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2005.8.9

 郵政民営化法案が8日の参院本会議で大差で否決。首相は直ちに衆院を解散し、総選挙を8月30日公示・9月11日投票に予定しました。与党が解散回避を求め、解散詔書の署名を拒否した閣僚を罷免した末に小泉首相が解散に踏み切っています。自民党の分裂選挙に突入すれば、政権交代の可能性があります。反対票を投じた自民党議員は22人。首相は法案反対者を公認せず、解散・総選挙を郵政民営化に対する国民投票だと位置づけました。
 海外でドルが対ユーロで横ばいで推移。翌日3:15のFOMC米連邦公開市場委員会を控えて様子見ムード。一方、ドル/円は一時111.55円まで下落。9日のFOMCではFRB米連邦準備理事会が昨年6月から10回連続で0.25%の利上げを行い政策金利であるフェデラル・ファンド金利は3.5%に上昇する見通し。会合後に出される声明が一段とタカ派的な内容となるか、原油高を受けてインフレに対する表現に変化があるのかに注目。結果発表は日本時間の10日明け方。
 また、NYMEXニューヨーク商業取引所の原油先物相場は、ガソリンなど石油製品の供給懸念を背景に急伸。米国産標準油種WTI9月当限は、一時1バレル64.00ドルをつけ、3日に記録した62.50ドルの最高値を大きく更新。同日の取引は、前週末終値比1.63ドル高の63.94ドルで終了。終値ベースでも過去最高値となりました。7月末以降、米主要製油所の火災発生などトラブルが相次いだ石油生産施設の一部操業停止を受けて供給懸念が根強い上に、夏場のガソリン需要拡大が重なるとの見方から、7日夜の時間外取引から買われた流れを引き継ぎ、通常取引に入って一気に上値を試す展開。世界最大の産油国サウジアラビアで、米国関連施設へのテロ攻撃予告を受け、リヤドの米大使館が一時閉鎖されるなど、不透明な中東情勢も原油高騰の大きな要因になっています。また、COMEXニューヨーク商品取引所の金塊先物相場は続落し、中心限月12月限は1オンス440.30ドルと、前週末終値(442.80ドル)比2.50ドル安で終了。ドルの弱含み、原油高騰、南アフリカ共和国で複数の労組が無期限ストを開始し、金の供給逼迫懸念が浮上するなど強材料が示されたものの、積極的に買い進む動きはなく、FOMC待ち。一方、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は1万0536ドル93セントと、前週末の終値に比べ、21ドル10セント安で取引を終了。原油価格が上昇したことを受け、エネルギーコスト高が企業収益や個人消費に打撃を与えるとの見方が広がり、金利上昇懸念により米銀行や米建設株が圧迫されています。
 衆院解散総選挙に突入したものの、前日は、郵政民営化法案が予想されていた通り参議院本会議で否決されたことを受けて、事前に売っていた円を買い戻す動きが優勢。日本の政局不安を背景とした円売りはいったん収束し、関心は日本景気の底堅さに移行しています。政治イベントをこなした後の国内株価の反発度合いや、6月機械受注(日本時間14:00)、日銀の8月金融経済月報(15:00)、金融政策決定会合後の福井日銀総裁の発言(15:30)などに注目。
 IMF国際通貨基金は8日「日本の短期的なマクロ経済見通しは年初以降改善しており、小売売上高や企業の設備投資計画、雇用関連など直近の経済指標に明るさも見受けられるものの、その一方で、物価の下落圧力は緩やかながら継続している。金融システムの安定や企業セクターの底堅さ、労働市場の活性化や財政面における構造改革が足元進捗しており、結果として日本経済は、持続的な成長に向けて状況が改善している模様であり、05年GDP国内総生産伸び率は1.8%、CPI消費者物価指数はマイナス0.4%になる。失業率については、04年の4.7%から05年は平均4.4%に低下すると予想される」という7月29日に作成されたIMF報告を示しました。昨年のGDP伸び率(季節調整済み)は2.6%で、CPIは横ばい。一方で、「中期的なリスク要因は、深刻化する高齢化と経済の低成長トレンドであり、財政改革および構造改革を加速する必要がある。改革は困難だと認識しているが、改革により国内経済は強化される。また、対外不均衡を是正しようという諸外国の政策的努力との相乗効果により、世界経済の回復にも貢献するだろう。また、世界経済がより均衡のとれたものになれば、為替相場で無秩序な調整が起きるリスクは減る。日本は04年3月以来、為替介入を実施していないが、為替介入の効果についても意見が分かれている。円高が経済を脅かす水準まで進んだ時は、為替介入が最後の手段だという意見もあったが、日本経済は回復しており、円高に対処できるはずで、為替介入は特別な状況下でのみ実施されるべきだ」としています。一方、日本政府は、2010年代初頭にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させることを目指しており、「始まったばかりの景気回復への悪影響を最小限にとどめるため、赤字は安定的かつ段階的に減らすことが望ましいが、今後実質金利が予想以上に上昇するようなことがあれば、借り入れを安定させるため、より大幅な調整が必要になる可能性もある。また、デフレが明白に克服されれば、インフレの数値目標導入はインフレ期待の安定につながるという意見がある。一方で、金融政策の効果が波及するメカニズムに関して不透明感がある現状では、インフレ目標を公表しても効果には限界があるかも知れないといった見方もある」と、日銀はデフレ克服に注力し続けるべきだとし、現実に物価上昇が始まるまで金融緩和を続けるという日銀の方針を歓迎。また、8月8日に参院本会議で否決された郵政民営化法案も歓迎しています。
 景気の底堅さを背景に米利上げが06年半ばまで継続するとの見通しと、IMFが日本の経済成長率を上昇修正したことなど、日本の景気回復への期待感も強く、ドル買い、円買い両方の材料の板ばさみ状態で現在は揉み合い。

