンマンショー。

若大将シリーズで使われた楽曲を中心に、シリーズの名場面や加山のプライベート映像を交えた作品。

 

シリーズ第8作目とされていますが、映画というより加山雄三さんのライブ映像を編集したものです。

当時は加山雄三=若大将(田沼雄一)と同一視される風潮が強かったんでしょうね。まぁ、番外編というか余興みたいなものですよ(笑)。

本作をシリーズに含めていいのか問題とか噴出しそうなところですが、これまでの作品=『アルプスの若大将』までに使われた楽曲に限定して披露しているんだから、まぁシリーズの一つとしてカウントしてもいいんでしょう。当時の加山さんも映画以外の楽曲を発表していた事でしょうしね。

そもそも、若大将ファンにはそんなせせこましい奴はいないんだぜ!

 

ワンマンショーの模様を見せるという事で、女性客の声援が多いのなんの。

「加山さ~ん!」だの「こっち向いて~!」だの、こういう文化は令和の今どころか、いつまでも続くんでしょうね。

そんな黄色い声援に照れて頭をポリポリする加山さんに、さらに声援が送られるあたりはチトわざとらしい感じがしてしまうのは、擦れた現代人の感覚なんでしょうか(笑)?

 

にしても、ギターやウクレレを弾き語りする加山さんはやっぱりカッコイイんだよね。歌もいいから、なおさらそう感じるんですよ。

もう20年若いうちにこの魅力に気付いていれば、ギターでも勉強する気にもなったんだけどね~…。

 

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あら、DVD版はないみたい。

他の若大将シリーズはあるのに……加山さんのライブビデオ感覚で買う人が多いのかな?

 

『アルプスの若大将』を観ました。

昨日公開されたド最新作の直後に、1966年=約60年前の作品について語っちゃうのが当ブログです(笑)。


京南大学の建築家を専攻する雄一は、学会に出席する教授の付き添いとしてヨーロッパに来ていた。金に物を言わせて強引に付いて来た石山も一緒だ。
スイス、オーストリア、イタリアを周る中、雄一はパンアメリカン航空に勤める澄子と出会い、ローマ観光を楽しむうちに二人はいい雰囲気に。
帰国した雄一は日本に異動された澄子との再会を喜ぶものの、石山を頼って来日したフランスの女性リシェンヌの世話を頼まれてしまう。毛唐を嫌う父に反対されながらも、リシェンヌを自宅で寝泊まりさせる羽目に陥る。
大学に戻った雄一は、キャプテンを務めるスキー部の合宿に向かう。これを知った澄子は、石山と共に合宿先の苗場に向かい……といったお話。

シリーズ第7作です。
大筋のストーリーは大同小異、別名ワンパターンなので、これまでのシリーズをひっくり返すような事件は起きません(笑)。逆を言えば、安心していつもの雰囲気を楽しめるという事でもあるんですがね。
特筆すべきは『ハワイの若大将』に続く海外ロケの敢行で、人気作のおかげか、割とお金が掛かっている事が伺えます。俺ッチでも知ってるプロのスキーヤー、トニー・ザイラーさんまで出演しているのは驚きですね。『黒い稲妻』、また観たい…。

脚本はシリーズ全作を担当した田波靖男さん……でありながら、今作はいつもと違う雰囲気が漂うんですよね。
それが顕著なのが澄子で、学生の雄一とは違い澄子は既に働いている事から、澄子の方が年上というイメージがあります。

が、今作の澄子はいつも以上に年上感が強く、雄一や石山との接し方も少々ドライな感じなので、いつものごとく親しみを込めて“澄ちゃん”と呼びにくいオーラが出てる感じ(石山は構わず呼んでいますが)。
今作はパンアメリカン航空という、これまでの澄子の職歴(?)の中でもかなり大きな会社ですから、キャリアウーマン感を出そうとしたのかな?
それにしても、若大将ワールドに飲まれて看過しがちですが、澄子ってかなり残酷な女ですよね。

雄一を追いかけるために、どれだけ青大将を使い走り扱いした事か(笑)。令和の今であれば敵が多そうだな~…。

雄一と久太郎の親子喧嘩もこじんまりとなったのもしっくり来ませんね。お得意の勘当もないし(笑)。
海外旅行から帰宅した雄一を開口一番に嫌味で迎えるのかと思いきや、全く逆で超ウェルカム。よっぽど前作で実家のお店=田能久を救ってくれたのがありがたかったのかもしれませんね(それどころか増床&改築でずいぶん豪華になってる…)。
雄一の家=田沼家のシーンも若大将ワールドには欠かせない要素。

