2005.8.1 | Amvision Co.,Ltd.

2005.8.1

 29日は、7月の最終取引日となり、テクニカル的な動きや資金のシフトがみられたうえ、ストップロス注文やポジション調整などで、値動きの激しい展開。第2・四半期の米GDP国内総生産の速報値が、年率換算で前期比プラス3.4%となり、エコノミスト予想と一致。エコノミストは、最終需要をプラス4.6%、GDPデフレーターをプラス2.5%と予想していました。また、シカゴ地区購買部協会が発表した7月の景気指数は63.5で、市場予想55.5を大幅に上回り、FRB米連邦準備理事会が近いうちに利上げ打ち止めをする公算は小さいことを示す数字となった事などを受けて、ドルが円などに対して小反発するも、FRBがインフレ動向を探るうえで注視しているPCEコア個人消費支出価格指数は1.8%となり、第1・四半期の2.4%(改定値)を下回り、FRBが好ましいとみなしている範囲内になった事から、大幅な利上げに対する期待が後退し、ドルの上値は抑えられています。
 米ミシガン大学が調査した7月の消費者信頼感指数の確報値は96.5で、前月の96.0(確報値)から上昇。エコノミストの予想は96.5。7月の景気現況指数(確報値)は113.5で、前月の113.2(確報値)から上昇。7月の消費者期待指数(確報値)は88.5で、前月の85.0(確報値)から上昇。
 また、CEA米大統領諮問委員会のバーナンキ委員長は、CNBCテレビのインタビューで「大幅に上昇した堅調な米住宅価格は米経済が健全であることを示しており、住宅価格の伸びはある時点で鈍化・安定するかもしれないが、住宅価格が全米規模で下落する可能性は低い」との見解を示しました。
 そして、米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は「グリーンスパンFRB議長による先週の議会証言については非常に満足している。FRBがどこまで利上げするかは経済指標次第であり、景気はもちろん好調だ」との見解。
 加えて、米サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は、米オレゴン州ポートランドでの講演後に「PCEコア個人消費支出価格指数は1.8%で、今年第2・四半期のインフレ率は満足の行く範囲内だった。また、GDP伸び率はトレンドをわずかに上回る。今後はトレンドの水準へ軟化する公算が大きい。FRBの金融引き締めサイクルがいつ終わるかについては確固たる見解を持っていない、フェデラルファンド金利は3.5%が中立水準の絶対的な下限だ」と述べました。FF金利の誘導目標は、現在3.25%。一方、社会保障やメディケア(高齢者向け公的医療保険)などの給付プログラム関連の負担増について、グリーンスパン議長が表明した懸念に同調し「財政赤字は長期的に大変な額に上るだろう。また、現在の5.0%という失業率が示唆する以上に、労働市場が低迷している可能性があると指摘しています。
 他方、第4回6カ国協議で中国が示した共同文書案は、米国と北朝鮮のせめぎあいの中で、協議の「実質的進展」を掲げる中国が議長国としてのメンツをかけてひねり出した折衷案となっているようです。中国は、参加各国の基調演説や2国間接触の結果、各国から出された草案などを取りまとめて文書案を作成し、30日に各国に提示。北朝鮮の核廃棄を前提に参加国が「安全の保証」を与えるという「将来の大きなビジョン」が示されました。しかし、文書案では、北朝鮮の核問題の解決だけでなく、韓国での米国の「核の傘」を含めた「朝鮮半島から核の脅威」を除去することにも触れているとみられ、この点は中国が北朝鮮に配慮。文書案には「人権」「ミサイル」などの日米の主張は明確に盛り込まれず、中国が6カ国協議について、「北朝鮮の核問題を集中して協議する場」という姿勢を鮮明にしています。韓国首席代表の宋旻淳(ソンミンスン)外交通商次官補は31日、記者団に対し、現時点の協議の進行状況を「1週間ほど、国道に沿って都心の入り口までは走ってきたが、都心から目的地まで行くには今までとは違う状況になる。信号もある。距離は遠くないが時間は予測できない」と例えています。