2005.8.8

 米労働省が発表した7月の雇用統計は、米非農業部門の雇用者数が20万7000人増となり、市場予想の18万3000人増を上回る堅調な伸び。失業率は前月と同じ5.0%。3年9カ月ぶり低水準を維持しました。7月の米雇用統計が予想を上回る強い内容だったことを受けて、ドル/円は前週末に112円台を回復。本日8日は、午後1時からの郵政民営化法案の参院本会議採決が最大の注目点です。小泉首相は、否決されれば解散・総選挙に踏み切る意向を示しており、法案が否決される可能性を織り込み、円売り圧力のかかりやすい展開でマーケットは波乱商状。解散・総選挙となると、概算要求基準(シーリング)の閣議了解や各省要求締め切りといった予算編成プロセスが一段と先送りされる懸念が浮上しています。小泉改革の総仕上げになる06年度は、歳出改革路線を堅持・強化する方針ですが、政局次第では、05年度の基準を踏襲した仮シーリングの策定も選択肢となっています。
 円売りが進み、上値を試す動きに弾みがつきそうだとみられていますが、日本の景気回復に対する海外投資家の期待感は強く、9日発表の6月機械受注や12日の4~6月期GDP国内総生産1次速報が、円買い戻しの手掛かりになる可能性もあります。ロイターが民間調査機関を対象に実施した事前調査によると、6月の機械受注(船舶・電力を除く民需)の予測中央値は前月比6.1%増となり、3カ月ぶりに増加する見通し。GDPは前期比プラス0.5%成長が予想されており、前回からは伸びが鈍化するものの、景気の踊り場脱却に向けた動きが確認できそうです。政府は個人消費と輸出、生産の動向を注視しており、足元では輸出などに持ち直しがみられるため、近い将来に踊り場を脱する確率が高まっているようです。また、郵政民営化法案の採決が否決された場合、政局リスクが意識され、短期的な株価動向に影響が出るとの見方ですが、ただ、景況感の改善や割安なバリュエーションが下支えとなり、日経平均株価の下げ幅は限定的になる見通しです。日経が1万2000円台を再び回復するような局面では、景気の踊り場脱却、CPI消費者物価指数の早期プラス転換の思惑が意識されるのではないでしょうか。
 一方、8、9日の日銀決定会合、9日のFOMC米連邦公開市場委員会など、日米金利動向を見逃せず、政局ばかりに目が奪われがちですが、重要イベントが目白押しです。日銀は8・9日の金融政策決定会合で、当座預金残高の誘導目標を30兆円~35兆円程度とする現行の金融政策を維持する見通し。日銀当座預金残高は3営業日連続で下限の30兆円割れとなりましたが、早期に30兆円を回復する見通しがあり、日銀は「一時的」と判断する模様です。IT情報技術調整の進展や雇用や所得の改善などを背景に、日銀は景気踊り場脱却に向けた確信を深めています。福井日銀総裁は2日の衆院財務金融委員会の日銀半期報告質疑で「比較的早く踊り場を脱却しても量的緩和の枠組み修正は厳密な判断と時間が必要」と述べており、量的緩和の解除について慎重な見方です。政局リスクや長期金利の上昇懸念がくすぶるなか、福井総裁は、9日の定例会見では市場を刺激するような発言を慎むのではないでしょうか。FOMCでは、3.25から3.5%へ利上げされると見込まれていますが、最近の米指標の好調さや週末の米雇用統計の伸びなどから、利上げが鈍化する可能性などに注目です。雇用統計を受けた米国債市場では、米利上げ継続の思惑が高まり、米長期金利は4.40%付近に上昇しています。
 共同通信などによると、自民党執行部は7日、郵政法案の反対派の説得を続行したものの調整は難航。郵政民営化法案に反対票を投じる意向を明らかにした自民党参議院は、18票の否決ラインを超える19人、棄権が2人。このほかにも10人前後の議員に反対、棄権の可能性がある模様です。朝方、自民党執行部による週末の反対派説得が難航したと伝えられたことから、郵政民営化法案が否決される可能性が高まったとの見方がで円売りが先行し、ドル/円上昇。ユーロ/円は、前週末海外市場でつけた高値の138.40円を上抜けて、4月下旬以来約3カ月ぶりユーロ高/円安水準を更新。

2005.8.5

 前日海外市場では、欧州圏の景気回復期待や原油価格の上昇による中東マネー流入などが材料となり、ユーロ/ドルが一時1.2403ドルと、主要なチャートポイントを抜けてきたことで、ポジション調整に伴うドル売り戻しとなり、5月31日以来約2カ月ぶりの水準に上昇。ドルはバスケット通貨に対しても、2カ月ぶりの安値に低落しました。また、イングランド銀行(英中央銀行)は、4日の金融政策委員会で、政策金利を4.75%から0.25%引き下げ4.50%とすることを決定。国内経済の急激な落ち込みを受けた措置で市場の予想通りで、利下げに踏み切るのは約2年ぶり。
 米国産標準油種WTI9月当ぎりは前日終値比0.52ドル高の1バレル61.38ドルで終了。供給懸念を背景に一時は62ドル台に乗せました。米石油大手エクソンモービルのイリノイ州の製油所閉鎖が長引く見通しと伝えられるなど、米国内の一部大型製油所がトラブルで操業停止に追い込まれていることが引き続き買い材料視。また、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は1万610ドル10セントと、前日の終値に比べ、87ドル49セント安で取引を終了。
 一部では非農業部門の雇用者増加数が事前予想の18万3000人を上回るとの観測も浮上していますが、特に対ユーロでドルの上値の重さが目立っているだけに、前日海外市場でつけたドル/円の安値110.75円を割り込んでくるようなら、ドル売りがさらに勢い付く可能性もありますが、上振れる可能性もある7月米雇用統計発表前にドル買いには動きづらい状況です。失業率は引き続き01年9月以来となる5.0%、また非農業部門雇用者数は17万人~21万人と予想されています。足元の消費活動が堅調な事から、企業は需要に応える為に更なる労働者を必要としており、そのため労働市場は引続き改善を示していくとみられています。ただ、現在までの一連の指標にみる雇用関連指数はまちまちです。気になるのは先日チャレンジャー社が試算した7月のレイオフ(一時解雇者数)が、6月に引続き分岐点とされる10万人を上回っている事です。また、過去5年の7月非農業部門雇用者数は、4年ともが、予想を大きく下回っていることも注目です。円は、週明けに採決がずれ込む見込みの郵政民営化関連法案の行方も値動きを鈍らせる要因。

2005.8.4

 3日の海外市場はドルが下落。ここ4週間の取引レンジを上抜けたことからユーロが一段高になり、1ユーロ1.2332ドルと2カ月ぶり高値。ドルはスイスフランに対しても、6週間ぶり安値1ドル1.2611スイスフランに低落。ポンドに対しては1ポンド1.7769ドルと3週間ぶりの安値。原油高騰の利益を手にした産油各国が、現在はドルが多い外貨準備をユーロに分散する動きを強めているといううわさがあり、最近のドル安要因になっています。また、独スポーツ用品大手アディダス・サロモンが3日、米リーボック・インターナショナルを総額31億ユーロ(約38億ドル)で買収すると発表したことなどもドル買い支援材料となり、1.2250ドル付近を上限とみてユーロ売り/ドル買いポジションを保有していた多くの参加者が、大口のユーロ買いをきっかけにユーロ/ドルは反対に1.2250ドルを突破し、ユーロ売りポジションの解消が加速しました。米経済成長や明らかにタカ派的になっているFRBといったファンダメンタル要因よりも、テクニカル重視。ユーロは今週に入って1.2250~60ドルの抵抗線を試していましたが、3日になってこの抵抗線を突破したことから、ユーロ買いが膨らんだようです。今年これまでは米金利上昇や比較的強い米経済指標が続く中で着実にドルが上昇してきただけに、現在のドル安がポジション調整とする見方もあります。
 ドルは円に対しては、1ドル111.06円に下落。円は小泉首相が進める郵政民営化法案の行方に注目。参院では5日にも同法案の採決が行われる見通しでしたが、5日から週明けの8日以降にずれこむ公算が高まったことから、市場では法案の成否をにらみ様子見商状。否決された場合は解散総選挙が実施されるとみられています。郵政法案は可決・成立の可能性と否決の可能性が五分五分とも言われており、市場もどっちを織り込むにもいかない状態になっていますが、否決リスクが意識されている分、対円でのドル売りにブレーキがかかっています。
 国会筋によると、参院郵政民営化特別委員会は3日、理事懇談会を開き、4日に同法案の集中審議を実施することを決定。集中審議終了後に理事懇談会を開き、5日の日程を協議する予定ですが、委員会採決が5日の場合、本会議は同日中か週明け8日にずれ込みます。
 ただ、周辺通貨の動きに合わせてドル/円にも下落方向へのバイアスがかかっているようですが、郵政民営化法案の成否を前に下値を試すのは難しいでしょう。ユーロ/ドルは1.2260ドルあたりがサポートとなり戻り高値を試す流れにありますが、強ければドル買いになる可能性もある5日の米雇用統計の発表を控えていることからも、短期的には1.2350ドルあたりが上値となるのではないでしょうか。