中でも、りき=お婆ちゃんを演じる飯田蝶子さんの軽妙な芝居が面白いんですよ。感性は若者と同等というノリのいいお婆ちゃん像が好きです。
この時代でも、ちゃんと”ダブルオーセブン”と呼んでいるのは感心するね。

毎度お馴染み、若大将=加山雄三さんの歌は定番を通り越して、なくてはならない要素になりました。
前作で澄ちゃんのために作った(笑)『君といつまでも』が今作でも歌われているのは異例です。あの人に向けて例のセリフを言わせるために取り入れたの?と(笑)。
聞けば、『君と~』のレコード売り上げは凄まじかったようで、ななんと300万枚を突破してたってんだから、娯楽が少なかった時代とは言え、これは驚異的な数字です(その割に、”歴代シングル売り上げ”といったワードで調べても掠りもしないのは何故?)。
まぁ、『君と~』も良いんだけど……やっぱ『蒼い星くず』だよな!

今作で若大将が挑むのはスキー。
海も山も問わない、相変わらずの加山さんのスポーツ万能ぶりにはただただ拍手。どんだけ引きの画であっても吹き替えは使ってないんだろうね、さすが!
大会の最終日、ライバル校のキャプテンが滑る時と同じように、若大将の時にもカットを割らずに空撮&長回しで見せて欲しかったなぁ。

 

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『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』を観てきました。

 

西暦200年。将軍アカシウス率いるローマ帝国の大艦隊がアフリカ北部のヌミディアに押し寄せる。

応戦も虚しくヌミディアは敗北。生き残ったヌミディア兵は捕虜となり、その中には先の戦いで妻を殺されたハンノの姿もあった。

奴隷商人マクリヌスの目に留まったハンノは、闘技場で闘う剣闘士=グラディエーターとして育成させられるべくローマに連れて行かれる。

ローマは残虐な双子の皇帝ゲタとカラカラにより統治され、元老院が口を挟めない状況に市民の不満も膨らんでいる。

ついに闘技場に出されたハンノたち。人間だけではなく猛獣にも果敢に立ち向かうハンノは大衆の喝采を浴びるように。

そんなハンノから何かを感じ取った前皇帝の姉であるルッシラは、過去の出来事を思い出し……といったお話。

 

『グラディエーター』の続編がどうこうという話が聞こえ始め、ホントにやるの?と話半分に受け流していたら、もう公開が間近だったというね。大作のはずなのにプロモーション期間=焦らす時間が短かった気がします。

前作は映画としては綺麗な終わり方だったけど、諸問題は解決できていませんでしたからね、やろうと思えば続きなんかいくらでも考えられるとは言え、ここでもまた次世代のお話=息子商法をやるのかとガッカリします。

この商法は、人間は歳を取るほどノスタルジーに弱くなる心理を付いた作戦なので、前作からのスパンを空けるほど容易く釣れちゃうんだよね。お得意の泣いた泣いたレビューも多くなるんでしょう(笑)。

 

そんな息子商法があからさまなのが宣伝で、どこもかしこも本作の紹介文には”ルシアス”という名があり、もう1行目からネタバレ上等というね。

↑にある俺ッチ謹製(?)の粗筋にある、“ハンノ”という名を出しているメディアって皆無なんですよ。

前作を見ている人なら「ハンノってまさか…?」と、見ていない人ならハンノの出自が徐々に明らかになる過程を楽しめるのに、色々と台無しだよ。海外ではどう紹介されていたんだろう?

そもそも、ルシアスの両親が確固たるものになってるのも無粋に思えます。

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前作のBlu-rayに収録されている、監督のリドリー・スコットさん&主演のラッセル・クロウさんの音声解説によれば、ルシアスの父親は曖昧にしたと言ってたのにさー…。

今作では当時のルッシラは囲えるくらいに愛人があり、もしかしたら兄のコモドゥスも……という言及がありましたが、この辺を謎解き要素に使っても良かった気がします。

 

ハンノが奴隷から剣闘士になる流れはお定まりのパターン。

前作のマキシマスは渋々闘っていましたが、ハンノに関しては闘志メラメラです。祖国や妻を奪ったローマに対する恨みつらみに満ち満ちていているせいか、防御よりも攻撃を大優先するような感じで白熱します。画面内の観客に混じって歓声を上げたくなるくらい。

