私は、独立起業する前は
8年ほど通訳者をしていました。
主に社内での会議や行事などで通訳をしていました。
今日は、私がまだ新人通訳者だった頃、
定期的に通訳に行っていたある部署の会議での一コマを
お話ししたいと思います。
この部署は、10人ほどのメンバーがいて
日本人と外国人が半々でした。
私が勤めていたときは、
アメリカ人、フランス人、中国人、韓国人がいて、
国際色豊かな感じでした。
ちなみに、英語が母国語じゃなくても
共通語は英語なので、通訳も英語⇔日本語です。
会議の形式は、逐次通訳でした。
「逐次通訳」とは、
発言が終わるのを待って、通訳が訳すという形態の通訳。
通訳の仕事内容について詳しいことにご興味があれば、
記事を私の本館ブログに書いてるので、どうぞ。
■通訳の仕事内容、必要な英語力、収入や求人の探し方【経験者が暴露】
https://dokugakuenglish.com/job/tsuyaku/
逐次通訳で取るメモは、発言を速記するわけではなく、
ただキーワードと論理の流れを書き留めるだけです。
そんなに大量の情報は、覚えておくことができません。
新人通訳だった私は、
まだメモ取りの技術もおぼつかなかったので
話が長引くと、非常に困っていました。
・・・・・なんですが、
ここの部長(アメリカ人男性・50代)は、
かなりの話好き。
しゃべりだしたら止まらない人でした。
業務連絡をしていたはずが、
だんだん話が逸れていき、
しまいには自分がアメリカで
勤めていた政府系機関の話に。
政府で働いていたことを
誇らしく思っていたようなのですが、
話の内容は、どう考えてもただの雑談。
しかも、この部長、
早口で小声。
部長は、
お腹周りが巨大なオジサンでした。
とても気さくで、
話が長い以外は、いい人でした。
ただ・・・・・
自分の発言が通訳されるってことを
意識してしゃべれ~~~!!
行き当たりばったりで
適当な話をするんじゃな~~~い!!!
5分も機関銃のようにまくしたてられたら、
メモも追いつかんし、
だいたい、話の内容も忘れるんじゃ~~!!!
てか、こんなに苦労してメモ取っても、
半分以上どうでもいい話じゃろうが~~~!!!!!
(#▼皿▼)=3
・・・と
ちゃぶ台をひっくり返したくなったこと、
数知れず。
もちろん、
会議の内容が正しく伝わることが最優先なので
あまりに話が長くて通訳の正確性に支障が出るようなら、
「Excuse me, but may I interrupt?
(すみません、通訳入れていいですか?)」
って遮って、通訳すればいいのです。
でも、新人通訳だった私は
途中で割り込む勇気がありませんでした。
部長は、本当に悪気はないので
ひとしきり機関銃のように
(半分以上はどうでもいい)話をした後、
ふと我に返って
自分がしゃべり過ぎたことに気づき、
「Oh, スミマセ~~ン!!」
と、私に日本語で平謝りするのでした。
(多分、「スミマセン」と「アリガト」しか日本語を知らない。)
そして、
「大丈夫!次は短く切るからね!!」
と私に(なぜか)ウィンクをし、
また話し始めたのでした。
「If you have any questions,・・・」
(ノ´∀`)ノドゥゾ ←部長
ポカ―(゚Д゚)―ン…
・・・・・って、
み、みじか〜〜〜!!!
しかも、文章の途中で
切るな!!!
長すぎたり、短すぎたり、
極端なんじゃーー
「・・・・・質問がある場合は」
これだけで言葉を終えた私を、
みんなが哀れみの目で見ていました・・・・・
またある時は、部長の話が長すぎて、
私が内容を理解し損ねたところがあったので、
通訳を入れる前に
「すみません、○○って
こういうことで合ってますか?」
と確認のために質問しました。
私は、その質問の答えをもらったら
すぐに通訳を始めるつもりで準備をしていました。
でも、私の質問だけに
簡潔に答えてくれればいいのに、
そこから部長は新しいネタを
思い出してしまい。
「○○ってのは、
こういうことなんだけど・・・・・
例えばだね、△△があって・・・・・
あ、そうそう!!
みんなにはこの話をもうしたかな。
前に働いていた政府では・・・・・」
そして、
話はあさっての方向へ・・・・・・
前の職場の自慢話は、
みんな、
お腹いっぱいです・・・
会議の後で
「今日はちょっと話が長くなっちゃって
ごめんね。
これからは気をつけるよ!」
と謝ってくれる部長に向かって、
今日「は」じゃなくて
今日「も」だと心の中でツッコミを入れつつ、
「ま~、部長もだんだん
上達してますよ」
とか冗談を言える図々しさも、
そのうち身についたのでした。