仮面ライダー響鬼・異伝=明日への夢=

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参の段 弐 『目覚める明日夢』

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ぽこり

 ぽこり
 
  ぽこり……

 奇妙な浮遊感が明日夢を包み込んでいく。

 ひどく現実味がない。まるで水の中に浮いているような、そんな感覚。
 どちらが上でどちらが下かさえ分らない。
 それにここはとても暗かった。

(もしかして……俺、死んだのか?)

 ぼんやりとした思考の中で、明日夢はそんな事を考えていた。

 あれからどれくらい時間が経ったのだろう。
 皆は無事だったのだろうか。

 ──そもそも、自分はあれからどうなった?

『天狗』に襲われ、がむしゃらに抵抗し、そして『あの剣』を手にとってからの記憶が無い。
 ただ、どうしようもない倦怠感と睡魔が身を包む。

 そんな時をどれくらい過ごしたのだろう。
 遠く、かすかに誰かが自分を呼ぶ声が聞こえたような気がした。

『……す、む』

 眠い。だがその呼び声に明日夢は、徐々に現実に戻されるかのような感覚を覚えた。

『あす、む……』

 誰だろう? なにか懐かしい声のように思える。

「明日夢!」

 そして自分を呼ぶ声に、明日夢は現実へと帰還した。




「明日夢っ、明日夢っ!」

「かあ、さん?」

 目を開くと、そこには白い天井と、心配げに自分の顔を覗き込んでいる母の顔があった。

「ああ、よかった……っ。あきらちゃんからアンタが倒れたって聞いて、母さん驚いて……っ」

 そういう母の目は涙で潤んでいた。

「……ここは?」

「病院よ。もう、連絡受けてびっくりしたわよ。下校中にいきなり倒れたって聞いたから。しかも原因が栄養失調だなんて」

「……? 栄養失調??」

 その時、チクリと右腕に痛みを感じて見ると、生理食塩水とブドウ糖の点滴が刺されている。

「あんた、ちゃんとご飯食べてたわよね? なんで栄養失調なんてなってるの?」

「そう言われても……」

 責めるような、怪訝そうな母の顔を見やって、明日夢は考え込んだ。
 確かに運動は欠かしていないし、それに見合ったバランスの良い食事を心がけてはいる。カロリーも充分摂っているはずだ。

 そこでふと、あることを思い出した。

『鬼』達は総じて大食漢である。それは『鬼』として人外じみた能力の代償に、人並み以上のカロリーを消費するからだ。
 あの時、『天狗』と戦った時、明日夢の腕は『鬼』と化してした。
 その後『あの剣』に手を伸ばした時に感じた、爆発的な力の奔流を考えると──

 そこまで考えて、明日夢の背筋が凍りついた。

(じゃぁ……、俺、あの後まさか『鬼』にでもなったのか?)

 まさか、そんな。
 自分は『鬼』に成れるほど『鍛えて』はいない。
 だが──『鬼』の腕と化した自分の腕を見てしまった後では、自分が『鬼』になったことを、『なってしまった事』を否定する事が出来なかった。
 今でも思い出せる。『あの剣』を手に取った時に感じた、己の中から溢れるような『力』の奔流を。
 獰猛(どうもう)な破壊をもたらす力の激流を。

「ちょっと、明日夢。アンタ、大丈夫?」

 心配そうに覗き込む母の顔を見て、明日夢は一旦考えるのを止めた。

「あ、うん。大丈夫だよ」

「本当に?」

 訝しげ(いぶかしげ)な視線を送る母に向かって、明日夢は空元気を見せた。

「大丈夫だって。多分……うん、受験で疲れてたんだと思うからさ。ほら、頭使うとカロリー消費するから。多分そのせいだよ、きっと」

 自分でも無茶な論理だと思うが、母は難しい顔をして納得しようとしたらしい。

「ならいいけどねぇ。ともかく2~3日は入院ってことだから、しっかり治しなさいよ」

「分ってるって」

 母はふぅ……とため息をついて、席を立った。

「そう言えばさ」

「? 何」

「ひとみちゃんも倒れてこの病院に運ばれたらしいわよ。なんでも重度の貧血だって」

「え?」

 その言葉を聞いて、なぜかあきらが必死で懇願(こんがん)する姿を幻視した。

「仲がいいのは良いけれど、何もこんなことまで二人仲良く病院行きになることないでしょうに」

「持田が……?」

 その時、明日夢の背中を冷たいものが走った。
 そう──大事な、とても大事な何かを忘れているような。

「痛……っ」

 その瞬間ズキリと頭痛が起きたが、それも一瞬のことだった。
 病室から出ようとした母が、半ば驚いたように声を上げたからだ。

「あらぁ! ヒビキさん!? どうしてここに? なんかケガしているみたいですけれど、大丈夫なんですか?」

「いや~ ちょっと車で事故りましてねぇ。明日夢はまだ寝てます?」

「あらあらまぁ。 ちょうど今、目を覚ましたトコですよ。 明日夢~ヒビキさんがいらしたわよ」

 キィコキィコと車がきしむような音と共に、ヒビキが病室に入ってきた。
 ただし、車椅子に乗り点滴をうちながら、胸に包帯を巻いてという姿であったが。
 しかもその表情はいつもの飄々(ひょうひょう)とした笑顔が、青ざめた顔色の悪いものであったことが、明日夢を驚かせた。