ストイックで朴念仁のようなマキシマスに対し、人付き合いも良く冗談も解するハンノには好感が持てますね。

 

今作でローマを仕切っているのは双子の皇帝であるゲタとカラカラ。

日本人からするとチト吹き出しそうなネーミングですが(笑)、性格は残忍そのもの。すぐそこで殺し合いが行われていても目を輝かせてしまうくらいにハシャいでしまうような困った人たちです。

皇帝が二人という変わったシチュエーションなんだから、もっと性格の違いを出した方が良かったんじゃないかな? 二人とも似た性格なら一人で済むんだし。

皇族でも何でもない上に人格にも問題が多いあんな二人が、どうして皇帝の座に就けたのかもう少し説明が欲しかったなぁ。

 

キャスト面では、マクリヌスを演じたデンゼル・ワシントンさんが注目です。

ひと昔(ふた昔?)前では常に清い人を演じてきたデンゼルさんが、腹に一物あるような悪人寄りのキャラを演じるようになるとは、時代の流れを感じるね…

 

取るに足らないかもしれませんが、久々に凝ったタイトルデザインを観た気分。あれを見れば”英雄を呼ぶ声”なんてダッセー副題が実に無粋に思えます。

油絵調ビジュアルで前作をダイジェストするオープニングクレジットは一見の価値がありますよ。

 

ビジュアルに関しては、これこそ劇場で見るべき価値があります。目線の高さよりも数列前の席で、気持ち画面に近付いて観ると迫力が段違いですよ。

それに対してストーリーはというと、前作で見せた愛や友情、政的な謀略といった要素もあるにはあるけど、どうも薄いんですよね。闘技場にサメが出るなんて流行に乗ったミーハーな真似なんかしないでくれよ。

前作で叶えられなかったマキシマスの悲願を成就させようとするのはいいんですが、あってもいいけどなくても困らない程度の、蛇足気味に思える作品でした。結局、グラディエーターシリーズはマキシマスありきのお話なんだよね。

そして困った事に(笑)、リドリー監督には第3作の構想もあるそうです…。

 

…と、締めには劇場プログラムを紹介するのが当ブログの常ですが、本作に向ける最大の失望は、劇場プログラムが存在しない点です。売り切れじゃなくて、発売していないんですよ。ぶっちゃけありえない。

自分のお金で映画館に行くようになって数十年、プログラムの存在=鑑賞記録として、売り切れていたら再び足を運んででも、自分が観た作品のプログラムは必ず買ってきた俺ッチでしたが……このルーチンワークをブッ壊したのは、もはや罪!

『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』の公開も間近に迫ったのでね、復習も兼ねて『グラディエーター』を観ました。



ゲルマニアとの戦いに勝利したローマ帝国。
皇帝アウレリウスは軍を指揮した将軍マキシマスを称え、その人柄を見込んで次期ローマ皇帝の座を彼に譲ろうと考える。これを不満とするアウレリウスの息子コモドゥスは父を殺害。新たな皇帝となったコモドゥスへの忠誠を拒否したマキシマスは処刑を言い渡される。
間一髪のところで逃げ出したマキシマスは故郷に帰るが、コモドゥスの手先により村は焼け、そして妻子さえも…。
興行師プロキシモに身柄を買い取られたマキシマスは奴隷として、大衆の娯楽として戦う剣闘士になる事を強いられる。そんな折、ローマで行われている闘技大会に参加する事になったプロキシモの一団。

闘技大会を主催する、そして妻子の仇であるコモドゥスを前にし、マキシマスは自らの正体を明かし……といったお話。

古代ローマの英雄譚と言えば『ベン・ハー』や『スパルタカス』を思い浮かべますが、本作も含め、お話は似たような感じです。
皇帝の寵愛を受ける→皇帝の嫡子の嫉妬により身分を剥奪される→奴隷となって剣闘士になる→大衆を味方につけて皇帝に立ち向かう……と、大同小異でこんな感じ。
さらに言えば、尺が3時間前後(本作のエクステンデッド版は171分)ってんだから、まぁまぁの覚悟を以て鑑賞に臨む作品です。

