郵政民営化法案が8日の参院本会議で大差で否決。首相は直ちに衆院を解散し、総選挙を8月30日公示・9月11日投票に予定しました。与党が解散回避を求め、解散詔書の署名を拒否した閣僚を罷免した末に小泉首相が解散に踏み切っています。自民党の分裂選挙に突入すれば、政権交代の可能性があります。反対票を投じた自民党議員は22人。首相は法案反対者を公認せず、解散・総選挙を郵政民営化に対する国民投票だと位置づけました。
海外でドルが対ユーロで横ばいで推移。翌日3:15のFOMC米連邦公開市場委員会を控えて様子見ムード。一方、ドル/円は一時111.55円まで下落。9日のFOMCではFRB米連邦準備理事会が昨年6月から10回連続で0.25%の利上げを行い政策金利であるフェデラル・ファンド金利は3.5%に上昇する見通し。会合後に出される声明が一段とタカ派的な内容となるか、原油高を受けてインフレに対する表現に変化があるのかに注目。結果発表は日本時間の10日明け方。
また、NYMEXニューヨーク商業取引所の原油先物相場は、ガソリンなど石油製品の供給懸念を背景に急伸。米国産標準油種WTI9月当限は、一時1バレル64.00ドルをつけ、3日に記録した62.50ドルの最高値を大きく更新。同日の取引は、前週末終値比1.63ドル高の63.94ドルで終了。終値ベースでも過去最高値となりました。7月末以降、米主要製油所の火災発生などトラブルが相次いだ石油生産施設の一部操業停止を受けて供給懸念が根強い上に、夏場のガソリン需要拡大が重なるとの見方から、7日夜の時間外取引から買われた流れを引き継ぎ、通常取引に入って一気に上値を試す展開。世界最大の産油国サウジアラビアで、米国関連施設へのテロ攻撃予告を受け、リヤドの米大使館が一時閉鎖されるなど、不透明な中東情勢も原油高騰の大きな要因になっています。また、COMEXニューヨーク商品取引所の金塊先物相場は続落し、中心限月12月限は1オンス440.30ドルと、前週末終値(442.80ドル)比2.50ドル安で終了。ドルの弱含み、原油高騰、南アフリカ共和国で複数の労組が無期限ストを開始し、金の供給逼迫懸念が浮上するなど強材料が示されたものの、積極的に買い進む動きはなく、FOMC待ち。一方、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は1万0536ドル93セントと、前週末の終値に比べ、21ドル10セント安で取引を終了。原油価格が上昇したことを受け、エネルギーコスト高が企業収益や個人消費に打撃を与えるとの見方が広がり、金利上昇懸念により米銀行や米建設株が圧迫されています。
衆院解散総選挙に突入したものの、前日は、郵政民営化法案が予想されていた通り参議院本会議で否決されたことを受けて、事前に売っていた円を買い戻す動きが優勢。日本の政局不安を背景とした円売りはいったん収束し、関心は日本景気の底堅さに移行しています。政治イベントをこなした後の国内株価の反発度合いや、6月機械受注(日本時間14:00)、日銀の8月金融経済月報(15:00)、金融政策決定会合後の福井日銀総裁の発言(15:30)などに注目。
IMF国際通貨基金は8日「日本の短期的なマクロ経済見通しは年初以降改善しており、小売売上高や企業の設備投資計画、雇用関連など直近の経済指標に明るさも見受けられるものの、その一方で、物価の下落圧力は緩やかながら継続している。金融システムの安定や企業セクターの底堅さ、労働市場の活性化や財政面における構造改革が足元進捗しており、結果として日本経済は、持続的な成長に向けて状況が改善している模様であり、05年GDP国内総生産伸び率は1.8%、CPI消費者物価指数はマイナス0.4%になる。失業率については、04年の4.7%から05年は平均4.4%に低下すると予想される」という7月29日に作成されたIMF報告を示しました。昨年のGDP伸び率(季節調整済み)は2.6%で、CPIは横ばい。一方で、「中期的なリスク要因は、深刻化する高齢化と経済の低成長トレンドであり、財政改革および構造改革を加速する必要がある。改革は困難だと認識しているが、改革により国内経済は強化される。また、対外不均衡を是正しようという諸外国の政策的努力との相乗効果により、世界経済の回復にも貢献するだろう。また、世界経済がより均衡のとれたものになれば、為替相場で無秩序な調整が起きるリスクは減る。日本は04年3月以来、為替介入を実施していないが、為替介入の効果についても意見が分かれている。円高が経済を脅かす水準まで進んだ時は、為替介入が最後の手段だという意見もあったが、日本経済は回復しており、円高に対処できるはずで、為替介入は特別な状況下でのみ実施されるべきだ」としています。一方、日本政府は、2010年代初頭にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させることを目指しており、「始まったばかりの景気回復への悪影響を最小限にとどめるため、赤字は安定的かつ段階的に減らすことが望ましいが、今後実質金利が予想以上に上昇するようなことがあれば、借り入れを安定させるため、より大幅な調整が必要になる可能性もある。また、デフレが明白に克服されれば、インフレの数値目標導入はインフレ期待の安定につながるという意見がある。一方で、金融政策の効果が波及するメカニズムに関して不透明感がある現状では、インフレ目標を公表しても効果には限界があるかも知れないといった見方もある」と、日銀はデフレ克服に注力し続けるべきだとし、現実に物価上昇が始まるまで金融緩和を続けるという日銀の方針を歓迎。また、8月8日に参院本会議で否決された郵政民営化法案も歓迎しています。
景気の底堅さを背景に米利上げが06年半ばまで継続するとの見通しと、IMFが日本の経済成長率を上昇修正したことなど、日本の景気回復への期待感も強く、ドル買い、円買い両方の材料の板ばさみ状態で現在は揉み合い。