B787エアラインパイロット ヒカルのブログ
  • 11Apr
    • 日常生活でも役に立つ!航空業界で学んだ会話術

      以前、「パイロットに必要な能力」という記事でも書いたように、パイロットにはコミュニケーション能力がとても必要になります。今日はそんな航空業界に10年以上関わってきた中で学んだ、2つの会話術について書きたいと思います。どちらともパイロットとして仕事をしている時だけでなく、日常的にも頻繁に使うことができ、皆さんの役に立つと思います。The Praise Sandwich (お世辞サンド)名前の意味は、言いにくい事や否定的な意見を伝えなくてはいけない時は、お世辞やポジティブな事を前後に述べて、サンドイッチにして伝えるという事です。人間は否定的な意見をぶつけられると、どうしてもネガティブになってしまったり、その意見を受け入れられないこともあります。また相手が部下や生徒など、自分が評価をする立場の場合、言い方次第では相手が自信を無くすことにもつながりかねません。そのような時、ただ相手のネガティブな部分を指摘するのではなくて、ポジティブな意見を最初と終わりに加えることで、全体的に否定的にならず伝える事が出来ます。例:「今週のおさらいなんだけど、先週やった所がしっかりできていて、それが今回やった所にも生かせていてとても良かった思います。それでもやって分かった通り、今日やった所は躓く人も多いので、〇〇するともっと向上できるでしょう。全体的にはいいペースで進んでいるので、このままの調子で行きましょう!」「今回は旅行に誘ってくれてありがとう!しばらく家から出れていなくて、そろそろ旅行にも行きたい!でもコロナがまた増えてきて自粛要請も出ているから今回はちょっと出られなそう... 今の内にしっかり貯めて、また旅行できるようになったら一緒に豪華な旅に行けたらいいな」PACE(ペース)2つ目は「PACE」と言って、主に目上の人や赤の他人を問いただす時や、自分が不安に思っていることを相手にぶつける際に使います。PACEとは「Probing/質問」「Alerting/注意」「Challenging/対抗」「Emergency/緊急」の頭文字から来る略語で、最初に相手のミスに気付いた時点から、最悪の場合で緊急事態に発展するまでの、相手に対する問いただし方を表しています。自分は大きな航空会社に入った時に、目上の存在である機長がミスや間違いを犯している際に、うまく問いただせるようにとPACEを教わりました。PACEを使うことで、なるべく相手を傷つけたり、恥をかかさずに、間違いに気づかせることができます。それでは、PACEを1ステップごと見てみましょう。Probing/質問:相手の間違いに気づいた際や、自分と思っている事と違う発言を聞いた際に、まずできる事は、質問形式で問いただすことです。そうすることにより、相手にもう一度考えるチャンスを与え、自分から間違いに気付いてくれることに繋がります。相手は自分から間違いに気付いたので、そこまで恥をかくこともなく会話が進みます。また、もし自分が間違えていても、相手に教えてもらえるチャンスでもあります。例:「ここの文章、訂正してと言われてたと思ったんだけど、聞き違いだったんだね」「この駅で乗り換えだったっけ?」Alerting/注意:質問形式の問いでも気付いてくれない相手には、もう少し強めに言って、間違いを指摘する必要が出てきます。この時、曖昧さを無くし自分の意見をはっきり言うのが大切です。例:「〇〇さんにこういう風に訂正してって言われたよね」「この駅で〇〇線に乗り換えだよ」Challenging/対抗ここまで来ても相手が間違いに気付かない、またはミスを認めないという事は、間違った情報をもとに行動している可能性が大です。そういう時は、確かな情報を提示するとともに、このまま間違ったまま事が進んでしまった場合、どうなるかについても指摘してみましょう。例:「このメールにも訂正してって書いてあるよ。期限も迫ってるから早くやっちゃおう」「この地図アプリもここで乗り換えって言ってるよ。ここ乗り過ごすと〇〇まで行って折り返す羽目になるみたい」Emergency/緊急これはちょっとパイロットの手順ならではの記述なのですが、この時点で相手が間違いに気付かず、フライトの安全を脅かす事態にある場合、相手のパイロットとしての能力が失われたと判断し、操縦を代わってでも安全な状態へ戻す必要があります。大事なのは、今まではコミュニケーションだった事を、ここで行動に移すことです。大抵の場合はPとAのステップで解決できます!いかがでしたか?例を考えてるとき、ちょっとでも皆さんのシナリオに当てはまりそうなのを考えたつもりでしたが、書いていてなんか恥ずかしくなるような文章力ですね。少し当たり前な部分もあるかもしれませんが、少しでもお役に立てれば幸いです!人気アイテムAmazon(アマゾン)【Amazon.co.jp 限定】空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑(特典:オリジナルうつくしい空のスマホ用壁紙データ配信)1,375円Amazon(アマゾン)英語独習法 (岩波新書)968円Amazon(アマゾン)コクピットイズム No.12 (イカロス・ムック)319〜27,477円楽天市場仕事も人間関係もうまくいくANAの気づかい/ANAビジネスソリューション【1000円以上送料無料】1,540円

  • 17Mar
    • ワクチン接種してきました

      先週、新型コロナの第一回目のワクチンを接種してきました。本当は介護施設で生活・働く人は数か月前から接種が始まっていたのですが、各施設で接種が行われていて、数週間ごとに施設を移動する自分たちはタイミングが合わないと接種できませんでした。ここに来て施設での接種がひと段落し、ワクチンの供給数も安定してきたので、医療従事者や介護士、そして他の最前線で働くエッセンシャルワーカー(必要不可欠な人)への接種が都市内のクリニック会場でも始まり、自分たちもようやく接種することが出来ました。小さい頃から注射が苦手な自分、しかもニュースなどで見る限りかなりブッスリ行く感じ... 痛みをこらえる心構えで行ったのですが、接種時の痛みは全くと言っていいほどなく、本当に驚きました。ニュースでは使用される針が従来のものに比べて細い物になっていると報道されていたので、そのおかげかも知れません。ワクチンはファイザー製のmRNAワクチンで、午後の3時ごろに打ちました。接種後15分は会場で待機させられ、副作用が無ければ帰されました。自分の場合、接種後1時間ぐらいで接種した方の腕がかすかにだるくなってきて、3時間後には腕を上げるとはっきりとしただるさとニブイ痛みがありましたが、発熱や他の症状は全くなく、インフルエンザの予防接種と同じような感覚でした。ただ就寝時など、寝返りを打ち接種したところに力が加わるとニブク痛く、数回起きてしまいました。次の日の夕方にはだるさも痛みのだいぶ無くなり、夜もしっかり寝る事が出来ました。同じ日に接種した仲間も大体が同じ症状で、腕を上げない限り問題ないようでした。2回目の接種の予定は告げられていないのですが、たぶん他の都市に移動しているので、どこまでスムーズに接種の予約が入れられるかちょっと心配です。今回のワクチンに関しては色々な議論がありますが、このワクチンを接種することでみんなが以前の生活に戻れることに貢献したいと思い、接種しました。新型コロナに感染した人を、直に接しサポートする生活の中、ワクチンを接種したことで精神的にだいぶ軽くなりました。そして高リスクな高齢者をもっと安全にサポートできるようになれたのが嬉しいです。もちろんワクチンは100%有効なわけではなく、2回目の接種もまだ。そしてワクチンを接種しても、抗体ができるまで時間がかかると聞いたので、今まで通りしっかりと感染対策を引き続き頑張っていきたいと思います。

  • 25Feb
    • 新しい仕事の内容

      11月から新しい仕事を慈善団体でさせていただいています。COVID19の感染が確認された高齢者介護施設では、感染者や濃厚接触者として多くの関係者が自宅で隔離されます。そのうえ、普段より除菌作業などで人手不足に陥ります。そのしわ寄せは必ず施設の利用者へいきます。以前はみんなで集まりご飯を食べたり、ゲームをしたり、介護士の人たちと交流したり。それが今では、感染拡大を抑えるために部屋から出ることも許されず、社交性が断ち切られています。そんな施設へ政府からの要請を受けて、30人ほどのチームが編成され派遣されます。仕事内容は、簡単な除菌作業からベッドメイクなどと聞いていたのですが...実際に着いてみると一番必要なのは施設利用者の精神的な支えになる存在。ということで、毎日部屋を回ってお話をしたり、工作をしたり、少しでも社交性を取り戻せるように活動しています。部屋を移動させられてばかりで、殺風景の部屋の中で一人でいる利用者も多く、そんな方々にとっては私たちと過ごす時間が唯一の人間性を感じられる時間でもあるのかもしれません。もう一つ大事な仕事が感染対策の徹底。クラスターが発生した施設はIPAC (Infection Prevention And Control) =感染管理が出来ていなかったケースがほとんど。なので、うちの団体の感染予防チームと地域の感染予防担当チームが一体となり感染対策を練り、施設で働くスタッフ全員がその感染対策を実行します。施設で働く多くのスタッフにとって、IPACは初めて聞く単語でもあり、戸惑いも多く見られます。そんな時に、IPACに慣れている自分たちのチームが率先して感染対策を徹底する事で、更なる感染の拡大を抑える役目を果たします。空にいる飛行機を見上げると、今までの現実からかけ離れた生活に愕然とする事もありますが、それでも施設の利用者やスタッフの皆さんから「ありがとう」と言われるたびに、この仕事を選んでよかったと思えます。この仕事は期間限定の契約なので、いつまで続けられるかは分かりませんが、学べることをしっかりと学んでいきたいです!人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 2ch セスナ型 ラジコン 33cm の ビッグサイズ パイパー J-3 カブ 電動 飛行機3,480円Amazon(アマゾン)Holy Stone ドローン カメラ付き 小型 収納ケース付き 室内向け バッテリー3個 200g以下 初心者向け リアルタイム 高度維持 2.4GHz マルチコプター モード1/2自由転換可 宙返り 国内認証済み HS210Pro5,388〜7,999円楽天市場JAL機長たちが教えるコックピット雑学 飛行機とパイロットの仕事がよくわかる/日本航空【3000円以上送料無料】1,320円Amazon(アマゾン)コクピットイズム No.12 (イカロス・ムック)319〜27,477円

  • 13Jan
    • パイロットに必要な能力!そして今からできる事

      パイロットにはどのような能力が求められるのでしょうか?将来パイロットを目指している人でなくても、気になる人も多いのではないでしょうか。今日は、これまで10年間飛んできて、機長も含めて経験してきた中で、必要だった能力について書きたいと思います!1.コミュニケーション能力2.人付き合いの良さ・周囲との協調性3.判断力4.健康な身体・ある程度の操縦感覚5.最低限の英語力、そして聞き返す勇気!6.精神力・持続力7.常に飛行機の前を行く、「予想する能力」8.マルチタスク能力それではひとつひとつ、詳しく見てみましょう!1.コミュニケーション能力航空業界の安全性の向上に大きな影響を与えたCRM(クルー・リソース・マネジメント)の発達。そのCRMスキルの中でもよく出てくるのがコミュニケーション能力です。コミュニケーション能力、すなわち正確に、そして効率よく物事を伝える能力。忙しい空港/空域での無線交信や、緊急時のコクピット内など、パイロットには素早く正確に情報を聞き取り発信する能力が求められます。そしてコミュニケーション能力で重要な要素が、言いにくい事、また言いにくい相手に対しても、しっかりと発言できる能力です。CRMの発達以前は、立場的に上である機長の致命的な決断に対し、他のクルーが重要な情報を躊躇などから効果的に伝達できず、人為的なアクシデントにつながることが多くありました。そうならないためにも「相手が間違っている」という、言いにくい事でも、素早く正確に伝える能力が大変重要になります。2.人付き合いの良さ・周囲との協調性先ほどのコミュニケーション能力の場でも出てきましたが、防げたはずの事故の中には、人為的なケースが多々あり、その多くが一人のパイロットによる致命的な独断を周りのクルーが止められなかったことによるものです。この場合、他のクルーのコミュニケーション能力もそうですが、何よりミスを犯しているパイロットが他人の意見を聞き入れる心構えを持っていない事が問題でした。「この副操縦士は何も分かっていない」、「自分の方が経験がある」など、多くの場合で機長が自分の判断力と経験を過剰に信頼し、他人の意見を一概に無視した結果、事故へつながりました。そうならないためにも、周囲の意見を取り入れられる協調性、そしてクルー全体からうまく意見を引き出せるリーダーシップが非常に重要になってきます。クルーの中には内気で自分の意見をうまく発信できない人もいるかもしれません。そんな人でも、発言しやすいような環境を作るのもパイロット、特に目上の存在である機長には必要な能力です。自分が前の会社で機長をしていたころは、特に笑顔を忘れないように心がけていました。特に初対面の新人副操縦士には、どんな小さなことでも指摘してもらえるように、フライト前に自己紹介などで盛り上がり、「なんでも言ってねー!」とブリーフィングしていました。そのせいか、新しい機種で慣れていない頃に自分のランディングを小ばかにしてくる副操縦士もいて、でもそれくらい機長である自分に対してもリラックスして発言できる方が、健全なコクピットであると考えます。大切なのは、楽しくもしっかりとプロ意識を保ち、安全を最優先するコクピット環境を作り出すことです。3.判断力パイロットの仕事中には、瞬時の判断力が求められる場面がいくつもあります。緊急時には特にその能力が試されます。例えば普段の運航時では、管制官からの急なルートや高度の変更要請や、離陸直後の客室のCAさんからの連絡などがあります。前者の場合は、天候、残燃料、会社の運航手順などを考慮した上で判断を下す必要があり、後者の場合は飛行機の操縦とその他の要素のつり合いを瞬時に判断することになります。具体的に言うと、離陸直後でパイロットは忙しいとCAさんは知っている上で連絡してくるほど重大な何かがキャビンで起こっている、しかしまだ離陸したばかりで高度も取れていないような状況。そんな時は、2人のパイロットで今の仕事量が分担できる程度と合理した上で役割を分担し、一人のパイロットが簡潔にCAさんと連絡を取り合う、または、あと十数秒で操縦の負担が減るから、その後にこちらから連絡しよう、などというような判断を2人で瞬時にできる必要があります。重要なのは、パイロット同士が同じ判断を共有し、合意した上で行動することです。4.健康な身体・ある程度の操縦感覚これはよく聞くかと思いますが、乗客の命を預かる以上、乗務中に重病を発症してフライトを危険にさらすわけにはいかないので、健康な身体を保つことが重要です。またフライトに集中できるよう、精神の健康も重要です。たくさんのパイロットの訓練を見てきて、たまに見かけるのですが、操縦感覚が非常に乏しい人がいます。例えば着陸の際、地面が近づいてきたときに機首を上げる「フレア」と呼ばれる動作をして降下率を下げ、スムーズに着陸します。このフレアのタイミングは、座学でも教わるのですが、実際に操縦してみると感覚的な部分も大きく、一回目からコツをつかめる人もいれば、何回やっても距離感がつかめず苦労する人もいます。距離感をつかめなかったり、周辺視野を使う操縦がうまく行かなかったり... 車の運転でも似たような部分があるかもしれませんが、やはり乗り物の運転には多少の操縦感覚が必要になってきます。5.最低限の英語力、そして聞き返す勇気!よく聞かれる質問がパイロットに必要な英語力。訓練を始める前は、ぎりぎり日常的な会話ができる程度で十分だと思います。というのも、専門的な用語は訓練中に習うので、始まる前からストレスをためる必要はないです。そして日々の運航でも、必要になってくるのは「航空英語」で、英語が第一言語でない人のためにも決まった単語、フレーズを使用します。これも訓練中に叩き込まれる物です。無線での会話は英語圏の人でも手こずる所です。特に短い文章の中に多くの情報を詰め込みたがるこの業界では、聞く能力と瞬時に分かりやすくノートをとる速記能力も必要になります。一番大事なのが、分からない事を聞き返す勇気。「たぶんこう言ったんだろう...」という感覚で操縦してしまっては大事故につながります。普段から分からなかったり聞き取れなかったら、聞き返す勇気を持つことが非常に大事です。6.精神力・持続力エアラインパイロットへの道は長く、簡単な道ではありません。個々それぞれの目標の「パイロットになる」というゴールへ向かうために、たまには辛い選択も迫られることもあります。誰にでも訓練がうまく行かない日が絶対あります。重要なのは、そこでめげずに、問題と向き合い解決していく精神力です。そしてパイロットの仕事には、日々同じことの繰り返しになる事がたくさんあります。毎日同じ空港へ飛んで、毎日同じチェックリストを読んで、次の日もそれの繰り返し。それを何か月、何年と続けなければいかないかもしれません。そんな生活の中、ダラダラしてしまったり、「いつもやっている事」と言ってチェックリストをスキップしたり... そんな積み重ねが事故につながります。日々初心に帰り、いつも向上心を忘れないように生活することは、パイロットにとって非常に大事な仕事の一部です。日々だらけてしまわないよう、自分をコントロールできる精神力と持続力も非常に大事です。7.常に飛行機の前を行く、「予想する能力」訓練中に耳にタコができるほど言われるのが「Stay ahead of the aircraft/飛行機の前を行け。自分の頭の中で行けていない所に、飛行機を持っていくな」です。どういうことかというと、「常に自分の操縦する飛行機が、数分後、数秒後にどこでどんな状況であるかをきちんと考えて操縦しろ」ということです。もし状況が手に負えないほど忙しかったり、混乱していて、「えっ!もうこんな所まで来ちゃったの...?」となった状態を「Behind the aircraft/飛行機の後を行く」と言って、自分が予想できていない状況に飛行機があり、飛行機に置いて行かれてしまっている状態を意味します。こうなると、人は焦り、周りの状況も把握できず、ミスを連発し、最悪の場合事故につながります。常に、次の次の次のステップまで頭の中でイメージしながら操縦できるような「予想する能力」を鍛えるようにしましょう。8.マルチタスク能力訓練を始める前は、特に必要な専門知識はありません。難しい数式や力学などの分野も、得意でなくても大丈夫です。逆にパイロットに必要なのは、簡単は計算を操縦しながらでも頭の中でできるような、マルチタスク能力です。特に計器飛行では普段の操縦の上に、多くの計器を監視し、それらの情報を分析、操縦を修正、そしてまた計器を監視、その上にタイマーを使ったり、時間を監視したり、チャートを見たり、無線で交信したり...非常に多くのことが同時進行します。先ほど出てきた「予想する能力」と、それを実行できるマルチタスク能力も大事です。いろいろと出してみましたが、パイロットを目指している人を不安にするつもりで書いてはいません。これらの能力は、日頃から意識して生活することで身に付けられる物も多く、同時に普段の生活の役に立つものばかりです!実は自分も昔はコミュニケーションがものすごく苦手でした。今も得意だとは思っていませんが...(笑昔、深く考えず発言し、失礼なことを言ってしまったことも多々あり、めげてしまっていた時期もありました。しかし、それを克服しようと本を読んだり、積極的に知らない人に声をかけたりするように努力し、今では会話をするのが楽しいと感じるようにまでなりました。それが、自分をもっと良いパイロットにしてくれたのは確かで、日々の努力は必ず結果に結びつくと思います。他にも普段からできる事の中に、いろいろと予想してみて、同時に難しい判断を自分に迫ることもしています。例えば歩いて出かける際、「次の道を左、そして駅に着いたらXX分の電車に乗って〇〇まで。そして△△で乗り換え」と次のステップを常に意識しながら行動します。そして、「もし△△で電車に乗り遅れたらどうすればいいんだろう」と第2のプランを考えてみたりしてみてください。小さなことかも知れませんが、常に次のことを意識して生活することに慣れるのは、パイロットにとっては大いに役に立つと思います!人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 2ch セスナ型 ラジコン 33cm の ビッグサイズ パイパー J-3 カブ 電動 飛行機Amazon(アマゾン)Holy Stone ドローン カメラ付き 小型 収納ケース付き 室内向け バッテリー3個 200g以下 初心者向け リアルタイム 高度維持 2.4GHz マルチコプター モード1/2自由転換可 宙返り 国内認証済み HS210Pro7,999円楽天市場JAL機長たちが教えるコックピット雑学 飛行機とパイロットの仕事がよくわかる/日本航空【合計3000円以上で送料無料】1,320円Amazon(アマゾン)コクピットイズム No.12 (イカロス・ムック)418〜27,477円