大軍を率いる将軍でもあるマキシマスは農民の出身であるが故か、兵士からの人望も厚いようです。後方でアゴを動かすタイプではない、自らも兵たちと共に前線に赴き戦う姿を見れば、なるほどと思いますよね。
生真面目で高潔、部下から慕われるだけでなく皇帝にもハッキリとダメ出しをする姿なんか、理想の上司像に相応しいくらい。
笑顔の印象が薄い(笑)ラッセル・クロウさんの、間違いない代表作でしょうね。

 

そんなマキシマスの仇敵であり、市民に圧制を強いる新たな皇帝コモドゥス。
序盤からそんな空気が漂っていましたが、コモドゥスはマキシマスに対して明らかに妬みの感情を抱いています。父であるアウレリウスのみならず、姉ルッシラさえもコモドゥスを視界から遠ざけていたのは、マキシマスの存在があったからです。
つまり、愛情の渇望こそがコモドゥスを歪ませてしまった一因なんじゃないかと。
そのせいか、アウレリウスやルッシラと会話をするシーンでは、常に目に涙を溜めているように見えるんですよ。悪辣非道でありながらも、どこか憎み切れないどころか悲哀さえ感じさせるのはホアキン・フェニックスさんの名演あってのものだと思います。
オメーなんざさっさとマキシマスに殺されてしまえ!と思う人は、意外に少ないんじゃないかな。

マキシマスはその昔、コモドゥスの姉であるルッシラといい感じの仲だったようです。
ここで気になるのはマキシマスの女性遍歴(?)で、ルッシラとキチンと別れた上で今の奥さんと結ばれたんでしょうか?と。
そうである事に間違いはないんでしょうが、今や奥さんがいないからって、僅かながらにもルッシラへの思いを残しているのが残念。
ラブシーンを入れろと映画会社が横槍を入れたのが見て取れますが、このせいでマキシマスが割と女にだらしないのかなと勘繰っちゃうんですよね。まさか同時進行=不倫だったとしたら……本作は確実に音を立てて崩壊します(笑)。

特に50~60年代に作られた古代ローマ作品と言えば、兵士であればミニスカ(?)にサンダルというスタイルを初め、まぁ史実に基づいてはいるんだろうけど、時代劇とは言え着るにはチト恥ずかしい衣装が多いです。ああいうのを着たくないという理由で、この手の作品へのオファーを断る俳優の話も稀に聞くし(笑)。
が、それらに比べると衣装が格段にオシャレになってます。なるほど、アカデミー賞の衣装デザイン賞も受賞したのも納得。
史実からはかけ離れてしまうんだろうけど、そこまでの破綻はないくらいの、あくまで"それっぽく見える"絶妙なデザインに思えます。コモドゥスの衣装なんか、普通にカッコいいもんなぁ。

 

人類の歴史上、人間の命が軽んじられる事はこれまでに多々あり、戦争では国のため、西部開拓時代では金のため、そして本作のように見世物=エンターテインメントとして人命のやり取りがありました。
マキシマスは闘技場の観客たちに命の奪い合いを見るのがそんなに楽しいのかと問いますが、その答えはYES。殺せコールが会場を渦巻くシーンは胸クソ悪くなりますね。
現代では声に出す人は減りましたが、文字としてそんな願望を表す人が増えました(遠回しな言い方ほど偽善的に思える)。自分は手を下さないけど、赤の他人同士が傷付け殺し合う姿を見たがる欲求とは、大昔から人間に染み付いている業なんでしょうね。

 

ところで、マキシマスの奴隷仲間にハーゲンという大男(演じているのはラルフ・メラーさんという人)がいますが、顔立ちが何とな~く『スパルタカス』のカーク・ダグラスさんを思い出しませんか?

 

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Blu-ray版は劇場版とエクステンデッド版=完全版をダブルで収録。コレクターズ仕様の本編ディスクをバラ売りした廉価版なのか、映像特典はほぼありません。

監督のリドリー・スコットさんとマキシマスを演じたラッセル・クロウさんによる対談式の音声解説を30分ほど聞きましたが……観る前から『~Ⅱ』の雲行きが怪しくなってます。グレーで良かったのに、白黒ハッキリさせちゃうのかよと。

『バイオハザードⅡ アポカリプス』を観ました。

 

ラクーンシティの地下深くにあるアンブレラ社の地下研究所=ハイブから発生したTウイルスは地上にも蔓延、生ける屍となった感染者は次々に人々を襲い、街は壊滅状態に陥る。