2005.8.1

 29日は、7月の最終取引日となり、テクニカル的な動きや資金のシフトがみられたうえ、ストップロス注文やポジション調整などで、値動きの激しい展開。第2・四半期の米GDP国内総生産の速報値が、年率換算で前期比プラス3.4%となり、エコノミスト予想と一致。エコノミストは、最終需要をプラス4.6%、GDPデフレーターをプラス2.5%と予想していました。また、シカゴ地区購買部協会が発表した7月の景気指数は63.5で、市場予想55.5を大幅に上回り、FRB米連邦準備理事会が近いうちに利上げ打ち止めをする公算は小さいことを示す数字となった事などを受けて、ドルが円などに対して小反発するも、FRBがインフレ動向を探るうえで注視しているPCEコア個人消費支出価格指数は1.8%となり、第1・四半期の2.4%(改定値)を下回り、FRBが好ましいとみなしている範囲内になった事から、大幅な利上げに対する期待が後退し、ドルの上値は抑えられています。
 米ミシガン大学が調査した7月の消費者信頼感指数の確報値は96.5で、前月の96.0(確報値)から上昇。エコノミストの予想は96.5。7月の景気現況指数(確報値)は113.5で、前月の113.2(確報値)から上昇。7月の消費者期待指数(確報値)は88.5で、前月の85.0(確報値)から上昇。
 また、CEA米大統領諮問委員会のバーナンキ委員長は、CNBCテレビのインタビューで「大幅に上昇した堅調な米住宅価格は米経済が健全であることを示しており、住宅価格の伸びはある時点で鈍化・安定するかもしれないが、住宅価格が全米規模で下落する可能性は低い」との見解を示しました。
 そして、米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は「グリーンスパンFRB議長による先週の議会証言については非常に満足している。FRBがどこまで利上げするかは経済指標次第であり、景気はもちろん好調だ」との見解。
 加えて、米サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は、米オレゴン州ポートランドでの講演後に「PCEコア個人消費支出価格指数は1.8%で、今年第2・四半期のインフレ率は満足の行く範囲内だった。また、GDP伸び率はトレンドをわずかに上回る。今後はトレンドの水準へ軟化する公算が大きい。FRBの金融引き締めサイクルがいつ終わるかについては確固たる見解を持っていない、フェデラルファンド金利は3.5%が中立水準の絶対的な下限だ」と述べました。FF金利の誘導目標は、現在3.25%。一方、社会保障やメディケア(高齢者向け公的医療保険)などの給付プログラム関連の負担増について、グリーンスパン議長が表明した懸念に同調し「財政赤字は長期的に大変な額に上るだろう。また、現在の5.0%という失業率が示唆する以上に、労働市場が低迷している可能性があると指摘しています。
 他方、第4回6カ国協議で中国が示した共同文書案は、米国と北朝鮮のせめぎあいの中で、協議の「実質的進展」を掲げる中国が議長国としてのメンツをかけてひねり出した折衷案となっているようです。中国は、参加各国の基調演説や2国間接触の結果、各国から出された草案などを取りまとめて文書案を作成し、30日に各国に提示。北朝鮮の核廃棄を前提に参加国が「安全の保証」を与えるという「将来の大きなビジョン」が示されました。しかし、文書案では、北朝鮮の核問題の解決だけでなく、韓国での米国の「核の傘」を含めた「朝鮮半島から核の脅威」を除去することにも触れているとみられ、この点は中国が北朝鮮に配慮。文書案には「人権」「ミサイル」などの日米の主張は明確に盛り込まれず、中国が6カ国協議について、「北朝鮮の核問題を集中して協議する場」という姿勢を鮮明にしています。韓国首席代表の宋旻淳(ソンミンスン)外交通商次官補は31日、記者団に対し、現時点の協議の進行状況を「1週間ほど、国道に沿って都心の入り口までは走ってきたが、都心から目的地まで行くには今までとは違う状況になる。信号もある。距離は遠くないが時間は予測できない」と例えています。

 今週は、8月5日に発表される米雇用統計や、不透明な郵政民営化法案の参議院での採決を巡る政治問題などに向けて日米の金利差拡大に着目したドル買いが続くとの見方もありますが、113円付近からの上値の重く、ドルが伸び悩めば再び調整局面を迎える可能性があります。しかし、1998年以降、毎年8月は米債の大量償還やボーナスに伴う国内投信の円売り一巡、オプションを含めたフロー、輸出企業が下期に向けて売り圧力を強めてくるなどの要因が重なるため、7年続けてドルは毎年8月に下落傾向にあります。特に実需筋の動向は、人民元切り上げ後、急速に円高へ振れた値動きを見た輸出企業が、下期をにらんで売りに出始めている模様。ソニーが28日の第1・四半期(4~6月)決算発表で、今期の前提為替レートを1ドル103円から107円へ変更するなど、企業サイドがドル高/円安を織り込んだ計画に修正してきた直後だけに、高値で売り注文を確定しておこうとする輸出企業が、早めに売り圧力を強めてくる展開も予想されます。
 半面、米国では6月米耐久財新規受注が前月比1.4%の増加と市場予想の1.0%減を大幅に上回り、米国の6月新築1戸建て住宅販売戸数も過去最高を記録するなど、景気の底堅さを示すような指標が相次いでいます。ドルの買い持ちポジションが大きくなっていたため経済指標に対するドル/円の反応は鈍かったものの、前週末にかけてはポジション調整が進んだとの指摘もあり、1日発表の7月ISM米製造業景気指数、5日の7月米雇用統計に向けてドルの底堅さは維持される見通し。7月ISMは54.0(ロイター予測)と前月の53.8から強含むと予想されています。CFTC米商品先物取引委員会が発表したIMM通貨先物取組高報告(7月20日~7月26日)では、円先物のネットショートが減少し、前週の5万9056枚から4万7768枚。21日の人民元の対米ドルペッグ制を廃止、通貨バスケット制導入は、日本製品の輸出競争力を高める可能性があります。また、豪ドルのネットロングは先週の6756枚から1万7343枚に増加。オーストラリアは中国との貿易関係が深いため、円に加え豪ドルも人民元の切り上げにより恩恵を受けるのではないでしょうか。