「ひ、ヒビキさん!? どうしたんですか、一体!!」

「まぁ、その話しはおいおいとな。とりあえず今日から同室となるんでよろしく!」

 そう言って、ヒビキはいつもの敬礼をしてみせた。


参の段 参 『題名未定』<<>>参の段 壱 『咲き乱れる桜』








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参の段 壱 『咲き乱れる桜』

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 飄々(ひょうひょう)と風が鳴る
 魔気を(はら)んだ風が

 そんの風の中、眼前に立ち塞がるは、頭部には牛の様な角を。全身には針の毛皮で武装した、二本足で直立する巨大な異形の『モノ』
 

 その『モノ』が風を吹き飛ばすが如き咆哮をあげて、目の前にいる『(もの)』を威嚇した。

 だが、その者は常人なら失神しかねない獰猛(どうもう)咆哮(ほうこう)を、文字通り風のように受け流し、背には剣ともハープとも見える奇妙なものを。そして両の手には(いかずち)をアレンジしたような三つ巴の紋章が刻まれた手のひらに納まるような丸い──まるでヨーヨーの様なものを構えていた。

 ──そう。そのバケモノ『魔化魍』『ヤマアラシ』の前に立つ者も『人』の姿をしていなかった。
 
 身体は八重桜の様な鮮烈な桜色。身体には『弦』の様な胸甲や腕輪を。
 何より特徴的なのが、風になびいたかのように後ろに流れる一本の巨大な『角』があることだった。

『鬼』

 しかしその姿は、女性特有のしなやかな肢体と、若さを感じさせる稜線(りょうせん)を描いている。
 おそらく十人が見れば十人がその異形に『美』を見出すことだろう。

 無論魔化魍たるヤマアラシには、その美はなんら価値を持たない。
 やおらその巨躯を回転させて、その太い尾でその少女の『鬼』に襲い掛かる。

 だが

「はっ! 遅いよっ!!」

 可憐だが気合の入った声を放ち、その『鬼』は手に持ったヨーヨー状の道具を放ち、木の枝に巻きつけると、軽々と宙を舞ってその攻撃をかわした。

「この咲鬼(サキ)さんに当てようなんて、十年早い早い!」

 咲鬼と名乗った少女の鬼は手に持ったヨーヨー状の道具を巧に使い、木々の間を風の如く駆け抜けて行く。
 ヤマアラシはやっきになってその巨大な尾を振り回すが、周囲の木々をなぎ倒すだけで咲鬼には全く当たらない。

 ことここに至ってどちらが追い詰められているかは自明であった。

 ついにヤマアラシが体勢を崩すと、咲鬼はヨーヨー状の武器を両の手から放ち、それをその巨大な角に巻きつけた。
 そしてその弦を手繰る(たぐる)と、ヤマアラシの頭上に降り立った。そしてその弦を腰に固定し、背中に担いでた音撃武器を抜き放ち、ヤマアラシのその脳天に突き刺す。
 