事態を重く見たアンブレラ社はラクーンシティを封鎖。しかし、警察やアンブレラ社の特殊部隊S.T.A.R.S.らの武力行使を以てしても、感染者の爆発的な増加は抑えられない。

街中が混乱する中、S.T.A.R.S.の一員でありながら現在は停職中のジルたちが逃げ込んだ教会には、ハイブで生まれた生物兵器が3体も待ち受けていた。その窮地を救ったのは、ハイブから逃げ延びた女=アリスだった。

ジルの一行に加わったアリスたちがラクーンシティからの脱出を図る中、一通の電話が。電話の主はTウイルスを開発したアシュフォードで、娘アンジェラの救出と引き換えに街からの脱出ルートを教えるという。

アンブレラ社は街を核攻撃するという情報を得たアリスたちは、アンジェラがいるという小学校へ急ぐ。その一方で、アンブレラ社のケインはネメシス計画を発動させ……といったお話。

 

シリーズ第2作です。

俺ッチは1作目しかプレイしていませんが、前作はゲーム=原作とは異なるストーリーと見受けました。ゲーム版は”原作”というより”原案”と呼んだ方が正確かな?

それ故、今作がどこまでゲーム版とリンクしているかはサッパリ分かりませんが、俺ッチは映画版で十分以上に楽しめてます。

 

前作から、割と超人めいた能力のあったアリス。

今作ではその理由や謎が少し明らかになりますが、どことなく『エイリアン』シリーズのリプリーを思い出しますね。普通の人は容赦なく餌食になるけど、この人だけは狙われない、もしくは免疫がある、みたいな。

皮膚下で何かがモゴモゴ動くカットがありましたが、前作にあった肩口の大きな傷は、こうなるであろう伏線の一つだったのかな? もしやアリスもネメシスのように…?とも想像しましたが、そんな寒い真似をしなかったのは正解です。

…なら、あのモゴモゴ動いてたのは何なの…。

 

アリスと同等なくらいに出番があるジルは活躍度も高く、中盤くらいまではもう一人の主人公と呼んでもいいくらいです。

度胸や戦闘力も持ち合わせていて、感染者となった人間を平然と撃てるのがいいんですよ。さすがに親交が深かったであろうペイトン相手にはそうも行かなかったけど。

よくいるじゃないですか、私には撃てない~とかゴネてイライラさせる奴(笑)。そんなタイプではない、作品の空気をキチンと読み取れているんだから優秀です。

停職中ではあるものの特殊部隊の一員でありながら、チューブトップ&ミニスカにブーツという出で立ちでは、日本のアニメやゲームの(嫌な)影響が垣間見えますね。露出過多であっても肌は傷付かないあたりとか(笑)。

当時、ゲームファンからも好感触だったように見えましたが、こういう発見があるのも実写版の面白さだと思うんだよね。昨今は憎悪に駆られて(笑)、その逆しか見えない人が多すぎるんだよ。

 

ラクーンシティ全域にまでウイルスが広がってしまったため、感染者(“ゾンビ”とか“アンデッド”といった名称は字幕にはない)の数は尋常じゃありません。

俺ッチはそこまでゾンビ映画は見ていませんが、どうしてゾンビになるのは成人ばかりなんだろう?という疑問に対するアンサーがあったのは驚きというか、衝撃です。薄ら寒さすら感じるくらい。

映画ではやりにくいだろうに、よくやったよと感心するどころか拍手モノですね。

 

それにしても思うのは、感染者は食欲という人間的な本能のままに行動するため、餌となる人間を狙うのは分かるんですよ。

狙われた人間が数十人もの感染者に襲われる画は一見すれば不気味に思えるんですが……たった一人を食べるためにそこまで群がる?と(笑)。

そこから考えると、腹を空かせてるからなのか仲間を増やしたいのか、感染者の行動原理が何なのか分からなくなるんですよね。キチンと食べてるシーンもないし。

 

ようやく実態が明らかになったネメシス計画。アンブレラ社は“○○計画”が好きだなーと思うんですが、それはさておき。

人間と犬と合わせたような姿ではなく、完全に人間の姿を模した生物兵器が誕生します。あんな図体にデカい銃をもつような、ゲームのボス感が溢れ出ています。

そんなネメシスに因縁を見い出すアリス。そして何もかも見通しているアンブレラ社のケインは二人に対決を強要し、渋々ながらアリスはネメシスとの決闘に臨みます。

この辺、ちょっと意味不明というか、ここまでの流れで急にタイマン勝負ってチト違くないかい?と。これは『バイオハザード』であって『ストリートファイター』じゃないんだって!