  • 07Jan
    • パイロット解雇されました。そして人生初の就活...

      パイロット解雇されました。以前の記事でもお知らせさせて頂いたのですが、9月に勤める航空会社からコロナでの需要不足を理由に一時解雇を言い渡されました会社自体の利用率、そして収入自体が激減した中で、多くの仲間と共に解雇されたのは致し方ない事だと思っています。会社からは「2~3年は前の状態に戻らないだろう」と言われていて、逆に航空業界しか経験していない自分にとっては、他の分野を経験するいい機会だろうと思っていました。特に世界中で助けを必要としている人々を支援しているようなNPO(非営利団体)の活動に携わりたいとずっと思っていたので、「そんなNPOで仕事をできたらな」と考えていました。自分は訓練した航空学校で、卒業後すぐに教官として雇われたので、これといって就活を経験していませんでした。ここにきて人生初めての就活。今までパイロットという仕事を通して培った能力、それに国内最大手の航空会社というお墨付き!面接官を含め、新たに会う人達にも「へぇ~、パイロットなんだ!すごいじゃん!」と言われて、きっと次の仕事が見つかるのにもそこまで苦労しないだろうと思っていました。しかし...現実は甘くはありませんでした。まずNPO自体、コロナ禍で支援、収入が減っていて、新規採用をしている所は多くありませんでした。その上、その分野の大卒の資格が必要になってくるケースが多く、航空科を専攻した自分には応募資格さえない...さらに「業界での経験年数〇〇年」などの応募資格にも苦しめられました。大学で人文地理学を副専ことや、多様性・国際性にあふれる自分の過去をアピールし「最初は無給でも全然構わないので、ボランティアとしてスタートさせて経験を積ませて下さい!」と履歴書を送っても、返事さえ帰ってこない日々。6月くらいから少しずつ就活を始めていたのですが、いっこうに返事さえもらえないまま数か月が過ぎてしまいました。そろそろ解雇の通知が来るかなと考えていた夏の終わり。もうNPOに絞っていられない!ということで将来役に立つスキルが身に着く分野で職探しを始めたのですが...やはり家庭を支えるギリギリラインの年収300万を超えてくると、どうしてもその分野の資格や経験が必要に。ならばと経験なしで、きちんとトレーニングをしてくれる会社を探すことに。eコマースの大手の最終面接でも、「能力あるし、ぜひ雇いたいんだけど」と言われるのですが...「もし航空会社から2年後に、戻って来いと言われたらどうする?」この質問で何回落とされたことか....やはりトレーニングするからには長期的な人材を探していて、数年で辞めるのが分かっているパイロットを雇ってくれる会社はありませんでした。まさか「国内最大手の航空会社」が履歴書での減点ポイントになるとは思ってもみなかったです。やっぱ考えが少し甘かったんですね。毎日のように違う会社に履歴書を送り、返事さえもらえない日々。ここまで辛いものなのかと、今まで積み重ねてきたすべてが、社会に受け入れられないような感じがして結構へこみました............やばい.......そんな中、会社用のアカウントに一通のメールが届きました。それは、勤めていた航空会社の子供を支援するチャリティー財団からのメールで、パートナーのひとつである大手NPOが、コロナで困っている人を支援する人員を探しているとの内容でした。実はこのNPOには、他のポジションですでに応募して返事さえもらえていませんでした。そこで、財団の方から紹介して頂けないかお願いすることに。そしたら数日後にNPOから返事が!電話での面接。そして...採用されることに!!!ポジションとしては、コロナの感染が広まってしまった高齢者介護施設、そしてPCRテスト会場やワクチン接種会場での人員支援で、主に人手が必要な所に派遣されて手助けをする仕事です。そして最初は高齢者介護施設での支援のために、11月の末にトレーニング、そして12月から実際に施設での支援の仕事を始めました。常時コロナ患者のサポートをする、最前線での仕事です。そのことに関しては、また別の記事を書こうと思っていますが、助けを必要としている方、そしてそういう人達のために一生懸命に働いている施設の人達と仕事でき、非常にやりがいのある仕事です!最初の目標でもあったNPO、とくに困っている人達のための仕事が見つかり、とても感謝しています。また、家族を含め多くの方から励ましのメッセージを頂き、非常に感謝しています。温かいお言葉の数々、ありがとうございました!2020年は辛い激動の一年でしたが、それをチャンスに変えれたことは大きく、2021年も感謝することを忘れずに、しっかりと新しい環境で学び、成長することに励みたいです!そして、その日が来るまでユニフォームはしまっておきます...人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 2ch セスナ型 ラジコン 33cm の ビッグサイズ パイパー J-3 カブ 電動 飛行機Amazon(アマゾン)Holy Stone ドローン カメラ付き 小型 収納ケース付き 室内向け バッテリー3個 200g以下 初心者向け リアルタイム 高度維持 2.4GHz マルチコプター モード1/2自由転換可 宙返り 国内認証済み HS210Pro7,999円楽天市場JAL機長たちが教えるコックピット雑学 飛行機とパイロットの仕事がよくわかる/日本航空【合計3000円以上で送料無料】1,320円Amazon(アマゾン)コクピットイズム No.12 (イカロス・ムック)527〜27,477円

  • 07Dec
    • エンジン停止なんて当たり前!エアラインパイロットの訓練!

      先日、那覇空港を出発したJAL機のエンジンの1つに異常が発生し、那覇空港へ引き返すインシデントがありました。問題のエンジンはファンブレードに破損が見つかっており、エンジンのカバーも空中で外れてしまう事態にまで及びました。高速で回転しているファンブレードは1枚でも破損すると、破片が多大な衝撃を与え、ファン全体のバランスが崩れて激しい振動を生じさせます。そんな状況の中、無事に飛行機を那覇空港へ着陸させたパイロットとクルーは称賛されるべきで、これも日頃から行っている厳しい訓練の成果ではないかと思います。そこで今日は以前から質問のあった、パイロットの訓練に関して書こうと思います!エアラインパイロットが受けなくてはいけない訓練には色々な種類があり、それぞれ受けなくてはいけない頻度も違います。また、会社や国によっても訓練は大きく変わってきます。ここでは、自分の経験からお話しさせていただきます。エアラインパイロットが一番多く受けることになる訓練は半年に一回のシミュレーター訓練です。自分が経験した中から言うと、一回のシミュレーターは4時間のセッションで、1日目にシミュレーターで訓練を行い、2日目が試験になります。シミュレーター訓練では毎日行っている基本的な操作に始まり緊急時の対応まで、幅広い状況を再現し、身についてしまった運行手順と違ういらないクセが指摘されたり、普段経験することが少ない悪天候時の手順や、緊急時にもしっかり対応できるように訓練します。基本的な流れとしては、実際の運航のように、ゲートに停まっている飛行機に乗り込むところから始まり、だいたい45分以内で出発できるように機体のセットアップやブリーフィングを行います。その後プッシュバック→地上走行→離陸→ある程度の高度まで上昇したら、失速や緊急事態の訓練をします。大抵の場合、エンジンに問題が発生し、パイロットによるエンジンの緊急停止した後に、残りのエンジンで無事に着陸させる流れになります。その後、機体をシミュレーター内で空港近くに移動させ、悪天候時や他のタイプのアプローチの練習をしたりします。また、離陸時のエンジントラブルや、離陸中断などの訓練もおこなわれます。シミュレーター内で飛んでいる時間の半分は、片方のエンジンが止まっている状態で飛んでいると言っても過言ではありません!2000年代に入ってから注目されている訓練が、LOFT(Line Oriented Flight Training)と言って、「もっと実際の運航に基づいた訓練内容にしよう」という訓練です。以前の訓練は緊急時への対応が中心で、エンジントラブルや重大なシステム異常が中心でした。そして、事あるごとに機体をシミュレーター内で移動して他の状況に切り替えて再開...というのを繰り返す訓練で、各シーンの繋がりがありませんでした。LOFTは重大な機体トラブルだけでなく、普段から遭遇しそうな天候に関するトラブルや、客室でのトラブル、考えられる現実的なトラブルすべてが訓練対象になります。そして一定の継続性も重視され、出発から到着まで一つの流れの中で訓練が行われます。例えば以前だったらエンジントラブル後、パイロットの緊急時の操縦がだけが評価されて、それ以降の情報収集、状況判断、客室やディスパッチャーとのコミュニケーション、乗客へのケア、などの面に関してはあまり重視していませんでした。しかし、多くの事故とクルー・リソース・マネジメント(CRM)の関係性が指摘されるにつれ、CRMが試されるトラブル発生後の環境での訓練も見直され、CRM重視のLOFT訓練が導入されるようになりました。今までは年2回の試験のうち、1回がLOFTでしたが、今の会社ではほぼすべてのシミュレーター試験で何らかのLOFT形式のシナリオが採用されています。シミュレーターでは色々な場面での訓練が行われますが、たぶんパイロットが一番緊張するのが離陸時の訓練です。知っている方もいるかもしれませんが、離陸中にパイロットは2つのスピード、V1とVrをコールアウトします。Vrはローテーション(機首上げ)するのに十分なスピードがあることを意味しており、Vrがコールされたら操縦を担当しているパイロットは機首を上げ離陸します。V1は離陸決心速度と言って、「V1以上のスピードが出ていたら何が起きても離陸を続ける」という意味があります。というのも、V1以上のスピードが出ている状態で離陸を中断しブレーキを思いきり踏んでも、残りの滑走路では安全に止まることができない、というのがV1なのです。そして、毎回シミュレーターで試されるのが、V1直後に片方のエンジンに重大なトラブルが起きる訓練で、「V1カット」や「EFTO(Engine failure on take-off)」と呼ばれています。パイロットはV1直後に片方のエンジンが止まる、または火災・破損した状態で離陸を続行し、無事に飛び立ち安全に空港に着陸することを求められます。緊張する理由としては、機体によっては少しでも反応が遅れると滑走路から逸脱したり、操縦を誤ると失速する可能性もあり、あまりミスをする余地がないからです。その上、飛行機の操縦の多くがチェックリストに頼ってするのですが、こういう1秒を争うような状況では記憶に基づいて速やかに対応操作をしなくてはいけません。B787など最新の飛行機は、コンピューターが状況分析や操作の面でも結構手助けしてくれてかなり楽なのですが、昔操縦していたDash8は左右のエンジンの計器を一つ一つ見比べてエンジンの状態を判断し、それに基づいた的確な操作が必要だったので、慣れるまでは緊張しました。他のシミュレーターでの訓練内容としては:失速訓練:機体をわざと失速させて、その際の兆候や失速からの回復の手順をおさらいします。緊急降下:高高度での機内の急減圧への対応訓練です。パイロットは急減圧を察知するのと同時に酸素マスクを着用し、酸素が十分にある10,000フィート/3000mまで機体を緊急降下させます。急旋回:通常の運航では旋回時に30度以上のバンクをとることはないのですが、この訓練ではスティープターンと言って高度を保ちながら45度までバンクをとり、操縦能力を試します。最近のCRM重視の訓練では、やる機会が減ってきているように思えます。悪天候時の訓練:アプローチにも色々と種類があるのですが、悪天候で視界が悪いと利用できるアプローチも限られてきます。最も悪天候時に利用されるILSのCATⅡとCATⅢは、それぞれ普段と違うコールや準備が必要なので、そのための訓練です。ウィンドシア訓練:ウィンドシアは急激な風の変化で、アプローチ中の飛行機の速度に急な変化を生じさせ、失速などの危険に繋がります。アプローチ中にウィンドシアに遭遇した場合、フルパワーで着陸復行を行います。CFIT訓練:CFIT(Controlled Flight Into Terrain)とは、パイロットが衝突の可能性に気付かないまま山や地面、障害物に衝突する事故で、パイロットの注意力の低下や方向感覚の喪失による場合が多いです。早いうちから警報装置が開発・搭載され、万が一警報が鳴った場合はフルパワーで急上昇を開始します。この他にも、速度計不良やマイナーなシステムトラブルなど、色々な訓練があります。パイロットの新しい機体への移行訓練の場合、ほぼすべての緊急事態の訓練をするのですが、その後の訓練では、実際に起きたインシデントや、パイロットたちが訓練中に苦労しているエリアをデータとして集めて、訓練内容やLOFTのシナリオが組まれます。パイロットの訓練はシミュレーターだけに留まらず、座学のコースもあります。まず、自分の会社の場合、1年に一度、機体システムをオンラインコースで復習し、テストに受かる必要があります。他にも、危険物取扱、緊急時のサバイバル、爆発物による脅迫、高高度に関する知識、新たな運航規程、雪氷等に覆われた滑走路への規定、などなど運航に関するたくさんのオンラインコースを受け、それぞれのテストに受かる必要があります。他にも1年に一回、CRMの座学形式の訓練も受け、その中にはフライトアテンダントと共に座学を受ける時間がある会社もあります。パイロットの訓練と言っても、操縦能力だけでなく、他にもいろいろな所で訓練を実施しているのです!人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 2ch セスナ型 ラジコン 33cm の ビッグサイズ パイパー J-3 カブ 電動 飛行機3,480円Amazon(アマゾン)Holy Stone ドローン カメラ付き 小型 収納ケース付き 室内向け バッテリー3個 200g以下 初心者向け リアルタイム 高度維持 2.4GHz マルチコプター モード1/2自由転換可 宙返り 国内認証済み HS210Pro7,999〜8,000円楽天市場JAL機長たちが教えるコックピット雑学 飛行機とパイロットの仕事がよくわかる/日本航空【合計3000円以上で送料無料】1,320円Amazon(アマゾン)コクピットイズム No.12 (イカロス・ムック)2,712〜27,477円