「これで止めだよっ!」

 咲鬼がバックルから音撃弦を外し、音撃武器に装着すると武器の剣先が展開し、ハープともギターとも見えるもの──ハープギターへと変化する。

 咲鬼はピック状になった爪を振り上げ、音撃をかき鳴らした。

「音撃斬!『桜花散華』っ!!」

 山野に激しくも流麗な『音』が響き渡る。その清めの音にヤマアラシが断末魔の悲鳴を上げ、激しく身悶えしながら咲鬼を振り落とさんと暴れるが──

「往生際が悪いよっ あんた!!」

 角に巻きついた弦で身体を固定し、咲鬼はなおも清めの音をかき鳴らす。
 そしてついに。

『──オオオオンン!!』

 ヤマアラシが一際雄叫びを放つと。ピシリ……ピシリっ、とその巨躯がひび割れていき、ついに爆散した。

「はい、これで一丁あがりっと」

 咲鬼は軽々と地に降り立つと、爆散した魔化魍の欠片を面倒くさげに払う。
 すると、その咲鬼に近寄ってくる人影が現れた。

「随分手こずったな。サキ」

「あ、権田(ごんだ)さん」

 権田と呼ばれた30代後半と思しき人物は、ヤマアラシによってなぎ倒された周囲を見渡してため息をついた。

「倒すのはいいが、周囲に被害を出しすぎだぞ、サキ。サポーターやってる俺の身になってくれ」

「うぇー? 人里に入る前に倒したからいいじゃないですか」

 咲鬼の顔が輝くと、そこにはあどけない10代後半の少女の素顔が現れた。
 やや眼差しが鋭い事を除けば美少女と言ってよい。スラリとしたプロポーションは変身したままであることを除いても均整が取れているのが伺える。
 そしてやや細面で筋の通った鼻筋がともすれば鋭利見えるが、小ぶりで桜色の唇と長いまつ毛がどこか小生意気な様でいて、小悪魔的な愛嬌をかもし出していた。それでいながら墨を流したような黒髪をポニーテールにしているためか、清潔感や活発さといった好ましさを印象付けている。

「まぁいい。いつものことだしな」

 権田は短く刈り上げた頭を掻きながら、諦めにも似たため息をつく。

「なんですか、それ。私が壊し屋みたいじゃないですか」

 愛らしくサキは頬を膨らませるが、権田は呆れたような視線でサキを見返す。

「それよりサキ。次の仕事だ」

「はいはい……って、ちょっ、待って下さいよー! この案件片付いたならクリスマス楽しもうって、もう友達と約束しているのにぃ~」

「……それがそうも言ってられなくてな」

 渋い表情を見せる権田の表情を、サキは見逃さなかった。
 その表情が少女から、人々を守る『鬼』のそれに変わっている。

「何が、あったんです?」

「色々だ……そう色々な」

 権田は宙を見上げてポツリと言った。

「響鬼が倒された」

「なっ!?」

「倒した相手は……『鬼』だ、そうだ」

 それを聞いたサキは唖然とした表情をしていた。

「俺にも全部情報が入っているわけじゃない……。天狗の『完全体』が現れたとか、吉野が封印してたってぇヤバイ代物が奪われたとか……情報が錯綜していてな。『祓われた』はずの『鬼』まで出てきたって話もある」

「──それで、私は何をすれば?」

「関東支部に出向して欲しい。今あそこはヒビキが倒れた後、色々きな臭い事件がおきたらしくてな。──つまりは、助っ人というわけだ」

 サキはコクリと頷いて無言の承諾をした。

「つまりは『鬼祓い』をしろと」

「……場合によっては」
 
「分りました」

 そう言って、サキは薄暗い雲に包まれた空を見上げた。

「嫌な空……」

 それは、少女の行く末を予見しているかのようだった


 
参の段 弐 『目覚める明日夢』<<>>参の段 序 『陽(ひ)に差す陰(かげ)』




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参の段 序 『陽(ひ)に差す陰(かげ)』

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 星輝かぬ夜空に水墨を()らしたような、更に深い闇。

 闇
 
  闇
 
 ──闇


 その闇の中で

 ぽつり

  ぽつり
 
   ──ぽつりと()(とも)っていく。

 その中に鎮座するは、日本刀を思わせる佇まいの男。
 禅を組み、切れ長の(まぶた)を閉じて、闇と一体化しているかのようであった。

 その切れ長の瞼が、すぅ……っと静かに開かれる。

「……憎鬼(ゾウキ)か」

「──はい」

 暗がりの中から灯火に照らされて、口ひげを蓄えた一人の壮年の男が現れた。
 その風体古めかしく、燕尾服を(まと)い、うやうやしく男に(こうべ)を垂れる。

「──『(けがれ)』の準備整いましたので、ご報告申し上げたく」

「──そうか。それで、その後の手はずは?」

「万事滞り(とどこおり)なく」

 淡々と静かに二人の会話が交わされる。

「それで、『あの二人』のことですが……『傀儡(くぐつ)』の呪法の準備整いましてございます……いかがなさいますか」

「今は捨て置け」

 男は立ち上がって壮年の男を見た。

「己が何者であるかを知った時にこそ、その術の真価が試される。人は善なるか悪なるか──その試金石となろう」

畏まり(かしこまり)ました。──『邪鬼』様」

 男は再び深く頭を垂れて、闇の中に消えていった。
 

 ぽつり

  ぽつり

  ──ぽつり

 再び灯が消えていく。
 そして邪鬼の面影が闇に溶け込んでいく。

「人は善なるか悪なるか──守るに値するものであるのか。その答えを見せてやろう。猛士の『鬼』達よ」

 その言葉を最後に、最後の灯火が消え、邪鬼の姿は闇に完全に飲まれた。







 東京都葛飾区柴又にある甘味処「たちばな」
 普段は甘味を求めて老若男女の絶えない店だが、今日は「臨時休業」の看板が吊るされていた。
 だがその中では、複数の男女が二振りの鉈とも短刀とも言えぬ『モノ』をじっと難しい顔で見つめていた。