 参院本会議での採決は早くても8月5日。参院での採決までに同法案の可決が濃厚との情勢が伝われば、政治的な空白を懸念して円を売り込んできた外国人投資家が円の買い戻しに動く可能性があり、反対に否決の可能性が高まれば最高で2円程度ドル高/円安が進むと予想されます。与党は、4日の郵政民営化特別委員会での締めくくり総括質疑と採決、5日参院本会議での採決の方針。野党 は採決の日程協議にまだ応じていません。
 日経平均はザラ場ベースで4月8日以来の1万1900円回復となりましたが、これまでの株価を上昇させた要因のひとつであるのが米国株式市場の堅調な動きで、3日にも7月の米ISM製造業景気指数、4日にECB理事会、5日に7月米雇用統計の発表と、重要な材料が続く事によって、米国株式市場が下振れせず底堅い展開となれば、日本株をサポートし、郵政民営化法案可決の場合は、海外勢の買い戻しをきっかけに1万2000円を突破するのではないでしょうか。引き続き3月期企業の第1・四半期決算に注目3日にトヨタ自動車<7203.T>が予定されており、米株、国内政局のほかでは、原油高も心配されていますが、ここまでの決算発表は予想よりも良いとの見方が多く、企業業績の好調が不安材料をかき消しています。
 一方、長期金利の低位安定が続いてきた円債市場は、ここにきて株高がジリジリと進み、長期金利は1.3%台乗せ。また、CPI消費者物価指数が秋以降、ゼロ%以上になる可能性にも関心が集まり始め、株価の展開次第では、海外勢の売りをきっかけに相場が動くことも予想されます。
 一方、IMF国際通貨基金は米経済に関する年次審査報告で、米経済は今年と来年3.5%の堅調な成長を続けるとした一方で、巨額の財政赤字、住宅価格の急騰、過大評価されているドルに対する懸念を表明。「経済の緩みが改善し、インフレ環境は以前ほど落ち着いていない。価格上昇圧力が増すようなら、利上げのペースを上げる可能性も除外できない。エネルギー価格高と強い内需を受け、FRBが利上げのペースを加速させる必要性がある。欧州その他の経済成長が米国に対して出遅れており、米国の対外赤字の一因となっているが、米国の低い貯蓄率も財政不均衡を悪化させている。また、ドルは、米国の巨額な対外経常赤字が今後も中期的に続くと予想される。ドルは、対外純債務の一段の増加を回避するのに必要な水準より高くなっているため、さらに下落する必要性がある」との見解を示しています。

2005.7.29

 28日の海外市場は、ドルに対して強気の見方が依然あるものの、112円前半にあったドルの買い持ちポジションの解消を誘発するストップロスがついたことや、ユーロが引き続きドルに対する1.1950ドルの支持線をオプション絡みの支持線維持の買いで上回っていることなどのテクニカル要因でドルが軟調になった上に、米10年債利回りが6ベーシスポイント低下して4.20%をつけ、2年債と10年債のスプレッドも約23bpと4年半ぶりの水準まで縮小するなど、米長期債の利回りが低下もあり、今日の米GDP国内総生産発表を控えてポジション調整の動きでドルが主要通貨に対して全面安。米債の利回り曲線のフラット化は、通常ドルにとって中期的には支援材料ですが、短期的には、ユーロ/ドルが1.19~1.20ドルのレンジを割り込まない限りは、レンジ内での値動きの荒い展開を誘発しそうです。また、カナダのトロントで、地下鉄が警察により閉鎖されたという報には影響なし。ドル/円は0.3%安の111.97円と、オーバーナイト高値の112.87円から下落。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は1万0705ドル55セントと、前日の終値に比べ、68ドル46セント高で取引を終了。この米株高の影響と、ソニーの業績悪化から、日本株の動向にも注目。
 また、米ICI投資信託協会によると、7月27日までの1週間の米MMF短期資金投資信託資産は前週比23億7000万ドル減少し、資産残高1兆9170億ドル。個人向けファンドは8082億8000万ドルとなり、前週比で11億5000万ドル減少。一方、法人向けファンドは1兆1090億ドルとなり、前週比12億2000万ドル減少しています。そしてまた、消費者信頼感指数を算出する事で有名な民間調査機関コンファレンスボードが調査・公表した米6月求人広告数は38と前月の37から上昇、事前予想は38、前年同月も38。ただこの指標は新聞を媒体にした求人広告であり、ここ最近はインターネットを媒体とした広告が増えている事から、以前のような注目を集める事はなく、注目度も高くありません。むしろISMやフィラデルフィア地区連銀指数等の構成項目である雇用指数の方が重要度は高くなっています。
 一方、英国北アイルランド自治区のカトリック系過激派IRAアイルランド共和軍は28日に声明を発表「政治手段で目的を達成し、今後は武装闘争を行わない」と宣言しました。北アイルランド紛争は、1960年代以降約30年間に3000人以上の犠牲者を出しています。北アイルランドでは英国からの分離・独立を目指すカトリック系組織と、英国の統治継続を求めるプロテスタント系組織が対立。両者は98年に和平で合意し停戦が実現したもののIRAは武装闘争方針を放棄せず、武装解除に応じませんでした。その為、99年に始まった自治は02年10月に停止。声明を受けブレア首相は「テロに対する政治の勝利だ。英国民、特に統治継続を求めるプロテスタント系組織は状況を理解すべきだ」と和平実現に各勢力の協力を訴えました。また、ロンドン警視庁は28日午前、21日の同時テロ事件に関連し、ロンドン南部トゥーティング地区の2カ所を家宅捜索、反テロ法違反の疑いで計9人を逮捕。逮捕者の中に、テロを実行したとされ、逃走中の容疑者3人は含まれていないとみられています。27日夜には、ウォレンストリート駅近くで爆破を図ったとして、21日の実行犯とみられるヤシン・ハッサン・オマル容疑者(24)を反テロ法違反容疑で逮捕しています。また、米CNNテレビは、米政府筋の話として今月7日に起きたロンドン同時テロの首謀者の可能性があるハルーン・ラシッド・アスワト容疑者がアフリカ中南部のザンビアで拘束されたと報じています。