  • 13Nov
    • バードストライクからの緊急着陸! 航空ドラマを検証! ~ハッピーフライト編~の画像

      バードストライクからの緊急着陸! 航空ドラマを検証! ~ハッピーフライト編~

      前回は「GOOD LUCK!!」のリアルさを解説してみました。ANAの協力のおかげか、コクピット内でのパイロット同士のコールや飛行機の操縦自体は結構リアルに再現されていましたが、機長と副操縦士の関係や厳しすぎる監査官などは、少しドラマチックすぎて現実的ではないと解説しました。今回は、自分でも見た時に「細かい所までよくやってるなー」と感心してしまった「ハッピーフライト」について書いてみたいと思います!全体的な感想としては、GOOD LUCK!!以上にリアルに再現されていると思います!パイロット以外にもグランドスタッフやディスパッチャー、整備士の様子も描かれているのですが、パイロットという職業のリアルな描写から見て、他の仕事の様子もきちんと調べられたうえでリアルさを追求したのではないかと思います!コクピット内でのパイロット間のコール(操縦の際に使用される決められた言い回し)はGOOD LUCK!!同様かなりリアルです。その上、この映画ではパイロットと他の職種の人たちと協力して運航している姿が描かれており、協力する大切さを知っているパイロットという立場の人間としては嬉しい限りです!それでは、もう少し細かい所を見ていきましょう!パイロットと整備士コクピットでパイロットと整備士が話し合っている場面がありましたが、これは実際によくあることです。細かいものを入れれば何百とあろうシステムの数々、そしてそれを監視するセンサーなど、飛行機は膨大な数の部品からできています。そして、機体が何か問題を感知した際、パイロットに教えてくれます。パイロットの仕事としては、その場で適切に問題を処理した後に整備班に状況を伝えます。最近の787などの飛行機では、飛行機自体が直接整備士へ教えてくれて、パイロットから伝える頃には整備班の方で準備を始めていることもあります。連絡を受けた整備班は、(出発前の場合)機体に整備士を派遣し、コクピットでの不具合ならコクピットへ、問題である部分が分かっているなら機体のその部分へ直接派遣します。このシーンでは、以前から発生していた2つの問題、エンジンのスタートバルブと速度を測るピトー管の除氷システム、どちらを優先的に整備するかを話しています。両方とも修理せず出発できるの?と思われるかもしれませんが、飛行機は信頼性確保のため多重の設計がされており、ひとつのシステムが正常に機能していなくても、他のシステムが補うことによって安全に運航できるようになっています。そこで登場するのが、以前詳しく書いたこともあるMELというリストで、そこにはどのシステムだったら正常に働いていなくても、安全に運航できるかが書いてあります。後にパイロット同士でピトー管の修理の持ち越しの話をしますが、それがまさにMELを活用した運航の状況で、我々パイロットも日々このような状況に遭遇します。このシーンでは、訓練フライトという事で機長が質問する形式でしたが、通常の運航ではパイロット、そして多くの場合ディスパッチャーや整備部が一緒になって相談し決断します。というのも、MELを活用する際には制約が付いて回り、天候による制約や、それぞれの空港での整備能力、機体のやりくり、などパイロットだけでなく組織全体として最善の方法を選ばなくてはいけないのです。整備士の一人が「他とのバランスを考えろ」と言っていたのも、その辺を含めた運航全体のことを考えるよう、言いたかったのではと思います。実際パイロットが異常を見つけた時の流れとしては:パイロットが飛行機に到着、機体のチェック開始→異常を発見/異常発生→ディスパッチャーに電話、整備部を会話に繋いでもらう→パイロットから状況報告→みんなでMELや運行状況を照らし合わせて、修理/修理持ち越し/機体の振り替えなどのオプションから最善なものを選びます。また、出発時間や運行に支障がないような小さな異常だったら、パイロットから整備部に直接連絡をすることも結構あります。ちなみに後のシーンで、整備士の一人がもう一人にあと何分で整備が終わるか聞いて、「8分で終わります」と言われた後に「7分でやれ」とせかすような事を言っていましたが、これはあまり現実的ではないと思います。何事も安全が第一の状況で、他人をせかしミスを誘発するような言動は、航空業界ではご法度です。そして整備が終わってすぐ出発するシーンもありましたが、実際には運航時は常にコクピットにあり、機体の運航や整備に関する記録を書き記した航空日誌(ログブック)に記入・サインをしなくてはいけないので、もう少し出発までには時間がかかります。出発が遅れていて機長から「出発に必要な書類が遅れています」などのアナウンスがあった時は、重量計算や乗客数確認の他に、整備士がログブックに記入・サインしてコクピットに持ってくるのを待っている状況である場合もあります。なぜ酸素マスク?!あるシーンで機長がコクピットを出る時、もう一人のパイロットが酸素マスクを着けるシーンがありましたが、これには正直感心しました。会社ごとの運航手順にもよりますが、大抵の会社がある一定の高度以上で飛行していて、パイロットがコクピットで一人になる際、酸素マスクの着用を義務付けています。これは高高度での機内の急減圧などの場合に備えるためです。機体に亀裂などが発生し機内が急激に減圧された場合、意識がしっかり保てる時間は限られてきます。それは大体のジェット旅客機の巡航高度である40,000フィート/12,200mで7~10秒、B787やB777の最大運用高度の43,100フィート/13,100 mではたったの5秒しかありません!その時間以内でパイロットは急減圧を認識し、酸素マスクを正しく着用する必要があります。コクピットにたった1人残ったパイロットが気絶してしまうリスクをできるだけ少なくするために、最初からマスクを着けてしまおう、というスタンスからできたルールです。ちなみに最大運用高度あたりで飛ぶ際は、両方のパイロットにマスク着用を義務付ける会社もあります。この辺はコクピット内での運行規定を知っていないと分からないので、知っている人も少なかったのではないかと思います。ピトー管の重要性飛行機のコクピットの横の側面を見てみると、このような棒が付いているのに気づくかと思われます。これはピトー管と言って、飛行機の速度を測るシステムの一部です。この映画では、バードストライクによりピトー管が破損し、速度計に異常が発生するという設定でした。映画の中でも説明するシーンがありましたが、飛行機は2つの気圧の違いを測ることで速度を算出します。空気の流れに正対して取り付けられたピトー管が動圧、そして側面につけられた穴(静圧孔)→空気の流れの影響を受けない気圧を静圧と言います。同じ高度で飛行している際、静圧には変化がないのですが、スピードが上がるにつれピトー管に入ってくる空気の流れも上がり動圧も上がるので、2つの気圧の違いも大きくなり、その違いが速度計にも反映される仕組みです。ちなみに高度を測るための気圧も静圧孔からとっています。旅客機は大抵複数の速度計が搭載されており、もし一つに不具合が発生しても他の速度計を使うことによって安全に飛行できるようになっています。また、自分が操縦していたB787では気圧差を使う速度計に不具合が生じた場合を想定して、AOA(Angle of Attack/迎え角≂機首上げ度)を利用して速度を割り出すシステムも搭載されています。これは飛行機の設計上、パワー、高度、迎え角など、ある一定の条件で飛行機がどのように反応する(加速・減速・上昇・下降)かはデータからある程度分かっているので、そこから逆算して機首上げ度から速度を導き出す方法です。そして別々のシステム同士が互いのデータを比べ合い、もしこのシーンのように速度計に異常が生じたりした場合は、自動的にAOAスピードに切り替わるようになっています。同じように静圧孔が何らかの理由でふさがったりして高度が測れない場合、GPSによって算出された高度に自動に切り替わります。パイロットは速度計に異常が生じ、スピードが分からなくなった場合に対しても訓練を受けます。先ほどのAOAスピードを算出するのと同じ原理で、ある高度であるパワー、そして迎え角を保つことによって、たとえ速度計がなくても安全なスピードを保つことができます。機長が「機体姿勢とパワーだけ信用しろ」と言ったのも、その二つさえ分かっていれば安全な範囲で十分スピードを維持できるからです。このシーンでの実際の手順としては、速度計に異常が発生→パイロットが速度計を信用できないと認識→緊急時の手順に従い、決められたパワーと機体姿勢=迎え角を維持→チェックリストに従い速度データの切り替え、 となるかと思います。エーカーズ...?羽田空港へ引き返す事になった後、フライトオペレーションの担当者が新しいフライトプランをクルーに送る時、「エーカーズで送ります」と言っていましたが、このエーカーズとは何なんでしょうか?エーカーズは英語のAircraft Communications Addressing and Reporting System、略してACARS=エーカーズと呼ばれています。以前は音声の通信が一般的でしたが、ACARSの誕生以降は無線でデータも送れるようになりました。具体的に送受信されるデータとしては、出発・到着時刻や出発地・目的地,便名,搭載燃料などのデータの他、気象情報やフライトプランの送付,航空機の故障情報など、いろいろな場面で活用されます。地上とのコミュニケーションにも利用され、ディスパッチャーや整備部ともテキストでやりとりできるようになりました。飛行機が受信したデータは、画面に表示できるほか、プリンターで印刷もできます!コクピットにプリンター?!驚くかもしれませんが、大抵の飛行機にはプリンターが搭載されています。映画でも一瞬出てきましたが、家庭や会社で見るような大きなインクジェットプリンターではなく、レジなどでレシートをプリントするような小さいものです。多くの飛行機のプリンターは、お店でもらうレシートより少し幅が広くした紙に印刷されて出てきます。紙の質もレシートみたいなので、きっと印刷の原理もレジと変わらない場合が多いと思います。何をプリントするかというと、先ほど出てきたACARSで交信した内容をプリントして手元に置いておく時や、フライトアテンダントや交代するパイロット宛に地上から送られてきたメッセージをプリントしておく時などに使います。大部分はACARSで受信した天気情報を手元に置いておくために使われている気がします。ちなみにB787のプリンターは、パイロットの手元にある画面に表示できる様々なチャートをプリンターでも印刷できるように、大きめの紙が使われています。タブレットの使用が一般的になった今では、機内でチャートを印刷する人は見たことないですが...グルービングとハイドロプレーニング映画にも2回ほど出てきたふ「グルーブ」という単語。機上からは見にくいかも知れませんが、滑走路には細かい溝がたくさん彫ってあります。これをグルーブ(Grooving)といって、排水の役割をします。資料:ICAO.グルービングの作業中。奥の線が付いている方がグルービングが施された表面。自動車の免許を持っている人は教習所で習ったのを思い出すかもしれませんが、飛行機に限らずタイヤがある乗り物は濡れている路面を高速で走っている時、タイヤと路面の間に薄い水の層ができてしまい、タイヤは路面から浮いたような状態になり、ブレーキの効力が極端に小さくなります。解決策として、タイヤだけでなく滑走路にも排水溝をほることによって、排水能力を高めタイヤと路面との摩擦を大きく=ブレーキの効きを高めています。この映画では、滑走路のグルービングがまだ施されておらず、それによって横風着陸時に横滑りしやすくなるので、普段より横風制限値が下げられていました。よく聞く「ミニマム」の意味!アプローチ中に「アプローチング ミニマム」と「ミニマム」というコールがありましたが、これは実際の運航でもいつも使われている用語です。飛行機は視界が悪く、滑走路が見えていない状況でも、計器を頼りに飛行することによって滑走路に向けてアプローチができます。しかし、そのまま計器だけを見ていながら着陸まではできないので、いつかは計器飛行から滑走路を見ながら飛ぶ有視界飛行に移行しなくてはいけません。その境界線のような物が「ミニマム」のコールで、計器飛行をしながら降下できる最低高度(ミニマム アルティチュード)なのです。この時点で滑走路が見えないようだったら、それ以上(以下?)の降下はできないので、アプローチの中止、そしてゴーアラウンドをしなくてはいけません。ミニマムがコールされた時点で滑走路が見えていれば、「ランディング(着陸)」と答えて有視界飛行に切り替え滑走路を見ながら着陸します。「アプローチング ミニマム」のコールは、ミニマムの30mぐらい高い高度、時間にして数秒前にコールされるもので、「そろそろミニマムだから、アプローチ続行するかやり直すか決断する用意をして」って意味でコールされます。映画のシーンでは、「ミニマム」から「ランディング」のコールまでがちょっと遅いですが、そこはドラマチックにするためとして、細かくは指摘しません(笑旋回中の重力は???これはものすごく細かい所になります。羽田に引き返す事が決まり、飛行機が旋回するシーンがありましたが、その際このような描写がありました↓資料:ハッピーフライト何か違和感ありませんか...?飛行機の旋回時には重力の他に遠心力が掛かります。この2つの力の合計が床方向を向いているので、コップの水は傾かないはずなのです。これは昔、教官時代に撮ったのですが、45°のバンクで旋回している時に生徒さんのたばこの箱をダッシュボードの上においても落ちることなく、その場にいました!人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 2ch セスナ型 ラジコン 33cm の ビッグサイズ パイパー J-3 カブ 電動 飛行機3,480円Amazon(アマゾン)Holy Stone ドローン カメラ付き 小型 収納ケース付き 室内向け バッテリー3個 200g以下 初心者向け リアルタイム 高度維持 2.4GHz マルチコプター モード1/2自由転換可 宙返り 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  • 23Oct
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      CAさんとの恋愛に監査フライト! 航空ドラマを検証! ~GOOD LUCK!!編~