「さて……これが問題の『物』と、言う事だね」

 眼鏡をかけた壮年の男性──この「たちばな」の店長であり、関東猛士の『鬼』達を統括する役目を負った人間。勢地郎がその短刀に難しい視線を送っている。

「ところで、明日夢とひとみの方は大丈夫っすか」

 愛嬌のある顔立ちに癖っ毛の若者──トドロキはむしろ後輩と従妹の様子が気になるようだった。

「それは大丈夫。猛士ゆかりの病院に今入院、検査中よ。……明日夢君とひとみちゃんが『変身』した調査も兼てね。ヒビキさんも明日にはその病院に転院することになるし、ご両親にも貧血で倒れたと言ってあるから。今のところ心配しなくてもいいと思う。
 ……多分」

 美しい切れ長の目と墨を流したような黒髪を持つ女性──香須実が自信無げにそう請け負った。

「それよりもこれですね。京介君、明日夢君がこれを持った時に変身したのは間違いないんだね?」

 涼やで端麗な顔立ちの青年──イブキは京介に視線を送ってそう言った。

「間違い無いかと言われると、少し自信が無いんですが……あいつが『変身』した時、これを持ってましたから、なんらかの係わりがあるんじゃないかと」

「ふむ……」

 勢地郎は顎をさすりその短刀に手を伸ばした。
 それを見て京介が慌てる。

「事務局長! それ迂闊に触っちゃ危ないですよ!」

 だが勢地郎は躊躇(ちゅうちょ)することなくその短刀を手に取った。

 ──何も起きない。

「あ、あれ?」
「どうして……?」

 短刀に触れた経験のある京介とあきらが驚きを隠さずに息を呑む。

「どうやら『普通の人間』には、何の影響も出ないみたいだねぇ」
「本当っすか? どれ、俺にも」

 トドロキがその短刀に手を伸ばすと、途端にバチッ!という破裂音がしたかと思うと、トドロキの体が店の壁まで軽々と吹き飛んだ。

「ああ!? お、お父ちゃん。大丈夫ですか!」

 丸顔の愛らしい顔立ちの女性であり、トドロキの妻となった日菜佳が夫の元に駆け寄る。

「あっつう……だ、大丈夫大丈夫」

 トドロキは妻の手前意地を張ってみせたが。

「あーっ!? 全然大丈夫じゃないです! 折角買った信楽焼きの狸さんがぁ~」
「心配するのそっちかよ!」

 粉々になった信楽焼きの狸の前で、夫婦漫才を繰り広げる二人を尻目に、勢地郎は短刀を様々な角度で見定めていた。
 そして柄の部分から一本の棒─刀剣では目釘と呼ばれるもの─を取り出して、柄をゆっくり引き抜いた。
 そして刀身の柄あたる部分を見て、軽く目を開く。
 更にもう一本も同じように柄を引き抜いた。
 勢地郎は刀身の柄に差し込む部分──(なかご)を見比べ、驚きに更に目を開く。

「これは……いやまさか、こんなものが」
「事務局長?」

 イブキの問いに答えず、勢地郎は静かに短刀を置き、ため息をついた。

「日菜佳、みてごらん」
「え?」

 日菜佳は勢地郎手招きに、及び腰になってそろそろと近づいて柄の外された短刀を覗き込む。
 そしてその愛らしい目が大きく見開かれた。

「ちっ父上!? これって、いやそんな!」
「何驚いているんすか。日菜佳」
「これが驚かずにいられますか! この柄の所に刻んである文字見てください!」

 一同が覗き込むと、一方の茎には『髭切』もう一方には『膝切』と掘り込んである。

「なんすか。この妙な名前」
「妙じゃないですよぅ!」

 呆れ顔の夫の顔に唾を飛ばしながら、日菜佳は熱弁した。

「二つとも有名な剣じゃないですかっ!
『髭切』は『鬼切』とも言われていて、渡辺綱(わたなべのつな)が一条戻橋で鬼の腕を斬った太刀。
『膝切』はその双子の剣で、源頼光が己を熱病に苦しめた『土蜘蛛』を切った、って言われてる太刀で『蜘蛛切』とも呼ばれている太刀ですっ。どっちも有名な剣ですよっ!
 製作者は不明で、筑前国三笠郡の出山というところに住む唐国の鉄細工、ってだけ伝わってますけれど」