 依然市場は、中国人民元切り上げによる円高圧力が後退し、今後は日米金利差拡大や日本の郵政民営化法案を巡る政治の不透明感などを背景にドルが再び買い進まれる可能性が高くなってきています。ただ現在は、耐久財受注やベージュブック地区連銀経済報告など強い米経済指標に対する市場の反応が鈍く、ドルは伸び悩み。米国GDPで、ドルが底堅さを増すか見極めたいところです。中国の人民元切り上げについては、今後の米国と中国の政治的駆け引きを背景に再び注目度が高まる時期が来るでしょうが、短期的な影響は一巡しています。今日は月末に当たりますので仲値が不足しドル/円を多少下支え。
 総務省が29日発表した労働力調査によると、6月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント減の4.2%。男性の失業率は前月比0.2ポイント減の4.4%、女性は3.9%で同0.3ポイント低下。完全失業者数は前年同月比29万人減の280万人。また、6月の有効求人倍率は、92年11月以来の高水準の0.96倍。一方、7月の東京都区部消費者物価指数、6月の全国消費者物価指数とも、事前の市場予想に比べて下振れ。日銀が物価見通しに対して強気な見方を示していただけに、円債相場にとってサポート要因。ただし、今後は特殊要因の剥落などで、再びマイナス幅の縮小やゼロ%になることへの警戒感は残りそうです。6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)は、前年比マイナス0.2%となり、5月の同ゼロ%から再びマイナス。原油価格が前年に比べて一度下がる場面があったことに加えて、日並びなどの要因が影響した模様です。他方、野村證券・JMMA発表の7月製造業PMIは、生産高と雇用が増加したことから54.1に上昇。
 経済産業省が発表した6月の鉱工業生産指数速報(2000年=100、季節調整済み)は前月比+1.5%の上昇となり、2カ月ぶりで上昇。ロイター通信の事前予測調査では、前月比1.5%の上昇が見込まれていました。6月の出荷は前月比+2.0%、在庫は同-0.2%。4~6月の生産は前期比-0.4%。製造工業予測指数は、7月が前月比-0.2%、8月が同+1.9%の見通し。鉱工業生産の基調判断は、「総じて見れば生産は横ばい傾向で推移している」と前月の判断を据え置いています。在庫が若干マイナスになったことが評価される可能性があるも、全体的には、これまでの景気に対する見方を変えるものではなく、市場にとっても中立材料。4~6月期は、当初の予定よりマイナスにはなっていますが、これは造船などが特殊要因を背景に落ち込み、やや在庫調整局面入りした影響が出たとみられます。輸出も5月の落ち込みから改善しつつあることは、市場にとってもポジティブ要因。7月、8月の生産予測を基に、7~9月を占うと、9月が8月から横ばいだった場合、生産はプラス1.1%の見込み。ただ、8月は夏休みであることから、9月は反動減が予想され、実際の7~9月の生産はプラス0.4~0.5%くらいの小幅の上昇となり、緩やかな回復過ぎて景気の踊り場からの脱却を確信するものには至らない可能性が高いです。
 竹中経済財政・郵政民営化担当大臣は「失業率の改善は、企業部門の好調が家計に及ぶシナリオの進展を裏づけるものだ。また、人民元は運用次第、どのように柔軟性があるかは注視していく」と述べています。また、郵政民営化関連法案を審議している参院郵政民営化特別委員会は29日午前の理事会で、8月1日に一般質疑、2日に小泉純一郎首相が出席する総括質疑を行うことを決定。与党側は3日の中央公聴会開催も提案しましたが、中央公聴会が決まると、残る重要日程は、同特別委での締めくくり総括質疑と採決、参院本会議での採決だけになるため野党側は応じず、改めて協議することしています。
 一方、訪米中の町村外相は日本時間28日未明、ニューヨークの国連本部で記者会見し「日本が国連安保理の常任理事国入りを果たせなかった場合、現在約20%を拠出している国連への分担金を減らすべきだとの意見が国内に広がるおそれがある」と、日本やドイツなどG4とアフリカ連合AUの決議案一本化が迷走する中、これに反対する国々を牽制しました。町村外相とライス米国務長官は、日本時間28日夜にワシントンで会談予定。
 第4回6カ国協議は3日目の28日、北京の釣魚台迎賓館で3回目の米朝協議が行われ、合意事項を盛り込んだ共同文書取りまとめに向けた調整が続きました。議長国中国は同日中に文案を各国に示すとみられましたが、提示はなし。米朝間の溝が埋まらず、調整は難航しています。各国代表団の一部が週末に一時帰国するとの見通しも強まり、協議が週明けも続行される可能性が強まっています。そして本日午前も米朝協議が行われる予定。28日に予定されていた首席代表協議は本日29日午後に延期。中国外務省の秦剛・副報道局長は28日、中国は共同文書の草案をまだ各国に提示しておらず、同文書起草について「語るのはまだ早い。29日のうちに6カ国協議が終了する感触はない」と語りました。米首席代表のヒル国務次官補は28日「24時間以内に同文書の草案をまとめる作業が始められることを望む」と期待感を表明しましたが、日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は「十分に煮詰まらないと、そのタイミングに入れない」と慎重な見方。外務省筋は米朝協議について「成果を挙げられる形まで立場が縮まった状況ではない」との認識をしめしています。また、ロシア首席代表のアレクセーエフ外務次官は同日、記者会見し、各国代表団のうち「いくつかは本国との協議のため、帰国するだろう」との見方を示し、自らも「30日に帰国するが、次席代表は北京に残る」と述べました。28日は午前中の米朝協議の後、中国の戴秉国外務次官主催の昼食会が開かれ、午後は各国の2国間協議が行われました。

 本日は、日本時間14:00に、6月建設工事受注統計・6月住宅着工統計(国土交通省)。16:30に、04年度決算概要(財務省)。19:00に、7月実績日銀当座預金増減要因と金融調節(日銀)・外国為替平衡操作の実施状況(財務省)。企業第1四半期決算は12:00JAL、13:00住友商事、ヤマト運輸、13:30三菱商事、三井物産、14:30丸紅15:00大和証券グループ本社、アサヒ飲料全日空、伊藤忠エネクス、NTTドコモ、15:30オリックスなどがあります。海外では日本時間15:00に、独6月小売売上高、15:45に、仏6月失業率、17:30に、英6月マネーサプライM4確報値、18:00に、ユーロ圏7月業況・景況感、ユーロ圏7月消費者物価指数速報値、21:30に、第2四半期米GDP速報値、第2四半期米雇用コスト指数、ロイター通信が実施した調査によるエコノミストGDP伸び率予想は、3.4%。また、22:30には、米7月ミシガン大消費信頼感指数確報値、23:00に、米7月シカゴ購買部協会景気指数などがあり、明けて0:00に、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁が世界経済について講演、3:50には、イエレン米サンフランシスコ地区連銀総裁が米国経済と金融政策について同地区連銀ポートランド支店主催のユタ州ソルトレークシティー昼食会で講演予定。