      お久しぶりです!今日は航空ドラマがどれだけリアルなのか、勝手に解説したいと思います!今回取り上げるのは、航空ドラマの王道、「GOOD LUCK!!」 (日本・2003)。平均視聴率は30%以上、全面協力したANAの株価も上昇し、パイロットを志望する人が増えるなどの社会的現象を巻き起こしたドラマです。自分は当時ドラマなどは見ていなかったので、実際にこのドラマを見たのはパイロットになってからでした。もし放送当時に見ていたら、自分の人生にどんな影響を与えたんだろうと考えてしまいます。全体的の感想として、ANAの協力のおかげか操縦に関する描写はとてもリアルです。霧の中での成田へのアプローチ中のパイロット間のコールなどは実際のコクピットそのものです!それでもB767の機体なのにB747のコクピットなど、航空ファンにとっては「おいっ!」と思ってしまうシーンもありますが、映像のストックにも限りがあると思いますしそこはご愛嬌ということで...それでは他に気になった部分も詳しく見ていきましょう!パイロットとタイプレーティングこのドラマに出てくるパイロットたちは、B767やB747をひっかえとっかえ飛ばしていますが、パイロットは基本的に1つの機体タイプしか操縦しません。パイロットは機種ごとの訓練をし審査に合格することによって、機体のタイプレーティングを取得します。タイプレーティング自体はいくつでも持てるのですが、日頃から操縦するタイプは1つに限られて来ます。これは、複数の機体タイプの操縦がこんがらがってしまわないようにするための安全対策で、たとえすでにタイプレーティングをもっている別の機体タイプへ移る時も、機種別の訓練が必要になってきます。なので、B767を操縦しているパイロットが、次のフライトでB747を操縦することはないです。例外的にB757とB767など、非常に似ている機体を運行する会社では、両タイプの訓練を受けて、両タイプとも飛ばしているパイロットもいます。うちの会社でも、B777とB787の両タイプを同時に飛ばせるように、運航マニュアルを変えようとしているという噂も聞いたこともありますが、訓練や国からの許可など色々とハードルもあり、本当の話かは分かりません。ちなみに、同じ機体でも派生型が違うと別のタイプレーティングになってしまうこともあります(世代別のB737など)。パイロットと監査「GOOD LUCK!!」では、非常に厳しい監査官とパイロットのドラマも描かれていましたが、これはあまり現実的ではないと思います。ハードランディングを見られて、すぐに監査室に呼び出されることもありません。というのも、航空業界は「人間はミスをする」ことを前提に考え、「どうやってミスの数を減らすのか」という事を重視します。そこから生み出される運航マニュアルに従うことによって、航空業界は安全な運航を目指します。「運航マニュアルに従って行動していれば安全に運航できる」というのが航空会社のスタンスで、それに従っている範囲で起こった事故、インシデントであれば、会社は従業員を責めるのではなく、ミスを防げなかったマニュアルを改善することを最優先します。なので、多くの会社が「どんなミスでも報告すれば許してもらえる」というルールと義務的な報告システムを取り入れて、どんなに小さい事でも従業員自らから進んで報告し、そのミスが再発しないように運航マニュアルを改善することに注力しています。確かに一昔前はミスした人間を責め、責任を擦り付けていた時もあったようですが、それは現代の業界では時代遅れな発想だと思われます。というのも、ミスをして正直に報告してきた従業員を次々と罰していては、報告すること自体を思いとどまらせてしまい、安全につなげるチャンスを逃すことになるからです。これは、なにも航空業界に限ったことではなく、他の業界にも当てはまることかもしれませんね。なんでもかんでもミスを責めてばかりでなく、そこから学び、組織としてより良くなろうとする姿勢が大事ですよね。ハードランディングのケースで現実的な流れとしては:ハードランディング発生→センサーによって感知され自動的に、または整備士から会社に報告(機種にもよります)→パイロットも自ら何が起き、どうして起き、どうしたら回避/改善できるか報告→会社の安全委員会が危険度、再発する可能性などの観点から調査→よっぽどのことでない限りパイロットに連絡が行くことはなし。逆にここでパイロットからの報告がないと、安全委員会から電話がかかってきて「〇月〇日のフライトで変わったことはなかったですか?」などと質問されるようです。特に最近の飛行機では、この時点で安全委員会は飛行機のデータから何が起きたかほとんど知っているので、知ったかぶりをしてもダメです。もっと重大なケースで報告義務を怠った場合は、雇用にも関わるほどの重大な違反として扱われる場合もあります。そしてドラマにも何回か出てきた監査フライト。パイロットは新しい機種へ移行した時、そして基本的に1年に一回の監査フライトに合格する必要があります。監査フライトの様子は国、そして社風にもよっても違ってくると思いますが、ドラマのようにパイロットを長時間緊張させるような監査フライトは現実的ではありません。というのも、人間は緊張しすぎるとミスをしやすくなるもの。いつでも安全が優先される航空業界には向いていません。緊張が伴う緊急時などの訓練はシミュレーターで行い、監査フライトでは運航マニュアルに従って普段通りのフライトができるかがチェックされます。自分の経験からだと監査官に厳しい人は少なく、質問もいくつかされますが、難しいテストというよりも基本的な部分に関する質問の方が多いです。機長に権限はあるけど偉くはない!皆さんは、なぜコクピットに2人のパイロットがいると思いますか?たしかに飛行機の複雑さと設計的に、2人で操縦した方が良いというのはありますが、やろうと思えばどんなに大型の飛行機でも一人で飛ばせます。そしてシミュレーターの訓練では、実際に一人のパイロットが失神した場合に、もう一人だけで操縦する訓練も行われます。それでは、航空会社はなぜ更にお金と時間を使ってまでパイロットを2人コクピットに乗せるのでしょうか?それは先ほども書いたように、この業界が「人間はミスを犯す」という事を前提に成り立っているのからです。パイロットの仕事は、2人・またはそれ以上のパイロットがお互いをチェックし合い、助け合うことから成り立っており、一人のパイロットがミスを犯した場合でも、もう一人が間違いを指摘することによって、安全な運航に繋がるようにしています。お互いを助け合うという点で、ミスが事故に繋がらないように監視・指摘し合うほかに、お互いの意見を自由に話し合い、いつでも最善の選択肢を選ぶことも複数のパイロットで運航するメリットです。過去に起きた事故の多くが、一人のパイロット単独の致命的な決断によって、多くの命が奪われてしまうような事故につながっています。そしてその多くで、機長の独断を他のパイロットが止められなかったケースが多いのです。一昔前までは、「経験を積んでいる機長の判断は絶対」であり、他のパイロットは機長に従うだけの人員であることがまかり通っていました。しかし現代のコクピットでは、新人のパイロットを含め、すべてのパイロットの判断と発言が尊重され、議論された中で最善の選択肢が選ばれます。それは、機長という立場の人間でさえ「自分も間違いを犯す」ことを受け入れ、「他人の指摘が正しいかもしれない」という気持ちでフライトに臨んでいるからです。そして機長には、新人パイロットにも発言しやすい環境を作り出し、述べられた意見を聞き入れる責任があり、新人パイロットには機長に対しても自分の意見をしっかり伝える責任があります。実際のフライトでは、ここにフライトアテンダント、地上のディスパッチャーや整備、管制官なども加わり、機長は多くの意見を聞き入れて他のパイロットと共に決断していきます。GOOD LUCK!!では、確かに監査フライトで機長への指摘があるシーンもありましたが、まだまだ機長がコクピットでは神のように描かれていて、副操縦士である主人公が納得しないままフライトが進んでいる場面も多々ありました。ここで問題なのは機長の判断に問題があったのではなく、パイロット同士が同じ意思を共有しないままフライトが進んでいる点です。パイロットの間で意識に違いがあると、一瞬の判断をしなければいけない際に二人の考えに違いが出てきて、その結果判断に遅れが生じたり、最悪の場合はミスを誘発、事故につながりかねない事態になります。また、パイロットのフライトアテンダントへの態度も、実際は部下のように扱うのではなく、客室の責任者として尊重して接するのが普通です。何事についても最終的な決定権は機長にあるのですが、客室で起こることに関してはフライトアテンダントの方たちの方がエキスパートなので、客室のことに関してはCAさん達の意見を取り入れるのが普通です。パイロットとフライトアテンダント(CA)ドラマの中で、パイロットはCAさんにちやほやされる存在で、多くのパイロットもCAのことを部下として接するような場面が多く見られたように思えます。また、パイロットとCAの恋愛も描かれていました。これは皆さんも気になる所だと思うのですが、実際はどうなのかというのは国柄や会社によっても変わってくるのかなと思います。というのも、日本やアジア系の航空会社でのCAの平均年齢は非常に若く、30代になる頃には他の仕事へ移っていくことが多いようですが、自分が働いている国と会社では、CAは長期間働く仕事として捉えられていて、定年までCAをする人も非常に多くいます。リージョナルで働いていた時も、若手パイロットが多く、CAさんが一番年上というクルーもよくありました。そして特に国際線はベテランのCAさん達が好んで担当するので、全体的な年齢層も高く既婚者も多いです。逆に離着陸も多くハードなスケジュールが多い国内線は、若い新人のCAさんが担当することも多く、小型機に乗務する若いパイロットにとっては同年代のCAさん達と仕事をする機会も増えますし、ちらほらパイロットとCAが付き合ったなどという話も聞きます。ここ数年で立ち上がったリージョナルだったりすると、パイロットもCAさんも新人が多いので、カップルに発展するケースも多いように見えます。やはり、同年代で仕事をする中で仲良くなり、ステイ中にクルーで食事をする機会もあるので、恋愛に発展しやすい環境ではあるのかなとも思います。積乱雲シーン「積乱雲に突っ込みそうです」はパイロットとして絶対に言いたくない言葉です。というのも積乱雲のエネルギーはかなりのもので、パイロットは一番最初に小型機で訓練を始めたころから積乱雲を避けるように教えられます。それは大型のジェット機でも同じで、飛行前に積乱雲が発生しそうな空域をしっかり確認し、飛行中は気象レーダーやディスパッチャー、管制官からの情報をもとに積乱雲をしっかり避けます。なのでドラマのように、目の前の避けられないような距離に、突然積乱雲が現れることはないです。また、機長が副操縦士に操縦を任せるシーンもありましたが、基本的に1フライト中は一人が操縦係(Pilot Flying:PF)、もうひとりが監視係(Pilot Monitoring:PM)を担当します。それを1フライトごと交互に担当するのが一般的で、最初にどちらが操縦係をやるかの最終決定は機長にあることが多いですが、みんな気軽に「どっちやりたい?」と聞いたり、コイントスや日付の偶数・奇数で決める人もいたりします。なので、トイレのため席を立つ時などを除いてフライトの途中でPFとPMが代わる事は基本的にないです。ちなみにPFとPMがそれぞれ担当する手順もあり、特に突然の非常事態なども考えた時、誰が操縦を担当しているかを全員がいつもしっかり認識していることは非常に重要です。スピードを示す所から下に矢印が出ているシーンがありましたが、これはスピードがどう変化しているかを可視化したもので、このままの状態(パワー/機体姿勢)で10秒後にスピードがどれくらいかを示しています。(GOOD LUCK!! 第7話、TBS)ちなみに240ノット辺りの下から伸びている黄色い線は、Minimum Maneuvering Speed と言って、失速が近づいていることを示します。矢印がその速度を下回っているという事は、パワーを上げるなり機首を下げるなりしてスピードを上げようとしないと、十数秒後には失速の危険があることを示しています。それに気づいた機長は、チラチラと副操縦士を見て「何かしないのかな」という感じですが、これは結構リアルです。ここで機長はスロットルレバーに手をかけますが、PMである機長がPFの仕事であるスロットルレバーを操縦しようとするのは本当はしてはいけない事です。ここで機長がするべきことは、スピードが落ちている事実をPFに伝えることで操縦を促し、もし操縦を譲ってほしいのであれば「I have control」と言って代わるべきでした。その後も、ふたりともどうするか話し合いもせず、行動を宣言→実行を繰り返します。何をするか相手に伝えるのはいいのですが、相手が了解しないで行動に移すのは問題です。その時点でパイロット間にはズレが生じているからです。その後、機長は旋回するのにオートパイロットを外します。しかし実は、巡行中など高度が高い時にオートパイロットを解除するのは危険な行為なのです。というのも高度が高く、空気が薄くなるほど、先ほど出てきた失速するスピードも高くなります。そして、音速近くで飛行する飛行機は、速く飛びすぎると翼の上を通る空気が音速を超えてしまい、それにより生じた衝撃波によって空気の流れが乱れ揚力を失ってしまいます。高度が上がるにつれ、この2つのスピードの制約は徐々に厳しくなり、安全に運航できるスピードの許容範囲も狭まってきます。この小さな速度の許容範囲はパイロット達に「Coffin Corner (棺桶の角)」と呼ばれていて、少しでも速度が変わり、どちらかのスピードの許容範囲を超えてしまうと非常に危険な状態になります。下の図で、上の赤い部分が最高速度、下が失速速度になります。この2つの速度の範囲内で操縦しなくてはいけません。(資料:Perfect Flight,https://www.perfectedflight.com/coffin-corner/)このシーン場合、乱気流の中でもオートパイロットの修正が追い付いているようなので、コンピューターによって非常に繊細な操縦ができる、オートパイロットに操縦を任せるのが安全な方法です。このシーンで機長は旋回をするためにオートパイロットを解除しましたが、旋回ならオートパイロットの方が繊細で正確にできるので、解除する必要性はないと思います。逆にマニュアルで操縦して、少しでも無駄な機首上げ下げをして速度にいらない変化を与えてしまうと非常に危険です。ここで機長は操縦桿も握って操縦しているので、副操縦士も誰がPFなのか困惑している場面が出てきますね。これじゃ監査で落とされても仕方ないです。積乱雲を抜けて副操縦士に「気を付けないとね」なんて言っていますが、自分もレーダーなどの監視を怠った一人なので、他人を注意できる立場じゃないですよね。ちなみに帰りのフライトの時に自分の間違いについて話していますが、まったっくその通りだと思いました。その辺はドラマでもしっかりと正論が述べられていて、よくできていると感動しました!パイロットとお酒最近いろいろと聞くようになったパイロットと飲酒。安全を守る責任があるパイロットとして、飲酒操縦はパイロット生命に関わる重大な違反です。ドラマの中では、ユニフォームのままでバーなどでお酒を飲むシーンがありましたが、会社にとってもマイナスなイメージがついてしまうので、たとえフライト前でなくてもユニフォームのままでお酒を飲むのはご法度です。帰宅途中にコンビニに寄ってお酒を買って帰るのも、ユニフォームの上にコートを着るなど注意します!いかがでしたか?4つぐらいのドラマについて書こうと思ったら、GOOD LUCK!!だけでどんどん細かい所まで書いてしまって長くなってしまいました。なのでシリーズ化して、次は映画のハッピーフライトについて書こうと思っています!人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 2ch セスナ型 ラジコン 33cm の ビッグサイズ パイパー J-3 カブ 電動 飛行機3,480円Amazon(アマゾン)Holy Stone ドローン カメラ付き 小型 収納ケース付き 室内向け バッテリー3個 200g以下 初心者向け リアルタイム 高度維持 ワンキーリターン 2.4GHz マルチコプター モード1/2自由転換可 宙返り 国内認証済み HS210Pro4,965〜6,999円楽天市場JAL機長たちが教えるコックピット雑学 飛行機とパイロットの仕事がよくわかる/日本航空【合計3000円以上で送料無料】1,320円楽天市場仕事も人間関係もうまくいくANAの気づかい/ANAビジネスソリューション【1000円以上送料無料】1,540円

  • 02Oct
    • 787のコクピットを写真で解説!の画像

      787のコクピットを写真で解説!

      B787のコクピットの簡単な解説を、ちょっと面白半分で作ってみました。こちらは更に航空用語を無くしてみました。ボタンが多いようにも見えますが、ほとんどが「AUTO(自動)」ポジションで、勝手にONになったりOFFになるので、実際に操作するスイッチは結構少ないです。コクピットイズム No.12 (イカロス・ムック)Amazon(アマゾン)3,127〜27,477円

  • 24Sep
    • ちょっとお知らせです

      前の記事で少し書いたのですが、残念ながら9月1日付で一時解雇となってしまいました。COVID19のおかげで飛行機の利用率が前年比で95%落ちてしまった以上、仕方のないことだと思っています。カナダでは、COVID19によって売り上げが一定程度落ちた企業に対して、政府が雇用を守るために従業員の給料を最大75%カバーする対策もしていたのですが、それでもうちの会社は従業員の健康保険などのコストがかかることを理由に解雇に踏み切ったみたいです。逆に他の会社では、飛ぶ機会もないまま家で給料だけもらっている人もいます。北米の多くの航空会社ではセニオリティー(年功)がすべてで、一年半前に入社した自分は、4200人ぐらいいたパイロットの内の下から500ぐらいだったので、9月までもちました。春ぐらいから解雇の話は出ていたので、逆にここまで飛べていたことに驚いています。それでもパイロットはまだいい方で、フライトアテンダントは23年勤めていた人まで解雇になるなど、大幅な削減を見ました。自分の会社では定期的にベースと機種ごとにパイロットが何人必要になるかのレポートを出し、それを基にパイロットたちは自分のセニオリティーでとれるポジションに就きます。大型機や人気の都市/ベースで働くには、それなりのセニオリティー、つまり長年この会社で働いている必要があります。去年の最後のレポートによると、800人程度パイロットを雇わなくてはやっていけないほどのパイロット不足だったのが、最新のレポートによるとCOVID19前の数から一気に800人もいらなくなるほど運航数が激減してしまいました。しかもこの数、2年後の夏の需要を見込んでのパイロットの数なので、2・3年は会社に戻れないかもしれないという事になります。それほど、COVID19が航空業界に与えた影響は大きいものでした。航空業界は、10年に一度は解雇の波が来ると言われているので、第2のプランを持っておく大切さも思い知らされました。強がりに聞こえるかもしれませんが、自分は今まで航空関連ばかりの仕事をしてきたので、今回は逆に今までやってみたかった事にチャレンジする良い機会と思っていたりします。将来的な夢の役に立つような仕事だったり、普段から使えるようなスキルが身に着くような所で働けたらと思いながら職探しに励んでいます。欧州では感染の第二波も広がり、再度のロックダウンの話も出てきています。世界の航空会社では、パイロットを含め多くの人が職を失ってしまいました。日本では、まだ大規模なパイロットの解雇にはなってないようですが、ユナイテッド航空がフライトアテンダントの成田ベースを閉鎖する事にもなり、日本の客室乗務員も失職の恐れがあるなど、航空業界での更なる解雇も否定できない状況かもしれません。航空業界には依然厳しい状態ですが、前のように安心して飛べるように、一刻も早くコロナが収まってくれることを願っています。

  • 20Sep
    • 「マスクをしない権利」って?

