この本をコンビニで発見した時、集英社はやっぱり売り方がうまいなあと感心させられた。

自社のマンガがTVや映画でアニメ化されるとそのアニメのムック本を出す出版社は多いが、集英社にもアニメ化されたものは数多くあるが、マンガの特集本は出してもアニメを対象としたものはドラゴンボールを除いては出してた記憶がない。

今回20年ぶりに「シティーハンター」がアニメ映画として復活したのに合わせて出たこの本もかつて週刊少年ジャンプに連載されたマンガを中心に構成され、映画についてはこの作品を描いた北条司のインタビューで多少語られるだけで声優や映画製作スタッフなどのコメント等はまったくなかったのでアニメや映画についての事を読みたい方にはお勧めしない。

が、初めてシティーハンターを知った人でも映画を観る前にこの本を読めばある程度の予備知識をつけて映画を観れるような作り方をしてあるのはさすがと思う。
マンガは主人公・冴羽撩(ほんとはけものへんなんだけどなかったので似た感じのこれで)のひょうきんでスケベな性格(後に「もっこり」で表現されるようになる)ともうひとつの顔である新宿で「始末屋」を営む凄腕のスナイパー(狙撃手)としての人物像が描かれた第一話の他に映画にも登場するメインキャラクター達と撩との関係がわかるエピソードで編成され、マンガの合間にマンガを補完する記事が入っていたりフアンから届いたシティーハンターへのメッセージをマンガでもよく使われた伝言板になぞらえて載せている。
もうひとつ趣向が凝らしてあるのが、見落としがちだが横の少年ジャンプ本誌では号数が入る部分か映画の公開日になっている。


こういう遊び心はフアンには嬉しかったりする。

この本の惜しいところはジャンプの名をつけたからか週刊少年ジャンプと同じ紙を使われている為紙の質がすごく悪く保存に向いていない点。
価格から考えたらふだん総集編などに使っている紙を使ってもコスト的に問題なかったのではと思うんだけどね。

週刊少年ジャンプではシティーハンターと同じく現実世界になぞらえた平松伸二の「ブラック・エンジェルズ」が同時期に連載されていたが、ブラック・エンジェルズが連載が進む中で現代の必殺仕事人ものから近未来SF へと形を変えていったのにたいし、シティーハンターはパートナーが早い段階で代わった以外最後まで同じスタイルで通したのも長く愛される作品になった理由かもしれない。

まだ携帯電話もなかったバブル時代の後半、現在のようにあちこちに防犯カメラが設置されるはるか前の新宿は、日本一の繁華街であるとともに昼と夜でまったく違う顔をもつ街でもあった。
そう、人の夢と欲を喰らいそれをエネルギーにしてるような街が舞台だったからこそ冴羽撩のような人間が実在していたとしてもなんら不思議はなく、新宿駅東口の伝言板に依頼の暗号「XYZ 」を書き込むようなもう後がないほど追いつめられてる人達がいてもおかしくない場所だったからこそマンガにリアリティをもたせる事ができたのだと思う。

劇場版シティーハンター<新宿プライベートアイズ>
自分も映画が公開されてから一週間を過ぎた2月19日に観にいってきました。


現在の新宿を舞台にしながら昔のアニメの雰囲気も残していておもしろかった。
昔シティーハンターが好きだった人には楽しめるだろうし、最近シティーハンターを知った人にはこういうかっこよさもありかな、と感じてもらえる映画だと思います。



映画館に行くとデカめのシティーハンターの看板が出迎えてくれた。

   撩と香はもしかして等身大?

全体図では入り切らなかったけど、右上にはちゃんと香のお仕置きハンマーもある。