2005.7.25

 今週の市場は、中国の人民元切り上げを受けた米長期金利上昇、米株下落、ドル売り/円高圧力が、どの程度の余波を残すのかを見極めたいところ。29日発表の米国の4~6月期GDP国内総生産などの米指標を手掛かりにドルが再び底堅さを増していく可能性もあります。また、米債下落が止まらない場合、世界中の市場でリスク回避の動きが広がり、典型的なリスク資産である株が、世界的に売られる展開もあります。一方で、ドル資産離れが一巡し、市場が冷静さを取り戻せば、米株やドルが買い戻されるのではないでしょうか。中国は21日、人民元を対ドルで2.1%切り上げ、同時に通貨バスケット制を導入して、前日終値からの上下0.3%の相場変動を可能にしています。中国人民銀行の周小川・総裁は23日、国営テレビに対し、21日発表した人民元切り上げは「最初」のステップであり、為替制度改革で段階的なアプローチを採用していく方針。為替政策の変更を受け、21日の市場ではアジア通貨高が進み、ドル/円は112円半ばから、6月29日以来のドル安値である109円後半まで急落。切り上げ幅が小幅にとどまったことで、追加の切り上げ期待がドル安/円高圧力として残るという考え方もできますが、材料が出尽くした感もあります。前週末には111円前後で国内輸入企業や機関投資家のドル買い/円売りが下支えしました。投機筋のポジション状況は、IMM通貨先物取組高報告(7月13日~7月19日)によると、円の売り持ちポジションは7月12日までの週に記録した6年ぶりの水準からは減少しているものの、ドル/円下落後も依然として高水準に維持されたまま。112円半ばからの上値はポジション調整のドル売りで重くなる可能性も高いです。
 本日は日本時間10:30に1.1%増加予想の豪生産者物価指数、改善予想の6月ドイツ輸入物価指数・米6月中古住宅販売件数などがあり、26日には小幅な改善が予想されるドイツIFO景気動向、米6月消費者信頼感指数。注目は27日ニュージーランドの6月貿易収支で、3億7500万NZDと前回の2500万NZDに比べて増加が予想されています。28日のRBNZキャッシュターゲットでは金利6.75%に据え置きの見通し。27日は横ばい予想の7月ドイツ失業率や5.5%からマイナス0.5%に転じる予想の6月米耐久財受注やベージュブックが比較的注目です。29日はカナダのGDPも出ますが、小幅減少の予想。29日にはマイナス0.29からマイナス0.25へと予想のユーロ圏7月業況判断や鉱工業・消費者・経済などの各種信頼感、ドイツ6月小売売上高、微妙な減少が予想される米第2四半期GDPや個人消費、7月ミシガン大消費者信頼感指数・7月シカゴ購買部協会景気指数などにも注目。他方、23日に関東地方を襲った震度5強の地震は、大きな被害も出ず相場には影響はなしですが、日本時間25日午前0時42分ごろ、インドシナ半島付近を震源とするマグニチュード7.3の強い地震がありました。26日には6カ国協議が開会されますが、北朝鮮核問題が焦点で、拉致問題は無視される懸念があります。
 一方、7月第2回目の開催となる27日の金融政策決定会合で、日銀は当座預金残高目標を30~35兆円程度とする現行政策を維持する見通し。資金不足期を再び迎え、30兆円の下限割れが今回は長期化するとの懸念が金融市場では浮上していますが、日銀は現状維持の見通し。21日に発表された中国人民元切り上げについても、日本経済への影響は限定的との認識をあらためて確認することになりそうです。金融政策決定会合後の福井総裁の会見で、景気の踊り場脱却・早めの景気回復を示唆する発言が出れば、円債やユーロ円金先で売り優勢になる展開もあります。29日には6月失業率・有効求人倍率・6月CPI全国消費者物価指数や6月鉱工業生産など、重要経済指標が発表。6月失業率は4.4%の横ばい予想。6月有効求人倍率も横ばい0.94予想。5月CPIは前年比0.0%でしたが、6月はロイター調査マイナス0.1~0.3%と再びマイナスとなることが予想されています。一方、6月鉱工業生産は、前月比1.5~1.7%の上昇(ロイター調査)が見込まれています。
 そして、1万2000円突破の期待が高まった日経平均は、米株安に連動して、下げる基調が続く可能性があり、サマーラリーの期待感は後退。今週の東京株式市場では、狭いレンジで推移すると想定されています。人民元切り上げはショック安をもたらさなかったことで安心感を市場に与えたものの、海外ではテロ不安、国内では円高・郵政民営化法案参議院審議による政局の不透明感など懸念材料が少なくありません。また、3月期決算の主要企業の第1四半期決算発表がピークを迎え、これを見極めたいとのムードがあることから、相場は神経質となります。元切り上げで1ドル110円台までドル安/円高が進んだものの、期初予想を1ドル105円前提で立てていた企業が多かったことを踏まえれば、元の問題で多少円高に振れたとは言え、企業業績に対する期待感は大きく後退してはいないようです。25日午前の東京株式市場日経平均株価は、前週末の終値と比べ26円65銭高の1万1721円70銭で取引を開始。

2005.7.19午後

 欧州序盤はグリーンスパンFRB議長の議会証言が、米経済の明るい見通しを示す観測と今朝方プール米セントルイス地区連銀総裁が「米経済のファンダメンタルズは強固であり、インフレは抑制されている。市場の金利先高観は妥当な予想」とコメントしたこと受けて、米国債利回りが上昇していることを好感したドル買いが優勢。夕方に入って参入した欧州勢を中心に、対ユーロやスイスフランでドルを買い上げる動き。前日は東京市場が休場で商いに乏しかっただけに、きょうに入って調整一巡感から再びドル買いを買い上げ、ユーロ/ドルも下落し1.20ドル割れ。112円付近からの輸出企業のドル売りを背景に短期的にポジションをドル・ショート/円・ロングにしていた参加者が、ドルを買い戻し。ドル/円は一時112.75円まで上昇。欧州勢の買いに短期筋が追随し、ドル買いを誘発するストップロスを巻き込みつつ、8日につけた高値112.60円を上抜けました。
 一方、中国人民銀行は、金融政策を討議する会議(年2回)終了後、日本時間17:45頃声明を発表。「今年下半期は、安定した金融政策を続ける。中国経済のパフォーマンスは健全であり、為替制度の改革は着実に進める。人民元改革は、中国自身のニーズに基づき、為替相場は基本的に均衡の取れた妥当な水準で安定的に維持する。また、長期ローンの過剰な伸びはコントロールされている」としました。市場の反応は限定的。
 豪ドルは、0.7550米ドルの高値まで上伸後、オプション絡みの売りの観測で、上値を抑えられました。グリーンスパン議長の証言は楽観的な米景気認識が示され、米追加利上げ観測が強まり、米ドルの支援材料になるとみられています。豪債券先物は、グリーンスパン議長が議会証言で米追加利上げの余地を残すとの観測から続落、約1カ月ぶりの安値をつけています。豪ドルは軟調な商品相場にもかかわらず、他通貨に対しては上伸。先週発行された豪ドル建て債への需要が豪ドル上昇の一因。また、イングランド銀行が近く利下げする可能性があるとの観測を背景に、豪ドルは金利格差にも助けられ、対英ポンドで1豪ドル0.43ポンド台に乗せ、1997年10月以来の高値。今後、豪ドルの地合いは注意が必要です。
 日本5月景気先行指数(確報値)36.4%、5月景気一致指数(確報値)60.0%。6月工作機械受注前年比(確報値)は10.8%となっています。6月14・15日の日銀会合議事要旨は、水野委員は「当預残下げないと、短期市場の機能は回復しない」とし、当預25~30兆円を新提案、現状維持に反対。福間委員は「なお書きを修正前の文言に戻すことが適当。巨額の当預は市場機能を妨げ、金融規律低下へ繋がる」とし、当預27~32兆円を引き続き提案、現状維持に反対。水野議案、福間議案ともに8対1で否決し、現在の量的緩和政策の枠組み堅持が重要であるとの認識を委員は共有。委員の多くは、「景気が踊り場にある中で金融調節変更すると緩和後退と誤解されるリスク」、1人の委員は、「慎重な当預減額は将来の選択肢の一つ、景気踊り場では現状継続が適当。オペ期間の短期化を進めるべき」という認識を示しています。日経平均株価終値は6円16銭高の1万1764円84銭で取引終了。
 また、5月仏経営収支29億ユーロの赤字(前月は35億ユーロの赤字)。6月独生産者物価指数は、0.5%(前年比4.6%)でした。