「なるほど……それで茎の(めい)に作者の名前が刻まれてないんですね」

 イブキが納得したように頷く。

「あ、あれ? でもこの剣。今は北野天満宮に奉納されているはずじゃぁ……?」

 古事に詳しい日菜佳が首を捻るが、問題はそこではなかった。

「じゃあ、この剣って『鬼』と『魔化魍』を切った剣、ってことになりますよね?」

 京介の問いに勢地郎が頷く(うなづく)

「そういうことに、なるかねぇ」

『陰』と『陽』──二つの異なる謂れ(いわれ)を持つ剣。
 古来中国には『陰陽五行』という概念がある。全てはそれから成り立つと。
 唐国の国の刀工が作ったとなれなれば、この二振りの剣にその属性が与えられていたとしても不思議では無い。

「でも、なんで安達君がこんなものを持っていたんでしょう?」

 だが、あきらの問いに答えられる者は、この場には誰もいなかった。

 ──ただ、謎だけが深まるばかりであった。


  
参の段 壱 『咲き乱れる桜』<<>>弐の段 玖(急)『猛る夜叉』



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謹賀新年

 あけましておめでとうございます

 今日から新たな年の幕開けとなりますな。

 お子さんはお年玉で懐が暖かく、そして大人の皆さんはお年玉や初売りで懐が厳しい次期でもあります^^;


 まー、私もね。身を清めて初詣に行って参りました。
 いつもなら兄弟家族一家で行くところですが、兄夫婦一家は義姉の実家に、弟夫婦は年末に急遽転勤となって、大晦日の前の夜に姪っ子たちと怒涛のごとくやってきて、一晩泊まり義妹の実家で過ごしておりまして、父母と密やかな新年を迎えた次第です。
 父母も足腰が弱っておりまして、参拝は無理っぽい様子でしたので、今年は一人参拝。
 お守りやおみくじ買って、おみくじが末吉だったのでちょいと残念感があったりしたんですが──


 夕べは雪が降り、それが雨となり、参拝の時には晴れ間が見えておりました。

 そして、参拝の帰り、GEOにDVD返しに行って帰宅する途中


 虹を、見ました


 目を凝らして見ないとそれとは気づかないくらい淡い虹でしたが

 私は思わず、寂寥も忘れ、おみくじの結果も忘れ

 ただ、見入っていました。

 美しい、と。

 初日の出は見られませんでしたが、それ以上に美しいものを見た、と。



 まあ、大体において大吉引いてもそこは人の世。
 ままならぬ事も多く、それで末吉引いたくらいで、何が変わるのかは神仏と己次第。


 晴れていく空と虹を見て、何か奮い立つものを感じました。



 今年も、よき年になりそうな、そんな感じがいたします^^

弐の段 玖(急)『猛る夜叉』

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 最初、その場に居たもの全てが何が起きたのか理解するのに数刻を要した。
 地下道に響き渡る、轟音とも呼べる獣の様な雄叫び(おたけび)

 その中心に座すは、深い群青の肌。若々しき真紅の立体的な隈取。頭部には鬼レリーフから天を突くような「角」が。腰には五芒星のバックルが装着されており、そしてその(かいな)には、鉈とも肉切り包丁とも思える、分厚い短刀を携えている。

 そして、理解した。

『それ』は『鬼』だと。

 ただし、「異形な」──


「それ」は「口元」を開き、かはぁ……っと白い息を吐いて、ぎっとスズメを睨ん(にらん)だ。


 あきらを振りほどいたスズメは、背中に冷たいものが走るのを抑えられなかった。
 それが恐怖だと知るには時間はかからない。
『それ』が放つ殺気と猛威はそれほどまでに圧倒的だったのだ。
 そして押さえ切れない戦慄と共に、ようやく喘ぐ(あえぐ)様に言葉が次いで出た。

「──『夜叉王』……っ!」

『夜叉王』と呼ばれた『それ』は、まるで肉食獣が獲物を捕らえるかの様に、スズメに襲い掛かった。 

 




 夜叉(または薬叉)は、原典となる古代ヒンドゥー神話ではヤクシャ・またはヤクシニーと呼ばれ、人を食らう鬼神であると同時に、森林・水などに棲まう神霊であり、癒しの力を司り医学に長けた精霊ともされていた。

 現代の仏教においては、転じて地獄の獄卒である他、毘沙門天あるいは薬師如来の眷属として、悪を懲らしめ無病息災を司る役割を得るに至っている。
 そして代表的な金剛夜叉明王は北方を守護し、敵や悪を喰らい尽くして善を護る仏。あるいは戦の神として祈願される事となった。