 

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Blu-ray版は映像特典も多く、予告編も収録されているんですが、何故か本作のそれがないんですよ(あるのは『バイオハザードⅢ』と『ウルトラバイオレット』だけ)。

たまたま本作の予告編を劇場で見た際、他作品の予告編に混じって急に化粧品のCM?と思いきや、”アンブレラ社”とか言い出した時点で、ああそうかと。これは巧い。

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…あれ? CM(風)部分はもう少し長かったように思えたんだけど…。

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そうそう&こっちこっち! 何故コレを収録しないんだよ!

いよいよ寒くなってきたので、暑さを詭弁にサボっていた積みプラ崩しを再開しています。

 

スナップフィットのキットに関して、基本的に俺ッチは常に塗装を考えてパチ組みをしています。

ゲート処理やらダボ処理やらをしながら組んでいるので、ペースはスゲー遅いです。実際に塗装するかどうかは気の向くままですが…。

 

で、現在はと言えば、何を今さら『LBX アキレス』を組んでいるんですがね。

ここで、『ダンボール戦記』キットあるあるを言わせてくれ。

 

♪ダン戦キットあるある~、早く言いたい~

 ダン戦キットあるある言わせて~(ウザいので中略)

  「あるある言うよー!」

 手首用のボールをハメ込むと~

 下腕のパーツが広がりがち~♪

これらはパチ組みレビューの拾い画像ですが、総じて接合面がハの字に開いているのが分かるでしょ?

 

下腕パーツを組んで接着→合わせ目消しをするんですが、これに手首を取り付けるためのボール型ポリキャップをハメ込む際、受け側の穴径がボールより小さいため、ボールをハメ込むと接合面が広がるんですよ。接着剤を塗ってもダメな時はダメ。

なので、ボールを入れたままハの字に開いた隙間に瞬着を流すような感じで接着→合わせ目消しをして、再びボールを入れるとまた割れるというコンボに頭を痛めています。

受け穴にΦ6.00のリーマーを通して(ボール径はおおよそΦ6.0~6.1)ハメ込む際のテンションは低まりましたが、どうせまた割れるんだろうな、ちっ。

今のところの捨てサフ時はセーフだけど、本塗装時に割れたらと思うと…。

キチンと作り込んでいる人のそれを見たり製作記事を読んでも、この辺はキチンと処理できているし、苦労談の一つもしないんだから上手いやり方があるんだろうなぁ。

相も変わらず、他の人が当たり前にできる事ができないのが当ブログの特徴です(笑)。

 

可能な限り合わせ目消しはするつもりなんですが、

肩アーマーの白い部分、ここだけはムリッ…! 三角リブさえなければ余裕なんだけど…ここだけは逃がしてくれ…。

上手い人の作例も、ここはあまり見せないように撮ってますよね(笑)。

 

昔から残念ポイントに挙げられていましたが、股関節のボール&受けはマズいですね。ここまでのものだったのかと。

ちゃんと奥までハメ込んでないからなんじゃない?とも思いましたが、奥までキッチリハメ込んでも動かしているうちに外れてくるんですよね。

 

後の、塗り分け地獄確定のLBX群に比べれば、このアキレス君は元のデザインとパーツ分割(色分けとは言わない)との組み合わせが巧みなので、意外と楽に完成できそうな予感。

…が、欲を出して色替えを考えるから完成が遠のくんだけどね。

『大学の若大将』を観ました。

 

京南大学の水泳部に所属する雄一=若大将は、合宿の費用を稼ぐためダンスパーティーのチケットを売る毎日。

パーティー会場で売るためのアイスの仕入れ口を探す中、雄一はアイス売り場で働く澄子と親しくなり、パーティーへ招待する。しかし肝心のパーティーでは、バンドの先輩やクラスメイトの女性と踊ってばかりの雄一を見兼ねた澄子は会場を出て行ってしまう。

学費を横領していた事がバレ、父に勘当された雄一は箱根で貸しボートのアルバイトに就き、出張に来ていた澄子に再会。そこに雄一をライバル視する石山=青大将も現れる。自分を相手にしない雄一に当て付けるかのように、澄子は青大将のヨットに乗り込む。そこで本性を現した青大将に襲われそうになった澄子は、雄一に救われる。