2005.7.19

 週明け18日のニューヨーク外国為替市場は、米財務省発表の5月対米証券投資で、海外投資家による米株投資が7200万ドルと04年9月以来で初めて売り越しに転じたことが、ドル建て資産に対する関心が不安定であると示唆していると受け止められ、ドルが下落。ユーロは一時は1.2089ドルまで上昇しました。外国投資家による米株投資は過去4カ月でみても90億ドルと極めて小幅な買い越しに留まり、ハイテクバブルが終わった後、米株投資が多分に手控えられている傾向を示しています。また、5月にドルが大幅に上昇したにもかかわらず、外国人による米長期債投資意欲は通常以上の水準にはならなかった事を示す、証券投資全体の買い越し額が1~2月平均の880億ドルを下回ったことにも着目。ドルスイスフランは、1.2906スイスフランに一時下落。ドル/円はポジション調整の動きや、最近の上昇分の利益確定に押され1ドル111.90円と下落。ドルは一時111.50円の支持線寸前まで下落したが、持ちこたえています。ポンドは対ドルで下落し、1ポンド1.7841ドル。英不動産関連のウェブサイト、ライトムーブがこの日発表した英住宅価格が弱い数値となったことから、8月にイングランド銀行による利下げが実施されるという観測が強まっています。中国政府の国家発展改革委員会傘下のマクロ経済研究院のChen Dongqi副院長が同日付の経済週間誌瞭望で「中国の大幅な貿易黒字を縮小するために人民元の変動幅を3%に拡大すべき」と述べたことを受け、人民元NDFノンデリバラブル・フォワードの対ドル・プレミアムが、ほぼ2カ月ぶりの高水準となっています。「人民元を通貨バスケットと連動させるのは技術的に難しいと指摘し、中国の輸出入の約90%が米ドル建てなので、通貨バスケットへのペッグを急ぐ必要はない」との見解も示していますが、人民元の変動幅が2~3%拡大されることは、すでに市場に織り込み済みで、市場が注目しているのは実施のタイミングであるため、反応の度合はそれほど大きくはありませんでした。また、CFTC米商品先物取引委員会が15日に発表したIMM通貨先物取組高報告(7月6日~7月12日)では、円先物のネットショートが一段と増加し、前週の5万2186枚から1999年5月以来最高となる6万3076枚まで増加。ドル/円は前週に一度調整し再び高値を試す展開になるかと思われたのですが、ドルの強い数字には反応が薄く、売り材料に反応する展開。ECBによる利下げ観測が後退していることや、中東の銀行がドル資産をユーロに切り替えているとか、外貨準備の外貨配分調整で中央銀行が下落してきたユーロを買っているという話もあり、ドルの上昇は、対ユーロでも鈍くなるのではないでしょうか。一方、CEA米大統領諮問委員会のバーナンキ委員長は18日、記者団との懇談で「米経済は全般的に健全だが、原油高は、米国民にとって確かに問題だ。原油高が生産コストを上げ、家計や企業利益の重荷になっているが、経済の全体的な成長という点では、これまでのところ、経済成長を極端に抑制しておらず、米経済はエネルギーコストの増加に対応しているようだ」との認識を示しました。中国が米政府に人民元の早期切り上げを確約したとの一部報道については、コメントを拒否。「中国はより柔軟な為替レートに向けて移行すべきだと思う」とだけ述べています。また、EIA米エネルギー情報局は18日、先週のガソリン小売価格(全米平均、無鉛)が、過去最高値を記録した前週から0.01ドル低下し、1ガロン2.32ドルになったと発表。ガソリン価格の低下は7週間ぶり。前年同期の水準は依然0.39ドル上回っています。

 企業年金の買いに加え、海外勢の買いも再開基調で、日経平均が1万1800円~1万1900円を上抜けて1万2000円に接近し、海外勢が日本株買いを本格的に増大させるかポイント。18日のNY市場で、シティグループの決算が市場予想を下回ったことなどを契機に調整売りが優勢となり、米ダウ工業株30種平均株価が1万574ドル99セントと、前週末の終値に比べ、65ドル84セント安と下落しており、その影響を織り込むのか注目。もし、日経平均が本格的上昇基調に向かえば、ドル高が進んできたドル/円で円買い要因として意識されます。連休明け東京株式市場の日経平均株価は、前週末の終値と比べ2円93銭高の1万1761円61銭で取引を始めています。
 米国では、19日にインテルの決算発表があるほか、6月の米住宅着工件数などが発表されますが、20日に米下院で、21日には上院で、グリーンスパンFRB米連邦準備理事会議長の証言が注目されています。米景気の先行きに強気の発言が出てくれば、米利上げ継続観測の強まりとともに、ドル買い要因。逆に、ドルのロングポジションがかなり溜まっていることなどから、同議長の発言次第では、ドル調整売りがまとまって出てくる可能性もあります。年内残り4回のFOMC米連邦公開市場委員会で、毎回25ベーシスポイントの利上げが実施されるとの見通しが強まれば、ドル買いを支援しそうだとの見方が複数示されていますが、やはりドル買いポジションが大きいことなどから、ドル/円が7月8日につけた約1年2カ月ぶり高値の112.60円を上回る可能性は低いようです。18日には、FRB議長がサクストン上下両院経済合同委員長の質問に対する返答で「米国の経済は、03年以降の原油価格の高騰が今年の米成長率を0.75%ポイント押し下げる可能性があるが、総じて原油高にうまく対処している」との見解を示していたことが明らかになっています。また21日にはFRBが米政策金利を3.25%に引き上げた6月29~30日のFOMC議事録が公表されます。また日本では、19日に6月14、15日の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表。金融調節方針維持は引き続き7対2の賛成多数でしたが、当座預金目標25~30兆円、27~32兆円への引き下げの議案が提出。反対多数で否決されたものの、政策委員のやりとりが注目されます。当預目標の下限割れ容認を決めた5月会合以降、6月2、3日には実際に目標を割り込んでおり、この間の市場調節に関する評価なども要確認事項。19日14:00には、5月景気動向指数改定値(内閣府)が発表。速報値では一致指数は55.6%でしたが、これは上方改訂となり50%超を維持する見通し。先行指数は40.0%でしたが、こちらは下方改訂となり4カ月連続で50%割れ。そして、21日に都内で開かれる「リテール金融フォーラム」で午後1時過ぎから福井日銀総裁が基調講演。テーマは「金融の新潮流―新たな個人金融サービスの創造」なので、金融政策に関する発言は期待薄ですが、当座預金残高の30兆円割れが予想される状況下では注目。円債市場では、日銀が当座預金残高の引き下げに踏み切るのは、相当先になるとの見方が多数意見。21日08:50にはまた、6月貿易統計(財務省)が発表。ロイターが民間調査機関に行った聞き取り調査によると、27社の予測中央値で、7506億円程度の黒字、前年同月比で34.2%程度の減少と3カ月連続の前年割れ。輸出が予測中央値で前年比1.3%増と伸び悩む一方、原油高を受けて輸入が増加し同12%程度の伸びとなる見通し。22日08:50には、5月第3次産業活動指数(経済産業省)も発表予定。ロイター27社聞き取り調査予測中央値は前月比1.3%の低下。4月に高い伸びを示した反動により低下する業種が多いとみられています。