 悪を食らい、病魔を払い、傷を癒す。
 戦と癒し、相反するものを備えた『鬼』

 ──それが『夜叉』という存在である。






 最初、あきらは目の前で何が起きているのか、理解出来ず呆然とその『鬼』を見つめていた。
 スズメに突き飛ばされて受けた擦り傷の痛みすら、どこか遠くのものの様に感じられる。
 突如として明日夢が居たと(おぼ)しき場所から轟音を立てて水柱が立ち、目を開けてみれば響鬼にも似た『鬼』が立っていたという事実が、あきらを混乱させていたのだ。

「あ、安達……君?」

 恐る恐る声をかけて見ると、その『鬼』は僅かに首を動かしてあきらを一瞥した後、まるで獣の様に女天狗──スズメに襲い掛かった。

 念のために明日夢が居たと思しき場所を見てみるが、明日夢の姿は無かった。

(やっぱり…… でも、なぜ!?)

 戸惑うあきらは、呆然とその『鬼』が戦う様を見ていたが、背後からうめき声が聞こえて意識を取り戻した。

 うめき声の方を見やると、そこには頭を抱えて路上でのたうち回っているひとみの姿が『見えた』

「持田さん!?」

 あきらは慌てて駆け寄って抱き上げ、そして息を呑んで驚愕した。
 なぜならひとみの額に、額冠の様に朱鬼のような『鬼』のレリーフが浮かび上がっていたからだ。

「何なの……これ」

 あきらは喘ぐようにそう呟くのが精一杯だった。

「いた……い、頭、痛い……っ!」

「しっかりして! 持田さん!!」

 あきらはひとみの苦悶の声に改めて自分を取り戻し、しっかりとひとみを抱きしめた。

(一体……何が二人に起きてるの?)

 ひとみを抱きしめながら、あきらは再び戦う明日夢を見た。
 隠し切れない不安を込めて──






 一方で京介とハヤテの戦いは膠着状態になっていた。
 理由は明らかで、突如として轟いた轟音と雄たけびに注意が殺がれた(そがれた)からだ。
 それでも相手に切っ先を突きつけ合って、臨戦の構えを解いていないのは流石と言うべきか。

「まさか……明日夢、なのか?」

 京介も見慣れない『鬼』の出現に困惑していた。
 その『鬼』を明日夢と判断したのは他でもない、あきらが何故か苦しんでいるひとみを介抱しているのが『見えた』からだ。
 そして明日夢の姿は見えず、代わりに『鬼』がそこに居る。しごく単純な消去法だった。
 だが、それをすんなりと受け入れられる程、落ち着いてもいられなかった。
 その『鬼』が放つ殺気と禍々しさ。それは明日夢の性格とは最も縁遠いものだ。

 京介が知る明日夢は、明るく芯が強く、臆病に見えるほど人の心に優しく触れる気遣いに溢れた少年だ。

 ──断じて、あの様な『モノ』が、明日夢であるわけが無い。

 そう、信じたかった。
 例え目の前の光景が現実だったとしても──
 
 ここに至って、女天狗が言っていた『神隠し』の呪法がすでに破られて居たことに気がついた。
 あきらとひとみの姿がしっかり『見えて』居るのがその証拠だ。
 ──だが、何故?
 まさか── 明日夢が『変身』した衝撃で『破られた』のだろうか。
 タイミング的にはそれが正解の様にも思えるが、にわかには信じがたい。
 
 だとすれば、何という『力』か。
『変身』しただけで、呪法を無効化するなどとは。

 京介は知らず息を呑んで、その『鬼』を見つめた──






 仄暗い(ほのぐらい)某所。
 その様子を『鏡』で見つめている男がいた。
 精悍で、研ぎ澄まされた日本刀の様な面差しのその男。
 ザンキにも似た容貌のその男は、口元には喜びを。眼差しに憐憫の色を宿らせ、変身した明日夢をじっと見つめていた。