      先日、乗客のひとりがマスクを着けることを拒否した事を発端に、新潟空港へダイバートした事について書いたのですが、とても多くのご意見を頂きました。このような、センシティブなトピックについて書くのはホントはとても気が引けるのですが、せっかくコメントで意見をシェアして頂いた方たちへ、自分もしっかり自分の立場をシェアする必要があると思い、書かせていただきました。頂いた意見の中には、「そもそも感染のリスクは低いのだから」や「マスク着用は要請であって義務ではない」などがあり、ピーチ側の対応を問題視する意見もありました。今日は、その中でも「マスクをしない権利」について、自分の思うことを書きたいと思います。現在、日本でマスクが義務ではないのは義務化/法律化しなくても、もともとマスク着用率が高く、感染拡大もそれなりに防げている現状があるからだと思います。多くの国ではマスクをする習慣がなく、義務化するしかマスクの着用を普及できませんでした。感染拡大への対策にもたくさんあります。そして感染の拡大にも段階があり、それによりどれくらいの対策が必要か判断する必要があります。日本でも感染が広がった時は、外出/営業の自粛要請、つまりロックダウンをすることによって人と人とのコンタクトを少なくし感染拡大を防ぎました。感染がもっとひどかったイタリアなどでは、外出の自粛要請に留まらず、外出規制にまで至りました。感染の拡大を防げていて、世界から称賛されている韓国では、海外から入国する人に政府が配布している接触確認アプリのダウンロードを強制するなど、コンタクト・トレーシングと検査を徹底的にやっています。もし日本でも、マスクの自主的な着用率が低くなり、感染がさらに拡大するような状態になれば、現在の要請より強制力の強い対策が必然的に必要になっきてしまいます。再度のロックダウン、そして公共スペースでのマスクの着用などが義務化されるでしょう。実際にそこまでの対策を取っている国は沢山あります。そして、もしこのウイルスの感染力が更に強く、マスクや3密を回避するだけで感染を防げないようだったら、それなりの対策が必要になってきます。だた、このコロナウイルスは現在政府が発表している対策で感染がなんとか防げていて、ウイルスの性質によってその線引きも変わってくるのは当然のことです。すべては、日本での感染の現状と、日本政府の現在の感染対策に対して国民の大多数が許容し、従う事ができる状態が今なわけで、また感染が広がれば国民の方からもっと踏み込んだ感染対策を要望してくるようになり、感染者がもっと少なくなれば、以前、非常事態宣言の解除の際のように対策をリラックスするよう議論されるのです。ただ、このコロナウイルスの、症状もあまりない頃から感染性が高いという性質上、感染対策の原点とも言えるマスクの着用の重要さは、人口の60~70%にワクチンが行き渡り、集団免疫が確立できるまで変わらないと思います。そして、その日まで自分はマスクをし続けます。ご存知の通り、ロックダウンと経済の両立が難しい中、誰もが出来る感染拡大対策として有効なのが、マスクを着けること、3密を避けること、手洗いうがいを心掛けることだと思います。マスクについては世界中の医者や科学者たちが、感染拡大に対して効果がある対策だと評価しています。そのマスクや3密の回避に懐疑的なリーダーシップに始まり、そのような意見の国民がまだまだ多いアメリカでは、感染拡大がとても防げている状態ではなく、世界最多の死者も出しています。「その程度のこと」と全国民がコロナウイルスを甘く見て行動していたら、どのようなことになってしまうのでしょう?前の記事でも書きましたが、感染に歯止めがかからなかった日本の4月、そしてイタリアやニューヨークのことを思い出してください。そうならないように、ひとりひとりが感染を広めないような行動をとる必要があります。それがマスクを着ける、できるだけ人との距離を保つという「マナー」なのではないでしょうか。日本では要請による「マナー」で留まっていますが、世界中には「マナー」なだけでは人々が行動せず、「ルール」にして義務化するしかない国も沢山あります。今回の件で、ピーチ側の対応も決して100%正しいとは思いません。前の記事でも書いたように、「要請」を拒否した上で度々マスクの着用を求められた乗客の苛立ちも理解できます。不安から出てきてしまったかもしれない「マスクをしていないので気持ち悪い」という発想も、他人に投げかける言葉ではありません。マスクをしない人に中には、日本の「世の中の風習に従わないと反社会的」とされ排除される傾向に疑問を持っている人がいて、マスクの着用を強要する社会に対して自由と権利を掲げ反発する人もいるのかもしれません。先ほど出てきたアメリカでもマスクを強要されるのに反抗し、「マスクを着けないのは自分の自由だ」と語る人が毎日のようにテレビに出てきます。しかし、今回のコロナ渦の中のマスクは風習や社会の習慣などではなく、単にひとりひとりが拡大を防ごうと行動しているだけです。それに「逆らいたい」という事だけで、感染を広げるリスクを高め、他人の命を脅かすのが許されていいのでしょうか?そして、その自由と権利を理由にマスクを着けないのであれば、3密を回避できない機内であなたを見ていて不安になっているかもしれない人のために、せめてものことをすることが必要なのではないでしょうか?それが今回の乗客の場合、協力的な態度で客室乗務員に接する、指示に従い空いている列に移るなどの行動であって、もしそれができてていたら臨時着陸という事態まで進展することはなかったのではないかと思います。そして、マスクをしない人の中には、このコロナウイルスの存在自体に懐疑的な人、そしてウイルスのリスクを甘く見ている人も多くいるのではないでしょうか。確かに、テレビやニュースで見るだけの物を信じるのは簡単ではないかもしれません。自分は、このコロナウイルスに感染してしまい、辛い闘病生活から回復した方と話す機会がありました。陰性となった後も肺にダメージが残っており、以前のように運動もできないと話していました。ニュースなどでも出てきて問題になっていた、アメリカのビーチでの若者たちのパーティーに行っていた自分の子供から感染したそうです。普段から気を付けて生活していたのに、他人の行動によって感染してしまいました。その子供だって故意に移そうとしたわけではありません。自分が知らずとも感染していて、他人に移してしまう可能性が0%でない以上、そうならないように努力するべきであって、それが今のマスク着用や3密を避けるという行動であり、「マナー」なのではないかと思います。今回のコロナ渦は、航空業界にとってかなりのダメージになっています。別の記事で書くつもりでしたが、自分も一時解雇という立場となりました。仕事を失い生活が懸かっている自分としては、一刻も早くこのコロナウイルスに収まってもらい、前のように夢だったパイロットとして働きたい気持ちでいっぱいです。検査や、韓国でうまくいっているもっと踏み込んだコンタクト・トレーシングもやって、早くコロナが収まって皆さんが飛行機に乗れる日が早く来てくれと願っています。しかし、そういう対策が多くの人にとっては望んでいない事であることも分かっています。なので自分は、政府が国民に要請している感染対策をしっかり実施し、自分がこれ以上感染を広める理由にならないように最大限の努力をするつもりです。

  • 13Sep
    • 乗客のマスク着用拒否で臨時着陸!? パイロットの頭の中では...

      この記事は自分個人の見解で、当事者である方々を代弁するものではありません。このようなケースでパイロットはどのようなことを考えているのだろうと興味を持った方のために、自分の経験から書いています。また、本文でも書きましたが、会社によっても対応が異なることもあります。このコロナ渦の中、先週9月7日に釧路から関空へ向かっているピーチ・アビエーションが運航する飛行機が、新潟空港へ臨時着陸する事件がありました。事の始まりは... ひとりの乗客のマスク着用拒否。ピーチでは、乗客達にマスクの着用を要請してましたが、単なる「お願い」ということでこの乗客は拒否したようです。乗務員は離陸前からマスクの着用を求めていたようですが乗客は応じようとせず、結局周辺の席の乗客を移動させた上で、フライトは約45分遅れで釧路を出発。(この遅延は天候のせいでもあったようです)出発後の機内でも、その乗客は他の乗客と言い争ったりして、客室乗務員にも威圧的な態度を取っていたようです。そして、乗務員は騒ぐのを止めるよう口頭や書面で警告しましたが乗客が従わなかったため、パイロットは新潟空港への臨時着陸へ踏み切ったようです。この事件に対しては、この乗客を非難する声が多い中、航空会社または乗務員を責める声も見受けられます。航空会社を責める意見の中には、「問題の乗客を見せしめのごとく降機させ無駄に燃料費を使うなんて合理的判断が出来ない」だったり、「コロナに過敏反応したバカ企業」などといった意見があるようです。まず言及しておきたいのは、パイロットやフライトアテンダントは、非常に細かいところまで記された「Standard Operating Procedure = SOP (標準作業手続き)」に乗っ取って行動することによって、安全な運航を実現しています。この状況では普通の行動に思われるかもしれない「口頭や書面で警告」も、このSOPに定められた行動であったと思われます。そして、このSOPには大抵の場合、次の行動についても言及されており、乗客が指示/警告に従おうとしなかった今回の場合、パイロットは非常事態宣言、そしてダイバートを含めた対処を考えて行動するように決められていたと思われます。この乗客は「前方の客室乗務員の詰所で話すために行った」と説明している所や、他の乗客たちの証言から、結構機内を歩き回っていた様子がうかがえます。これは乗務員、そしてパイロットにとっては結構緊張を強いる行動で、こういう乗客トラブル時のSOPにも「(ハイジャック防止のため)コクピットのドア付近には絶対に人を近づけない」という事が書かれている場合もあります(会社にもよりますが、自分が働いたすべての大きい会社には書いてありました)。もちろん乗客にとっては「そんなこと知らんこっちゃ」となるかと思いますが、この状況でドア付近の監視カメラに乗客が映ったり、口論するのが聞こえるだけで、パイロットとしてはヒヤリとするのです。自分は決してこの乗客がハイジャックをする可能性があったなどと言っているのではなく、こういう場合の乗務員とパイロットの心理を、自分の経験から書いているだけです。そしてパイロットは今の状況だけでなく、その先の状況を予測して行動することが求められます。パイロットにとっては、短い時間の間にマスク着用の要請に従わない→ 他の乗客とのトラブル → 乗務員に威圧的な態度 → 警告も無視 というように事態はどんどんエスカレートしているようにも映ります。この状況で、更にパイロットはダイバートできる空港は?天気は?燃料は?など、数えきれないほどの情報の整理と決断を迫られます。路線図を見る限り、釧路 - 関空のルート上でピーチが就航している空港は仙台、新潟、羽田/成田で、その中でもルートに近い新潟が選ばれたのではないかと想像します。せめて自社が就航している空港にダイバートすることで、地上係員からの乗客へのサポートもありますし、乗り換え便で大阪へ行くという手段も残るので、最良の選択だったと自分は思います。安全第一の状況で、乗務員や他の乗客ともトラブルになっている乗客を乗せたまま、あと1時間も飛ぶのか?これ以上エスカレートしない保証は?新潟を過ぎたら関空まで他にダイバートできそうな空港もなし... など、いろいろ考えた上での臨時着陸という、乗員乗客の安全と安心を優先した決断だったんだろうと想像します。自分はこのケースは、国のあいまいな「要請」から始まり、航空会社もそれに従う形の「要請」でとどめている現状が事の発端だと思います。そしてそれが実際に現場で働く乗務員、パイロット、そして空港で働く多くの人たちに、判断と責任を投げやりにしているように見えてしまいます。今回のケースもこの乗客の主張通り、マスク着用は単なる「お願い」であり、その上で乗務員から重ねてマスク着用の要請をされて、トラブルに発展したのも想像できます。この乗客の苛立ちも理解できます。自分の働いている会社の場合、国自体が飛行機での旅行/移動中はマスク着用を義務化し、公共設備である空港もマスクの着用を義務付けています。2歳以下の幼児や、身体の都合上マスクを着用できない人(医者からの診断書が必要)以外は全員マスクをしています。自分も実際にマスク着用を拒否しようとした乗客のケースを経験しましたが、ルールが明確なので搭乗する前に解決しました。日本でも、「要請」よりも一歩踏み込んだルール作りが必要なのかなと思います。でないと、今回のようなケースはまだ出てくるでしょう。自分はこの新型コロナウイルスの怖い所は、自覚症状がない状態でも、他人を感染させてしまうリスクがある所だと思います。「要請であって義務ではないのでマスク着ける必要なし」「致死率が低いから大丈夫」「日本での陽性者数は人口の〇〇%以下だから流行してもいない」などと言って少し油断しただけで、あっという間に感染が広まる可能性があります。そして医療機関への負担が大きくなり、医療崩壊のリスクも増える。イタリアやニューヨークの悲惨だった状況を思い出してください。医者たちは毎日、誰の命を救い、誰の命を諦めるかという非情な選択を迫られたのです。今回のケースでも「結局この乗客から感染が広まらなかったのだから」という結果論で、その陰に潜むリスクを軽視して語ることはするべきではないと思います。世界中で多くの医師たちが、マスク着用によって飛沫の拡散をできるだけ少なくし、できる限り互いの距離を保つことによってコロナウイルスの感染リスクを少なくできると言っています。私たちひとりひとりが、もし万が一自分が感染していた時、せめて他人に移すリスクを少なくするためにできることをする。それが社会的に責任のある行動なのではないでしょうか?そしてもう一つ考えてほしいのは、たとえ自分がマスクをせず安心/快適でも、あなたにサービスを提供する乗務員、そして周りに座っている人は、とても不安で心配しているかもしれないという事です。実際に一緒に仕事をしているフライトアテンダントの中には、不安でいっぱいな思いをしながらサービスを提供している人も多くいます。それを気にせず行動するのは、ちょっと無責任なのではないかと自分は思ってしまいます。自分は、自分の感染リスクを抑えるというより、そういう他人への思いやりからマスクを着けることを選びます。皆さんはどう思いますか?こういう議論はコロナウイルスの存在、そしてリスクを考えた上での話なので、このコロナウイルス自体を否定、そして軽視している方は決して賛同できない内容だと思いますが...2020年も終盤に差し掛かっていて、ワクチンの完成も近くなっていると言う報道もちらほら耳にします。早く以前の生活を取り戻せる日が来るのを待っています!

  • 23Aug
    • 現役パイロットも感激!JALの航空教室!の画像

      現役パイロットも感激!JALの航空教室!