素っ気ない態度を取っていた雄一と澄子だったが、お互いの気持ちがハッキリしている事に気付き始め……といったお話。

 

ご存知、加山雄三さんの代表作である若大将シリーズの記念すべき第1作。

その昔、長谷川初範さんがインタビューで語っていたんですが、60年代くらいでしょうかね、長谷川さんが小さい頃の日本映画における男の主人公は、喧嘩っ早くて暴力に物を言わせるようなキャラが圧倒的に多く、子供の目から見れば少し怖くすらあったようです。

そこに登場したのが若大将シリーズで、多少の暴力シーンはあるものの、スポーツで汗を流し、ガッツリ食べて、ロマンチックに歌うという新たなヒーロー像に、長谷川さんも憧れていたそうです(その上で、かつて主演していた『ウルトラマン80』の教師編がサクッと終わった事に割り切れない思いを抱いていたとも述懐していましたが)。

 

そんな若大将はスポーツ万能(本作では水泳に限ってますが)、他人に頼られれば断れない、小さな事は気にしない、困っている人を見たら助けたくなるという、まさに人好きのするような青年。そりゃ周りからチヤホヤされますよ(笑)。

挫折や苦悩といった要素なんか一切なく、多少の困り事があってもそれが物語全体を包む事はありません。いわゆるサクセスストーリーとは、苦境を乗り越えようとする姿があってこそですが、本作の場合は最初から無敵なので(笑)、そんな泥臭いシチュエーションが皆無な点が潔いというか、お気楽な空気を醸し出しています。

それほどまでに明るい、ハッピーなお話と呼ぶに相応しい作品です。

 

若大将シリーズとは加山雄三さんのヨイショ映画と揶揄されても仕方ないでしょう。そんなMr.パーフェクトなキャラなんだから(笑)。

けど、そうは言っても黙らざるを得ないのは、実際に加山さんが何でもできちゃうんだから仕方ない

今作で言えば、ボートを転覆させてしまった親子の元に向かうシーン。モーターボートで駆け付け、浮き輪を投げて、自ら湖に飛び込んで親子を救うシーンがありますが、この一連の芝居を1カットで見せているんだから驚きです。

あたかも本人が演じているように、カット割り等でごまかしてそれっぽく見せるのではなく、キチンと本人が体を張って演じているのって、昨今の日本映画(やテレビドラマ)ばかり見ていると新鮮、かつ軽く衝撃じゃないですか? さも当たり前のように、サラッと見せている自然さも良いんですよ。

加山さんが好きじゃないという人は、こういう点に着目して見てみると僅かに考え方が変わるかもしれませんよ。

 

本作が公開されたのは1961年=昭和36年との事で、当たり前ながら街並みやファッション等が古く、昭和ド真ん中を堪能できるのがいい。リアル『ALWAYS 三丁目の夕日』というか(笑)。

それに加えて様々な制約、今でいう“こんぷらいあんす”がユルユルどころか、ないに等しいのも良いですね。

水泳大会の会場に向けて車を飛ばす青大将が白バイに止められますが、事情を聞いた警官が、そういう事なら自分の後を付いてきなさいとか言っちゃうんだから、昭和の大らかさ万歳です。まぁ、到着後にキチンと切符を切られますが(笑)。

この後、自分の出番には間に合ったものの、この直前に輸血をしていた雄一は果たして勝利できるのか?と聞かれたところで、もちろん想像通りです(笑)。

挫折や屈辱なんて言葉は存在しない、これが若大将ワールドの魅力!

 

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まだ若大将シリーズはBlu-ray化されてないんですよね。

1BOX=高額商品としてイッキ出しするより、月イチくらいで発売しないかなぁ。加山さんの音声解説でもあれば嬉しいね。

 

今回観たのは、その昔にBSテレ東でシリーズ放送したのを録画したものだったんですが、あれはいい企画でしたね。冒頭には予告編まで放送していた(!)んだからマニアックです。

またやってくれるといいですね、寅さんはそろそろ置いといて…。

『エレキの若大将』を観ました。

 