「……まさか、このような形で『覚醒』するとはな」

 だが、と呟いて、男──邪鬼は目を閉じた。

「『種』は芽吹き『苗』となった……後は、『花咲く』のを待つのみ」

 邪鬼は、そう言うと立ち上がって背後に居る『モノ』達に視線を向ける。

「大望の時は近い。 準備にかかるとしよう」

 闇の中に居る『モノ』達は、それぞれの言葉で「応」と返した──






 身体が熱い。

 心が猛る。

 明日夢は衝動のままにスズメに襲い掛かった。
 我武者羅(がむしゃら)に短刀を振るい、狼の如く襲い掛かり、猿の様に体をかわす。

 そこには技も何も無い。
 それこそ野獣の様な戦いであった。

「ちぃ──っ!」

 スズメは明日夢の攻撃を紙一重でかわし続けるが、何せ相手は野獣同然だ。技もへったくれも無い。 動きが読みにくいことこの上無かった。
 
 それに、あの『短刀』

 本来なら、『鬼』が──いや『人ならざるモノ』が持ちえるはずが無い、『人が人外のモノ』を『斬る』為の短刀なのだ。

 なぜそんなものが、この『鬼』の手に。
 いや、それよりもこの剣に斬られれば、それだけで致命傷になりかねない。
 スズメは逆手に持った小太刀を正眼に構えなおした。
 
「るがぁあああ!!」

 雄叫びを上げて『鬼』と化した明日夢が右手の短刀を振り上げる。
 そして振り下ろされるその刹那、スズメの小太刀が狙い誤ることなく手首を切り、返す刀で胴を薙ぎ、更にその勢いで左肩口から袈裟懸けに一刀両断にした。

 ガラン、と音がして、明日夢の両手から短刀が落ちた。

「明日夢!」

「やったか!!」

 京介の絶叫とハヤテの喝采が重なる。

 ──だが

「ぐるぅ……っ」

 棒立ちになった明日夢の身体に異変が起き始めていた。

「なっ!?」

 スズメはその様を見て驚愕した

 群青の肌から水が滲み出て、千切れかかった右手首が、そして通常なら即死してもおかしくない腹部と肩の傷が、まるで時間を遡るように再生していくではないか。

 確かに『鬼』には通常人とはかけ離れた再生能力がある。
 例えば筋肉を酷使すると、それが一端破損し、より強固な筋肉に鍛え上げられる様に、超高速の再生能力をもって、通常人とはかけ離れた剛力や跳躍力を身に纏う(まとう)事を可能としているのだ。
 
 だが、それにも限度と言うものがある。

 例えばザンキが膝や心臓を痛め、ついぞ回復することが無かったかのように、有る程度は『人としての肉体』に限界があるのだ

 だが、目の前の明日夢の回復力はその範疇を遥かに越えていた。
 さもなくば、千切れかかった手首が、臓腑や心の臓に達する傷が、どうして瞬時に癒えようか。
 
 スズメは思わず後ずさりして、呻いた(うめいた)

「ば、化け物……っ!」

 と。

 その怯えを、明日夢の中の『鬼』は見過ごさなかった。
 猿の如く飛びかかり、その両手首をぎりぎりと捻り締め上げる。

「きゃあああ!!」

 そんなスズメの悲鳴など歯牙にもかけず、明日夢は更に腕を広げてスズメの腕を引きちぎらんと力を込めだした。 
 ガランと音がして、スズメの手から小太刀が落ちる。
それどころか、明日夢はその牙を剥いてスズメの首筋になんと齧り(かじり)ついた。

 絹を切り裂くような悲鳴が地下道に響き渡る。

 誰もが耳を塞ぎたくなるような、それは断末魔の絶叫だった──






 流石にもう見ていられなかった。文字通り地獄の悪鬼となる明日夢の姿を。
 あきらは必死になって明日夢に懇願した。

「安達君! もうそれ以上はやめて下さい! そのままじゃ、そのままじゃ!」

 後は、言葉にならなかった。

 そんな時だった。
 
「あ、まみ……さん」

「!? 持田さん!」

「安達君……どうし、たの?」

 そして震えて差し出された手は
 ──鬼に変わり始めた、ひとみの手、だった。

 それを見て、あきらは息を呑まずにはいられなかった。
 そして、直感した。 このひとみの変身は、明日夢の暴走につられているのだと。

「安達君、しっかりして下さい! 元の安達君に戻って! このままじゃ、持田さんが……っ、持田さんが!」

「も ち だ ……?」

 明日夢はその名前に初めて反応した。 かじりついていた、スズメの首から顔を離し、あきらに視線を移す。

 その一瞬だった。
 明日夢の前を駆け抜け、スズメがその風にさらわれた。
 風が駆け抜けた方向を見やると、出口付近でスズメを抱いたハヤテの姿が有る。
 まさに一瞬の出来事だった。

 ハヤテは怒気をはらませて言い放った。

「やっぱりその『遺産』は危険だ……っ。 手前ぇら、絶対後悔するぞ。今ここで俺たちに素直に殺されなかったことをな!」

 それだけ言うと、ハヤテとスズメの姿は突風を残して飛び去っていった。

 後には、一陣の風が残された。






「好き勝手やって、言いたい放題いいやがって。
 おい、明日夢! しっかりしろ、大丈夫か? 明日夢!」

 駆け寄ってきた京介は、渇を入れるように明日夢の身体を揺さぶった。
 すると明日夢はのろのろと京介の顔を見る。

「きょぅ……すけ?」

「ああ、俺だ!分かるな!?」

 すると明日夢の顔の変身が徐々に解除され、元の優しい面差しに戻る。
 ただ、焦点があっておらず、目はうつろな状態だった。
 京介も顔の変身を解除してしっかりと明日夢の目を見る。