      最近、Facebookでフォローさせて頂いているJALのページに、整備士さんによる航空教室の動画が紹介されていました。以前も見かけて、「おもしろいな~」と思いながら見ていたのですが、今回はなんと元整備士の社長も登場!テーマは「エアコン」で、現役パイロットの自分も驚くほど詳しく、それでいて子供にも理解できるよう簡単に説明されていました!そこで、勝手ながらJALさんの動画に追加する感じで、787の豆知識を少しシェアしたいと思います!まずこちらの図。(資料:JAL Youtube)いやー、とても分かりやすい図で感激しています!(笑動画では、冷たい空気を作るには、「一回圧縮された空気をエアサイクルマシンで膨張させて冷やす」と説明されていましたが、その他にもよく見ると温かい空気がヒートエクスチェンジャー/熱交換器を通っているのが分かるかと思います。ヒートエクスチェンジャーはエアコンの基本で、温かい空気が通った管の周りを冷たい空気が通ることで、温かかった空気の熱をとります。こうして、高圧なうえ冷まされた空気を再度膨張させることによって、冷たい空気を作っているんですね!ちなみに動画内でも説明がありましたが、787以外の飛行機は圧縮された熱い空気はエンジンから取り出しています。この高圧高熱の空気をブリードエアー(Bleed Air)と言い、飛行機ではエアコンの他にアンティアイス(防氷)システムにも使われます。この高熱の空気をエンジンの前枠や翼など、氷が付きやすい表面付近のダクトに通し熱くすることで、着氷を防いでいるのです!ちなみに787でも、エンジンのアンティアイスシステムはエンジンから取り出したBleed Airを使っていますが、翼は電気マットで熱くして防氷しています。高圧高温なBleed Air = エンジンが生み出したエネルギーなので、取り出すBleed Airの量が少なくてすむほど、エンジンの効率も上がることになります。なので必要とするBleed Airの量が少ない787は、とても効率的に運航できることになります!(資料:JAL Youtube)この場面で見えるキャビン エア コンプレッサー、通称CAC(キャック)の取り入れ口の前に、張り出している板が見えるかと思います。いろいろと書かれている部分ですね。これはディフレクターといって、CACが小石や鳥などの異物を吸い込んでしまわないように、跳ね返してくれます。ディフレクターは地上にいる時、そして高度300m以下でそれぞれ自動に張り出していて、左右のCACを守ります。コクピットから開閉操作はできません!近代の飛行機の特徴として、多くのシステムがパイロットからの入力/操縦を必要とせず、自動で稼働します。ちなみにCACの取り入れ口もエンジンと同じような銀色の前枠が付いています。これも防氷表面で、電気によって温められています。(資料:JAL Youtube)ここで登場するHEPAフィルターは、近代の飛行機には標準的に搭載されているもので、非常に小さな塵やばい菌でもブロックでき、コロナウイルス対策でも効果的と言われています!今日はミュンヘン便を担当します!ミュンヘンは787に乗務して初めて行ったところで、初めての監査フライトもミュンヘンだったので、とても思い入れのある場所です。前はクルーみんなでビールやシュニッツェルを食べに出たのですが、今回はウイルスの影響でできなそうです... それでも3日間いるので、早朝のランニングで少しは探索できたらと思ってます!

  • 08Aug
    • 夏休みの楽しみに!フライング・ホヌのペーパークラフト!の画像

      夏休みの楽しみに!フライング・ホヌのペーパークラフト!

      新型コロナウイルスの感染者数がまた増えて来て、夏休みも自粛を余儀なくされる方々も多くいるのでは無いでしょうか...予定を変更して、急に家で過ごすことになった家庭もあるかもしれません...そんな時に、ANAから嬉しい企画があります!なんと、ANAの3機のA380,フライング・ホヌのペーパークラフトの作成キットを無料で公開しています!(ANAサイトから)ANAのサイトへのリンクはこちら!https://www.ana.co.jp/ja/jp/domestic/promotions/paper_airplane/a380/夏休み中に、お子様とできるプロジェクトにはピッタリですね!

  • 26Jul
    • ようやく行けた!

      先月から行きたかったところがあります。それが歯医者!半年に一回のチェックとクリーニングの時期なのですが、予約しようとしたら...「2週間以内に海外に行かれた方からの予約はお断りしています」とのこと。仕事で海外ばかり行っているパイロットには絶望的な制約をかけられました。なのでスタンバイで、なお訓練が組み込まれている今月、思い切って2週間飛ばずに歯医者を優先することにしました。ラッキーなことに、スタンバイでも結構セニオリティーが高い方だったので、フライトに呼ばれてもパスすることもできました。そして2週間の自己隔離後、今日ようやく歯医者に行くことが出来ました!チェックの結果も大丈夫で、何も問題ないとのこと。そして明日からはバンクーバー-成田線のペアリングで一年に一度の監査フライト!成田線は2回目で、とても楽しみです!といっても現地で自由に行動もできないのですが... ホテルにあるコンビニで日本を堪能することになりそうです。このペアリングから帰ってきた翌日には、先日繰り越しになった訓練!こちらも試験になるので、緊張する日が続く週になりそうです

  • 22Jun
    • パイロットに必要な英語力ってどれくらい??

      よくある質問で、「パイロットに必要な英語力ってどれくらい?」 と聞かれることがあります。やはり普段から英語によるコミュニケーションをしているパイロットという職業を考えると、当然英語もペラペラ話せないといけないと思われるかもしれません。「自分は英語が苦手だからパイロットは無理か...」と諦めてしまっている人もいるのではないでしょうか?でも本当に英語ペラペラである必要はあるのでしょうか??今回は、そんなパイロットと英語力について書きたいと思います!目次数字で見る!最低限の英語力はどれくらい??安全を守るための航空英語実際に飛んでいる時に必要な英語力「今のホントに英語?」 地域特有なアクセントに苦戦!英語話さなくてもOK?!できるところ(交信)はCPDLCで!数字で見る!最低限の英語力はどれくらい?まず、ANAやJALの自社養成プログラムには、どれくらいの英語力が必要になるのでしょうか?ANAの採用ページには、「TOEIC700点程度の英語レベル」と書いてあり、JALの方は具体的な数字は書いてないのですが、ANAと同等の英語力が必要になってくると思われます。TOEIC700点とは、英検2級Aぐらいで、英語がある程度できるようになったと言える段階のようです。英語が苦手な人には、少しハードルが高いかもしれませんが、そこまで手の届かない数字ではないと思います!この記事の最後にも自分がどのように英語を勉強したか書きましたが、英語を理由にパイロットへの夢を諦めようと思っている人がいたら、是非とも諦めずに頑張ってもらいたいです!安全を守るための航空英語!皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、この業界には「航空英語」というものが浸透しています。航空業界の拡大と共に、英語が十分なレベルに達していない人たちもこの業界に携わるようになり、コミュニケーション不足や誤解が事故を招くことが懸念されていました。そこで、パイロットだけでなく管制官やグラウンドハンドラーの人たちなどともしっかりコミュニケーションが取れるように、なるべく俗語のない標準的な英語フレーズを使うことにより、誤解を減らし安全運航につながるようにしています。例えば、管制官からパイロットへ離陸許可を出すときは「Cleared For Takeoff Runway 〇〇」、そして着陸許可は「Cleared To Land Runway 〇〇」という感じに、同じようなフレーズもなるべく区別しやすいようにしています。そして、使う単語自体もなるべく統一するようにしています。例えば何かをリクエストする時には「I want Flight Level 360」や「Can I get taxi instructions」ではなく「Request 〇〇」を使うのが一般的です。このような航空英語は、普段運航中によく聞きよく使うので、そこまで英語が得意でなくても慣れるのに時間はかかりません。問題は、日々の運航の中で、どうしても航空英語ではカバーしきれない場面に出くわす場合があった時、どれだけコミュニケーションが取れるかという所です。実際に飛んでいる時に必要な英語力パイロットが普段慣れている英語以上の会話をしなくてはいけなくなったケースが、JALのB787のボストンでの燃料漏れの際のATCとの会話です。↓(資料:Youtube,TRNRVY様)この場面ではまず、JAL機のパイロットが管制官に、システムトラブルの為、滑走路の前で10分待機することを要請するところから始まります。JAL機のパイロットは「Request Holdshort」や「Due to system trouble」、「Affirmative」など、普段の訓練などで慣れている航空英語を使いコミュニケーションしており、管制官にもしっかりと伝わっているのが分かります。管制官がJAL機のリクエストを復唱しているのも、お互いが同じことを話している事を確認するうえで非常に重要で、とてもうまくコミュニケーションが取れているのが分かります。他の機からの連絡で、管制官がJAL機に燃料漏れの事実を伝える際に、すこし早口になりパイロットが聞き取れたかは分かりませんが、交信の最後ではゆっくり、そして簡単な英単語を使い燃料漏れについて伝えています。すこし辛口になると、交信の最初の部分は他の機がどこから見ていたとそこまで意味のない情報や、「To make sure everything is OK」、「a fire engine truck※」など、普段から英語を使っていない人には分かりづらい表現も使っていて、システムトラブルを解決しようと奮闘してすでにストレスレベルが上がっているパイロットにとっては、頭痛の種が増えたようなものです。※Fire Engine Truck はEngineという単語が入っており、他の部分が聞き取れてない場合、その単語を聞いただけで「燃料漏れがもしかしたらエンジンで発生しているのではないか」と勘違いする可能性もあります。消防車にも Fire Engine Truck という種類があり、この消防車のコールサインが「Engine 6」だったことも影響したかと思いますが、簡単に Fire Truck でよかったと思いますし、実際にこの後の更新では Fire Trucks という単語に切り替えてます。その管制官からの通報に、パイロット側もしっかりと確認するように復唱していて見事なコミュニケーションだと思います。そこから管制官とJAL機の交信も、問題なくうまくいくのですが、消防のローガン司令がJAL機と直接話始めるところから、少し状況が変わってきます。まずJAL機に対して呼びかけをして、JAL機がそれに返答したのに対し、次の交信が滑走路の運用状況を聞く交信で終わり、結局誰に対して話しているのか分からない状況になってしまいます。更に「We're gonna」と馴染みのない省略形や、「Clean Harbors」という空港の運用に関わっていないと知らないないであろう業者名(かな?)を使ったり、もうネイティブの人と話している状態になっています。そしてJAL機への交信で「All passengers are all set?」など、ネイティブでないと通じないような言い回しを使ったり、ローガン司令の人が普段から航空英語を使っていないのがよく分かるかと思います。ここの「All set?」は普段、「準備できてる?」などの意味で使われるのですが、このひとつ前の交信で乗客の状態を聞いた際(Is everyone on board ok?)に対するJAL機の返事を理解したか自信がなかったので、違う言い回しで再確認しようとしたんだと思います。しかし、普段から「Set」はスイッチや計器を設定するときに使っているパイロットにとって、「乗客はセットできてる?」はめちゃめちゃな意味であって、パイロットの困惑した様子が交信から受けて取れます。ここでまた素晴らしいと思うのは、JAL機のパイロットは分からないことに適当に返事するのではなく、しっかりと確認する返事をし、コミュニケーションに誤解や混乱が発生しないように努力している点です。自分も経験したことで、分からない時は適当な返事をしてしまいがちですが、しっかりと確認する姿勢は素晴らしいと思います!ここでのポイントは、ここでの管制塔とパイロットとの交信が、パイロットに必要となってくる英語力の良い目安になってくると思います。逆にローガン司令に限ったことでなく、航空業界で無線交信に携わることになるであろう人々には、しっかりと航空英語と、英語がネイティブでない人たちのとの交信にふさわしい英語に関する教育が必要になると思います。動画のコメントを拝見すると、JAL機のパイロットの英語力には賛否両論がありましたが、自分はパイロットを称賛します! 機体トラブル、しかも燃料が関係してくる重大な場面でストレスのレベルも高い状態で、しっかりと交信、復唱、確認しており、重要な交信に対しては全然問題点は見られないと思います。「今のホントに英語?」 地域特有なアクセントに苦戦!自分の会社では、離陸、アプローチ前にリスクになりえることについてクルーで話し合うことになっています。北米以外へ飛ぶ時、ほぼ毎回話し合われるのがコミュニケーションについてで、特にアクセントによる誤解、混乱を避けるための対策について話し合います。というのも、いくら英語の文法があっていても、アクセントが強すぎて分からないことが多々あるからです。こればかりは慣れが必要になってきて、クルーの過去からの経験によってもコミュニケーション能力に差が出てきます。自分は日本での英語の発音に慣れているので、アジアへの便に乗務する時は比較的管制官の英語を理解できるのですが、逆にヨーロッパ圏のアクセントはまだ聞き取りにくいと感じます。更に、地域によっては無線環境に差が出てきます。例えばブラジルのアマゾン上空は、無線環境が悪いことで知られていて、「まるで水中から話しているよう」とよく揶揄されます。このようなアクセントや無線環境への対策として活躍するのがCPDLCと呼ばれるシステムです!英語話さなくてもOK?!できるところ(交信)はCPDLCで!航空で使われる無線にはVHF(超短波)が一般的なのですが、間に障害物や、お互いが離れすぎて地平線の陰に隠れたりすると電波が届かなくなるという欠点があります。なので、今まで大西洋上など遠距離での交信には、丸い地球の表面をなぞるように進む性質のあるHF(短波)が利用されていました。しかしHFは音質がひどく、相手が何を言っているのか全く分からないことも多々あります。それを解決するために登場したのがCPDLCです!CPDLCとは Controller - Pilot Data Link Communications の略で、その名の通りデータ通信で管制官とパイロットをつなぐシステムです。CPDLCはVHFのほかに衛星通信も利用してデータをやり取りするので、大西洋上や地上無線施設がない場所でも利用できます!画期的なのが、運航に必要な指示/リクエスト/許可などは標準化された形式のテキストで通信され、大抵の場合はテストなどで見る「空欄を埋める」や多肢選択タイプでメッセージが作成されます。例えば、パイロットが積乱雲を避けるために進路変更したい場合、そのカテゴリーであらかじめ用意されているテンプレートの空欄や選択タイプの質問に、「進路を何度」「右/左」「何マイルまで」「進路変更の理由」などを当てはめて管制官へ送信します。オプションで自由にテキストを入力し一緒に送ることもできます。進路変更のリクエストを受け取った管制官は、単純に「許可」または「拒否」できたり、もっと詳しい指示(例:右30度/予定のコースから50マイルまで/可能になり次第〇〇へ飛行、など)を返信できます。あらかじめ形式化されているテンプレートなので、パイロットにも管制官にも分かりやすく、音声での交信をしなくてもよいのでアクセントや音質に苦労することもありません!更に、もっと簡単な高度の変更や、ルート変更の場合、パイロット側が届いた許可を「了解」すると、飛行機が自動で新しい高度やルートをオートパイロットに入力し、パイロットの負担削減と同時に入力ミスも少なくできます。あとはパイロットはボタン一つで簡単に高度変更が可能になります。←もちろん飛行機にもよりますが...ただし、音声での交信に比べてひとつひとつに時間がかかるので、操縦や交信が忙しくなるアプローチなどでは利用されません。また、CPDLCもVHFや衛星通信を利用してデータを送り合うので、北極ルートなど地域によっては通信具合が悪く利用できないこともあります。その上、国や地域によってはCPDLCを利用していない所もあり、その場合は音声による交信に頼ることになります。先ほど出てきたブラジルでも今の所は利用できず、質の悪い音声での交信をするたびに「早く導入してくれ~」とみんなでボヤいてますおしまいに最後にはなりましたが正直な話、実は自分も英語は得意ではありませんでした(汗 というか、苦手でした。そこで「日本で毎週数時間の英語の授業だけじゃダメだ」と思い、高校から海外の国際学校へ留学させてもらいました。はじめは言葉が通じないことと、文化の違いから来るすれ違いのダブルパンチで、正直つらい事の方が多かったです。それでも、「英語を上達してパイロットになる」という気持ちのおかげで頑張り続け、年を重ねるごとに話せるようになりました。なので、皆さんの中にも英語が苦手でパイロットの夢を諦めようとしている人がいたら、ぜひ諦めずに挑戦し続けてほしいです!

  • 10Jun
    • 渡航制限中に強制バケーション!? 航空業界のブラックな部分!