京南大学のアメリカンフットボール=アメラグ部は惜しいところで相手校に負けてしまった。

部のキャプテンに任命された雄一は、実家のすき焼き屋=田能久で先の試合の残念会を開催。その二次会の後、石山が運転する車が事故を起こしてしまう。

相手の車を運転していた澄子は軽傷で済んだものの、石山の身代わりになった雄一は罰金やら車の修理費を背負い込む羽目になるが、テレビのエレキギター合戦に出場し、賞金を狙う。

相手バンドに因縁を付けられた雄一たちは乱闘騒ぎを起こし、大学から1ヶ月の謹慎処分を言い渡される。

父である久太郎に勘当されて家を出て行く、そして学校を辞める決心をした雄一はエレキバンドのメンバーとして活動を始める。その中で、雄一と澄子の距離は徐々に縮まり……といったお話。

 

若大将シリーズ第6作です。

ここまでご都合的な展開の作品が続きましたが、今作はその極み。あり得ないシーンが続出で色々とツッコみたくなるというか、ツッコまずには生きていられません(笑)。

しかし、これをムキになって糾弾するのはダサダサな行為で、やれやれという気持ちを前提に、酒でも飲んでゲラゲラ笑いながら見るのも一興です。

若大将シリーズは青春モノの皮を被ったコメディであり、万人が楽しめるエンターテインメント作品ですからね。

 

自分がエレキギターとして参加するバンドの大会で、機材トラブルにより音が出なくなってしまった! ならば……♪僕のゆっく~とこ~ろへ~、ついてぇおいでよ~♪と歌い出す、しかも会場は拍手喝采で大受け。挙げ句にレコードデビューまで果たしちゃうという、ミラクルすぎるとんとん拍子(笑)。『嵐を呼ぶ男』もビックリだよ。

ちなみに、このバンドには石山=青大将がエレキギターとして参加しているんですが、いつものように足を引っ張る事もなくキチンと演奏できるんですよね(ド初心者の江口を見下せるレベル)。若大将と張り合って色んなスポーツに参加しても何一つモノにならない青大将が、最も才能を発揮できるのがエレキギターという意外さよ…!

 

にしても、若大将と青大将の奇妙な友情は相変わらず。

青大将からすれば若大将はライバルであり、たまに敵のようにも見ていますが、若大将にはそんな意識はなく、手は掛かるけどれっきとした友人であると認識しているようです。

青大将が悪い事をすればキチンと罰するし、そんな若大将には頭が上がらず罪を認めて反省もする。若大将にとって青大将は、江口以上に長く続く友情で結ばれているようにも感じますね。

 

ギターでの弾き語りは、今作あたりではもう恒例行事として定着してきました(作曲も弾厚作=加山雄三さんの別名義)。

澄子を演じていた星由里子さん曰く、加山さんが『君といつまでも』を歌うシーンの前後で不機嫌だったそうです。後年になってその理由を聞いたところ、澄ちゃんのために作った歌を初披露しているのに、その途中で澄ちゃんが割り込んできてデュエットになる(笑)のはおかしいだろうと加山さんが監督に異議申し立てをしたところ、結局はねじ伏せられたせいか、本番でも眉間にシワが寄ってるくらいにムスッとしていたそうです。詳しくはココで。

けど、こんな笑い話はあくまで観終えてから話せるもので、実際に観ている最中にはそんな不条理なんかさほども感じないほどにいいムードを感じませんか? 若大将シリーズを心底より楽しめるのは、こういうシーンを純粋に見れる人なんですよ。

 

後輩である青大将を脅して、エレキ合戦で勝利を狙うバンドのリーダー赤田。

銀行の頭取の息子で、経営不振が続く雄一の実家=田能久との取引先でもある事から、絶対にコイツは親の立場を活用してストーリーを引っ掻き回すような厄介キャラになるぜ?と推測する人は真面目な映画を見すぎです(笑)。

そんな設定はセリフだけ、久々に姿を見せたと思ったら、雄一の京南大学側の応援団に混じって演奏しているんだから、もうね(笑)。

恨みや憎しみという感情が存在しない温かい世界、それが若大将ワールド! ホント、見ている側も幸せな気分になれる映画なんですよ。

 

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“エレキの~”とタイトルで謳っておきながら、クライマックスはアメラグ(アメフトorラグビー?)というのもまたツッコめます。

劇伴で多用されているのがエレキギターで、これがイイ感じなんですよね。

劇伴だけでなく主題歌や挿入歌まで収録したサントラ、出ないかな~…。