「……持田は?」

 ぼそりと感情のこもらない明日夢の声に、京介はあきらに視線を移した。
 あきらもそれに気づいてひとみの様子を伺う。

 額冠状の鬼のレリーフはすでに消えうせ、手も白魚のような白く柔らかいものに戻っていた。
 ただ、意識を失っているのか、目を閉じて反応が無い。
 あきらが手早く脈をとる。 その脈が正常に働いているのを確認して京介にうなずき返し、明日夢にも言った。

「持田さんは、大丈夫ですよ」

「よか……った」

 その時、初めて明日夢の表情に微かな笑顔が戻った。
 それを見て、あきらは安堵すると同時に、何か胸にちくりと針が刺さる様な感覚を覚える。
 ──それがひとみへの「嫉妬」であったと自覚するのには、後日のことである。
 だが、今はそれどころではなかった。
 安堵したのか、変身したことへの疲労なのか、明日夢もまた膝を折って倒れこんでしまったのである。
 そして、首から肩にかけて元の素肌に戻っていく。

「やば! あ、天美! ちょっと向こう向いていろ!」
 
 その言葉に思わず頬を桜色に染めて、あきらは慌ててあらぬ方向に視線を向けた。

「あー 予備の服あったかな……」

 少し離れた所で京介がごそごそと何かを探している気配がする。
 あきらは明日夢が心配で、思わず視線を戻しかけるが、視界に明日夢の素足が見えるとまた慌てて視線を別方向に向けるという、傍目には奇妙な行動を取り続けていた。

 そして数分が過ぎて

「これで良し……っと。天美、もう良いぞ」

 京介のその言葉に、ようやく安堵のため息をついて明日夢の方を見た。
 明日夢は少し大きめの学校指定のジャージを着せられ、バッグを枕にこんこんと眠っているように見える。
 ただ、その呼吸と表情が穏やかだったので、あきらはようやく安心することが出来た。

「でも、明日夢のヤツ、なんでこんな物持ってたんだ?」

 変身を解き、着替えを済ませた京介は、明日夢が持っていた2対1組の無骨な短刀を興味深げに見た。
 短刀と言うより、鉈か肉切り包丁かという奇妙な代物である。

「まさか、これも『遺産』てヤツ……なのか?」

 そうして京介が短刀に手を伸ばした時。

 バチィイイ!! と激しい音がしたかと思うと京介の身体が、鞠の様に吹き飛ばされていた。

「き、桐矢君!?」

「だ、大丈夫! 大丈夫だけど……」

 苦悶の表情で右腕を押さえている。まるで大電流に感電したような有様だった。

 試しに恐る恐ると、あきらがその短刀に触ると──

「熱っ!」

 吹き飛ばされこそしなかったものの、まるで熱湯につけた様に手のひらが真っ赤になっている。

「なんなんだ? これ」

「さぁ……」

 まるで得体の知れない、おぞましい物を見るように、京介とあきらは不安げに顔を見合わせた。

 そう言えば、この短刀を見たときの女天狗の取り乱し様も不可解だった。
 どう見ても、この『短刀』のことを知っていたとしか思えない。
 何か曰くつきの品なのだろうか。

『鬼のあんたが、なんで持てるの!?』

 ──確かにあの女天狗、スズメはそう言ったのだ。
 となれば、『鬼』に深く関わる品であろうことは想像に難くない。
 とはいえ、ここであれこれ悩んでいても時間の無駄だ。 

「とりあえず、俺支部に連絡して来る。迎えに来てくれるようにって」

「そうですね、それが良いと思います」  

「じゃぁ、二人のことを頼む」

 そう言い残すと、京介は電波の届く範囲、地下道の出口まで駆けていった。

 残されたあきらは、バッグからスポーツタオルを取り出し、転がっている剣をとりあえず、恐る恐ると手に取ってみる。
 今度は熱さは感じなかったが、何か得体のしれない『何か』が身体の中に入り込んで来た。
 そのおぞましさに眉を寄せながら、手早くタオルにつつんでバッグに入れる。

 それにしても──と、あきらは思う。

 どうして二人がこんな目に、と。

 地下道を冬の冷気が走リ抜けていく。

 でも、背筋が思わず寒くなったのはそのせいではないだろう。


 あきらは、これから襲い掛かってくるであろう災厄に、密かに身体を震わせ己の肩を抱いた。

 ──そう
 これは『始まり』に過ぎないのだと。


 鈴鳴る腕輪編=完=

 次回『忍び寄る悪鬼篇』開幕



 

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