前職の社長は、
発音は超日本語なまりで
とっさの時に文法がめちゃくちゃになる・・・
という、一般的な英語学習者が
「恥ずかしい」と感じることを、
全く気にせずに堂々と英語を話す人でした。
これまでの社長との思い出話。
↓
ある日、
海外から専門家・パネリストを招いて
大きな国際会議が開催されたときのこと。
お客様の一人が、到着が遅れ
開始時間になっても会場に現れませんでした。
社長が、
「お客様がまだ到着していない」旨を
威厳たっぷりに、
会場の参加者に告げました。
「ひー いず のっと あらーいぶ!!」
He is not arrive ? ?
いや、
社長のジャパニーズイングリッシュでは、
「あらーいぶ」は、むしろ、
alive に聞こえた・・・・・
He is not alive ... ???
社長、
アーーウーーチーーーーー!!!
社長の場合、
Be動詞と助動詞の間違いは、
普段からよくありました。
(※そんな社長には、瞬間英作文がオススメ。笑)
瞬間英作文のやり方とおすすめ教材。私はコレで独学で通訳になりました
でも、でも・・・・
Be動詞をうっかり間違うのは
よくあることとは言え、今回ばかりは、
後に続く単語との組み合わせが悪すぎます・・・
突然の訃報に、会場はざわめきました。
・・・・・嘘です。
英語ネイティブの参加者を含め、
誰も、「え?」なんていう
顔をする人はいませんでした。
「うっわー、社長、やっちゃった・・・」
と思ったのは、私と、
おそらく同じ会場にいた私の先輩通訳だけ。
自らの生死が話題にのぼったなんて何も知らない(笑)
このお客様が、30分遅れで登場したときも、
「えっ、生きてるじゃん!!」
と驚いた人なんて、一人もいなかったんです。
不謹慎かもしれませんが、
私はこの事件(?)に、勇気をもらいました。
外国語って、わたしが思ってるより
ずっと簡単に通じるもんなんだ・・・・・
当たり前ですが、状況からして
「あらーいぶ」が "alive"なわけないんですよね。
訃報だったとして、
"He is not alive"なんていう英語を
使うはずがありません。
そろそろ開始時間だけど、始まらないのかな・・・
あ、社長が空席を指差して、腕時計を見ながら、
何かアナウンスしている・・・
そういう状況がある。
だから、社長の英語は、
ちゃんと通じるのです。
よく中学生に発音を教える先生が、
「米のライスのRの発音に気をつけろよ!!
ちゃんと舌を正しく使って言わないと、
『しらみ(lice)』に聞こえるぞ!」
なんて言いますが、
「日本人はライスを毎日食べます」
という英語をネイティブが聞いたとして、
いくら発音が悪くても、文脈から考えて
「しらみ」と思うはずがないんですよね。
もちろん、英語が本職の私には
「ひー いず のっと あらーいぶ!!」
なんていう間違いは許されませんし、
発音もできるだけネイティブに近づけていくことが
義務だと思っています。
でも、
自分が思うほど周囲の人は
少々の文法間違いなんか気にしちゃいないし、
状況からちゃんと意図を汲んでくれるのだ。
そう、客観的によく分かった出来事でした。(笑)
自意識過剰になりすぎることなく、
文法的な正確さばかりに気をとられることなく、
発言者の真意をきちんと伝えることを
最優先にしなければ。
当たり前のことに改めて気づかされた
ある日の一コマでした。