      COVID-19づくめの2020年も、半年が過ぎました。日本ではロックダウンが解除された後も、新規感染者数も2桁台で落ち着いている感じで、とりあえず安心しています。これも皆さんの頑張りのおかげですね!こちらのカナダでは、4月下旬から5月の初めのピーク時で1日2000人ぐらいで、5月3日には2700人以上の新規感染者数が報告されました。6月9日現在ではだいぶ減ってきていますが、それでもまだ1日500人以上の感染が報告されます。航空業界へのダメージは深刻で、自分もそろそろ一時解雇の通知が来てしまうのではないかと心配しながら過ごしています(汗そんな中、6月のスケジュールを見てみると... 6月の第2週にはバケーションが迫っていました!「なんでこんな時期に休暇なんて取んの!?」なんて言われるかもしれませんが、これには航空業界のちょっとブラックな部分が関わってきます。実は多くの航空会社は、フライトクルーの有給休暇は前の年のうちに決めさせます。どういうことかというと、パイロットとフライトアテンダントは年に一度、盛大な有給休暇取り合い大会(仮)に参加させられ、次の年の休暇をいつ取りたいか「Bid(入札)」しなくてはいけません。名前を大げさに書きましたが簡単に書くと、次の年の休暇を時期を、他のクルーと取り合うのです!ここでも重要になってくるのがSeniority/セニオリティー、つまり年功です!自分の会社では毎年2~3月に、その年の5月から翌年4月までの休暇の時期を決めるBidを行います。そしてBidは3巡ほどに分けられていて、どの回も年功順で先輩のクルーが最初に休暇の時期を選べます。1巡目で先輩のクルー達によって、北米では特に大切なクリスマス、そして夏休みの時期はすべて取られ、後輩のクルーはそれでもちょっといい時期な12月中旬、そして夏休み前後を取ることが多いです。2・3巡目も先輩のクルーによって、他のいい時期を取りつくされた後輩クルー達は、逆に旅行客で忙しくなる春休みぐらいや、特にイベントがない2・3月や秋の休暇を取ることになります。この業界の人は、旅行する時は必ずと言っていいほど格安なスタンバイチケット、つまり空席待ちのチケットで旅をするので、春休みなど空席が少ない時期はかなりストレスが溜まる旅行になってしまいます。自分も貴重な1巡目のBidを使ってゲットした6月の休暇を利用し、どっぷり旅行するはずだったのですが... 渡航規制でどこも行けず!しかも勤務以外で海外に出て帰ってくると、2週間自己隔離しなければいけないので、休暇後の勤務に支障が出てしまいます。この6月の休暇をBidしたのが今年の2月... まさかここまでウィルスが広まるとは思ってもいませんでした。ということで、今年のメイン休暇はどこも行かず過ごすことになりそうです!残りの休暇は来年の1月と3月なので、それまでに渡航規制がどこまで緩和されているか、そしてその頃までこの会社で働いているかは分からないので(汗)、まだ予定も立てていません。ちなみに決まっていた休暇を取らず、その分の給料を上乗せできる「買戻し制度」もあるのですが、それも会社から提供されず。休暇の時期をずらせるか聞いてみても無理っぽいとのこと。みんな同じ状況で、おとなしく家の手入れなどで時間をつぶしているようなので、自分もいさぎよくこの休暇を受け入れようと思います。ちなみにこの1年も前から休暇の時期を決めなくてはいけないのってどうなんでしょう!?しかも月ごとのスケジュールは、前の月の終わりにならないと決まらず予定も立てにくい!そこのところの、毎年の休暇と月ごとの差を揶揄する人もたくさんいます。自分も昔は「これってブラックなんじゃ...」と疑問を抱いていましたが、今では仕方ないと受け入れることにしています...ちなみに他の業界の友人によると、休みの長さと時期にもよりますが有給休暇の申請は数か月から数週間前でもOKらしい...皆さんの場合はどうですか??気になるのでコメント欄で教えてください!

  • 24May
    • 感染拡大の第2波!? 実際に見てきた韓国の状況!の画像

      感染拡大の第2波!? 実際に見てきた韓国の状況!

      自粛生活、お疲れ様です。先週、韓国へのフライトを担当しました。韓国は早くからの対応が非常に評価されていて、感染者数もしっかり抑えられていたので、とてもソウル市内の状況が気になっていました。そんな時に割り当てられたフライトだったのですが、フライトの数日前にナイトクラブでクラスター感染が発生して、感染者数も150人ほどに増えてしまい、「これが感染の第2波か?!」と言われている時期の渡韓になりました。今回はそんなソウル市内での様子を簡単に書きたいと思います。フライト前、韓国人の友人からの情報では、ナイトクラブの件も含め、感染者数がまた少し増えてきて、友人のルームメイトも感染した方の濃厚接触者として自宅で隔離を強いられているとのこと。そんなルームメイトを持つ友人も自主的に隔離しているようです。他の友人によると、普段生活する程度なら、依然と変わりないくらいお店も開いているとのことでした。ペアリングの日程は、トロント - 仁川(ソウル)が14時間のフライト、2日間ソウルに滞在後、13時間かけてトロントへ帰るペアリングで、今回もお客さんは乗せない、貨物フライトです。普段、中国、韓国線は最短距離に近い北極ルートを通ることが多いのですが、今回は日本上空を通るルート。北海道上空を通った後、日本海側をなぞるようにして韓国へ行くルートでした。仁川行きのフライトは、何事もなく順調に行きました。ターミナルに入ってすぐに目に入るのが、政府が配布しているコロナ対策用のアプリのインストールを促す看板でした。韓国人と、長期滞在の外国人はアプリをインストールして、隔離のガイドラインにのっとって生活しなくてはいけないようです。午後の出発便。しかも多くがコードシェア便なので、実際は18便のみです!到着エリア。防護服の人が座っているブースは検査かと思ったら、インフォメーションや案内らしいです。さすが空港、最前線って感じ。すごいな...ソウル市内まではシャトルで45分ほど。驚いたことに、市内ではマスクをしていない人もチラチラ見かけます。マスクをしていない人はカップルなど、比較的に若いようにも見えました。運動中や喫煙中の人以外のマスク着用率はほぼ100%に見えた香港と比べて、韓国の方は少しリラックスしている感じがします。ホテルに着いたらその日は寝て終わりました...2日目の朝。朝の4時から目が覚めてしまいました。その日の午後から雨が降る予報だったので、少し明るくなったら朝のうちにジョギングへ行くことに。部屋を出ると、他のクルーも散歩に出る途中でした。やっぱ考えることは一緒ですね(笑ソウル中心の大通りも、朝早いおかげですっからかん。警察官の人達は、さすがにみんなマスクしていました。ソウル市役所。45分くらい走ってホテルへ。後は部屋でじっとしていました。2日間もホテルの狭い部屋で過ごすのは、やはり苦痛です。3日目、夕方に出発の予定でしたが、この日になってニュースが!到着便に不具合があり修理に時間がかかったので、もう1日ステイが延期に...4日目にはすでに家から持って来ていた2日分の食料も切れてしまったので、恐る恐るルームサービスのメニューを見てみると... やっぱりぼったくられてる感が半端ない。ということで今回も予期せず外食することへ。朝の早いうちに、ホテルの裏の飲食街へ。ソウルの友人に聞いた近くの小さな人気店へ。昼には行列もできるらしいです!5人ぐらいのおばちゃんがやっている、いい感じのお店。お昼前だったのでまだ誰もお客さんはいません。「メニューはありますか?」って聞いたら壁を指さされて... 3つだけらしいです。ハングル語を読めるわけでもないので、ヌードルをお願いしたらOK!みたい。海鮮味はカナダではあまりないので久しぶり。おいしく、しかもセルフサービスのライスも付いて、たったの560円!香港に続いて、今回も出てきた甲斐がありました!この時間になると、周りのお店もみんな営業していました。しかし、香港のように体温を測られることもなく、マスクをしていない人も結構見かけます。道が混んでくる前にホテルに帰って昼寝して、夕方の出発に備えます。空港へのシャトル内から撮ったぶれぶれのソウル市内。これで夕方の4時ぐらいです。そこそこ人が出てきているように見えます。帰りのフライトも、東北辺りを横切って帰りました。残念ながら曇りだったので何も見えず...それでも日本の管制官と交信するのは新鮮で、「大変ですが頑張りましょう!」と声を掛けたら「ありがとうございます!」ってお返事もらえました。飛んでいる飛行機が少なく、交信量もあまりない時でないとできない事なので、今の内に楽しんでおきたいと思います(笑今回のソウル滞在で感じたのは:〇香港に比べて、日常での感染対策は比較的にリラックスしている感じ。〇お店も結構開いている様子で、混む時間帯にはたくさんのお客さんが。〇それでもナイトクラブなど、密集してしまう環境ではクラスター感染も。そして、なにより強く感じたのが、他人と生活リズムをずらす事で、人混みを格段に避けられることです。自分はソウルのど真ん中に3日間いたのですが、朝早くから生活することで人混みを避けて生活できました。もちろんそれは、時差ボケで生活リズムがめちゃくちゃだったおかげでもあるのですが...日本でも経済活動が再開されてきて、皆さんも外に出る機会が増えるかもしれませんが、できる限りの範囲で人と時間をずらして生活することで、感染リスクも格段と減らせると感じました。早めに、買い物や外での運動をすましてしまう、そして会社なども時間差出勤などを取り入れて、みんなが人混みを避けられるようにできれば、クラスター感染も抑えられるかもしれませんね。韓国では先のナイトクラブ関係以外ではクラスター感染は発生していないようで、感染者数もまだまだ抑えられている様子です。先の香港の様子も踏まえて感じたのは、しっかりマスクをし、手洗いを頻繁にし、新しい生活様式に慣れれば、絶対に感染は抑えられると思います。緊急事態宣言も解除されてきて、あともう少しって感じですね!みんなで力を合わせて頑張りましょう!

  • 08May
    • 自粛なしで感染者数ゼロ!?香港で見た「新しい生活様式」!

      一週間ほど前、香港への貨物フライトを担当する機会がありました。日程としては、香港まで16時間20分のフライト。そして46時間のステイの後、15時間45分かけて帰ってきました。香港の夜に到着後、シャトルバスでホテルへ。到着すると、受付のお姉さんに注意事項を言い渡されました。〇5人以上では集まらない。〇規制ではないけど、外出の際は必ずマスクを。とのこと。航空会社からも不要な外出を求められている事もあり、ステイの1・2日目は部屋に閉じこもり、持ってきた食べ物でしのいでいたのですが、3日目には食料が切れてルームサービスを頼むことに。しかしクラブサンドイッチだけでチップも込め3500円もする超高値!労働時間も減らされて給料も減って、解雇寸前の新入りパイロットにはちょっと考えさせられる値段...(笑ということで、申し訳ながら、朝の早いうちに食料調達に出ることに。N95マスクと消毒液で出発準備OK...?受付のお姉さんに両替してもらった時に、香港ではその日まで新規感染者数が4日連続でゼロ!という心強いニュースも聞かされ少し安心。外に出るとまだ朝早いおかげで人もあまりいません。道行く人はほぼ全員がマスクを着用しています。マスクをしていないのは、ジョギング中の人か、たばこを吸っている最中の人くらい。しかも、たばこを吸い終わったらきちんとマスクをつけてました。イギリスでよく見るこのサイン。道を渡る際に、どっちから来る車に気を付けるべきか教えてくれます。植民地時代の名残なのかな?15分くらい歩いていい感じの小さな麺屋さんへ。店に入る前に、非接触型の体温計で体温チェック。OKみたいだったので中へ他に誰もいなかったので、店内で食べることに。つけ麺一杯が700円、しかもおいしい!外に出てきた甲斐はありました!食べ終わると高校生くらいの6人が入ってきて、恒例の体温チェック。店主「お前ちょっと体温高いな...」学生「えーマジで」店主「ちょっとエアコンの下で立ってろ!」的な会話に。2分後ぐらいに再度体温チェック → 今度はOK!(って、おいっ!)逃げるように足早で店を出ることに。少し外も人が多くなってきたので急いでホテルへ帰ることに。なるべく人混みのない道を探し選びながら帰ったので、結構時間がかかってしまいました。開いていた薬局ではマスクも売っていました。50枚入りで220香港ドル。日本円にして約3000円です。よく見ると、日本語のマスクの試験報告書も貼ってあります。ちなみにカナダでは、50枚入りで4300円で売ってるところを見たことがあります。円/カナダドルの為替レートのおかげでそこまで悪くないように見えるかもしれませんが、1枚1ドル以上する計算です。信号のある交差点では人混みもできていて、ソーシャルディスタンス(人との間隔)の「ソ」の字もないくらい近距離に大人数が。ホントにこれで自粛中なのか?!と驚くほどの人だかりも!自分もかなり近距離に駒を置いて攻めてくるおばさんと格闘しながらホテルに帰還。ここでももちろん体温チェック!部屋に帰ったら来ていた服はプラスチックの袋に詰めて、携帯など外でも触っていた物も消毒、そして自分もシャワー。ちょっとやりすぎな気もしますが、感染しないため、そして他人を感染させないためには、どっちかと言うとやりすぎた方がいい気がするので。一息ついた後、さっきまで見てきたこと、そして空港からホテルまでのシャトル内から見た状況を考えてみました。〇マスク着用率99%〇市内には結構たくさんの人が。〇お店も結構開いている。〇どこ行っても体温チェック。〇レストランにもそれなりに人が入っている。〇「ソーシャルディスタンスってなに?」ってくらいの人も多。香港に来てみて、正直な感想は...「よくこれで新規感染者数をゼロに抑えられているな」です。カナダでは道を歩いていても、誰かの2m以内に入ると「お前何してんだよ!」って感じの視線を浴びることも多々なので、それとのギャップに正直驚いたところもあります。それと同時に、これくらいゆるくても、感染拡大を抑えられるのかなと、希望のようなものも感じました。もちろんそれは、香港政府の対応が世界でもずば抜けて早かったこと、そして元々の感染者数自体がとても少ないことによる所も大きいと思います。その上ネットで調べてみると、5人以上の集まりは禁止、レストランでもテーブルの間隔の規制、テーブルごとの客の制限など、なかなか厳しい措置もしているようです。それに、今回の2日間だけでは見れなかった所で、みんな感染を広めないように頑張っている結果だと思います。実は最近、この自粛生活にも少し疲れてきたのが正直なところです。外には出れないし、買い物行っても開いていないお店ばかりだし、なにしろ人に会えないのが寂しくなってきました。それでも、「今がんばって感染が抑えられれば、近い将来にこんな生活ができるのかな」と考えてしまうほど、良い意味でみんなリラックスして生活しているように思え、うらやましく思いました。日本でも、厚生省が「新しい生活様式」を発表しました。感染者数がもっと減った後には経済活動も徐々に再開され、外に出る頻度も多くなると思いますが、香港での様子を見る限り、この新しい生活様式もそこまで悪くないんじゃないかなと思います。資料:厚生労働省日本でも、新規感染者数が2桁に下がってきているとのことなので、もうひと頑張りな気がします!はやく、前の生活が取り戻せるように、みんなで頑張りましょう!

  • 19Apr
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      年収3000万円も?!パイロットの年収を大公開!