 人民元改革については、市場などで8月にも行われるとの観測が浮上。先ほど、谷垣財務相は閣議後の会見で「中国の人民元改革が、より柔軟性を持つことは中国自身にも世界経済にとっても望ましい。果断な措置が望まれる。私のスタンスは前から変化していない。まず第一に中国自身が責任をもって決めるべきことだ。第二点としては、人民元に関するより一層のフレキシビリティが中国自身にも、あるいは世界経済にとっても望ましいことだと思われるので、果断な措置が望まれる。改革の時期は、常に、この問題にはいろいろな観測があるが、私から申し上げるべきことは今の段階ではない」と語りました。 

2005.7.18

 米貿易収支を前にしたポジション調整から売り優勢だったドルも、同指標が5月の原油価格下落を背景に予想よりも赤字幅を縮小、6月の月次財政収支も税収増加から黒字に転換したことで双子の赤字懸念が一時的に和らいだことや、製造業をはじめとする米経済の堅調ぶりを示す指標が発表されたことで底堅い動きとなりました。
 米ニューヨーク連銀が発表した7月のニューヨーク州製造業業況指数は、市場予想(プラス10)を上回るプラス23.91となり、前月の10.49(改定値)から上昇。内訳では、新規受注指数がプラス19.15となり、前月の8.14から上昇。また、米ミシガン大学が調査した7月の消費者信頼感指数の速報値は96.5で、前月の96.0(確報値)から上昇。エコノミスト予想の中央値は95.0。そして、米商務省が発表した5月の企業在庫(季節調整後、製造業・卸売業・小売業の合計)は、前月比で0.1%増加。企業売り上げは前月比0.1%減少。企業在庫のエコノミスト予想は0.3%増。さらに、FRB米連邦準備理事会が発表した6月の鉱工業生産指数(季節調整後)は、前月比0.9%上昇。設備稼働率は80%で、前月の79.4%(改定値)から上昇。エコノミスト予想は、鉱工業生産指数が0.4%上昇、設備稼働率79.6%。6月の鉱工業生産指数の上昇率は、昨年2月(1.1%)以来の大幅な伸び。設備稼働率も、2000年12月(80.3%)以来で最高。加えて、米労働省が発表した6月の卸売物価指数(PPI、季節調整後)は前月比変わらず。振れの大きいエネルギーと食品を除くコア指数は0.1%低下。エコノミスト予想は、総合指数が前月比0.4%上昇、コア指数が同0.1%上昇でした。
 対照的にドルの調整を受け上昇を見せたユーロは週後半にかけ、再度軟調推移を強いられるものの欧州要人からのコメントで早期利下げ観測がやや後退したことをサポートに対ドルでは何とか1.2000を維持し、1.2000/1.2300の6月中旬/下旬のレンジ相場を思わせる展開。ショートポジションの積み上がりからの調整反落の可能性が囁かれた円は軟調な推移を続け、中国人民元の8月切り上げ観測のニュースが伝わったにもかかわらず調整幅は限定される重い展開。来週は米TICSデータをはじめグリーンスパン議長の議会証言といった注目イベントが予定されています。やや方向感に乏しいドル、ユーロが確かな方向を見出せるか、また136.00円付近のレジスタンスを抜けきれないユーロ円が新たな展開を迎えるかどうかに注目。

 イラクの首都バグダッドの南約60キロのムサイブで16日夜、燃料輸送車の近くで爆弾を身につけた男が自爆して大爆発が起き、ロイター通信によると、98人が死亡し、75人が負傷、4月末の移行政府発足後では最大の惨事となった模様です。イラクではこの2日間で15件の自爆テロが発生するなど、武装勢力によるテロ攻撃は再び激しさを増しています。新憲法起草期限が8月15日に迫る中、米主導で進む政治プロセスを妨害しようと自爆テロ攻撃を激化。ヨルダン人テロリスト、ザルカウィ容疑者率いる「イラク・アルカーイダ聖戦機構」は16日、ウェブサイト上で、自爆テロ攻撃を激化させる、と宣言。さらに、1968年7月17日は、フセイン旧政権下の支配政党だったバース党が軍事クーデターで権力を掌握した記念日で、旧バース党幹部がこの日に合わせて、スンニ派過激派を指揮してテロ攻撃に当たらせている可能性があります。
 また、英国のリード国防相は米CNNテレビで17日「イラク治安部隊の治安維持能力の向上を前提に、駐留英軍が今後12カ月以内にイラクから段階的な撤退を開始することが可能だ」との見方を示しました。

 自民党の片山虎之助参院幹事長は17日午前、テレビ朝日の番組「サンデープロジェクト」に出演し、郵政民営化法案が参院で否決された場合、「小泉首相の今までの言動、性格をみると、わたしはちゅうちょなく衆院を解散すると思う」と語り、平沼赳夫前経済産業相は同日朝、フジテレビの「報道2001」に出演し、「郵政民営化法案について反対派は意気軒高だし、参院の反対派も自信を見せている。なかなか厳しいことになるのではないか。郵政民営化法案は重要度の点から言っても、まなじりを決して最優先課題としてやるべきものではない。強引な党のやり方に対し警鐘を乱打する意味で、参院で否決されるのはやむを得ないと思う」と語っています。 加藤紘一元自民党幹事長も同番組で「郵政民営化法案が参院で否決されたら、小泉首相の性格から言って衆院を解散すると思う。そうなると、自民党は分裂選挙になってもならなくても負ける。そして多分、政権は民主党に行くと思う。政権は自民党には帰ってこない。否決になる可能性は十分ある。反対派が本当にやる気になったら否決になる。それと、自民党が永遠に野党になるという選択だと思う。こんな小さなテーマで自民党をつぶし、日本の政治を混乱させることは絶対良くない。内容を見ると、賛成派が改革したというほどではないし、反対派がめちゃくちゃに壊されたというほどの内容ではない。今回の反対論は、小泉首相の政局運営に対する反発が一番大きいと思う」と述べました。

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