 今週は、8月5日に発表される米雇用統計や、不透明な郵政民営化法案の参議院での採決を巡る政治問題などに向けて日米の金利差拡大に着目したドル買いが続くとの見方もありますが、113円付近からの上値の重く、ドルが伸び悩めば再び調整局面を迎える可能性があります。しかし、1998年以降、毎年8月は米債の大量償還やボーナスに伴う国内投信の円売り一巡、オプションを含めたフロー、輸出企業が下期に向けて売り圧力を強めてくるなどの要因が重なるため、7年続けてドルは毎年8月に下落傾向にあります。特に実需筋の動向は、人民元切り上げ後、急速に円高へ振れた値動きを見た輸出企業が、下期をにらんで売りに出始めている模様。ソニーが28日の第1・四半期(4~6月)決算発表で、今期の前提為替レートを1ドル103円から107円へ変更するなど、企業サイドがドル高/円安を織り込んだ計画に修正してきた直後だけに、高値で売り注文を確定しておこうとする輸出企業が、早めに売り圧力を強めてくる展開も予想されます。
 半面、米国では6月米耐久財新規受注が前月比1.4%の増加と市場予想の1.0%減を大幅に上回り、米国の6月新築1戸建て住宅販売戸数も過去最高を記録するなど、景気の底堅さを示すような指標が相次いでいます。ドルの買い持ちポジションが大きくなっていたため経済指標に対するドル/円の反応は鈍かったものの、前週末にかけてはポジション調整が進んだとの指摘もあり、1日発表の7月ISM米製造業景気指数、5日の7月米雇用統計に向けてドルの底堅さは維持される見通し。7月ISMは54.0(ロイター予測)と前月の53.8から強含むと予想されています。CFTC米商品先物取引委員会が発表したIMM通貨先物取組高報告(7月20日~7月26日)では、円先物のネットショートが減少し、前週の5万9056枚から4万7768枚。21日の人民元の対米ドルペッグ制を廃止、通貨バスケット制導入は、日本製品の輸出競争力を高める可能性があります。また、豪ドルのネットロングは先週の6756枚から1万7343枚に増加。オーストラリアは中国との貿易関係が深いため、円に加え豪ドルも人民元の切り上げにより恩恵を受けるのではないでしょうか。

 参院本会議での採決は早くても8月5日。参院での採決までに同法案の可決が濃厚との情勢が伝われば、政治的な空白を懸念して円を売り込んできた外国人投資家が円の買い戻しに動く可能性があり、反対に否決の可能性が高まれば最高で2円程度ドル高/円安が進むと予想されます。与党は、4日の郵政民営化特別委員会での締めくくり総括質疑と採決、5日参院本会議での採決の方針。野党 は採決の日程協議にまだ応じていません。
 日経平均はザラ場ベースで4月8日以来の1万1900円回復となりましたが、これまでの株価を上昇させた要因のひとつであるのが米国株式市場の堅調な動きで、3日にも7月の米ISM製造業景気指数、4日にECB理事会、5日に7月米雇用統計の発表と、重要な材料が続く事によって、米国株式市場が下振れせず底堅い展開となれば、日本株をサポートし、郵政民営化法案可決の場合は、海外勢の買い戻しをきっかけに1万2000円を突破するのではないでしょうか。引き続き3月期企業の第1・四半期決算に注目3日にトヨタ自動車<7203.T>が予定されており、米株、国内政局のほかでは、原油高も心配されていますが、ここまでの決算発表は予想よりも良いとの見方が多く、企業業績の好調が不安材料をかき消しています。
 一方、長期金利の低位安定が続いてきた円債市場は、ここにきて株高がジリジリと進み、長期金利は1.3%台乗せ。また、CPI消費者物価指数が秋以降、ゼロ%以上になる可能性にも関心が集まり始め、株価の展開次第では、海外勢の売りをきっかけに相場が動くことも予想されます。
 一方、IMF国際通貨基金は米経済に関する年次審査報告で、米経済は今年と来年3.5%の堅調な成長を続けるとした一方で、巨額の財政赤字、住宅価格の急騰、過大評価されているドルに対する懸念を表明。「経済の緩みが改善し、インフレ環境は以前ほど落ち着いていない。価格上昇圧力が増すようなら、利上げのペースを上げる可能性も除外できない。エネルギー価格高と強い内需を受け、FRBが利上げのペースを加速させる必要性がある。欧州その他の経済成長が米国に対して出遅れており、米国の対外赤字の一因となっているが、米国の低い貯蓄率も財政不均衡を悪化させている。また、ドルは、米国の巨額な対外経常赤字が今後も中期的に続くと予想される。ドルは、対外純債務の一段の増加を回避するのに必要な水準より高くなっているため、さらに下落する必要性がある」との見解を示しています。