      <関連記事>パイロットになるは?国内編パイロットになるは?海外編国際線パイロットのスケジュール!パイロットに必要な英語力皆さんはパイロットと聞くと、年収が高い職業かと思われるかもしれません。しかし、実際は会社やランクによってかなりの差があることをご存知でしたか??今日は皆さんも興味があるかもしれない、日本、そして世界のパイロットの年収はどれくらいなのか、詳しく書きたいと思います!前置きが結構長くなるので、収入が気になる方はここをクリックしてスキップ!※ここで書く給料は、実際に自分が経験したりネットで調べた結果の上での数字です。あくまで参考として読んでください。目次基本給だけじゃない!給料の種類!スケジュール決定までの流れ日本のパイロットの給料!海外のパイロットの給料!どちらが大事!? 給料vs生活の質まとめ基本給だけじゃない!給料の種類!パイロットに限ったことではありませんが、給料には基本給以外にも種類があり、最終的な年収にも大きく関わってきます。また、勤続年数や国内線/国際線を担当するかで給料も大きく変わってきます。そこでまずはパイロットが、給料明細で目にする事がある単語を見ていきたいと思います。基本給(時給/月給)パイロットの給料全体の、だいたい7割から8割を占めます。会社にもよりますが、時給は機体がゲートを出発してから、目的地のゲートに着くまでの時間で計算されます。なので、出発前の遅延の場合、パイロットやフライトアテンダントはお金を稼いでいない状態なのです。また、遅れて出発しても飛行時間は変わらないので、ただ労働時間が長くなるだけで、給料増には結びつかない時の方が多いです。一刻も早く出発したいのは、お客さんだけでなく、パイロットやフライトアテンダントも一緒なのです!もちろん安全が第一なので、必要な遅延はしょうがないですね。会社によっては、出勤するだけで最低でも数時間分の給料を払ってくれるシステムがあります。これは、例えば国内線1フライトを担当するような、生産性の低い日でも、元が取れるようにするためです。組合がしっかりしている多くの航空会社が、1日最低4時間から4.5時間の給料を保証してくれます。これはあくまで「最低」なので、4.5時間以上飛べばもちろんそれ以上の勤務時間も時給がもらえます。自分が以前働いていたリージョナルの会社は組合が強く、会社との労働契約も業界ではトップレベルでした。その会社での日給の計算方法が:①最低4.5時間②飛行時間の合計③一日の労働時間の半分そして①②③の中で一番多かった時間の分が日給になりました。そして、この時間のことを「Block(ブロック)」や「Credit(クレジット)」と呼びます。つまり、出勤しただけで最低4.5時間分、合計で5時間フライトしたら5時間分、12時間労働したら6時間分の給料をもらえることになります。フライト時間が短く、空港での待ち時間が多い新入りのリージョナルパイロットには、③が結構当てはまる場合が多く、先輩になり好きなフライトを選べるようになると、飛行時間が長い=少ない労働時間でブロックが稼げるスケジュールを選べます。そして月の終わりに稼いだブロック数×時給が月給として支払われます。また、飛ぶ予定だったフライトがキャンセルになっても、多くの航空会社はそのフライト分の給料は払ってくれます。例えば、羽田⇔福岡の往復を担当するはずだったのが、故障などでキャンセルになったとしましょう。そういう時、会社は代わりにできるフライトがないか探し、新しいフライトを割り当てることもできますが、もしこちらのフライトが短く、飛行時間が少なくなっても、最初の予定していたフライト分は給料を保証してもらえるのです。また、代わりに担当できるフライトが見つからず「帰っていいよ」と言われた場合も、最初の予定していた分のブロックが保証されます。1日の最低保証時間が決まっているように、1月ごとにも最低保証時間が決まっていて、どの会社もだいたい65~80時間(ブロック)ぐらいに収まってくる感じです。また、この数字は月ごと変動する物でもあり、忙しい夏季はフライトの数も増えるので最低保証時間も増えてきます。後でもう少し詳しく書きますが、会社はスケジュールを練るとき、各パイロットがだいたいこの最低保証時間ぐらい働くようにフライトを割り当てるのが基本です。こういう労働契約は各会社で全然違ってくるので、参考までに書いたのですが、このように給料をしっかり保証してくれる会社を選ぶことは、パイロットにとってとても大事になります。知り合いには、労働契約が自分の所ほど良くない会社で働いていて、例えば短い国内1路線の往復するだけの1日だったら、45分フライト×2=1.5時間分しか給料をもらえない日もあります。また、せっかく出勤しても、悪天候で一日の日程がすべてキャンセルになったら、労働時間が0なので、日給も0です。自分の以前の会社だったら、最初のケースだったら最低でも4.5時間分、すべてキャンセルでも元々の分は給料がもらえる計算なので、労働契約、そして組合の大切さが分かるかと思います。日当/パーディアム(Per diem)パイロットの仕事の特徴として、家を離れる日数が多くなるのは必然な事です。その分、交通費や外食などで食事代がかかるので、その分を会社側が日当として出すのが一般的です。金額としては、勤務時間1時間につき270円~350円が相場だと思います。これは、国内線、国際線で違ってきたり、滞在地の物価にも左右される会社もあります。だいたい、一ヶ月で10万ほどになります。そして嬉しい事に、日当なので所得税法上非課税の収入になります!リージョナルの新入りで基本給が少ないパイロットの場合、この非課税の日当が手取りの1/3から1/4ほどになることもあり、とても助かります!家からお弁当を持参し、外食を控えることによって、この日当分を貯蓄や趣味に回す新人パイロットは多いです。オーバータイム他の業界で言う残業に当たるのでしょうか。例えば他のパイロットが病気で飛べなくなった時、その分のペアリングを誰かがカバーしなくてはいけません。時間的余裕がない時は、後でも出てくるスタンバイのクルーが担当するのですが、数日後に始まるペアリングの場合、もっと働いて稼ぎたいパイロットのために、オーバータイムとして余分に働いてもらうこともできます。複数のパイロットが名乗り出た場合は会社によりますが、年功順だったり早い者勝ちだったりします。各社とも、「80ブロック以上働いた分は給料が1.5倍」などという基準を設けていて、それ以上はオーバータイムといって、その分の給料が増えるのが一般的です。また、スタンバイのパイロットも使い果たして、休みのパイロットを呼ばなくてはいけない時は、月の労働時間が80ブロック以下のパイロットも、その日の給料が1.5倍から2倍になるのが普通です。その他・手当・ボーナス会社にもよりますが、国際線手当てが3%ぐらい上乗せされる会社が多い気がします。他に日本では職務手当や深夜勤務手なども出るようです。海外ではあまり習慣になってないですが、日本ではボーナスも出るのはいいですね。たくさん海外からのパイロットを雇っている会社は、住宅手当や教育手当も出してくれます。スケジュール決定までの流れ!毎月のスケジュールが不規則なパイロットの給料は、その月その月のスケジュールとこなすフライトの量で変わってきます。各会社には乗務員のスケジュール部門があり、各月の全体のフライトの数を見ながら最低保証時間が決まります。先ほども書きましたが、大体65から80時間ぐらいの場合が多いです。そのあと、ひとつひとつのペアリングが作られていきます。以前、パイロットのスケジュールを紹介する記事で詳しく書きましたが、ペアリングとは、乗務員が担当することになるフライトがいくつもセットになったスケジュールで、ベースとなる空港から始まりまり、最後にはその空港へ帰ってきます。一日で終わるペアリングもあれば、4日から5日と長くなるペアリングもあります。ペアリングは、先ほど基本給の所でも書いた、一日一日のブロック数が書いてあり、それを足したペアリング自体のブロック数も書いてあります。公開されたペアリングのリストの中から、パイロットやフライトアテンダントは自分の好みに合ったペアリングをリクエストします。1日のペアリングで最低保証時間の4.5時間から良いペアリングは10時間、3日から4日の長めのペアリングだと、18~25時間ぐらいのブロックが稼げ、一か月で最低保証時間ぐらいのブロック分の仕事をすることになります。このひと月の最低保証時間が大事になってくるのが、スタンバイのクルー達です。スタンバイとは、もし病欠などで急にパイロットやフライトアテンダントが必要になった時に、自宅や空港で待機していることを言い、会社によってはみんながスタンバイのスケジュールを分け合ったり、数人のスタンバイ専用のクルーとしていつも待機していて、急なスケジュール変更にも対応できるようにしています。スタンバイのクルーは不測の事態が起きない限り飛ぶことがないので、どうしてもブロック数が稼げません。そのため、会社はスタンバイのクルーも最低保証時間を適応して、きちんと月給がもらえるようにしています。極端な場合、ずっと家で待機していて、一か月で一回も飛ばなくても最低保証時間分は給料がもらえます。日本のパイロットの給料!それではパイロットの給与体系が少し理解できたところで、具体的な数字を見てみましょう!日本では、先ほど紹介した基本給が、基本給+乗務手当(フライトタイムでの時給)に分かれているようですが、基本的な「飛んだ分稼げる」という所は同じでしょう。厚労省の資料による2018年の、賞与なども合わせたパイロットの平均年収は、2217万円でこの平均年齢は43歳、勤続年数は18年でした。(厚労省:賃金構造基本統計調査)ちなみにこの数字は企業規模は1000人以上の会社なので、小さい航空会社は含めていない数字になると思います。それでは、会社ごと見ていきましょう!まずJALとANAの大手二社。副操縦士:訓練生:300-450万一年目:800-1000万10年目:1500-1800万機長:一年目:1500-1700万10年目:2500-2800万数字に数百万の開きがあるのは、会社によっての差もありますし、国際線/国内線などで差も出てきます。やはり一番稼ぐのは、国際線に乗務している機長になってきます。昔は4000万とか稼いでいた時期もあったようですが、最近は3000万稼いでいたら「おいおい、ちょっと働きすぎで体壊さないか」と心配される数字かと思います。次にスカイマークやLCCなどの中堅会社。大体JALとANAの80%の給料が目安になると思います。ただし、短いフライトが多くなるので、その分労働時間も増えることになります。副操縦士:600-1200万機長:1300-2300万LCCなどは海外からも機長を呼び込むために、機長の給料は大手2社にもそこまで引けを取らないと思われます。逆に、会社側として給料削減できるのが副操縦士で、長年副操縦士をやっていても、大手ほどの給料増は見込めないでしょう。最後に、各社のリージョナル。副操縦士:500-1000万機長:1000-1500万リージョナル航空会社は、大手航空会社が費用削減のために作られた会社であることが多いです。本社のパイロットだと、いくら小さな飛行機で短いを路線を飛ばさせても、それなりに給料も払わなくてはいけないので、リージョナル会社を立ち上げて、そこの会社の全体の給料も安めに設定するのです。海外のパイロットの給料!次に海外に目を向けてみましょう!といっても、日本は世界的に見ても平均的な市場と見ていいと思います。でもアメリカは近年になってパイロットの給料がものすごく良くなりました。例えばこちらが、AirlinePilotCentralというサイトに載っている米デルタ航空の時給です。左列が勤続年数で上列が機種となります。資料:AirlinePilotCentralちなみに、パイロットの給料は、時給に0を3つ足した額がだいたいの年収になると言われています。B777の12年目の機長となると、時給は$354!毎月70時間飛ぶとしたら、基本給だけで$297,360、その上に手当などが付いて、年収が先ほどの法則通りのだいたい$35.4万ドル、日本円にして3800万円にもなります!(1$=107円)オーバータイムなどで少し余計に働けば、軽く4000万円に届くことになります。小型機のB737の機長でも、12年目となると時給は$286。年収で3070万近くなります!副操縦士でも、新入りの時は1000万ぐらいですが、12年目以降は小型機でも2000万、大型機では2600万円にもなります!リージョナルは業界が成熟している北米やヨーロッパ、日本などでは初任給がかなり低い所もあります。自分も実際、リージョナルでの一年目は年収300万円ほどでした。税金や保険料などを取られた後の手取りはもっと低かったです!パイロットになるのに1000万円もかかるのに、ようやくリージョナルまでたどり着いてこの金額...ということで、アメリカでは大手と同じように、リージョナルの初任給もに直されて、さらに入社した際に100万円ほどのボーナスを出す会社も出てきました!給料が高くて有名なのが、中東のエミレーツ航空やカタール航空です。2017年の記事では、エミレーツ航空の機長は一か月で米ドル$16,013、年収にすると2070万円ぐらいと書いてあります。何年目かの機長の年収かは分かりませんが、あまり多くないように感じますよね?でもエミレーツ航空が拠点としているUAEは個人所得税がないので、給料が丸ごと銀行に入ってきます!2000万円も稼ぐと、日本では税率が40%、アメリカでも35%も税金として持っていかれるので、高収入なパイロット達には所得税がないのはとても魅力的なのです!副操縦士でも、1500-1600万円ぐらいもらえるみたいです。最近、特に高いお金を払って海外からパイロットを集めているのが中国です。中国では、近年の航空業界の目覚ましい発展によってパイロット不足が深刻で、特に経験豊富な機長が全然足りていません。そこで高額な給料を条件として海外の航空会社から次々とパイロットたちを引き抜いています。自分も以前、CRJの機長に昇格したとたん、中国のエアラインへのお誘いが来ました。あるパイロット転職業者のサイトに出ている宣伝だと、ある中国の航空会社で年収4000万円でA320の機長を探しています。しかもこの金額、会社側が所得税を負担するので、パイロットの手取りが4000万円です。すごいですねー(笑 もう笑うしかないですね。他も航空会社も参考までに書いておきます!給料の範囲が書いてないのは、その年収が1年目なのか10年目後なのか分からないものです。(カッコ内)に詳細が書いてない数字は、手当なども合わせた年収になります。あくまでもだいたいの数字で、細かい手当てや報酬が含まれていない場合もあります。キャセイパシフィック航空(香港)副操縦士:1150万円機長:2500万円ルフトハンザ航空(ドイツ)副操縦士:750-1580万円機長:1500-2630万円エールフランス航空(フランス)副操縦士:840-1400万円(手取り)機長:1200-1850万円(手取り)エティハド航空(UAE)副操縦士:960-1100万円(所得税なし)機長:1300-2100万円(所得税なし)中国南方航空(中国)副操縦士:データなし機長:2320-2800万円(基本給)中国国際航空(中国)副操縦士:データなし機長:2500万円(1年目)厦門航空(中国)副操縦士:データなし機長:2950万円これらの数字はPilotJobsNetworkを参考にしました。他に気になる航空会社があったら、こちらのリンクからサイトにアクセスしてみてください。どちらが大事!? 給料vs生活の質このように世界の航空会社には、破格のお金を払ってパイロットを雇っている会社もあります。しかしその一方で、そういう会社で働いているパイロットたちは、労働時間も長く、家に帰り家族に会う時間も少なくなるなど、生活の質が高くないことがあります。生活の質のことを英語ではQuality Of Life (QOL)といい、パイロットにとってはお金とQOLのバランスをどうとるかが業界共通の課題となっています。例えば中東の会社では給料は良いですが、毎月100時間ものフライトをこなすのが普通です。更に、目的地での休憩を定休日と数えることで、実際に家で家族と過ごせる休日の日数が少ない航空会社もあります。それに比べ北米などの会社は、毎月75時間ほどで、国際線ばかり飛んでいるパイロットになると月の半分は休みなのが当たり前です。そのためか自分の会社にも、中東やアジアの会社の大型機で、長年機長をやっていたパイロットが移ってきます。こちらの航空会社では年功がすべてなので、給料もスケジュールも新入りレベルから始めることになり、副操縦士という立場に逆戻りになりますが、それでも家族の近くに居れることで、QOLは前の航空会社よりも向上することが理由のようです。もう一つ大事なのは、雇用の安定さです。今の中国のように数千万円もの給料を提示してまで、海外から機長を呼び込んでいる会社は、大抵の場合数年契約で海外のパイロットを雇います。例えば、3年毎に会社側がまだ必要なようなら、契約更新を打診される形です。先ほども書いた通り、現在アジア地域、特に中国では経験豊富な機長が不足しているので、海外から雇ったパイロットに頼っています。上記していた航空会社の給料にも、副操縦士の欄がデータなしになっていたのも、それが影響しているのかもしれませんね。しかしその反面で、世界中のフライトスクールを利用して毎年数千人規模で新たなパイロットを育成しています。そうした新しい中国人パイロット達が経験を積み機長職を任されるにつれ、海外からのパイロットも必要なくなります。もうすぐ定年を迎えるパイロットには問題ないかもしれませんが、30代で大金を稼ぎにアジアに渡り、40代で職を失うようなリスクもあります。自分は中国の会社でのお誘いが来たとき、お金よりQOLと雇用の安定さを選び、今の会社に勤めています。現在の給料は、世界で見ても下の方ですが、今の年齢から勤続年数を増やすことによって、将来のQOLを向上させられると考えたからです。皆さんの中にもパイロットになることを夢見ている方がいたら、将来どのような生活をしたいか、お金とQOLのバランスをどうとるかを考えてから、しっかり時間をかけて就職先や訓練先を決めることをお勧めします。まとめ●多くのパイロットはゲートを出発してからしか給料が発生しない。●ブロック数×時給=基本給。その上に様々な手当や日当が上乗せされる。●国際線の方が手当も良。そのうえ、待機時間も少ないため効率的に稼げる。●現在、アメリカ、中東、そして中国系の航空会社が給料高め。中には所得税を払ってくれる会社も!●しかし、お金だけで会社を決めるとQOLが良くない場合も。●お金とQOLのバランスが重要!人気アイテムAmazon(アマゾン)スペースレール(SPACERAIL) 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